11月27日の報道ステーションのレポートです。
今回は冒頭から入管法改正案が取り上げられていました。
そこでは、印象操作と捉われかねない発言があったため、詳しく見ていきます。
【VTR】
・午後5時半すぎ、衆院・法務委員会において、外国人労働者拡大をめざす「入管法改正案」の採決が強行、与党などの賛成多数で可決された。「採決は拙速」であるとする野党の反対を押し切り、20時間未満の審議で打ち切られた形となる。
・午後の採決時には、法務委・葉梨康弘委員長に詰め寄り抗議の弁を投げかける野党の姿が見られた。大声で「だめだよ だめだよ だめだよ」と連呼する声が飛び交い、委員長席のマイクを奪い合おうとするような様子もあったが、葉梨委員長は頑として死守し、野党を無視して進行した。
・午前の審議の様子では以下のような質問・応答があった。
・なぜ施行を4月1日に急がなくてはいけないか?(国民民主党・階猛衆院議員)
→人手不足の深刻化が喫緊の課題である。(山下貴司法務大臣)
(ナレ)法案が成立すれば、今の技能実習生のほぼ半数が新たな在留資格に移行する。野党が問題視するのは、技能実習生が最低賃金以下の賃金で働かされているケース。
・技能実習生の問題について、政府が関与している部分が少なすぎる、つまり民間に委ねている部分が多すぎるのではないか。だから低賃金の問題も生まれる。まずは技能実習生の問題ではないか。(立憲民主党・逢坂誠二衆院議員)
→政府は既にプロジェクトチームを設置して対策している。(山下貴司法務大臣)
・午後8時半すぎ、衆院本会議において、自民党・平沢勝栄衆院議員は本法律案が喫緊の課題であることを強調した上で、「いわゆる移民政策でもなければ、単純労働者を受け容れるものでもない」と、一部の野党のあいだで誤解があると指摘した。
・それに対し、立憲民主党・山尾志桜里衆院議員は、立法府としての責務を全うし、熟議を果たすことを求めた。
・自民党・二階俊博幹事長(テロップ)「(与党議員は)それぞれのポジションで誠心誠意説明をし、答弁している」。審議時間の短さについての指摘を受け、二階幹事長は「国会の会期に限りがある。ですからこれはもう(採決は)やむを得ない」と答弁した。
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【スタジオ】
徳永有美アナ:うーん、ということなんですが。さあ、ちょっとこちらをご覧下さい。こちらは第二次安倍政権以降の重要法案の衆議院での審議時間をまとめたものなんですが。2015年、こちら、集団的自衛権の行使を認めるなどした安全保障関連法には100時間を超える審議が行われました。それからその後、いわゆる“共謀罪”ですとか、このように(働き方改革関連法(2018)、“カジノ”実施法(2018)を示して)審議が行われたんですが、だんだんと審議時間が短くなっていて、今回の入管法改正案に関しては、これだけ反発もあるなか、たった17時間しか審議されていないと。単純に審議時間で比較することはできないと思うんですが、あまりにも審議時間が短い。
後藤謙次氏:そうですね。まあこの安倍政権、こうと決めたら一直線という性格があるんですけれども、とりわけ今回の法案についてはですね、あまりにも、野党がその拙速批判をしてましたけども、拙速を超えたくらい手抜きが感じられますよね。これでは選挙が終わった段階でですね、その数が決まっている訳ですから、もう国会で審議がいらないと、国民は置き去りにされてしまうと、国民は馬鹿にされていると、そういう状況にあるんだと思いますね。
徳永有美アナ:何も答えられない、中身がほんとにスカスカな感じがするんですがね。
富川悠太アナ:野党も、まさにその大半が法案自体に反対しているのではなくて、審議時間の短さ、議論が短いからこそ中身がスカスカなんじゃないかって批判しているんですよね。
後藤氏:そうなんですよね。そして今回のやっぱり背景にはですね、国民の世論調査、欲望の結果について、政府高官もですね、世論の半数近くは支持をしていると。そういうことがこの数字の中にはっきり現れていると。
徳永アナ:そうですね。こちら報道ステーションの世論調査によりますと、外国人労働者受け入れ拡大について、賛成が46%、反対が36%ということなんですが、とはいえ、この国会で成立させて来年4月から実施するということに関しては反対が48%ということで、あのー、やはり急がないでちゃんと議論して欲しいという思いの方が多い。
後藤氏:はい。思いますね。たぶん政権与党側がですね、これだけの支持があるということで、多少無理してですね、法案通過させても、来年に予定されている統一地方選挙とか参議院選挙にさしたる影響はないだろうと。まあそういう思惑、思い込み、過信もあるんだと思いますね。ただこういう拙速な問題、特に国の形を決める重要な法案ですから、やがて大きな禍根を残す。そのことをきちっと議論していただきたいと思いますね。
徳永アナ:はい。
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今回の報道の問題点は2点あります。
1点目は印象操作に捉われかねない発言があった点。
2点目は公正な放送であったか、放送法に抵触する可能性がある点という点です。
1点目についてですが、今回の改正案は深刻化する人手不足に対応するために外国人の労働者を技能実習生としてより幅広く受け入れるためのものです。選挙で我々が選んだ自民党政権によって民主的に本会議を通過しました。手続きに違法性などは当然ありません。しかし報道では以下のような発言がありました。
(入管法に関するVTR終了後)
徳永有美アナ:うーん、ということなんですが。さあ、ちょっとこちらをご覧下さい。こちらは第二次安倍政権以降の重要法案の衆議院での審議時間をまとめたものなんですが。2015年、こちら、集団的自衛権の行使を認めるなどした安全保障関連法には100時間を超える審議が行われました。それからその後、いわゆる“共謀罪”ですとか、このように(働き方改革関連法(2018)、“カジノ”実施法(2018)を示して)審議が行われたんですが、だんだんと審議時間が短くなっていて、今回の入管法改正案に関しては、これだけ反発もあるなか、たった17時間しか審議されていないと。単純に審議時間で比較することはできないと思うんですが、あまりにも審議時間が短い。
後藤謙次氏:そうですね。まあこの安倍政権、こうと決めたら一直線という性格があるんですけれども、とりわけ今回の法案についてはですね、あまりにも、野党がその拙速批判をしてましたけども、拙速を超えたくらい手抜きが感じられますよね。これでは選挙が終わった段階でですね、その数が決まっている訳ですから、もう国会で審議がいらないと、国民は置き去りにされてしまうと、国民は馬鹿にされていると、そういう状況にあるんだと思いますね。
まず重要法案の定義とはなんたるか分かりません。野党系の今回の改正案は国の形を変えるなどという意見のみを取り上げての重要法案という意味合いでしょう。この定義が曖昧な以上、他法案の審議時間の比較などあまり意味がありません。
そして「国民が置き去り」という発言も適切ではありません。先程述べたように民主的な手続きを踏んで本会議を通過しています。
にもかかわらずこのような発言をしているのは安倍政権が民主的ではない、国民を置き去りにしているという印象を与えたいための意図的な報道である可能性があります。
2点目は、今回の報道が公正な報道ではない可能性があるという点です。
放送法4条には次のような項目があります。
二 政治的に公平であること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
しかし今回の報道でのスタジオ解説は反対側からの立場のみの発言で、法案の審議時間などに触れるばかりで中身についての解説がほとんどありませんでした。
これは放送法に抵触する恐れがあります。
公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。