11月11日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。
・安倍政権についての解説で取り上げられている論点が一面的であった可能性がある
まずは放送内容から確認していきます。
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【VTR】
ナレーション:「報道ステーション」ではこの週末ご覧の方法で世論調査を行いました。
調査:11月9日(土)・11月10日(日)
電話調査(固定・携帯のRDD方式)
対象:全国18歳以上の男女2130人
有効回答:1039人(48.8%)
安倍内閣の支持率は44.4%で先月の調査と比べてほぼ横ばいでした。政治とカネの問題をめぐり辞任した菅原前経産大臣と河井前法務大臣が記者会見などで説明する必要が、あると思うと答えた人は71%に上り、思わないと答えた人は19%でした。一方、再来年1月から実施される大学入学共通テストに導入される予定だった英語の民間試験について6割の人が延期は適切だと答えました。また、採点の公平性などの問題が指摘されている国語の記述式問題について、導入するべきだと思わないと答えた人は48%で、思うの29%を上回りました。
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【スタジオ】
森川夕貴アナウンサー:大臣が次々と辞任したりですとか、また大学入試の国語や英語の問題については疑問視する声も多いんですけれども、内閣の支持率を見てみますと支持するが4割程度と横ばい。安定しているようにも見えるんですけどこれ、どうしてなんでしょうか。
後藤謙次氏:個別の問題はいろいろあるけれども支持率が安定してるというのが安倍政権の非常に大きな特徴なんですね。ただ、結局のところいろいろ問題はあるにせよ安倍総理に代わる次の有力候補がいないというところに尽きてしまうんですね。例えば、自民党の総裁候補いろいろ我々は書きますけれども決定打がないままずっとやってきてしまった。野党側も安倍政権あるいは自公政権に変わり得る政権図を示してるかというとこれまた示せていない。結局ここで安倍総理を変えて混乱を招くよりも現状維持がいいのではないか。更には、安倍政権が非常に長く続いたために次の政権のイメージができないということもあるんじゃないかなとみられてますね。ですから、安倍総理はますます自信を持って政権運営をすると。ですから、先週のように委員会室で自分の席から野党議員にやじを飛ばすような強気路線をどんどんいってると。我々は1つ1つ個別に政策をチェックしていく姿勢が必要だと思いますね。
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【検証部分】
今回検証するのは後藤氏が安倍政権について論じている部分です。
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後藤謙次氏:個別の問題はいろいろあるけれども支持率が安定してるというのが安倍政権の非常に大きな特徴なんですね。ただ、結局のところいろいろ問題はあるにせよ安倍総理に代わる次の有力候補がいないというところに尽きてしまうんですね。例えば、自民党の総裁候補いろいろ我々は書きますけれども決定打がないままずっとやってきてしまった。野党側も安倍政権あるいは自公政権に変わり得る政権図を示してるかというとこれまた示せていない。結局ここで安倍総理を変えて混乱を招くよりも現状維持がいいのではないか。更には、安倍政権が非常に長く続いたために次の政権のイメージができないということもあるんじゃないかなとみられてますね。ですから、安倍総理はますます自信を持って政権運営をすると。ですから、先週のように委員会室で自分の席から野党議員にやじを飛ばすような強気路線をどんどんいってると。我々は1つ1つ個別に政策をチェックしていく姿勢が必要だと思いますね。
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この発言の問題点は以下の点です。
・様々な論点を取り上げた解説ではない可能性がある
後藤氏は安倍政権が安定している理由について以下の2点を挙げています。
① 安倍首相に代わる候補いないこと
② 長期政権のため次の政権のイメージができないこと
この発言から安倍政権が安定している要因は、積極的支持ではなく、消極的支持によるものだ、という解説であることが読み取れます。
これらの発言も一面的には正しい解説といえますが、安倍政権が7年に及ぶ長期政権となっている要因として消極的支持のみを語るのは、放送法4条に抵触する恐れがあります。
欠けている論点を一つ提示してみると経済政策が挙げられます。
長期政権の要因として、経済は欠かせない論点です。
戦後、長期政権となった佐藤栄作政権は前政権の池田勇人政権の経済成長という路線を踏襲し、長期政権となりました。(池田政権は池田勇人首相が亡くなり、佐藤政権となったため、池田首相が存命であれば池田政権が長期化した可能性も十分にある。)
反対に経済が不安定であれば、短期政権が続きます。
2008年のリーマンショックから経済が不安定化すると、麻生政権、鳩山政権、菅政権、野田政権と短命政権が続きます。
このデフレ不況を脱しようと、アベノミクスに代表される金融緩和などの政策により、経済を安定化させたのが現在の安倍政権です。
このように長期政権を語る際に、経済という論点は欠かせないはずですが、今回の放送では一面的な解説しかなされていませんでした。
論点を欠いた放送は以下の放送法に抵触する恐れがあります。
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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。