2020年6月14日 サンデーモーニング(後編)

2020年6月14日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2020年6月14日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
①アメリカ大統領選について報道された部分
②「風を読む」にてレイシズムについて報道された部分
③朝鮮半島の南北分断について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
③ 朝鮮半島の南北分断について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。

【VTR要約】
6日平壌では「(脱北者に)死を!死を!」と抗議の声を上げる北朝鮮の学生たち。韓国の脱北者団体による北朝鮮の体制を批判するビラの散布を巡り反発を強める北朝鮮。
9日、キム・ヨジョン党第1副部長らの指示で韓国との全通信連絡線を遮断すると発表しました。南北共同連絡事務所の取り壊しを予告するとともに軍事的な措置についても示唆しました。初の米朝首脳会談から2年となった12日、北朝鮮の外相が談話の中で、先月の朝鮮労働党の重要会議でキム党委員長が核戦争の抑止力強化を宣言したことを明らかにしました。非核化交渉の進展はいまだ見通せません。

【コメンテーター発言内容】
姜尚中氏(全文):北朝鮮の一言で言うとこけおどしてきなパフォーマンスがあるわけですよね。でも、これは彼らが追い込まれているという非常に窮地に立たされていることのあらわれだと思うんです。われわれはこれを見るときに点で見るんじゃなくて線で見ていかなきゃいけない。そう考えていくと、2年前のちょうど4月27日に板門店宣言があってこの中で拡声器やビラを散布したいわば敵対的な行動はやめましょうということが合意されている。板門店宣言の第2項の1だったと思いますけど、それを一応、北側としては手がかりにして、韓国に対して約束が違うじゃないかと。それから、実はあしたがちょうど20年前の南北共同宣言。これはキム・デジュン氏、それからキム・ジョンイル氏との間の初めての共同宣言。これはあしたどういう反応が出るのかよく分かりませんけど。それからさっき、VTRでもあったとおり、6月12日はシンガポールでの会談からちょうど2年目。これも結局はうまくいかなかった。ただ、30年の歴史でみると、行ったり来たりしているわけですね。ですからしっかりと北朝鮮について見ていかないとキム・ジョンウンは死んじゃったというフェイクニュースはすぐにわれわれは引っかかってしまう。しっかりとファクトを重ねて見ていかなければいけない。じゃ、今後どうしたらいいんだろうか。私は最近出した本の中でも書いたんですが、北朝鮮の安全保障、北朝鮮の市場経済化、民主化、人権の問題、この三位一体を一遍で解決しようとしたらこれは無理だと。どうしてかというと、自分たちの身の安全がはかられない限りは、市場経済化も民主化も不可能ですよね。そのためには安全保障として非核化に対して彼らの安全を保証する、何らかの条件が必要になってくる。それがかなえられれば、私は次の段階に、市場化に向かうと思います。 そして最後は民主化、あるいは人権これは本当にかなえられるかどうか分かりませんけれども、限りなくそれに近づく。このときに初めて拉致問題もしっかりとアジェンダにのってくると思うんですね。今この3つの問いを一遍に北朝鮮にやれと言ってもこれは無理ですよ。決して彼らの肩を持つんじゃなくて、やはりこの30年間、あるいは20年間なぜ問題が解決されなかったのか、これはこの手続きを踏んでいないから。最後に今、ネットフリックスで「愛の不時着」というドラマがとても有名になっています。世界中で、日本でも大変な人気だと思うんです。これは結局、北朝鮮はひどい体制だけどもひどい独裁者がいるけれども、ごみのような人間がいるわけじゃないと。私たちと同じように血の通った人間がいるじゃないかと、だから北側と南側のラブロマンスでこれが韓国ではやっているということは、もう北朝鮮は韓国にとっては不倶戴天の敵じゃないんです。交渉していかなきゃいけない、交渉していかなければ今のような拉致問題も解決しない。今回の横田さんのようなあんな悲劇をいつまでずっと続けるのか。問題は非核化と安全の保障と市場化と民主化へと向かえば必ず私は回答は出てくると思っています。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、姜尚中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

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1、姜尚中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
姜尚中氏は今回の報道で、以下のように述べています。

