8月21日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。
・日韓関係に関する後藤氏の解説
まずは放送内容から確認していきます。
VTRとパネル解説は一部要約してお伝えします。
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【VTR】(要約)
21日午後、中国を訪問している河野外務大臣が韓国のカン・ギョンファ外相と会談を行いました。
河野大臣は元徴用工問題に加えて、韓国で広がる日本製品の不買運動への強い懸念も示しましたが、韓国側は明確な回答をしない一方で日本の原発汚染水の処理問題を取り上げるなどして牽制しました。更に韓国側は新たなカードを切りました。今日になって日本から輸入する一部の農産物などについて放射性物資の検査を強化すると発表したのです。
日本を訪れる韓国人が大幅に減ることで空の便が運休するなどの影響が出ており、韓国に近い九州の旅行業者は不安を募らせています。
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【パネル解説】(一部要約)
小木逸平アナウンサー(以下小木アナ):韓国人の訪日観光客が減少していることの影響がどのように出ているのか、観光地を取材しました。北海道の定山渓は冬季の観光客が例年の半分になっており、韓国にこだわらず中国と台湾にPRするという対策をとっているようです。富士山のある静岡は、韓国人観光役は外国人宿泊者数の4.6%で影響は少なく県は状況を見守るとのこと。一方で、韓国から近い九州、特に熊本では訪日観光客の45%が韓国人です。多くの韓国人観光客が目当てにしているのは温泉です。温泉地として知られる人吉市の人吉旅館にお話しを伺いました。(要約)
徳永有美アナウンサー(以下徳永アナ):泊まったことあります。人吉は温泉もいいし、私泊まったことあるんですけど、おかみさんなんですけど韓国の方なんですよね。
小木アナ:韓国出身のおかみさんなんですけど堀尾里美さんという方。旅館の雰囲気というのも韓国語もできるということで違ったりします?
徳永アナ:韓国語でちゃんと表示も書いてあったりして、韓国の方が多くなってきてすごい喜んでるんですみたいなお話もしたのを覚えてるんですよね。
小木アナ:人吉旅館は11月までの予約がほぼキャンセルだそうです。おかみさんは、まずは文化交流からとロビーに韓国人の有名陶芸家の作品を飾ったり、常連の団体客のために直接ゴルフ場に交渉して料金を割引してもらったり、それから1人3000円相当の舟盛りを全員にサービスなど涙ぐましい努力をしてなんとかやっている状況です。ただ、韓国の情報で入ってきているのを見ると、日本旅行の予約数が新規の8月前年比で2社で8割減。日本製品の不買運動も伝えられていますけれども、韓国のクレジットカード会社8社日本ブランド加盟店での売り上げは6月の第4週と比べて7月の第4週はほぼ半減ですと、じわじわと影響は大きくなってきています。(要約)
徳永アナ:本当にここまで影響が出てるんだなという感じがするんですけど一方、日韓両政府はこのままどうやって解決の糸口を見つけていくんでしょうか。
後藤謙次氏(以下後藤氏):お互い、政府としての建前背景には世論があるということでなかなか妥協的なスタイルって取れないんですね。ただ韓国側の中にも、今日取材した外務省関係者は日本側と融和を求めるべきじゃないかという人でキーワードをいえばフリーズだと。つまり現状をこれ以上悪化させないために凍結しようと。例えば徴用工の裁判で原告が勝訴して差し押さえしてますよね。その資産は現金化せずに日本との協議をその間に進めるという考えも当然あるんですね。それからもう1つのタイミングは日韓首脳会談のタイミングを探ろうと。一番直近としては10月の天皇陛下の即位礼正殿の儀。これについては、場合によっては文大統領は訪日してもいいんじゃないかという意見も一部にはあるようなんですが、まだ大きな流れになっていない。APEC首脳会議とかの国際会議の場でそういう会談を探ろうという動きもあるようですね。
徳永アナ:韓国としてはちょっと前向きになっているかもしれない中で日本はどんなふうに応えるんでしょうか。
後藤氏:日本は徴用工問題。これは韓国の国内で決着してもらわなきゃ困るというスタンスは変わらないんですね。そして、このスタイルに国民世論が強く安倍政権を支持している。内閣支持率が上がる。更にこの措置に対しても多くの国民が支持しているということで世論を背景に安倍さんも降りられないという状況にあると思うんですね。
徳永アナ:でもこういう影響を見ていると、両国の政府がそれから市民生活もですが本当に影響を考えるととにかく冷静にしたほうが。
後藤氏:日本側もある小さな問題でもいいですからタイミングを捉えて、和解の道を探るという努力も必要だと思いますね。
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【検証部分】
今回検証する発言は以下の部分です。
