2020年1月26日 サンデーモーニング(後編)

2020年1月26日 サンデーモーニング(後編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年1月26日放送回の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 河井氏への巨額選挙資金振り込みについて報道された部分
② 桜を見る会の新たな文書について報道された部分
③ 植松被告の公判について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
③ 植松被告の公判について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
 神奈川県相模原市の障害者施設で45人が殺傷された事件。殺人などの罪に問われている植松聡被告はこの日裁判で、「自分には責任能力があると思う」と述べ、刑事責任能力がないとする自身の弁護人に異議を唱えた。

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【コメンテーターの発言】
竹下降一郎氏(全文):この段階でも持論をまだ展開してまして、やはりあの、安楽死すべきだとかですね、弱い立場の人は生きている意味がないというような思想ですよね。これが今、社会にこの被告だけでなく割と広まってるんじゃないかと私は心配しているところです。あの、どうしても、生産性が高いとか低いとか、この人は役立つ、役立たないとか、そういう議論が経済界、あるいはもしかしたら政治家の間でも広まっていて、そういうのが影響してるというのがあるかなと。まあ今回の事件は、事件特有の問題もあるんですが、それが一般社会においても、そういう思想が広まってるんじゃないかと。そういったことを気に留めとく必要があるかなと思いますね。(関口氏:ある意味時代逆行ですよね。)ほんとそうですね。(関口氏:また悪い時代へ戻っちゃいますね。)それの一つの象徴かなと思ってしまいますね。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、竹下氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、竹下氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
竹下氏は今回の報道で、以下のように述べています。

竹下氏(抜粋):この段階でも持論をまだ展開してまして、やはりあの、安楽死すべきだとかですね、弱い立場の人は生きている意味がないというような思想ですよね。これが今、社会にこの被告だけでなく割と広まってるんじゃないかと私は心配しているところです。あの、どうしても、生産性が高いとか低いとか、この人は役立つ、役立たないとか、そういう議論が経済界、あるいはもしかしたら政治家の間でも広まっていて、そういうのが影響してるというのがあるかなと。まあ今回の事件は、事件特有の問題もあるんですが、それが一般社会においても、そういう思想が広まってるんじゃないかと。そういったことを気に留めとく必要があるかなと思いますね。(関口氏:ある意味時代逆行ですよね。)ほんとそうですね。(関口氏:また悪い時代へ戻っちゃいますね。)それの一つの象徴かなと思ってしまいますね。

要旨をまとめると、
・日本社会で植松被告の主張のような優性思想が広まっている。個人の生産性や能力などを重視する姿勢が経済界や政治家の間で広まっており、今回の事件はこうした思想が背景にあることを気に留めるべきだ。

というものです。

しかしながら、
・日本社会で優性思想が広まっているとする主張には何ら根拠がない。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での竹下氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「人間の価値は能力や生産性によって決まるものではない」という立場に立った意見ばかりが出てきました。

ですがこの問題に関しては「人種や性別など本人が主体的に変えることが困難な事柄に基づく不合理な差別を除き、個人の生産性や能力は利益を追求する民間企業や経済界にとっては当然重視されるべきことだ」といった反対の意見があります。

にもかかわらず、今回の報道におけるVTRやパネル説明ではそうした意見をほとんど取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 河井氏への巨額選挙資金振り込みについて報道された部分
については前編の報告を、

② 桜を見る会の新たな文書について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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