2019年7月7月 サンデーモーニング(後編)

2019年7月7月 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2019年7月7日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 貿易規制上の優遇措置「ホワイト国」からの韓国除外について報道された部分
② 参院選の選挙活動について報道された部分
③ 「風を読む」にて捕鯨問題と正義について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
③ 「風を読む」にて捕鯨問題と正義について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容を見ていきましょう。

【VTR要約】
 31年ぶりに商業捕鯨を再開。十分な生息数が確認できる3種のクジラを対象とし、漁場は排他的経済水域に限られるものの、海外メディアから批判を浴びていると伝えられる。1951年にIWCに加盟したが、1982年に商業捕鯨の一時停止が決定されて以降、南極海を中心に調査捕鯨を行ってきたとナレーション。去年12月、国際的なクジラ保護の空気と日本のクジラ文化の溝が埋まらないとして、IWC脱退を表明し、商業捕鯨の再開に踏み込んだと伝えられる。
多様な意見や考え方を紹介しながら捕鯨問題の本質を探る映画「おくじらさま」が取り上げられ、監督した佐々木芽生氏のインタビュー映像に切り替わる。「太地町で起きていることは、この世界で起きていることの縮図。太地町のローカルな価値観と反捕鯨国のグローバルな価値観。この2つの正義が衝突している」「同じアメリカ人でも価値観が全く違う。溝はどんどん深くなっていく状況」と話す映像が流される。相容れない価値観や相手を排除しようとする分断の動きは、EU離脱問題に混迷するイギリスや、一国二制度で揺れる香港など、世界各地の激しい対立に表れているとナレーション。
再び佐々木氏のインタビュー映像に切り替わり、「自分と違う正義を持った人たちを許容して、共存していかなければならない」と話す映像が流される。

【コメンテーターの発言】
田中秀征氏(要約):よくここまでいろんな所を配慮して商業捕鯨の道を選んだと敬意を表したい。こんにゃく屋や豆腐屋、切り捨てていったら地方に住めない。少数派を大事にするのは、大多数の人達にとってもいつか生きてくると思う。

大宅映子氏(要約):現在ではクジラを食べる機会はもうほとんどないので、食文化と主張するのは無理があると思うが、シンガポールではコウモリが食用で売ってたりするし、鳩をみて舌なめずりする中国人もいる。それぞれ価値観が違うことを認識して共存するのが大人の社会だと思う。

岡本行夫氏(要約):絶滅しないならどんな生き物でもいくらでも捕っていいと考えるのは悲しいが、いろんな立場の人がいるので、僕はこの問題をあまり発言しないようにしている。

新井紀子氏(全文):自分だけが正義だっていうふうに凝り固まる人っていうのは、やっぱりインターネット以降、特にSNS、ソーシャルネットワークサービス以降、増えているなってすごく思うんですね。それは、フォローする、自分のお友達の中だけで囲われていくと、そこの中で話してる人っていうのは皆反捕鯨だとか、みんな捕鯨賛成だとかっていうふうになってってしまうんですね。あるいは、全員堕胎は罪だと思っているとか。そういうふうに、すごい小さいイシューで固まって、その中で、ものすごい細かい情報をやり取りして、どんどんどんどんその、自分だけの正義に凝り固まっていきやすい傾向があるということが知られていて、こういうことはテロとかっていうこととも無関係ではないなと思うので、インターネットとSNSによって人がどんどん分断されていくことに関して何かしなければならないなって気持ちでおります。(関口氏「インターネットも良いところは沢山あると思うんだけど・・・」に対し)そうですね。昔は、聞きたくなくても見たくなくても家族が見てるものは皆見るみたいな感じでしたけど、今はこの皆スマホで全員一人ひとり持っていますから、お父さんやお母さんやおばあちゃんやおじいちゃんが何見てるかって誰も知らない。子どもが何見てるかも知らないっていうような状態になってますんで、そういうことからやっぱり家族の中でも、分断であるとか、コミュニティーの中でも分断を深めてるなという気がすごく心配しています。

青木理氏(全文):新井さんがSNSの、ある種の功罪のお話しをされたんですけど、もう一つは、余裕を失ってるんでしょう。余裕を失ってるから中間層だったのに崩壊してきてるから、もうその、ローカルなところに、あるいはナショナリズムに走るっていうのが世界中で起きてるっていうところはもちろん、あると思うんですね。ただ、ちょっと僕あ気になってるのは、自分達と違う正義があるんだっていうことに思いを巡らせて、共感はしなくても少なくとも知ろうとするとかね。物事を俯瞰するっていうのがおそらくこれ、一番大切なリテラシーなんだけど、メディアもそうなんだけども。だんだんできなくなってきてると。かつ、クジラだけじゃなくて、あれもそうでしょ。最近、今日やった日韓もそうだし、日中もそうなんだけれど、自分たちが正しくてあいつらはけしからんってなっちゃって、向こうにも一応主張があるわけですよね。で、さらに問題なのは、なんかテレビとかも含めて、蔑んだりバカにしたりとかって風潮も強まっちゃってる。ますます分断が深まるっていう今の状況ってのは、クジラだけの問題じゃなくて、外交だったり社会の中にもたくさんあるんじゃないかなってことを僕、今日思いましたけどね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、新井氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、新井氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
新井氏は今回の報道で、以下のように述べています。

