2020年7月19日 サンデーモーニング(後編)

2020年7月19日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2020年7月19日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 「風を読む」にて米軍基地とコロナについて報道された部分
② 看護師の待遇、Go Toキャンペーンについて報道された部分
③ コロナウイルスの感染拡大と後遺症について
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
② 看護師の待遇、Go Toキャンペーンについて報道された部分
について報道された部分における
検証3「涌井氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに、
③ コロナウイルスの感染拡大と後遺症について
となります。

では、さっそく②の検証3をみてみましょう。

3、涌井氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
涌井氏は今回の報道で、以下のように述べています。

涌井氏(抜粋):簡単に言うと、道をドライバーが走っていたら、前のほうで崖崩れが発生し始めた、そこでアクセルを踏んで、そこを突き抜けていくのかあるいは一旦停止して状況を見るのかという例えを見れば分かると思うんですがやはり突っ切るのは非常に危険なんですね。私の手元に、政策研究大学大学院のツチヤタカシさんのデータがあって、これをずっと見ていますとちょっと末恐ろしいような方向で、しかもなおかつ5月に発表されたものが、もうそれを完全にトレースしているんですね。いわゆる感染者数というのは、行政感染者数と彼は捉えているわけです。現実にはその20倍の感染者がいるんだろうと。そういったことを考えたときに、かつて西浦先生が非常に膨大な数字を出されてみんながびっくりしたんですが、ここで計算してもやっぱり同じような数字になるんですね。だからここはわれわれはいろんなシナリオを用意して考えなきゃいけない。そのときには一時停止というのも非常に重要なのではないかと思います。

要旨をまとめると、
・このままの状態だと危険だ。5月に政策研究大学が発表した感染者数の予測が完全に当たっている。
・現実にはその20倍いることが考えられる。
というものです。

しかしながら、
・死亡者数のピークは5月中旬ごろに迎えており、それ以降死亡者数は減少かつ横這い傾向である。
・その為、PCR検査数実施能力が向上した現時点において、感染者は無症状感染者及び軽症者が大半であることが考えられ、その20倍も感染者数がいるとは考えにくく事実に反する恐れがある。
・また、感染者数のみの数字を提示して、死亡者数の推移など多方面の観点から定量的なデータを提示しないことは、公平性に欠く。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での涌井氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

続いて、
③ コロナウイルスの感染拡大と後遺症について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。

【VTR要約】
東京をはじめ各地で感染が広がる中、専門家は、今回の流行にはこれまでとは違う特徴があるといいます。
15日・東京都モニタリング会議にて国立国際医療研究センター・大曲センター長「前回の流行と比べた場合に今回の流行はだいぶ様相が違う。若者が多い、重症例が少ないというところであります。」と述べました。東京都における感染者の7割以上を占める20代、30代の若者たちは、重症化するリスクが少ないと言われる一方で、後遺症とみられる症状で長く苦しむ人が少なくありません。5月に新型コロナに感染した大学生の男性は、「熱が37.5度 頭痛と倦怠感、嗅覚障害と血管痛。休学をとって自宅で治療している。」と話し、陰性と診断されてから2カ月たった今でも感染しているときと同じような症状が続き外出もできない状況にあるといいます。この後遺症に関しては、今月、イタリアにある大学病院の医師らが論文を発表。病院で治療後、退院した患者およそ140人を調べたところ、87.4%の患者が何らかの症状を訴えているといいます。厚労省は、およそ2000人を対象にこうした後遺症の実態調査を来月から開始する方針です。

埼玉県で独自にPCR検査を行っている病院では、高齢者を含む検査待ちの行列ができています。
ふじみの救急クリニック鹿野院長「若い方が外で感染して家庭内に持ち込んで高齢者に移っていくと。もう一つは高齢者施設などの入居者のところに、若い従業員などがウィルスを持ち込んでしまう」と話し感染拡大を懸念しています。
実際、今月9日には足立区にある高齢者施設の40代の職員が感染し、クラスターが発生。昨日までに70~90代の利用者22人の感染が判明しています。
鹿野院長「高齢の方に感染が広がって重症者が急速に増えて、医療崩壊に繋がる危険が高まっていくことを最も警戒しています。」と述べました。
東京での新規感染者数が300人に迫る中、おととい金曜日の夜、新宿や池袋などの繁華街の人出は前の週より増えていることが分かりました。感染再拡大に歯止めをかけることはできるのでしょうか。

