11月19日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。
・事実に基づいた放送であったか
まずは放送内容をみていきます。
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【放送内容】
森川夕貴アナウンサー(以下森川アナ):今日会食などについてなんですけども東京都からは時短営業とか、営業自粛などの要請もないですし、国からもGoToキャンペーンをやめますよという方針も出ていないですし、その辺りについては松本先生どうご覧になりますか?
国際医療福祉大学・松本哲哉主任教授:やはり国も自治体ももう少し強力なメッセージを出すべきだとは思いますので、例えば、確かに営業の自粛なども補償の問題があるとは思います。それをやったうえでということになるとなかなかそれを打ち出しにくいとは思いますけど、やはりこれだけ、ある程度会食が重視されていますので、そこの部分に関してはいったん補償をやったうえで、営業も自粛していただくような形をとっていただくのが本当はいいとは思います。
あとはGoToキャンペーンが原因ではないということもいわれてはいますけど、ただもう、これだけ感染が拡大している中で旅行には行っていいですよと。ただ感染は気をつけてくださいというのはやはり矛盾していると思うのでここでいったん中断していただいて、収まれば再開するということで、今はいったん留まるべきだと思います。
森川アナ:松本先生のお話を聞いていて思うんですけれども医療現場にいらっしゃる方と政府の考え方というのが、かなり違うのかなと思うんですけれども、梶原さん、その辺りについていかがですか?
梶原みずほ朝日新聞国際報道部記者:総理の周辺を取材しますと官房長官時代からの肝煎りでまさに総理案件になっている。そして、それは今見直すつもりは全くないということなんですね。マスク会食というのはその範囲の中でとり得る対策ということで、出てきたわけです。政府と医療従事者の間の隔たりというのは経済と感染防止の両立のバランスが崩れる分岐点。この分岐点がどこにあるかという認識のギャップがあるからなんですね。つまり官邸側からすると重症者の数そして病床使用率まだもう少し踏ん張れる。だからGoToは続けたいというそういう判断になっているんだと思います。
【検証部分】
コロナウイルスとGO TOキャンペーンに関する報道部分を取り上げていきます。
検証したい点は次の発言です。
「GoToキャンペーンが原因ではないということもいわれてはいますけど、ただもう、これだけ感染が拡大している中で旅行には行っていいですよと。ただ感染は気をつけてくださいというのはやはり矛盾していると思うのでここでいったん中断していただいて、収まれば再開するということで、今はいったん留まるべきだと思います。」
国際医療福祉大学・松本哲哉主任教授による解説部分ですが、こちらの発言について事実に基づかない発言であった可能性があります。
まずGO TOキャンペーンは発言からGO TOトラベルのことであると考えられますが、これはコロナウイルスの影響で打撃を受けた観光業の需要を喚起するもので7月から始まった政府政策です。
10月末までの段階でのべ4000万人程度がこの制度を利用しており、観光に関する事業者を救済する処置として一定程度の成果を上げたといえます。
そしてこの日の放送で問題視されていた点がGO TOトラベルとコロナウイルス新規陽性者数の関係についてです。
7月に始まったGO TOトラベルですが、新規陽性者の数は8月に一時増加したものの、8月から11月初旬にかけて新規陽性者数はほぼ横ばいです。
月別の新規陽性者数で見てみると、8月は3万人程度新規陽性者が出ましたが、9月・10月の新規陽性者数は1.5万人と半分程度となっています。
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参考資料
月別新規陽性者数について
新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(2020年12月16日18時時点)
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000706508.pdf
「GoTo」は本当に悪なのか 米韓も増加傾向類似、森田洋之氏「経済的な犠牲者を出すことも医療の目的に反する」
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2012/18/news064.html
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以上ことからGO TOトラベルがあるために新規陽性者数が増えているということはなく、感染拡大とGO TOトラベルは関係ないということができます。
松本教授の発言はデータなどに基づいているものとは言えないため、次の放送法に抵触する恐れがあります。
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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指し、監視を続けてまいります。