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徳永アナ:本当にここまで影響が出てるんだなという感じがするんですけど一方、日韓両政府はこのままどうやって解決の糸口を見つけていくんでしょうか。
後藤氏:お互い、政府としての建前背景には世論があるということでなかなか妥協的なスタイルって取れないんですね。ただ韓国側の中にも、今日取材した外務省関係者は日本側と融和を求めるべきじゃないかという人でキーワードをいえばフリーズだと。つまり現状をこれ以上悪化させないために凍結しようと。例えば徴用工の裁判で原告が勝訴して差し押さえしてますよね。その資産は現金化せずに日本との協議をその間に進めるという考えも当然あるんですね。それからもう1つのタイミングは日韓首脳会談のタイミングを探ろうと。一番直近としては10月の天皇陛下の即位礼正殿の儀。これについては、場合によっては文大統領は訪日してもいいんじゃないかという意見も一部にはあるようなんですが、まだ大きな流れになっていない。APEC首脳会議とかの国際会議の場でそういう会談を探ろうという動きもあるようですね。
徳永アナ:韓国としてはちょっと前向きになっているかもしれない中で日本はどんなふうに応えるんでしょうか。
後藤氏:日本は徴用工問題。これは韓国の国内で決着してもらわなきゃ困るというスタンスは変わらないんですね。そして、このスタイルに国民世論が強く安倍政権を支持している。内閣支持率が上がる。更にこの措置に対しても多くの国民が支持しているということで世論を背景に安倍さんも降りられないという状況にあると思うんですね。
徳永アナ:でもこういう影響を見ていると、両国の政府がそれから市民生活もですが本当に影響を考えるととにかく冷静にしたほうが。
後藤氏:日本側もある小さな問題でもいいですからタイミングを捉えて、和解の道を探るという努力も必要だと思いますね。
今回の発言の問題点は以下の2点です。
・印象操作と思われる発言があった可能性がある
・多くの論点を取り上げた発言ではなかった可能性がある
1点目と2点目の検証点をまとめて見ていきます。
まずは検証部分の発言を簡単にまとめます。
後藤氏や徳永アナは日韓関係をめぐる韓国の対応について、韓国がちょっと「前向き」になっているのだから、日本も歩み寄るべきだとのスタジオ解説を行っています。
韓国が前向きになっているというのは、10月の天皇陛下の即位礼正殿の儀への文大統領の出席やAPEC首脳会議の国際会議の場で会談を検討しているという点からであるとも述べています。
これらの解説は先般の日韓関係の悪化の要因を取り上げていない解説であると言わざるを得ません。
この日韓関係の悪化の発端は徴用工に関する問題です。
これについて日本の外務省が今年7月に発表した見解を以下に取り上げます。
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1 日韓両国は,1965年の国交正常化の際に締結された日韓基本条約及びその関連協定の基礎の上に,緊密な友好協力関係を築いてきました。その中核である日韓請求権協定は,日本から韓国に対して,無償3億ドル,有償2億ドルの経済協力を約束する(第1条)とともに,両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題は「完全かつ最終的に解決」されており,いかなる主張もすることはできない(第2条)ことを定めており,これまでの日韓関係の基礎となってきました。
2 それにもかかわらず,昨年一連の韓国大法院判決が,日本企業に対し,損害賠償の支払等を命じる判決を確定させました。これらの判決は,日韓請求権協定第2条に明らかに反し,日本企業に対し一層不当な不利益を負わせるものであるばかりか,1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の法的基盤を根本から覆すものであって,極めて遺憾であり,断じて受け入れることはできません。
大韓民国による日韓請求権協定に基づく仲裁に応じる義務の不履行について(外務大臣談話)より
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page4_005119.html
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「両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題は「完全かつ最終的に解決」されており,いかなる主張もすることはできない(第2条)ことを定めて」いるにも関わらず、韓国はこの国際的な取り決めを破り、日韓関係を悪化させたのです。
この点を述べずして日本が韓国に歩み寄ることが大事だと述べるのでは視聴者に誤った印象を与えかねないばかりか、以下の放送法に抵触する恐れがあります。
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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送をめざして監視を続けて参ります。