8月19日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。
・様々な論点を取り上げた放送であったか
まずは放送内容を見ていきます。
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【スタジオ】
徳永有美アナウンサー(以下徳永アナ):3日間の夏休みを終えて官邸に姿を現した安倍総理大臣です。公務再開となりましたが体調に問題はないのでしょうか。一方、野党では大きな動きがありました。
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【VTR】
安倍晋三総理大臣『(Q.おととい病院で日帰り検診を受けた現在の体調は?)体調管理に万全をきすためにおととい検査を受けました。再び仕事に復帰してがんばっていきたい。(Q.さらに休養を勧める声もあるがいかがでしょうか。)……。(退出)』
ナレーション(以下ナレ):1問応じたのみで体調については直接答えませんでした。一昨日、病院に7時間半滞在した安倍総理。健康状態を巡っては政府・与党内からも懸念する声が出ています。安倍総理に近い萩生田文科大臣は公務を再開した総理の様子についてこう説明しました。
萩生田光一文部大臣『ちょっとお疲れになっているんじゃないかと声をかけて「本当は夏休みを取ったほうがいいんじゃないか」と申し上げたが「責任をもってしっかり陣頭指揮をとりたい」とそういう意思を示されていた。そういう意味では元気でした』
ナレ:新型コロナウイルスの感染が拡大する中安倍総理は6月18日を最後に総理官邸での記者会見を開いておらず2か月、国会で答弁に立っていません。臨時国会の早期召集を求めている野党側は体調について、総理自身の説明を求めていくことで一致しました。
立憲民主党 枝野幸男代表『検査ということであるならばしっかりと国会に出てきて頂いて、多くの皆さんが心配している状況でもあり、きちんと説明をしていただく必要がある』
ナレ:その野党を巡っては、今日…。
司会『賛成の皆様の挙手をお願いします』(列席者の過半数が挙手)
ナレ:国民民主党が立憲民主党との合流を正式に決定しました。
国民民主党 玉木雄一郎代表『これからさまざまな道を歩むことになると思います。どんな形になってもこの思いを、スピリットを引き継ぎながら、いつの日や必ず皆さんと一緒に政権を担うことを誓い合って今日は終わりたいと思います』
ナレ:衆参の所属議員62人の大半が新党に参加する見通しですが玉木代表らは参加しません。合流新党は、合わせて150人前後となる見通しです。
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【コメンテーターによる解説】
徳永アナ:150人前後となる見通しの合流新党なんですけど梶原さん、この動きはどのようにご覧になりますか?
朝日新聞国際報道部記者 梶原みずほ氏:これまでもくっついたり離れたりを繰り返してきたわけですがそれが結果的に安倍一強体制をより強固なものにしてきた面もあると思うんですね。一連の公文書の疑惑などいろんな問題が表面化して、そして長期政権が故のほころびというのもいろんなところに出てきているわけですがそれでも安倍一強体制を崩す力には至らなかったわけですね。今回、1つの大きな勢力ができるわけですから今度こそ一枚岩にならないと十分な力を発揮できないと思います。
【検証部分】
国民民主党・立憲民主党の両党が解党し、それぞれで新党が作られることとなりました。
国民民主党から立憲民主党へ多数の議員が参加する見通しですが、今回はこの報道について梶原氏の発言を検証していきます。
梶原氏は
「(野党は)これまでもくっついたり離れたりを繰り返してきた」
「それが結果的に安倍一強体制をより強固なものにしてきた」
「安倍一強体制を崩す力には至らなかった」
と述べています。
野党が安倍政権を上回るだけの支持を得ることができなかったというだけなのですが、梶原氏は野党がまとまっていなかったことについてのみ言及し、「安倍一強体制」が成立したと述べています。
しかし、2012年12月に第二次安倍政権が成立してから、「民主党」「民進党」などある程度まとまりのある野党は存在していました。従って野党がまとまっているか否かという問題以上に、野党の質に問題があるはずなのです。
国会では政府の批判ばかりに執着し、追求を続けると民主党政権に行われていた政策が出てきてブーメラン返しされる・・・こういったことが続き、国民の支持はどんどん離れていきました。
また2012年以降、野党に政権を奪取するという意思があったのかについても疑問符がつきます。
14年の衆院選では民主党は過半数の候補者を擁立しませんでした。政権交代を諦めた選挙だったのです。
2009年に民主党政権が誕生しましたが、東日本大震災への対応など、度重なる失政で下野。その後、民主党は55年体制の社会党のような政権を目指さない、野党でいるための野党に成り下がってしまったのです。
つまり、野党のまとまりを見るよりも野党の質、政権交代への意思という観点からみた評価が必要なのではないでしょうか。
このような論点を提示しない放送は下記の放送法に抵触する恐れがあります。
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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。