2020年6月7日 サンデーモーニング

2020年6月7日 サンデーモーニング

6月7日放送のサンデーモーニング(TBS)のレポートです。

今回の報告では、
【北朝鮮の南北連絡所爆破事件からみる南北間の外交や、それに絡む日本の姿勢について】

この点に対する青木理氏の発言を検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第2章第4条と照らし合わせて検証します。

では、放送内容を見ていきましょう。

【サンデーモーニングニュース部分(一部抜粋)】
(拉致被害者の家族、横田滋氏の死去や南北共同連絡事務所の撤廃予告、南北軍事合意の破棄を検討していることについてVTRで紹介)

大宅氏:(横田滋さんにとって拉致されていた期間が)人生の半分ですよね。わが子を取り返すことができなかったという。ものすごく身近に感じるんですよね。それともう一つは、滋さんと早紀江さん夫妻二人の穏やかさ。優しさ。それがひしひしと伝わってくる。周りでめぐみさんはもう身内みたいな感じになっていましたので、ホントに悔しかっただろうなと思います。
それにつけても初動なんですよね。最初の時に「拉致なんてない」という断定で。だからあの時点ですぐにやっていればなって思いますね。

関口宏氏:(南北共同連絡事務所の撤廃を予告したこと、金予正が韓国南北軍事合意の破棄の検討の指示をしたとしている。)
これ北朝鮮はうまく行ってないんでしょうか。青木さん。

青木氏:(中略)横田滋さんがお亡くなりになったニュースがありましたが、安倍政権の一丁目一番地であり、この問題で日朝首脳会談時に強硬な姿勢を取ったっていうことで、当時官房副長官だった安倍さんが一気に政界の階段を駆け上るきっかけになった。この7年を見てみると、とにかく圧力を掛ければいいんだっていう路線で進めた。最近は今度無条件で話し合いをすると言ってるが、結果的に何も進まなかった。(拉致問題や日米・日露など)そろそろ安倍政権の外交は何だったのか総括する時期に来ている。「何の結果も残していないのではないか」という意見もありますからね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理します。
我々が問題だと考えたのは、以下の点です。

1. 青木氏の発言が「安倍政権批判」偏った立場・観点に立っており、対抗する意見の呈示がなく、批判の方向に発言が偏っていること。
2. 高度な専門性が求められる外交領域に対して、視聴者が対して間違った認識をもってしまい政治・政策の判断を行ううえで誤認を持ったまま判断をしてしまう危険性があること。

6月7日のサンデーモーニングでの青木氏の発言は、「安倍政権は北朝鮮への強硬姿勢によって日本の政界で評価を得た。しかし外交問題においては何も功績を残していない」という趣旨になります。その際の根拠として、横田滋氏の死去を取り上げて拉致問題が平行線のままである旨の発言をしています。

たしかに北朝鮮の拉致問題は横田めぐみ氏が現時点でまだ帰国に至っておらず、解決しているとは言えない状況です。しかし拉致問題については1977年の横田めぐみ氏の拉致報道以降、安倍政権を含め数々の内閣がこの解決に取り組んできました。長く続く自民党の政権から2度の政権交代を挟んでおり、名実ともに様々な視点からこの拉致問題に対して各首相がアプローチをしてきたと言えるでしょう。そのため一概に「安倍首相が外交で何もできなかった」という意見は適切ではなく、安倍首相以前から長きにわたって目立った功績が挙がっておらず、現在の安倍政権でもその現状を打破できていないという伝え方が正しいと考えられます。

また安倍首相自身の今までの活動として、2000年に拉致被害者の一次帰国の際に北朝鮮への再帰国の約束に対し、当時官房副長官であった安倍首相は強硬策で帰国を反対しました。世論の流れなどを受けて、最終的に小泉首相(当時)が拉致被害者を北朝鮮に帰国させる約束を破棄した経緯があります。

 これらを踏まえると、少なくとも安倍首相自身は拉致問題に対して関わってきた実績があるなかで、現在の首相に就任し、拉致問題の解決に取り組んできたと言えるのではないでしょうか。(その強硬姿勢による外交関係の悪化など、実績自体に対する評価は意見が分かれる部分のため、ここでは説明を割愛します。)
たしかに蓮池夫妻の帰国以降、現在の安倍政権に至るまで目立った拉致問題の進展は見られず、直近では活動の第一人者であった横田滋氏がめぐみ氏との再会が果たせなかったことなど、ネガティブなことが続いていることは事実です。
しかし今回の青木氏の発言は、安倍首相の実際の活動や事実に対して視聴者の過小評価につながりかねず、政権判断をする際に誤った認識をしてしまう危険性があると考えられます。報道のあるべき姿として実績は実績として伝え、そのうえで良かった点・悪かった点やそのバランスを認識することによって、視聴者自身が現在の政策など考える機会を与えることが正しい役目ではないでしょうか。

これらを踏まえ、改めて今回の番組内での2つの問題点を提示いたします。
・外交問題など専門的な知識が求められるなかでその有力な手段となりうる専門家が、一般視聴者に対
・吟味の必要がある意見や立場に対して、それぞれのメリット・デメリットや代替案を報じておらず、
政治的公平性が保たれていないこと。

以上より、今回の報道での青木氏の発言に関連する一連の報道は、消費者に対して偏った意見へ誘導の可能性がある報道を行っていると言えます。
放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が今回の報告となります。このような報道は放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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