12/19テレビ朝日「報道ステーション」の報告です。
今回の放送で一番時間を割いた話題は、「アメリカワシントン州での列車脱線事故」のニュースでした。14両中13両が脱線してしまった事故の様子を、現場の録音データやインタビューをもとに報じていました。
事故原因として運転速度の問題を指摘していましたが、特に放送法違反や印象操作は見つかりませんでした。
さて、今回の放送回で検証していきたいのは、「トランプ政権の安保政策」について報じた部分です。
詳しく見ていきます。
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富川アナ「アメリカ トランプ大統領が新たな安全保障政策を発表しました。そこには、北朝鮮のミサイル発射を「力」で食い止める具体的な方法が盛り込まれていました。」
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富川アナが「力」という単語を強調した前振りを行い、VTRがスタートします。
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トランプ大統領の「我が国の新しい国家安全保障戦略を世界に向けて表明する」と演説した映像の後、演説時の映像や北朝鮮の金正恩委員長の資料映像とともに、国家安全保障戦略の概要について伝えます。(※「アメリカ国家安全保障戦略」とは、トランプ政権が今後、どう世界各国と付き合っていくかが55ページの文書にまとめたものです。)
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国家安全保障戦略の「我々は非核化を強制するオプションをさらに強化させていく」という部分を引用し、アメリカ国防省が北朝鮮のミサイル発射を発射前に無力化する予算(発射場へのサイバー攻撃や電磁波攻撃のための予算)を要求したことを伝え報じます。
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ナレーターの「軍事オプションも忘れないアメリカ。その視線は同盟国の責任にも向けられています。」という振りで、今度はアメリカの同盟国について言及します。
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トランプ大統領「我々をさらに強くするのは価値観を共有する同盟国-そして共通の脅威に対する責任の公平な分担だ。」
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トランプ大統領が同盟国について言及した演説の様子が流れた後、画面がイージスアショアの資料映像に切り替わり、「一方、政府は今日、地上から弾道ミサイルを迎撃するイージスアショアを、アメリカから導入することを閣議決定。」というナレーションが流れます。話が日本政府の防衛政策に切り替わりました。
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トランプ大統領の来日時に大統領と安倍首相が笑顔で握手した映像が流れ、「日米の一体化がさらに進むことになります。」というナレーションが加わります。
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安倍首相の「専守防衛は当然の大前提としながら、従来の延長線ではなく、国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を見定めていきたいと思います。」という発言の映像が流れた後、カメラがスタジオに戻ります。
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スタジオでのやり取りは以下の通りです。
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~(一部省略)~
富川アナ「負担を求められてきたときに日本はどう対応するんでしょうか。」
後藤謙次氏「日本政府の本音はですね、アメリカ政府から見捨てられたくはない、かといってアメリカの戦争に巻き込まれたくはない。このジレンマの中でどういう判断をしていくのか。そういう意味でですね、安倍総理の判断はやや早すぎる。そういう危うさが付きまとってますよね。今のVTRでもありました、閣議決定されたイージスアショア、これについてもですね、これは中規模に全くなかったわけですね。それが突然閣議決定によって導入が決まってしまう。~(中略)~アメリカが何を考えているのか。きちっと情報をとってですね。次の通常国会で徹底的に議論をすると。そのうえで日本の安全保障政策を決定していくと。これが基本だと思いますね。」
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「アメリカが負担を求め、日本がその日のうちに武器の導入を決めた。」このような話の進め方では、日本が自国の防衛のために武器を購入したのではなく、アメリカから要求されて武器を購入したかのように思えてしまいます。
しかし、北朝鮮情勢の切迫度が増している中で、日本政府は以前から導入の検討を行っていました。
実際、安倍総理は9月ごろから、導入への意欲を示していました。
日本政府による導入の決定が、今回のアメリカ政府による要求が要因とは断言できない以上、この報じ方は印象操作と言わざるをえません。
今後も監視を続けます。