2020年12月3日 報道ステーション

2020年12月3日 報道ステーション

12月3日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・事実に基づいた放送であったか

まずは放送内容を見ていきます。

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【放送内容】
徳永有美アナウンサー:これまでに入っているニュースを続けてお伝えします。香港の民主活動家シュウ・テイさんら3人に厳しい判決が下されました。

【VTR】
ナレーター:去年6月警察本部を包囲するようデモ隊を扇動した罪と違法集会に参加した罪に問われている香港の民主活動家のシュウ・テイさん、コウ・シホウさんら3人。今日、裁判所はシュウさんに禁錮10か月コウさんに禁錮13か月半の実刑判決を言い渡しました。シュウさんが実刑判決を受けるのは初めてです。3人は先月23日に出廷したのち、そのまま収監されていました。コウさんは弁護士を通じてツイッターに・・・

黄之鋒さんのツイッター:戦いはまだ終わっていません。今度は刑務所から香港の民主主義の自由を求める戦いに参加します。

【検証部分】

今回は香港に関する放送を取り上げます。
シュウテイ氏などが収監され、異例なほど重い判決が下ったというニュースは中国共産党の手が伸び、司法の独立性も失われかけていることが窺える内容なのですが、放送ではそのことがわかりません。

放送だけを見るとシュウテイ氏が「警察本部を包囲するようデモ隊を扇動した罪」や「法集会に参加した罪」を犯した犯罪者であると誤解してしまう可能性もあります。

そもそもシュウテイ氏らがこの罪に問われる契機となったのは2019年の6月のデモがきっかけです。
そして香港国家安全維持法が制定されたのは2020年6月です。文明国の法は、新しい法律で過去の行為を裁くことはできません。これを法の不遡及といいますが、中国共産党にはそのような論理は通用しません。以下の平野聡東京大学大学院法学政治学研究科教授をご覧ください。

(引用開始)
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香港国家安全維持法は、当初「遡及法ではない」と説明されていながら、実際には大陸側から送り込まれた国家安全維持公署の指揮命令のもと、密告なども奨励し、中国にとって疑わしい人物の行状を遡及法的に調査し、特区別行政区政府と香港警察に対応させる枠組みとなっている。

《周庭氏らに下った実刑判決 日本よ、それでも中国を信じるのか
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21571
》より
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(引用終了)

またジャーナリストの野嶋剛氏は次のように述べています。

(引用開始)
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今回の判決は、過去の類似の案件に比べてかなり重く、異例だ。容疑となった昨年6月21日の警察包囲デモを私は見ていたが、彼女は数万人の若者と一緒に現場にいただけに過ぎず、しかも途中から道端に座り、背中を丸めて眠ってしまった。「扇動した」と言える行為はなかったはず。司法関係者も論理的に無理があると呆れる判決で、香港の「司法の独立」は失われつつあることを強く実感させられた。

《野嶋剛「中国政府の思うままに裁かれてしまいます」…香港・周庭さんの“予言”と“日本欠乏症” 
https://bunshun.jp/articles/-/42096
》より
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(引用終了)

シュウテイ氏らの行為自体全く罪に問われるようなものではなかったにもかかわらず、逮捕され、厳しい判決が下されました。

こうした事実に基づかずに報道することは次の放送法に抵触する恐れがあります。

(引用開始)
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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
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(引用終了)

視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

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