サンデーモーニング、2020年6月21日分の検証報告(後編)です。
今回の報告では、
① 「風を読む」にてコロナバブルついて報道された部分
② 河合夫妻の公職選挙法違反問題について報道された部分
③ 外国人観光客の減少について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。
検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。
今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。
後編で検証するのは、
② 河合夫妻の公職選挙法違反問題について報道された部分における
検証3青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」
ならびに、
③ 外国人観光客の減少について報道された部分
となります。
では、さっそく②の検証3をみてみましょう。
3、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。
青木氏(抜粋):皆さんから責任という言葉が出てね、主には政治責任、任命責任だと思うんですけど、実はそれだけじゃないんです、そこにある1億5000万円が党から河井陣営に渡ったんですけど、官邸案件と言われていて、官邸が主導して1億5000万円をこの2人に突っ込んだと。側近だったわけですけれども、しかしこれ、公職選挙法の買収というのは、カネをばらまいた本人たちも罰せられるんですけど、実は知っていて交付していれば、交付したほうも法的責任を問われるんですね。今回、東京地検特捜部は自民党の会計責任者からも事情聴取しているようなんですね。 ということになってくると、金を出すという結論を出したのが幹事長なのか総裁なのかというんで、それが知ってたということになると、法的責任も生じてくるんですね。政治責任、任命責任だけじゃなくて法的責任も問われているんだということとかつ、特捜部、あるいは検察は今回どこまで捜査をするのか、 できるのだろうか、これで終わるんだったらむしろ検察が批判されるんじゃないかなという気がするんですね。もう1件、菅原さんの件も、選挙民にいろんなものをばらまいたというのもこれもなぜ捜査しないんですかというところが問われてくると思うんですよね。つまり法的責任が首相にはあるんだということと、今後の検察の態度にも注目をして不十分だったら、我々は検察にも厳しい目を向けないといけないんじゃないかという気がします。
要旨をまとめると、
・1億5000万円が自民党から河合陣営にわたったが、これは官邸が主導しており首相案件と呼ばれている。
・河合夫妻は側近だったが、公職選挙法における買収は、買収側だけでなく交付した方も法的責任を問われる。
・政治責任、任命責任だけでなく、法的責任も生じていることと検察がどこまで捜査ができるか注目しないといけない。
というものです。
しかしながら、
・「官邸が主導して、1億5000万円を交付した」という青木氏の主張には根拠が提示されておらず陰謀論に過ぎない。その為、青木氏の主張は事実に反する恐れがある。
・また、河合氏の公職選挙法違反は予測不可能な事態であるのにも関わらず、首相に対し任命責任や法的責任を問うことは政治的に公平ではない。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
続いて、
③ 外国人観光客の減少について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。
観光に深刻な影響を及ぼしている新型コロナウイルス、観光庁は17日、今年5月日本を訪れた外国人旅行者数、推計で僅か1700人。去年5月277万人に比べると99.9%の減少になったと発表しました。1964年以来、過去最少です。
涌井氏(全文):2011年に、僅かにインバウンドって622万人だったんですね。しかしこれが2019年には3988万人、やがては4000万人と、こういうことを考えていたと思います。変な言い方ですけど、安倍首相がおっしゃっていた3本の矢の中で1本だけ当たったわけですね。観光先進国は大体GDPの9%ぐらいまで観光収入というのがあって、日本もそれに続いていって観光を経済の柱にしようとしてきたんですが、このコロナでこういう状況になっちゃって結果として、その政策も失敗になると。星野リゾートの星野社長なんかは、一本足打法はだめだと、ずっと言ってきたんですよ。インバウンドだけに偏らないで国内とバランスをとるべきだと、この辺りのことが多くの観光地を大変苦しめてる実態なんじゃないかという気がします。
以上が放送内容となります。
では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。
1、涌井氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
それぞれ順を追って解説します。
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1、涌井氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
涌井氏は今回の報道で、以下のように述べています。
涌井氏(抜粋):2011年に、僅かにインバウンドって622万人だったんですね。しかしこれが2019年には3988万人、やがては4000万人と、こういうことを考えていたと思います。変な言い方ですけど、安倍首相がおっしゃっていた3本の矢の中で1本だけ当たったわけですね。観光先進国は大体GDPの9%ぐらいまで観光収入というのがあって、日本もそれに続いていって観光を経済の柱にしようとしてきたんですが、このコロナでこういう状況になっちゃって結果として、その政策も失敗になると。星野リゾートの星野社長なんかは、一本足打法はだめだと、ずっと言ってきたんですよ。インバウンドだけに偏らないで国内とバランスをとるべきだと、この辺りのことが多くの観光地を大変苦しめてる実態なんじゃないかという気がします。
要旨をまとめると、
・観光先進国はGDPの9%ぐらいまで観光輸入があり、日本も観光を経済の柱にした。
・しかし、コロナにより、その政策も失敗になった。インバウンドに頼り切るのではなく、国内需要とバランスを取るべきである。
というものです。
しかしながら、
・一部の観光業界の経営危機は、特定の観光客に収益を依存していたビジネスプランが問題であり、海外観光局の誘致自体は失敗ではない。そのため、「観光推進政策は失敗した」という涌井氏の主張は事実に明らかに反する。
・世界的にコロナにより観光客が減っていること明らかであり、涌井氏は結果論によって政策を評価していることに過ぎず、政治的に公平ではない。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での涌井氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「コロナにより観光客誘致政策は失敗してしまった」という立場に立った意見のみが出てきました。
ですがこの問題に関しては「GoToキャンペーンにより内部需要を喚起している」「コロナによる減収であり、政策の失敗ではない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。
以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。
以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。
① 「風を読む」にてコロナバブルついて報道された部分
については前編の報告を、
② 河合夫妻の公職選挙法違反問題について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。
公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。