2019年12月4日 報道ステーション

2019年12月4日 報道ステーション

12月4日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・多くの論点を取り上げた放送であったか

まずは放送内容から確認していきます。

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【スタジオ】
徳永有美アナウンサー(以下徳永アナ):カジノを含むIR・統合型リゾート施設の誘致に名乗りを上げた横浜市の林市長が今日初めての住民説明会を開きました。ただ、人数の制限もあったため会場の外には反対の声を上げる人なども集まり混乱しました。

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【VTR】
板倉朋希レポーター:現在、午後6時半です。林市長を乗せた車が会場のそばに到着しました。反対派の市民らも集まりましてかなり大きな声も飛び交っています。そして林市長が車から降りてきまして複数の職員らに脇を固められながら会場に入っていきます。

ナレーション(以下ナレ):横浜市は、中華街や横浜スタジアム赤レンガ倉庫などに近い横浜港の山下ふ頭に、カジノを含むIR・統合型リゾート施設の誘致を表明しています。林文子市長は市内の全18区で住民説明会を開催する予定ですが、今日はその皮きりです。

林文子市長(以下林市長)『税収がほかの出し都市に比べて少ないという現象を見ましたら、いろんなところでお金を生み出していきたいと』

ナレ:混乱を避けるためなのでしょうか。住民からの質問は直接受けず質問用紙に記入する形になりました。

住民からの意見①『結局、IRの中だけで金を使いそれ以外の商業施設が沈んでしまう課題はないか?』

林市長『IRだけで税収を伸ばそうということはない。全体的に動かしていこうとしている』

住民からの意見②『(財政悪化の対策が)IRカジノの誘致しかないとするのが間違い』
→司会者『質問という形ではございませんのでこれは回答(が必要)ではございませんね』

ナレ:林市長は、2年前の市長選では統合型リゾート施設の誘致について白紙状態だと繰り返してきました。それが今年8月になって突然…。

林市長『成長、発展を続けていくためにはIRを横浜でIRを実現する必要がある』

ナレ:林市長は、人口減や税収減厳しい財政状況などを理由に挙げ誘致できれば年間最大1200億円の増収になると強調しました。国は、カジノを含む統合型リゾート施設を国内に最大3か所作るとしています。誘致の意向を示しているのは大阪府と(大阪)市、横浜市や和歌山県、長崎県など7つの地域。3つの枠をめぐりしのぎを削っている状態です。進出を狙う外資は、日本の市場をどう見ているのでしょうか。

猪ノ口克司朗レポーター:こちら、天井から豪華な赤いシャンデリアが飾り付けられていまして、見渡す限り最新型のスロット台が広がっています。週末には2万人もの人が1日で訪れるといいます。

ナレ:アメリカのボストン郊外にある統合型リゾート施設です。横浜と同様に都市部が近く水辺の風景を生かしたつくりになっています。施設を運営するカジノ大手ウィン・リゾーツの日本法人クリス・ゴードン社長は…。

クリス・ゴードン社長『現在、当社が注目しているのは横浜だけです。首都圏内なので人口も観光客も多い。横浜での収益を綿密に分析した結果、IRとして大きな収益を出せることが見込めました』

ナレ:地上200mの屋上プールで有名なシンガポールのマリーナベイ・サンズ。運営するアメリカのカジノ大手ラスベガス・サンズもターゲットは横浜だといいます。

ジョージ・タナシェビッチ氏(サンズCEO,以下タナシェビッチ氏)『横浜は国際的な大都市で羽田空港からわずか20分です。今後観光業で大きな成長が見込めます』

ナレ:マリーナベイ・サンズのようにその都市を象徴する施設を横浜にも建てたいと意気込みます。

タナシェビッチ氏『年間のべ4000万人近くがシンガポールの施設を訪れています。地元の人もたくさんいます。これを横浜でも実現したいと考えています』

ナレ:ただ、横浜市が市民から意見を集めたところ94%が誘致に否定的だったといいます。

住民からの意見③『問題点・課題が全く提示されていない』

ナレ:説明会には市長と副市長が出席しながら最後まで、住民からの質問を直接受けない形で進みました。

参加者『なんで市民と話をしないんですか。一方的な説明だけですよね』

司会者『大変申し訳ありません。お話しする機会が、今日がその一つということです』

ナレ:説明会の参加者は…。

参加者②(反対側)『反対している人に賛成してもらおうという説明ではなかった。ただやりましたというだけの説明会だった』

参加者③(賛成側)『トータルでみたら横浜市の未来には、財政、収益、収入が必要』

参加者④(反対側)『市民への質問には結局答えていない。不安とか疑念に答えた説明会ではなかった』

ナレ:林市長は…。

Q.今日の説明会でどれくらいの理解を得られたか
林市長『そうですね。ちょっとそれは一口ではお答えできないが、ただ私自身はご理解を得たとかそういう判断ではなくて、とにかく丁寧にわかりやすくご説明したいという気持ち。静かに聞いていただいたことに感謝しています』

