2018年12月25日 報道ステーション

2018年12月25日 報道ステーション

12月25日の報道ステーションのレポートです。
この日はケリー被告釈放のニュースが速報として取り上げられていました。
今回検証するのは入管法改正にともなう外国人労働者受け入れの箇所です。早速見ていきましょう。

徳永アナ「来年4月からの外国人の受け入れ拡大に向けて政府は今日基本方針などを閣議決定しました。これまで政府は具体的な中身は法律が通った後に決めると説明してきましたが、示された内容に自民党の議員からも懸念の声が上がっています。」

VTR

安倍総理大臣「外国人の皆さんが日本で、地方で働いてみたい、住んでみたいと思えているような、制度の運用、世界の実現に全力を尽くしてください。

ナレーター「今日決まったのは来年から5年間で最大34万5150人の外国人労働者を受け入れるという方針です。全国におよそ100箇所の相談窓口を設置することなどを明記しています。ただ、焦点となっていた、悪質なブローカーをどう排除するかについては必要な方策を講ずる。外国人労働者の大都市圏への集中をどう避けるかについても、必要な措置を講ずる、などと抽象的な言葉が並びました。野党からは。」

立憲民主党福山幹事長「国会審議と同様に抽象的ではっきりしない基本方針が出てきたと言わざるを得ない。」

ナレーター「いかに人手不足が深刻な地方に外国人労働者を巡っては、自民党からも具体的な手立てがあるのか、結局地方に任せきりなんじゃないかと、批判が相次ぎました。来年夏の参議院選挙を控え地方選出の議員たちも必死です。」

自民党木村義雄参院議員「日本人と同じような形で海外から来た人もですね、喜んで働いて
いただくと、いうような法案を作りましたんで、今日はちょっとそのお話をしに参りました。」

社会福祉法人敬世会永井常務理事「もうずっとこの法案待ってましたんで、外国の人に働いていただける、いうような環境ができそうなんで、とても嬉しいと思っています。」

ナレーター「香川県坂出市の特別養護老人ホームです」

老人ホームで働いている外国人の方「インドネシアです。」

ナレーター「職員の6割はすでにある制度で受け入れた外国人ですが、それでも人手不足に悩んでいます。ただ、本当に来てくれるのか、不安は募ります。香川県の最低賃金は792円で東京都の985円よりおよそ200円低いからです。」

自民党木村義雄参院議員「地方と大都会の差をどうやって埋めるかが、これからの最大の課題です。しかしこれ、そう簡単にいきませんから、具体的な施策をどうやって作っていくかが課題になってくると思います。7月の参院選まで時間があるのでその間も不断に対策を練って少しでも不安を和らげてもらえるような政策を考えていきたい。」

スタジオ解説
徳永アナ「後藤さん、首都圏と地方の中で賃金の格差があるということで、深刻な地方に外国人をどれだけの方々に来ていただけるかっていうところなんですよね。」

後藤謙次「それを目指している方向性は非常に良いんですが、果たしてできるかどうか、ということなんですね。しかも国会が閉幕して2週間ちょっとなんですね、あの時の段階からわずか2週間でこれだけのものが出てくるっていうことは、つまり同時進行的にこの準備をしてたってことなんですね。本来ならば国会にこれと同様な案を出して、徹底的に議論をすると、いうことが筋だったんですが、今回たしかに並べていることは随分、例えば外国人労働者の支援策は126項目あるんですね。精査というよりは法務省がですね、各現業をもっている省庁からかき集めたと、いう印象が強いんですね、ですから、並んでいるんですけど具体的に何をやるかが見えてこない。しかも今度の外国人労働者が他の職場に移ることができますから、都市部へ移っていく可能性もあるわけですね。そういう具体論がほとんど見えてこない。1月23日に衆議院の法務委員会で集中審議が予定されていますから、そこでとにかく徹底的にブラッシュアップすることですね。4月からの導入は決まっているわけですから、いかに良い制度にするかとか、これやっぱり国会をあげて、そして政府をあげてやってもらいたいと思いますね。」

今回の報道の問題点は2点あります。
1点目は印象操作と取られかねない発言があったこと。
2点目は公正な報道であったか、それに伴い放送法に抵触するおそれがあること。

1点目ですが、今回の報道では入管法改正に伴い、政府が基本方針を発表したことがメインの報道部分です。しかしこの政府の基本方針が何かということはほとんど取り上げず、憶測での解説の上、雑な基本方針で政府はこの問題をあまり考えていないのだ、といったような印象を与えかねない発言がありました。以下がその発言部分です。

後藤謙次氏「(政府の基本方針について)今回たしかに並べていることは随分、例えば外国人労働者の支援策は126項目もあるんですね。精査というよりは法務省がですね、各現業をもっている省庁からかき集めたと、いう印象が強いんですね。」

法務省が適当にこの法改正について考えているのだということを後藤氏の「印象」を基に解説をしています。本来ならば政府の基本方針を並べるなどしてから、報道すべきではないでしょうか。それらの一部を切り取って報道、解説して、雑だ、と言うのでは印象操作を招く可能性は否定できません。

続いて2点目ですが、今回この入管法改正、あるいは基本方針によってもたらされるメリットについて全く報道がありませんでした。このような法改正は必要だったから、需要があるから行ったはずですが、懸念点などを挙げるのみで賛成側からの意見と言うものは取り上げられませんでした。これは以下の放送法に抵触する恐れがあります。

放送法4条
(2)政治的に公平であること
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること

今回の法改正のデメリット・メリット、基本方針の評価できるところ、不足しているところ。双方を比べて報道することが公正な報道の姿ではないでしょうか。

公平公正なテレビ報道を実現すべく、視聴者の会は今後とも監視を続けて参ります。

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