2018年10月11日 報道ステーション

2018年10月11日 報道ステーション

2018年10月11日の報道ステーションの報告です。
この日最も多くの時間を割かれたのは、「豊洲市場開場」についての話題でした。
詳しく見ていきましょう。

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【スタジオ】
富川悠太アナ:さて、続いてはこちらをご覧ください。今朝5時半の豊洲新市場の様子なんですね。マグロの競りが始まりましたね。威勢のいい声もね、聞こえてくるんですけれども、この初競りでは、青森県の三厩産の本マグロに428万円の値も付いたんですって。

徳永有美アナ:8、末広がり。

富川アナ:あ、確かにね。4と2はどうするんだという話もあるんですけど。ただ、幸先いいスタートとね、競りは言ってもいいかもしれませんね。

徳永アナ:そうなんです。そんな中、設計上はスムーズにモノが流れるはずだった豊洲市場なんですが、さまざまなトラブルも起こってしまったようです。仲卸業者や買い出し客、それぞれに密着取材をした結果、豊洲の課題が見えてきました。

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【VTR】
・豊洲市場の開場に向けて、運送会社は採算度外視で対策して通常より何時間も早く豊洲市場へ
・築地市場に比べて狭い印象があり、荷下ろしに向かうトラックで渋滞が発生
・豊洲市場は閉鎖された施設の中で取引を行い、温度・衛生面を徹底することが最大の売りだったが、施設のシャッターは開けっ放しで、荷物はトラックの脇にそのまま置かれていた
・初めてのマグロの競りの最高値は、青森県三厩産本マグロの428万円
・移転をめぐっては、豊洲の土壌や地下水から有害物質が見つかり、対策にも不備が見つかっていた
・築地市場では今日から解体作業が始まったが、今も移転に反対して営業を続けている店がある
・支援者が場内に入ろうとして都の職員ともみ合う一幕も
・豊洲市場では、ターレが出火し、市場関係者がターレに挟まれて緊急搬送されるなど事故が相次いだ
・買い出しに来た業者へのインタビューでは、食材の場所が分からず、店も狭くなり買いづらいという
・すしざんまいの木村社長へのインタビューでは、「それはしょうがない、いま点数をつけたらかわいそう」と述べた
・寿司店を経営する木村さんも魚を買い付けたが、店に到着したのはランチ開始30分前で、自宅を出たのは築地の頃より1時間半も早い午前3時だった
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【スタジオ】
富川アナ:豊洲新市場、初日を迎えましたけれども、ディレクターが取材していましたところ、3つの課題というのが見えてきたんですね、それぞれ。一つ目、トラックの渋滞。ターレの移動について。そして場内の温度。これは建物内の温度ですね。一つずつ見ていきます。トラックの渋滞。今日の未明からですね、この豊洲市場を俯瞰で見た模型なんですけれども、この赤くなってる部分。非常に渋滞が激しかったんですね。なんで激しかったのかといいますと、まず一つの理由として考えられるのは、この環状2号。この先に築地市場がありますから、まだ解体されていませんので道路が通っていないということもあります。で、もう一つは、この赤い色の先。7街区水産卸売場という棟があるんですけど、ここで車が、トラックが大渋滞していたんですね。

徳永アナ:大渋滞。

富川アナ:はい。で、この7街区、水産卸売場棟の1階、3階、4階が荷下ろしできる場所なんですが、4階をちょっと見てみますね。どういう形になってるのかと言いますと、車がどんどん上に上がってくると、両サイドからトラックが入って来られるようになってるんですね。で、黄色くなっているこの場所、ここがバースと呼ばれる搬入口でして、トラックがビーって入ってきますと、後ろからこうやってつけて、荷物を降ろせるようになってるんですね。ところが。あ、これがこういう形です。こうやって後ろで、後ろ、開いてますよね。あそこに荷物をどんどん降ろしていくっていう形なんですが。ところが、今日はこんな様子が見られたんですね。この搬入口以外の場所でどんどん荷物を降ろしてしまった方が非常に多かった。なんでかというと、ここトラックの形見てください。大体のトラックは、荷台の、この横が開くようになってるんですよ。だから、後ろに搬入口があっても、降ろせない。横から降ろさなきゃいけないということで、もう一回こちら模型戻ってください。

後藤謙次氏:それ、分かってなかったんですかね。

富川アナ:それはもともと分かってたんですけれど、あの、実際のところ、蓋を開けてみたらやはりそうだったかっていうところで、皆さんこの、違う場所。駐車場などの周りでどんどん荷物を降ろしはじめてしまったんですね。

徳永アナ:別のところでね。

富川アナ:そのためにどんどん移動しきれなくなって、車が詰まって渋滞になってしまったということなんですね。

徳永アナ:でも本来は、作るにあたって相当ね、いろいろ考えられたと思うんですけれども。

富川アナ:設計上はね。

徳永アナ:でも、築地は実際どんな形だったんですか?

