7月25日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。
・後藤氏の北朝鮮情勢に関する解説
まずは放送内容を確認していきます。
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【スタジオ】
富川悠太アナ:この電撃的な板門店での笑顔の握手から1ヶ月と経たないうちに、北朝鮮が今朝早くに短距離弾道ミサイルをまた日本海に向けて発射しました。韓国政府は、ミサイルは2発で、新しいタイプのものとみられています。
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【VTR】
菅義偉官房長官:わが国の安全には全く影響ない…。
記者:被害状況は。
菅義偉官房長官:まったくない。
記者:今どういった状況なんでしょうか。
岩屋毅防衛大臣:今分析中ですね。ただわが国のEEZや領海に到達するものではないので、それは明らかですけども。詳細は今分析中です。
ナレーション:選挙が終わって、夏休みに入った安倍総理は。
安倍晋三総理大臣:あ、フェアウェー。
記者:総理、北朝鮮がミサイルを発射しましたが。飛翔体を発射しましたが。受け止めと政府の対応をお聞かせください。
安倍晋三総理大臣:わが国の安全保障に影響を与える事態ではないことは確認をしております。いずれにせよ今後米国と緊密に連携をしていきます。
ナレーション:韓国軍によると、発射されたのは2発で、ともに新型の短距離型弾道ミサイルだとされています。そのうちの1発は、690kmを飛びました。690kmは、朝鮮半島全域と、九州・本州の一部が射程圏に入っています。
韓国国防相会見:北朝鮮が軍事的緊張緩和に役立たない行為を中止するよう求めます。
記者:今年に入って3度目の発射です。もう一段進んだ対応が必要なのでは。
韓国国防相会見:現在のところ、こうした行為をやめるよう強く要求することのみを考えています。
ナレーション:北朝鮮は8月から始まる米韓合同軍事演習に反発していて、2週間前にはすでにミサイル発射の兆候はあったそうです。ただ、中国とロシアが日本海で共同パトロールを行っていたり、昨日までアメリカのボルトン補佐官が韓国を訪問していたことから、タイミング的に今日になったと見られています。今のところ、北朝鮮側から何も声明などは出ておらず、平壌も平和そのものでした。
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【スタジオ】
徳永有美アナ:後藤さん、日本政府によると、発射されたのは2発より多いと見てるようなんですけども。北朝鮮の狙いというのは。
後藤謙次氏:日本政府内には2つの見方があるんですね。一つは韓国への反発ですね。来月、米韓合同軍事演習が予定されている。それからもう一つ、韓国がアメリカの最新鋭のステルス戦闘機F35Aの配備を進めてるんですね。この二つに対する反発だと。それからもう一つは、北朝鮮の国内向けなんですね。5月には北朝鮮は2回ミサイルを発射してるんですが、その直後に板門店で米朝首脳会談を行ったと。いわゆる柔軟路線に転じたんじゃないかと。それに対して、我々はそうじゃないと、これまで通りミサイルの開発を進めていくんだと、そういう国内向けのアピール。この2つがあるんじゃないかと、こう見てますね。
徳永有美アナ:確かにそのあと6月末にはトランプ大統領と会談がありましたし、アメリカとしては今回のことはどんなふうに受け止めているんですかね。
後藤謙次氏:トランプ大統領の基本的な考えは、近距離ミサイルについては大した問題ではない。ですから北朝鮮もアメリカを刺激しない、影響を与えない範囲の近距離ミサイル。
この発射を続けることによって、既成事実化を狙うと。こういう狙いもあるんじゃないかと。その意味では今年の終わりを目指して、北朝鮮と非核化交渉やろうということになってるんですが、こういう計画にあまりにも頻度を上げてくると、今度はアメリカが我慢できなくなって、またまた米朝交渉が決裂する可能性がある。近く開かれるARFにも北朝鮮からリ・ヨンホ外相が出席しないということになってますから、なかなか米朝会談、今後展望が開けてないという状況だと思いますね。
徳永有美アナ:気が付けばどんどんミサイルの開発が進んでいるようにも思えますし、日本としては心配な限りですよね。
後藤謙次氏:そうですよね。
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【検証部分】
今回検証する発言は以下の部分です。