【コメンテーター発言内容】
橋谷氏(VTR前・全文):まずはこちらご覧いただきたいと思うんですが、こちらの世界の感染者数です。アメリカでは感染者の数364万人に達しています。そのアメリカに次ぐブラジルでは200万人を突破しました。さらに、インドでは100万人を超えています。世界全体を見てみますと、1412万人が感染していましてこの1週間で161万人増えました。これは過去最多を更新しています。増加の勢いが止まりません。そして日本の感染者の数、見てみますと2万5578人となっています。新たな感染者が緊急事態宣言解除後、最多を記録する都道府県が相次いでいます。

橋谷氏(VTR後・全文):こちらが東京都の新規感染者数を日ごとにまとめたものなんですけど、金曜日、一日当たりとしては過去最多の293人になりました。木曜日から3日連続300人に迫る勢いです。感染した人の数は、休業要請の全面解除や県をまたぐ移動の緩和が行われました、先月19日以降、このように増えているわけなんですね。そして、東京だけでなく、感染拡大は全国でも広がっています。先月19日は1日で53人が感染したんですけれども、昨日の数字を見ますと29の都道府県で655人が感染しています。緊急事態宣言の解除後、最多を更新しました。また感染した人の年齢層にも変化が表れているんですね。東京都で重症化するリスクが高まる50代以上の数、週単位で見てみますと、6月21日からの1週間で43人だったんですが、7月12日からの1週間では230人まで増えているんですね。 本当に感染拡大止まりません。

賀来氏(要約):非常に重大な問題になってきていると思います。これは人と接する機会が明らかに増えている。基本的な感染対策の手洗いですとかマスクを個人個人がしっかりと、もう一度そのことを確認しながら対応していくことが必要になると思います。またお店や企業などでも、しっかりとした対策をとっていく。いわゆる個人と組織、そしてそれを支援する行政、そういったものを3者がしっかりとそれぞれやるべきことを行っていく体制をとらなければさらに感染が拡大していく可能性はあると思います。

寺島氏(要約):PCR検査の日本で先週の段階で行われた総数は59万件なんですよ。世界は、例えばアメリカは4500万件です。中国は9000万件を超してます。われわれがまさに言ってきた、ウイルスとの共生の正念場に来てるわけですよ。そこで大人の自覚と自制心をもって、ここを乗り越えなかったらまずいんだということについて、しっかりとわれわれ自身が自覚すべきだと思いますね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、橋谷氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

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1、橋谷氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
橋谷氏は今回の報道で、以下のように述べています。

橋谷氏(抜粋):橋谷氏(VTR後・全文):こちらが東京都の新規感染者数を日ごとにまとめたものなんですけど、金曜日、一日当たりとしては過去最多の293人になりました。木曜日から3日連続300人に迫る勢いです。感染した人の数は、休業要請の全面解除や県をまたぐ移動の緩和が行われました、先月19日以降、このように増えているわけなんですね。そして、東京だけでなく、感染拡大は全国でも広がっています。先月19日は1日で53人が感染したんですけれども、昨日の数字を見ますと29の都道府県で655人が感染しています。緊急事態宣言の解除後、最多を更新しました。また感染した人の年齢層にも変化が表れているんですね。東京都で重症化するリスクが高まる50代以上の数、週単位で見てみますと、6月21日からの1週間で43人だったんですが、7月12日からの1週間では230人まで増えているんですね。 本当に感染拡大止まりません。

要旨をまとめると、
・休業要請の解除とともに東京は木曜から3日連続300人程度感染している
・感染は東京だけでなく、全国でも広がり655人が感染し、緊急事態宣言後最多を更新した
・感染拡大は止まらない
というものです。

しかしながら、
・基本的に、東京都の感染者数は木曜日金曜日に増加する傾向があり、この点を考慮しないと感染者数推移を把握できない。しかし、橋谷氏は木曜日からの3日間という短いスパンのみで感染者数の増減を示している。これは、正確かつ公平性なものとは言い難く、事実に反する恐れがある。
・PCR検査実施能力の向上や5月から死亡者数は減少横這い傾向であることから、無症状感染者数や軽症者が多いと考えられ、「緊急事態宣言解除以後、感染拡大が止まらない」と状況の違いが大きい緊急事態宣解除以前と比較することは、政治的に公平ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での橋谷氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「感染拡大は止まらない」「若者の感染が拡大を助長している」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「定性的なデータで判断するのでなく、長期的な視点で多角的に感染者の推移を判断するべきだ」「若者の経済活動を不必要に止めるべきでない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 「風を読む」にて米軍基地とコロナについて報道された部分
については前編の報告を、

③ 看護師の待遇、Go Toキャンペーンについて報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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