2020年7月19日 サンデーモーニング(中編)

2020年7月19日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年7月19日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 「風を読む」にて米軍基地とコロナについて報道された部分
② 看護師の待遇、Go Toキャンペーンについて報道された部分
③ コロナウイルスの感染拡大と後遺症について
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
②看護師の待遇、Go Toキャンペーンについて報道された部分となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
第2波に向けて医療の対応が急がれる中、政府が推進するGoToキャンペーンが問題を抱えたままスタートしました。
千葉県船橋市の病院に勤務する医師・看護師は、新型コロナウイルス患者らの治療に当たるなど危険な仕事に従事したにもかかわらずボーナスが減額されたと行政に訴え出ました。東京女子医科大学病院でも全職員のボーナスがゼロになり労働組合によると、退職の意向を示した看護師が400人に上ります。コロナ病棟に応援に行った看護師は感染予防対策のため、勤務日数が減り給料が減額されたといいます。
新型コロナ患者の治療に当たった医療機関は、外来患者の減少などで経営が悪化し深刻な状況に陥っていますが、そこに感染拡大の第二波が迫りつつあります。
水曜日に行われた東京都のモニタリング会議で、杏林大学医学部・山口教授は「保健所からの入院調整件数、要請依頼も先週と比べて3倍になりまして、7月12日は90件をこえた状況になっています。」と話しました。東京都内の保健所がみずからの管内で感染者の収容先を見つけられず東京都に依頼することが急増しています。現在、東京都は中等症患者用の2700床を確保するよう要請していますが、水曜日の時点ではおよそ1500床にとどまっています。
医療現場がひっ迫しかねないこうした状況でも政府がどうしても進めたかったのがGoToトラベルキャンペーン。これについて13日青森むつ市・宮下市長は「今までは天災だと言っていられたかもしれないがもう人災だと」と述べ、さらに14日大阪府・吉村知事は「東京で100人200人っていうのが連発している中でですね、本当に東京からいろんな各地にいってもらうこのキャンペーンを今すべきなのか」と述べました。
キャンペーンは感染拡大の収束後に行うとしていた4月の閣議決定について、15日衆院予算委で国民民主党・馬淵議員は「新型コロナウィルス感染症の感染拡大が収束したと判断したということでしょうか」に問い、それに対し西村経済担当相は「緊急事態宣言を解除したということは、その時の流行は収束させたということで解除したわけではありますので、その時点でそういう判断をしている。」と答え、あくまでも予定どおり22日からスタートすると説明していました。
しかし木曜日急きょ、東京都だけを対象から外すと方針転換しました。これを受けて東京都の小池知事は「国の方でよーくご判断されたかと存じます。一方国として都民、国民に対しての説明が求められるのではないのでしょうか。」と述べました。
旅行会社の飛鳥飛行・村山社長は「大臣の発言と同時にキャンセルがありました。キャンペーンに賭けるしかなかった。」と話し、はとバス・石川公報室長は「東京だけダメと言われて残念感が強い」と困惑の声が広がっています。

金曜日、赤羽大臣は「若者の団体旅行、重症化しやすい高齢者の団体旅行、大人数の宴会を伴う旅行など感染リスクの高い旅行は控えることが望ましい。」と述べますが、それぞれの定義もあいまいでキャンペーンの対象外になる基準や条件の検討はこれから。期待される経済効果についても疑問視する声が上がっています。

スタジオでの水野アナの説明。
来週にもスタートするGoToトラベルの予算はおよそ1.4兆円です。政府が推し進める背景には観光業界の業績悪化があります。国内旅行の推移は、今年の1-3月期は前年同月比のマイナス53%にまで落ち込んでいます。また、訪日外国人に至っては前年比マイナス99%と落ち込みはさらに深刻です。
和歌山県の仁坂知事は「旅行に来るなと言うと自滅する。コロナ禍でも稼がないといけない。」と肯定的な姿勢です。
一方で福島県の内堀知事は「期待もあるが感染が拡大する中では不安懸念もある」としていて自治体によって意見が分かれています。
また、ひっ迫しているのは観光業だけではありません。今年度の補正予算では医療従事者への直接支援が1.8兆円割り振られていますが、全国の病院はすでに67%が赤字になっています。東京都の病院は89%が赤字に転落。こうした中で全国の病院の34%がボーナス一部カットに踏み切るなど、支援はまだ足りていません。

【コメンテーター発言内容】
関口氏(全文):コロナと経済、このジレンマ。そんな中で病院がこういうことになっている。賀来先生、病院の状態をどうご覧になっていますか?

賀来氏(要約):これは非常に深刻だと思います。例えば大学病院クラスで1カ月で5億近く、地域の大きな病院でも約1億の赤字が出ています。医療体制というのは最後のとりでなので、そのとりでが壊れかかっていると言っていいと思います。

関口氏(全文):それは相当なところで来ているんだろうと僕らでも想像するんですが、目加田さん、どういうふうにご覧になっていますか?