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【スタジオ】
徳永アナ:記者の質問には答えてくれますね。ただ、あれだけ集まった住民の方々の質問には直接は答えてくださらない市長の姿。

後藤謙次氏:なんのために開いたのかという今、VTRを見ててそんな思いがしますよね。この間IR参入を取り上げましたけど、これは環境に与える影響が理由だったんですが、横浜の場合ははっきりしない部分があるんですね。この横浜のIR参入問題長く取材しているジャーナリストに聞いたんですが、彼の説明によると横浜の人たちはみんな横浜のイメージを大切にしたいんだと。長い歴史がある。それから港に船が入る。そういう港町・横浜全体のイメージがそがれるんじゃないか。ですから数値化できないんです。非常に難しい。一方でインバウンドの恩恵を受けてるかとなると横浜に船は来るんですけど箱根に行く、東京に行く鎌倉に行くということでインバウンドの恩恵が全くないと。だから財政を立て直したいというのが林市長なんですけども、そうじゃなくてそれを受け入れるためにどういう条件を整えるかというのは市民との間で対話がないとですね、いくら一方的にやっても、理解のないままIRスタートしても結局それは空中楼閣と同じでうまくいくわけないと思いますね。もう一度きっちりとやりとりするということが基本だと思いますね。

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【検証部分】

今回検証する発言は以下の部分です。

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後藤謙次氏:なんのために開いたのかという今、VTRを見ててそんな思いがしますよね。この間IR参入を取り上げましたけど、これは環境に与える影響が理由だったんですが、横浜の場合ははっきりしない部分があるんですね。この横浜のIR参入問題長く取材しているジャーナリストに聞いたんですが、彼の説明によると横浜の人たちはみんな横浜のイメージを大切にしたいんだと。長い歴史がある。それから港に船が入る。そういう港町・横浜全体のイメージがそがれるんじゃないか。ですから数値化できないんです。非常に難しい。一方でインバウンドの恩恵を受けてるかとなると横浜に船は来るんですけど箱根に行く、東京に行く鎌倉に行くということでインバウンドの恩恵が全くないと。だから財政を立て直したいというのが林市長なんですけども、そうじゃなくてそれを受け入れるためにどういう条件を整えるかというのは市民との間で対話がないとですね、いくら一方的にやっても、理解のないままIRスタートしても結局それは空中楼閣と同じでうまくいくわけないと思いますね。もう一度きっちりとやりとりするということが基本だと思いますね。

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後藤氏は横浜市のIR誘致に関して以上のように解説しています。
発言を簡単にまとめると、
① 横浜市のイメージが悪くなる可能性があるため、反対する人がいる
② 一方で市長にはインバウンドを増やして財政を立てなおすという狙いがある
③ どういう条件を整えれば良いのか、市民と話し合う必要がある

後藤氏によると、横浜市のIR誘致の論点は数値化できない横浜市の「イメージ」ということになります。
IR、総合型リゾートは映画やショッピングセンター、ホテル、カジノを含む様々な商業施設が一緒になった施設です。
カジノが日本にも導入されるにあたり、ギャンブル依存症やあるいは治安に対する不安から横浜市のイメージ悪化を懸念される方が多いようです。

ではIRを進めるにあたり、導入された規則はどのようなものなのか、見ていきます。

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カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案は20日午後の参院本会議で、与党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立する見通しだ。IRの施設数は当面、全国3カ所までとする。ギャンブル依存症の対策として、日本人客の入場回数は週3日、月10日までに限るほか、1日あたり6000円の入場料を取る

IR施設はカジノのほか、国際会議場や展示施設、宿泊施設などを併せ持つ。施設の設置数は最初の区域認定から7年後に見直せるようにする。すでに複数の地方自治体が誘致を表明しており、将来は施設数が増える見通しだ。カジノを設置するには立地する自治体の同意を得ることも条件とした。

日本人や日本に住む外国人の入場回数は、マイナンバーカードで管理する。カジノの面積はIR施設の延べ床面積の3%までとする方針だ。通路や飲食スペースなどはカジノ面積には含めない。20歳未満の人や暴力団員などはカジノへの入場を禁止する。

カジノ事業者は収益の30%を納付金として納める。納付金は国と施設がある都道府県で折半して、観光振興や福祉などの公益事業に充てる。
≪引用 2018年7月20日 日本経済新聞≫
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ギャンブル依存症対策として入場規制を設け、治安対策として未成年と暴力団などの反社会勢力は入場できないという具体的な中身が定められています。
しかし、今回の放送ではこのIR法案が取り上げられていません。
この法案を取り上げなければIR導入に際して出てくる懸念がそのままであると思ってしまう視聴者が出る恐れがあります。
もちろんこの法案が優れてたものであるかどうかは議論する必要がありますが、全く取り上げずにIRの懸念だけを放送することは論点が欠けた報道であると言わざる得ません。

このような放送は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。

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