姜尚中氏(抜粋)::北朝鮮の一言で言うとこけおどしてきなパフォーマンスがあるわけですよね。でも、これは彼らが追い込まれているという非常に窮地に立たされていることのあらわれだと思うんです。われわれはこれを見るときに点で見るんじゃなくて線で見ていかなきゃいけない。そう考えていくと、2年前のちょうど4月27日に板門店宣言があってこの中で拡声器やビラを散布したいわば敵対的な行動はやめましょうということが合意されている。板門店宣言の第2項の1だったと思いますけど、それを一応、北側としては手がかりにして、韓国に対して約束が違うじゃないかと。それから、実はあしたがちょうど20年前の南北共同宣言。これはキム・デジュン氏、それからキム・ジョンイル氏との間の初めての共同宣言。これはあしたどういう反応が出るのかよく分かりませんけど。それからさっき、VTRでもあったとおり、6月12日はシンガポールでの会談からちょうど2年目。これも結局はうまくいかなかった。ただ、30年の歴史でみると、行ったり来たりしているわけですね。ですからしっかりと北朝鮮について見ていかないとキム・ジョンウンは死んじゃったというフェイクニュースはすぐにわれわれは引っかかってしまう。しっかりとファクトを重ねて見ていかなければいけない。じゃ、今後どうしたらいいんだろうか。私は最近出した本の中でも書いたんですが、北朝鮮の安全保障、北朝鮮の市場経済化、民主化、人権の問題、この三位一体を一遍で解決しようとしたらこれは無理だと。どうしてかというと、自分たちの身の安全がはかられない限りは、市場経済化も民主化も不可能ですよね。そのためには安全保障として非核化に対して彼らの安全を保証する、何らかの条件が必要になってくる。それがかなえられれば、私は次の段階に、市場化に向かうと思います。 そして最後は民主化、あるいは人権これは本当にかなえられるかどうか分かりませんけれども、限りなくそれに近づく。このときに初めて拉致問題もしっかりとアジェンダにのってくると思うんですね。今この3つの問いを一遍に北朝鮮にやれと言ってもこれは無理ですよ。決して彼らの肩を持つんじゃなくて、やはりこの30年間、あるいは20年間なぜ問題が解決されなかったのか、これはこの手続きを踏んでいないから。最後に今、ネットフリックスで「愛の不時着」というドラマがとても有名になっています。世界中で、日本でも大変な人気だと思うんです。これは結局、北朝鮮はひどい体制だけどもひどい独裁者がいるけれども、ごみのような人間がいるわけじゃないと。私たちと同じように血の通った人間がいるじゃないかと、だから北側と南側のラブロマンスでこれが韓国ではやっているということは、もう北朝鮮は韓国にとっては不倶戴天の敵じゃないんです。交渉していかなきゃいけない、交渉していかなければ今のような拉致問題も解決しない。今回の横田さんのようなあんな悲劇をいつまでずっと続けるのか。問題は非核化と安全の保障と市場化と民主化へと向かえば必ず私は回答は出てくると思っています。

要旨をまとめると、
・30年間の北朝鮮の安全保障、市場経済化、民主化、人権問題を一遍に解決は不可能。
・これらを解決するためには安全の保障が不可欠であり、この時初めて拉致問題も解決される
・話題のドラマでは、北側と南側のラブロマンスが成立している。もはや韓国にとって北朝鮮は敵ではない。

というものです。

しかしながら、
・北朝鮮問題が解決しない理由は、中国の市場化が困難であったからであり、安全の保障が困難であるからではない。その為、姜氏の主張は事実に明らかに反する。
・また、北朝鮮の安全を保障すべきと擁護し、拉致された国に対して批判することは政治的に公平ではない。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での姜尚中氏の発言は(政治的に公平でなく、また)事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条(第2号「政治的に公平であること」、同)第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「拉致問題は解決のしようがない」「韓国と北朝鮮は融和できる」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「拉致問題は国際社会の中でもあるまじき行為であり解決せねばならない」「」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条(第3号「政治的に公平であること」、同)第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では(政治的に公平でなかったり、)事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① アメリカ大統領選について報道された部分
については前編の報告を、

② 朝鮮半島の南北分断について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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