目加田氏(全文):一時はやっと収まったかに見えて、少し安心したかなというふうに多くの国民が感じていたかと思うんですけれども、やはり拙速な緩和策に転じたことによって国民の努力が、その成果がむだになりかねないという状態だと思うんですね。経済や雇用を守らなければならないのは痛いほど分かるんですが、やはり今のこのタイミングでGoToトラベルあるいはGoToキャンペーンを進めていくということに私自身は反対です。国民は何よりも、友人や家族と出かけたり食事に行ったり、旅行に行ったりしたくてうずうずしていると思うんですけど、それでも、なかなか安全対策がきちっと進まない中では積極的に行動に出られないと思うんですよね。ですから、まずはとにかく安全対策を徹底する、寺島さんからPCR検査の検査の件数もかなり増えているというお話もありましたけど、諸外国に比べてまだまだ日本の件数は少ないと思いますので、PCRを徹底して陽性者を隔離することを地道にやっていくしかないと思うんですよね。もう1つ、総額で1.7兆円といわれるGoToキャンペーンについては、私自身は地方に分配して、その地域のそれぞれの特性を生かした形で活用してもらうと、もっと柔軟性を持たせたような使い方にしたほうがいいんじゃないかなと思っています。

涌井氏(全文):簡単に言うと、道をドライバーが走っていたら、前のほうで崖崩れが発生し始めた、そこでアクセルを踏んで、そこを突き抜けていくのかあるいは一旦停止して状況を見るのかという例えを見れば分かると思うんですがやはり突っ切るのは非常に危険なんですね。私の手元に、政策研究大学大学院のツチヤタカシさんのデータがあって、これをずっと見ていますとちょっと末恐ろしいような方向で、しかもなおかつ5月に発表されたものが、もうそれを完全にトレースしているんですね。いわゆる感染者数というのは、行政感染者数と彼は捉えているわけです。現実にはその20倍の感染者がいるんだろうと。そういったことを考えたときに、かつて西浦先生が非常に膨大な数字を出されてみんながびっくりしたんですが、ここで計算してもやっぱり同じような数字になるんですね。だからここはわれわれはいろんなシナリオを用意して考えなきゃいけない。そのときには一時停止というのも非常に重要なのではないかと思います。

賀来氏(要約):どうしても経済活動を回していかなければならないということは事実だと思います。経済活動が回っていけばどうしても感染者が増える。医療体制をしっかりと強固なものにしていかなければならない。今の医療現場を見ていると、また再びコロナのための病床をつくり直すということが非常に難しくなっている。ですから大局的にといいますか、相反するところをどうやって強化していくのかというお金の使い方というのは、本当に重要だと思います。

関口氏(全文):今のところ1.8兆円でも、病院がこういう状態だということはわれわれも不安になってまいります。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、目加田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
3、涌井氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

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1、目加田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
目加田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

目加田氏(抜粋)::一時はやっと収まったかに見えて、少し安心したかなというふうに多くの国民が感じていたかと思うんですけれども、やはり拙速な緩和策に転じたことによって国民の努力が、その成果がむだになりかねないという状態だと思うんですね。経済や雇用を守らなければならないのは痛いほど分かるんですが、やはり今のこのタイミングでGoToトラベルあるいはGoToキャンペーンを進めていくということに私自身は反対です。国民は何よりも、友人や家族と出かけたり食事に行ったり、旅行に行ったりしたくてうずうずしていると思うんですけど、それでも、なかなか安全対策がきちっと進まない中では積極的に行動に出られないと思うんですよね。ですから、まずはとにかく安全対策を徹底する、寺島さんからPCR検査の検査の件数もかなり増えているというお話もありましたけど、諸外国に比べてまだまだ日本の件数は少ないと思いますので、PCRを徹底して陽性者を隔離することを地道にやっていくしかないと思うんですよね。もう1つ、総額で1.7兆円といわれるGoToキャンペーンについては、私自身は地方に分配して、その地域のそれぞれの特性を生かした形で活用してもらうと、もっと柔軟性を持たせたような使い方にしたほうがいいんじゃないかなと思っています。

要旨をまとめると、
・外出自粛により一時的にコロナは収まって国民は安心したが、経済再開に転じて国民の努力が無駄になりかねない。
・GoTo トラベル、GoToキャンペーンを進めることに反対。まずは安全対策を進めていくべきである。
・諸外国に比べてまだPCR検査は少ない、PCR検査を徹底して陽性者を隔離していくことを地味にやっていくしかない。
というものです。

しかしながら、
・コロナウイルスの死者数や、人口当たりの死亡率を世界各国と比較すると、日本は依然低い数値にとどまっている。その為、「感染者数が多い国に倣ってPCR検査数を伸ばすべきである」というという目加田氏の主張は、事実主張の妥当性に乏しく事実に反する恐れがある。
・また、世界各国の感染状況を提示しないことは政治的に公平ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での目加田氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「コロナ禍により、医療現場が赤字になっている」「GoToキャンペーンは中止すべき」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「必要以上にマスコミがコロナの恐ろしさを煽り、患者数が減少し赤字になった」「観光業や飲食業従事者の雇用を守る為に、必要以上にマスコミは自粛を煽るべきではない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。後編では(政治的に公平でなかったり、)事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
③ 看護師の待遇、Go Toキャンペーンについて報道された部分
いて報道された部分における
 検証3「涌井氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに
③ コロナウイルスの感染拡大と後遺症について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 「風を読む」にて米軍基地とコロナについて報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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