2019年5月5日 サンデーモーニング(後編)

2019年5月5日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2019年5月5日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 上皇陛下退位・天皇陛下即位について報道された部分
② 女性天皇、女系天皇について報道された部分
③ 憲法改正に安倍首相が言及した件について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
③ 憲法改正に安倍首相が言及した件について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
改憲派の集会に安倍首相がビデオメッセージを寄せたと伝えられる。安倍首相が「2020年を新しい憲法が施行される年にしたいという気持ちに変わりはない」と述べる映像とともに、憲法改正に強い意欲を示したとアナウンス。
護憲派の集会に参加した野党側の演説映像に切り替わる。枝野氏が「憲法を権力によって拘束するという真っ当な社会を作るために、しっかりと勉強して安倍政権を倒す」と演説する映像が流された。

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【コメンテーターの発言】
加来耕三氏(全文):改憲を考えるのは良いと思いますね。しかし、急いではいけない。やっぱり歴史に学ぶということを考えるならば、なぜ今の憲法になったのかというところから始めなきゃいけない。それもわからないでですね、とにかく結果を急ぐというのは良くないと思いますね。歴史に学ぶなら、これから先のことで避けれることもあるはずなんですよね。それに学ばないで結果だけを急いでしまうと、同じことの繰り返しになる。やはり慎重に行くべきだと思いますね。

松原耕二氏(全文):もう一つ付け加えるとですね、安倍総理は自衛隊を明記して違憲論争に終止符を打ちたいと何度も何度も繰り返してるわけなんですけども。多くの専門家はですね、そういうふうにすると、結果的に自衛隊の活動範囲を拡大できるというふうに解釈できるようになるんじゃないかという懸念、疑念が消えないんですね。だから自衛隊を明記することってものすごく、まあ自衛隊を皆さん認めてますから、聞こえはいいんですけど、じゃあそれがその実、実は何なのかと。何ができるようになるのかということは、やはり冷静に議論した上で、おっしゃっているように慎重にやるべきだと思いますね。
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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、加来氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、加来氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
加来氏は今回の報道で、以下のように述べています。

加来氏(抜粋):急いではいけない。やっぱり歴史に学ぶということを考えるならば、なぜ今の憲法になったのかというところから始めなきゃいけない。それもわからないでですね、とにかく結果を急ぐというのは良くないと思いますね。歴史に学ぶなら、これから先のことで避けれることもあるはずなんですよね。それに学ばないで結果だけを急いでしまうと、同じことの繰り返しになる。やはり慎重に行くべきだと思いますね。

要旨をまとめると、
・なぜ今の憲法になったのかということを考えるべき
・結果を急ぐと同じことの繰り返しになる
というものです。

しかしながら、
・今の憲法になった理由として、GHQにより起草されたものが採用されたから以外の理由はない
・日本の憲法は約70年変わることのなかった硬性憲法であり、憲法についての検討が慎重ではないとする指摘はあたらない
など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での加来氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
松原氏は今回の報道で、以下のように述べています。

松原氏(抜粋):もう一つ付け加えるとですね、安倍総理は自衛隊を明記して違憲論争に終止符を打ちたいと何度も何度も繰り返してるわけなんですけども。多くの専門家はですね、そういうふうにすると、結果的に自衛隊の活動範囲を拡大できるというふうに解釈できるようになるんじゃないかという懸念、疑念が消えないんですね。だから自衛隊を明記することってものすごく、まあ自衛隊を皆さん認めてますから、聞こえはいいんですけど、じゃあそれがその実、実は何なのかと。何ができるようになるのかということは、やはり冷静に議論した上で、おっしゃっているように慎重にやるべきだと思いますね。

要旨をまとめると、
・自衛隊を憲法に明記すると自衛隊の活動範囲が拡大する懸念があるという専門家が多くいる
・明記することについて聞こえはいいが、それによって何ができるようになるのかは冷静に考えるべき

というものです。

しかしながら、
・自衛隊を明記することと、自衛隊の活動範囲が拡大することの間には何の因果関係もない。根拠に欠けた妄言であると言わざるを得ない。
・北朝鮮や中国の動きなど昨今の日本周辺の情勢を鑑みた際、またPKOやテロ対策等様々な分野で今後さらに連携が求められることを踏まえた際、自衛隊の活動範囲が仮に拡大するとしてもそれはある意味自然なことであり、これについて特に根拠なく問題だとする発言は政治的に公平とは言えない
・明記することでできるようになるのは自衛隊の存在が認められることだけである

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での松原氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「憲法改正については慎重な立場を取るべきだ」「自衛隊の活動範囲拡大は好ましいことではない」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「時代に即した憲法にしていくべきだ」「本当に必要なのであれば自衛隊の活動範囲拡大は当然だ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 上皇陛下退位・天皇陛下即位について報道された部分
については前編の報告を、

② 女性天皇、女系天皇について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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