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後藤謙次氏:日本政府内には2つの見方があるんですね。一つは韓国への反発ですね。
来月、米韓合同軍事演習が予定されている。それからもう一つ、韓国がアメリカの最新鋭のステルス戦闘機F35Aの配備を進めてるんですね。この二つに対する反発だと。それからもう一つは、北朝鮮の国内向けなんですね。5月には北朝鮮は2回ミサイルを発射してるんですが、その直後に板門店で米朝首脳会談を行ったと。いわゆる柔軟路線に転じたんじゃないかと。それに対して、我々はそうじゃないと、これまで通りミサイルの開発を進めていくんだと、そういう国内向けのアピール。この2つがあるんじゃないかと、こう見てますね。
徳永有美アナ:確かにそのあと6月末にはトランプ大統領と会談がありましたし、アメリカとしては今回のことはどんなふうに受け止めているんですかね。
後藤謙次氏:トランプ大統領の基本的な考えは、近距離ミサイルについては大した問題ではない。ですから北朝鮮もアメリカを刺激しない、影響を与えない範囲の近距離ミサイル。
この発射を続けることによって、既成事実化を狙うと。こういう狙いもあるんじゃないかと。その意味では今年の終わりを目指して、北朝鮮と非核化交渉やろうということになってるんですが、こういう計画にあまりにも頻度を上げてくると、今度はアメリカが我慢できなくなって、またまた米朝交渉が決裂する可能性がある。近く開かれるARFにも北朝鮮からリ・ヨンホ外相が出席しないということになってますから、なかなか米朝会談、今後展望が開けてないという状況だと思いますね。
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この発言の問題点は以下の2点です。
・様々な論点からの解説ではなかった可能性がある
・事実と異なる恐れのある発言があった可能性がある
1点目から見ていきます。
今回の北朝鮮のミサイルの発射に伴い、その狙いについて後藤氏は、アメリカと結びつきを強める韓国に対する反発と強権的な力を維持するため国内へのアピールの2つがあると解説しています。
しかし、この解説の中では北朝鮮の内情や日本の立ち位置について一切触れていません。
北朝鮮がこのようなミサイル実験を繰り返す事情としては経済制裁によって、経済状況がかなり苦しいという点が挙げられます。
北朝鮮としては、経済制裁を緩和しないんであれば武力で解決するぞ、ということです。
実際に北朝鮮はサイバー攻撃などの方法で資金を獲得せざるを得ないほど苦しい状況です。
こういう事情を踏まえると、日本を含んだ経済制裁は効果が出始めているという見方をすることも可能です。米朝首脳会談も複数回実現し、トランプ大統領が37度線を超えるというかつてなかったことも実現されてきました。
ICBMなどの長距離ミサイルの実験が行われていないことからもアメリカとの交渉のパイプは残して置きたいという意思も伺えます。
このように、北朝鮮内部の事情や日本の立ち位置という重要な論点が欠けている放送は以下の放送法に抵触する恐れがあります。
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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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続いて2点目の検証点について見ていきます。
後藤氏はアメリカ、トランプ大統領の基本的な方針として短距離ミサイルであれば大きな問題ではない、と解説しています。
確かにアメリカ本土までは届くこと可能性のあるミサイル実験を行うのと短距離ミサイルの実験では大きな違いがあるのは間違いありません。
しかし、大した問題ととらえていないと言い切ることはできません。
実際に米朝関係が緊迫していた昨年の5月には在韓米軍家族の退去準備が進められていました。
韓国にも多くのアメリカ国民がいるため、短距離ミサイルはもちろん、37度線に並べられた砲台も米朝間の情勢次第では大きな問題と成り得るのです。
このような事実を述べずに、北朝鮮のミサイル実験におけるアメリカの方針を断定するような発言は以下の放送法に抵触する恐れがあります。
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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。