新井氏(抜粋):自分だけが正義だっていうふうに凝り固まる人っていうのは、やっぱりインターネット以降、特にSNS、ソーシャルネットワークサービス以降、増えているなってすごく思うんですね。それは、フォローする、自分のお友達の中だけで囲われていくと、そこの中で話してる人っていうのは皆反捕鯨だとか、みんな捕鯨賛成だとかっていうふうになってってしまうんですね。あるいは、全員堕胎は罪だと思っているとか。そういうふうに、すごい小さいイシューで固まって、その中で、ものすごい細かい情報をやり取りして、どんどんどんどんその、自分だけの正義に凝り固まっていきやすい傾向があるということが知られていて、こういうことはテロとかっていうこととも無関係ではないなと思うので、インターネットとSNSによって人がどんどん分断されていくことに関して何かしなければならないなって気持ちでおります。(関口氏「インターネットも良いところは沢山あると思うんだけど・・・」に対し)そうですね。昔は、聞きたくなくても見たくなくても家族が見てるものは皆見るみたいな感じでしたけど、今はこの皆スマホで全員一人ひとり持っていますから、お父さんやお母さんやおばあちゃんやおじいちゃんが何見てるかって誰も知らない。子どもが何見てるかも知らないっていうような状態になってますんで、そういうことからやっぱり家族の中でも、分断であるとか、コミュニティーの中でも分断を深めてるなという気がすごく心配しています。

要旨をまとめると、
・自分だけが正義だ、という主張に凝り固まる人はSNSなどインターネット以降増えている
・自分の主義主張に合う仲間しか見ないため、どんどん先鋭化してしまう、こういうことは昨今のテロにも関係がある
・家族間、コミュニティ間の分断をも生みかねない
というものです。

しかしながら、
・以上の主張には何ら根拠がない
・学生闘争の時代など、インターネットがなくても先鋭化する集団は存在することなどを鑑みれば、自分の正義に凝り固まるのはインターネットのせいだとする主張は事実に基づかない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での新井氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):新井さんがSNSの、ある種の功罪のお話しをされたんですけど、もう一つは、余裕を失ってるんでしょう。余裕を失ってるから中間層だったのに崩壊してきてるから、もうその、ローカルなところに、あるいはナショナリズムに走るっていうのが世界中で起きてるっていうところはもちろん、あると思うんですね。ただ、ちょっと僕あ気になってるのは、自分達と違う正義があるんだっていうことに思いを巡らせて、共感はしなくても少なくとも知ろうとするとかね。物事を俯瞰するっていうのがおそらくこれ、一番大切なリテラシーなんだけど、メディアもそうなんだけども。だんだんできなくなってきてると。かつ、クジラだけじゃなくて、あれもそうでしょ。最近、今日やった日韓もそうだし、日中もそうなんだけれど、自分たちが正しくてあいつらはけしからんってなっちゃって、向こうにも一応主張があるわけですよね。で、さらに問題なのは、なんかテレビとかも含めて、蔑んだりバカにしたりとかって風潮も強まっちゃってる。ますます分断が深まるっていう今の状況ってのは、クジラだけの問題じゃなくて、外交だったり社会の中にもたくさんあるんじゃないかなってことを僕、今日思いましたけどね。

要旨をまとめると、
・「余裕がなくなっている」ということと、ローカル化、ナショナリズム化が世界中で起きていることが関係している。
・捕鯨問題や日韓問題など、向こうの主張を聞かずに自分たちが正しいと思ってしまうことや、蔑んだり馬鹿にしたりすることが増えている。

というものです。

しかしながら、
・余裕がなくなっていることが自身の正義に凝り固まってしまうということの引き金になっているという主張には何ら根拠がない。
・捕鯨問題や日韓問題、日中問題はそれぞれ明確な論点が存在し議論がなされている問題である。
・自分の正義に凝り固まる人=ナショナリズムに偏った人たちが相手を蔑んだり馬鹿にしたりしているという主張をしているが、そういうことを一番やっているのは安倍政権を根拠なく批判する自称リベラルの側であり、こうした一方的な主張は事実に基づかない上に政治的公平性を欠く。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「余裕のなさやナショナリズムが自身の正義への固着や相手の嘲笑を生んでいる」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「自身の正義に凝り固まったり相手を嘲笑するのは安倍首相や保守に対して自称リベラルが最もやっていることだ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 貿易規制上の優遇措置「ホワイト国」からの韓国除外について報道された部分
については前編の報告を、

② 参院選の選挙活動について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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