2018年1月11日 報道ステーション

2018年1月11日 報道ステーション

2018年1月11日 テレビ朝日 「報道ステーション」の報告です。

今回の放送で一番時間を割いた話題は「日本列島への寒波襲来」についてのニュースでした。寒い日が続きますが、皆さんどうかお体にお気を付けください。

さて、今回の放送回で検証していきたいのが、「安倍総理 平昌オリンピック開会式不参加」について報じた部分です。

詳しく見ていきます。

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小川アナウンサー「平昌オリンピックまであと1か月を切りましたけれども、その開会式を巡って各国の思惑が絡み合っています。いったい誰が出席するのか。そして安倍総理、韓国政府から招待は受けているようですが、出席するんでしょうか。」

小川アナが冒頭、来月から開催される平昌オリンピックの開会式にどの人物が出席するのかについて疑問形で触れたうえで、VTRがスタートします。
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VTRでは、ナレーターが来月9日に開かれる、平昌オリンピックの開会式が近づくに連れて、南北関係が変化しつつあることに触れます。具体的には9日に行われた、2年ぶりの南北閣僚級会談の開催を挙げました。

トランプ大統領「『アメリカのおかげで対話が実現した』と文在寅大統領に感謝された。」
ナレーターは、南北会談の様子を電話で報告した文大統領に対して、トランプ大統領が、今後の南北対話を見守る方針であることを伝えた、と語ります。
「南北会談中はいかなる軍事行動も行わない方針であり、北朝鮮が対話を望むなら可能性は開かれている。」というトランプ大統領のコメントも併せて紹介されました。

続けてナレーターは、アメリカが、ペンス副大統領を平昌オリンピックの開会式に派遣することを決定したと伝えます。そして、過去のオリンピックの開会式に派遣された米国要人の名前を挙げたうえで、米ホワイトハウスの「ペンス大統領の参加は、北朝鮮に対してアメリカの強い存在感と明確なメッセージを送ることになる」というコメントを紹介します。
また、北朝鮮側の代表として金正恩委員長の妹、金与正氏が浮上していることについても触れます。

ここでナレーターは日本の対応に話を切り替え、韓国政府に出席を要請されながら、安倍総理が態度を保留していることに触れます。
その理由について、国会日程が主な理由として挙げられているものの、実際には慰安婦問題に関する日韓合意について韓国側が見直しに動いてることも関係しているのではないか、と語りました。
政府関係者「今の状況では行ける状況になっていない。いける状態になって初めて総理が総合的に判断する。」

ナレーターは、前回のソチオリンピックの開会式に「プーチン政権の人権政策に反発し、多く国の首脳が欠席する中で」安倍総理が出席し、首脳会談も行ったと語りました。

菅官房長官「今後の国会日程こうしたものを踏まえ検討することになります。」
記者「総理以外の方の出席は。」
菅官房長官「そうしたことを踏まえ検討していきたい」
このコメントを最後に、カメラはスタジオへと戻ります。
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富川アナ「平昌オリンピックの開会式に安倍総理が出席するのか、しないのか。なんで決められないんでしょう。」
後藤謙次氏「今日いろいろ取材しましたけれども、安倍総理の気持ちは揺れているとこれが一番正確なところだと思うんですね。」
「安倍総理の心境を非常によく知る、東京オリンピックの組織委員会の幹部によるとですね。おとといまでは、確実に出席を見合わせるという方に傾いていたようなんですね。理由はVTRにありましたように衆議院の予算委員会とオリンピックの期間が重なりあってしまう。これが表向きの理由ですが本音はやはり、慰安婦を巡る韓国側のですね、安倍総理から見れば背信行為、これに対する不信感があると。それから非常に寒いところなんですね。マイナス20度以下になる、それぐらいに寒いところ。それから文在寅大統領はいまだに日本に来たことがない。さらに各国のトップもどうも出席しないらしいと。(中略)まだ時間があるので、国際情勢の変化、それから日韓関係の変化。それをじっかり見極めたうえで判断をすると。それが一番正しいんだと思いますね。」

【検証部分】
今回の放送で問題があると考えられる要因は、安倍総理の開会式への不参加を否定的に報じているように感じられる点です。
まず、安倍総理には韓国側の出席要請が届いていることは多くの場面で触れられています。一方で、それを安倍総理は様々な理由から態度を保留していることもわかります。富川アナはその動きを「なぜ早く決められないのか」という言葉で問い詰めていますが、後の後藤氏の発言にもあるように、安倍総理には国会への出席という、大変重要な職務があります。そのうえで今回の開会式の参加について、各国の首脳との関係性も検討しながら、出席か欠席かという究極の選択を迫られているのです。その態度を優柔不断だとして疑問を呈するというのは、筋違いではないでしょうか。
このままの番組内容では、視聴者はその点を意識できないまま、「安倍総理は、日韓合意の見直しを求められたことを腹に据えかねて、韓国からの要請を断ろうとしている」という視点のみを持ちかねません。そのような印象操作がなされるべきではないはずです。

今後も監視を続けます。

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