富川アナ:あの築地のね、上空をね、ちょっと見ていただければ、形でよく分かると思うんですけれども、これは貨物の駅だった場所ですよね。で、こうやって弧を描いてますから、車がずーっと入ってきて、横からもちろん開けられますよね。で、荷物の流れとしては、中心部分に向かっていくっていうことで、非常にスムーズな流れだったと。作りとしてはそうだった。ただ、横で荷下ろしを始める人が多かったので、秩序は守らなきゃいけないということで豊洲が考えられて、しっかりと設計されたはずなんですが、今回のようなことが起きてしまったということなんですね。

徳永アナ:横型にね、置けるところがあればいいんですけどなかなかね。

富川アナ:これもダメなのかもしれないんですけれども。さあ、二つ目の課題というのが、ターレ。ターレなんですね。荷物を運ぶ車なんですけれども、ターレはあの、仲卸から仲卸へとね、こうビーっと移動していくんですけれども、仲卸というのは、鮮魚店ですとかお寿司屋さんが買い付けに来る場所ですね。この1階部分に仲卸の店舗がひしめき合っています。で、この間をターレがね、こうしていくわけなんですけれども、この店の区画も通路も、築地の時とは広さは変わっていないんですけれども、築地のときと同じにと、あえて言います。このように、通路に荷物を置き始めてしまったんですね。これを築地ルールと言うのか、なんだか分かんないんですけど。そのために、ターレが中々行きかえないような状況になってしまったので、ここをどうするかという課題が一つあります。そしてターレとえばもう一つ。階を移動するのにスロープをするんですが、これ緩やかに見えますが大体8°くらいの角度のスロープなんですね。で、このスロープは豊洲の場合は電動しか入れないので、電気・電力を非常にこの上りで消費するわけです。ですから途中で止まってしまうんじゃないかっていう不安が皆さんある。

徳永アナ:緩やかとはいえ8°ですから。荷物も乗せますし、なんか落ちてしまわないかとか、事故が起きないのかとか、心配になります。

富川アナ:今日、事故があったんですけれども、その事故もスロープで起きたと目撃した人は言っていました。で、さらにこの踊り場で次の階へ行くときも、角度が結構急なので、そこで転倒してしまうんじゃないかっていう不安もあるようなんですね。あとは、3つ目の課題。室内の温度なんですけど。

徳永アナ:そうですね。やっぱりその、豊洲と言うと、室内の衛生面が売りなのかなと思うんですけど、その辺りはどうなってるんですか?

富川アナ:なんで課題と感じたのかと言いますと、室内の温度、品質管理のために、エアコンの温度を25°に設定してるんです。ただ、設定とやっぱり体感と言うのは違うらしいんですよね。業者の皆さんは、かなり蒸し暑く感じたんですって。だから25℃に設定していても、いろんな人が行きかったりしているので、ちょっとその、計っていないんで分からないんですけれども、本当にこの温度・湿度で品質管理ができるのかどうかというのは疑問に感じてらっしゃったようです。

後藤氏:そうですね。まあ今日、いろんなことが見えてきましたよね。ただこう、感じるのは、慣れたらできるっていうことと、慣れてもできないことってかなりあるんじゃないかと。つまり築地市場で、ターレってのは発達したわけですが、果たしてここで、きちっと機能していくのかどうかってのがありますよね。それとやっぱり、築地はやっぱり築地で、豊洲は豊洲だという割り切りが必要だと思いますね。ただ築地の精神。この心意気だけはみんな持ってってるわけですから、そこで一つ豊洲ブランドを作っていってもらいたいと思いますよね。

富川アナ:通路にものを置いてしまうのも、築地ルールってあえて言いましたけど、皆さんそうやって感じてるんですけれども、しっかりとせっかく区画を整理しているので、東京都としてもですね、早く慣れて適切な運用をしてほしいということを話していました。

徳永アナ:初日ですからね、いろいろあるかもしれません。

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【検証部分】
今回の放送の問題点は、豊洲市場への移転についての報道姿勢が偏っているように感じられることです。

まず、VTRでは、この日起きた様々なトラブルが取り上げられていました。
例としては、付近の道路が渋滞してしまったことや、火災などの偶発的なトラブルが挙げられます。
また、業者などにインタビューすることで、多くの業者がその思いを持っているような編集方法もなされていました。この中で一貫するのは豊洲新市場は中央卸売市場として不適格なのではないか、という視点です。

また、VTR放映後のスタジオでもこのような発言がされていました。
富川アナ:豊洲新市場、初日を迎えましたけれども、ディレクターが取材していましたところ、3つの課題というのが見えてきたんですね、それぞれ。一つ目、トラックの渋滞。ターレの移動について。そして場内の温度。これは建物内の温度ですね。(以下略)
まず、開始の時点から豊洲新市場の問題点を指摘。
その後も
富川アナ:(中略)荷物の流れとしては、中心部分に向かっていくっていうことで、非常にスムーズな流れだったと。作りとしてはそうだった。ただ、横で荷下ろしを始める人が多かったので、秩序は守らなきゃいけないということで豊洲が考えられて、しっかりと設計されたはずなんですが、今回のようなことが起きてしまったということなんですね。
ここでも設計について、あるいはそこでのルールのあやふやさなどを指摘していました。

最後には
後藤氏:そうですね。まあ今日、いろんなことが見えてきましたよね。ただこう、感じるのは、慣れたらできるっていうことと、慣れてもできないことってかなりあるんじゃないかと。つまり築地市場で、ターレってのは発達したわけですが、果たしてここで、きちっと機能していくのかどうかってのがありますよね。(中略)
富川アナ:通路にものを置いてしまうのも、築地ルールってあえて言いましたけど、皆さんそうやって感じてるんですけれども、しっかりとせっかく区画を整理しているので、東京都としてもですね、早く慣れて適切な運用をしてほしいということを話していました。
と発言。
ここに至るまで、VTR、スタジオでの発言を通して、新市場を作った目的(衛生面など)には触れることなく、初日に起こったトラブル、そして新市場に対するマイナスの意見ばかりを放送していました。
確かに、その日、その場所で何があったのかなどを細かく伝えることはメディアの大事な仕事の一つだと言えます。
しかし、これまでの移転延期の経緯や、各業者が運用にまだ不慣れである点なども考慮して放送を行うべきだったのではないでしょうか。

今回の放送は放送法の条文に直接抵触するとまでは言えないものの、視聴者や業者に配慮が必要だったのではないかと感じるものでした。

今後も監視を続けます。

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