2018年1月25日 報道ステーション

2018年1月25日 報道ステーション

2018年1月25日 テレビ朝日「報道ステーション」の報告です。

今回の放送で一番時間を割いた話題は「日本列島への寒波直撃」についてのニュースでした。
今後も厳しい冷え込みは続く見込みですので皆さん風邪などひかれないよう、十分ご注意ください。

さて、今回の放送回で検証していきたいのは、今年度の確定申告について報じた部分です。

詳しく見ていきます。

【放送内容】
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小川アナ「来月16日から確定申告が始まります。国税庁は今日、適正な申告を呼びかけるキャンペーンを行ったんですが、その国税庁トップへの視線は厳しいようです。」
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冒頭、小川アナが来月16日からの確定申告について触れます。続けて小川アナは、その申告を呼びかけている国税庁のトップ、つまり佐川宣寿国税庁長官への国民の視線が厳しいという発言をし、VTRがスタートします。

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ナレーターが今年も確定申告のシーズンが近づいたことに触れ、東京国税局王子税務署の吉田隆夫所長の発言が放映されます。
吉田所長「ぜひぜひ早めの確定申告をお願いしたいと思います。」

その後、VTRは昨年2月の衆議院予算委員会での一幕に変わります。
ナレーター「税金を徴収する国税庁のトップは、森友学園問題で記録を破棄したと繰り返してきた佐川前理財局長です。」
佐川前理財局長「交渉記録というのはございませんでした。」

また、ナレーターは、佐川国税庁長官が就任後も会見などを開かず、公の場に姿を現さなかった一方で、業界紙「税理士会」に登場し、「満面の笑み」で「組織論」を語っていたと主張します。
佐川長官の掲載文「些細な問題でも対応を誤れば、組織の信頼を失ってしまいます。信頼される組織運営を一層進めてまいりたい。」

ナレーター「ただ、身内の視線は冷ややかなようです。」
ナレーターは国税庁の労働組合「全国税労働組合」が発行する機関紙「全国税」から引用する形で、佐川長官に対して一般職員の不満が高まっていると主張。
「職員が批判の矢面に立たされている」という掲載文も紹介しました。

続いてVTRは、街中の人々の声として、新橋駅前での男性2人へのインタビューの映像を放映します。
個人事業主「100円 200円の領収書でも必ずもらって。税務署のチェックも厳しいので。そういうこときちんとやってますけれども。日本の国はこれでいいのかという思いは強い。」
個人事業主「そういう人が昇格するというのは他の人のモチベーションを下げることはあっても上げることはない。」
その後、月曜日のテレビ朝日の直撃取材に対して無言で立ち去る佐川長官の映像を放映しました。

VTRは25日の国会の映像に切り替わり
ナレーター「今日の国会でも説明責任を求める声が」
無所属の会・岡田克也代表「この際、森友学園に関する政府内のすべての記録を公開し、説明責任を果たすべきです。総理が命じれば実現します。」
安倍晋三総理大臣「文書の管理保存については各行政機関が責任を持って行っており、今後国会の場において、財務省など関係各省庁からしっかり説明させていただきます。」
行政の文書保存に関する安倍総理の答弁を最後にVTRが終了。
カメラはスタジオへと戻ります。

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富川アナウンサー「今日の代表質問はどうご覧になりましたか。」
後藤謙次氏「そうですね。このやりとりを何度聞いたか、そんな印象ですよね。去年の選挙以来、安倍総理は何度も真摯に丁寧にと。こう言ってるんですが、一向にそれは何をやったんだと。答えは出てきてないというのが実情ですよね。
最近、近畿財務局が文書を公開しました。この文書は部内文書であって、交渉記録ではないと言ってるんですが、これは屁理屈と言わざるを得ませんよね。」
富川アナ「交渉の経緯は示されているわけですからね。」
後藤氏「はい。」
富川アナ「ただ、その交渉記録は破棄したと言い続けていた、佐川国税庁長官。無言を貫いていますね。」
後藤氏「そうですね。我々は憲法を持ってるわけですね。その憲法15条には『すべて公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。』さらにですね、『公務員を選定し、及び罷免することは国民固有の権利である』こう規定されているんですが、実際にですね、公務員を選べない、つまり国民は選べないんですね。選べるのは市長であったり、町長であったり、あるいは議員なんですね。つまり、政治家が選ぶ一般公務員、その選定責任というのが極めて重いということなんですね。
より慎重に、そしてより客観性公平性そして透明性。とりわけ税金を取り扱う公務員の皆さんの責任が非常に求められるわけですね。去年の暮れにまとまった税制改正。この中にはですね、高い給与を獲る会社員に対しては増税。一方で法人については、賃上げをした企業に関しては減税をするという決定をしているわけですね。より、税金に関わる公務員の公平性をさらに厳しく追及していかなければいけないと思います。」
~以下略~
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【検証】
今回の放送で問題があると考えられる点は、主に2点あります。
1点目が佐川長官を機関紙面上で非難していた、「全国税労働組合」についての報道での取り扱い方が不自然であること。
2点目は街頭インタビューの取り上げ方が放送法に抵触している可能性があること。
この2点です。

 まず、1点目で取り上げた「全国税労働組合(全国税)」についてです。全国税とは、日本の国税業務職員で組織される労働組合のことです。テロップでは、「労働組合」との記載などは一切なく、「国税庁の職員の多く」が佐川長官を非難しているようにも受け取れるような番組構成となっていました。
また、国税業務職員で組織される労働組合は大きく分けて二つあります。1つが先ほどから登場している、全国税、もう一つが国税労働組合総連合(国税労組)です。実は、後者の国税労組は前者の全国税に比べて、加盟者数が圧倒的に多いのです。国税労組のホームページから同じ時期に発行された機関紙のコピーを閲覧しましたが、佐川長官を非難するような記載は確認できませんでした。
このように、佐川長官を非難している主体が「労働組合」であることが不透明な番組構成になっていること、そもそも、非難している組合自体の加盟者数が少なく、一般の職員の声を反映しているのかが不明であることは指摘されるべき事柄ではないでしょうか。

2点目についてです。番組は2人の男性個人事業主を登場させました。この2人ともが佐川長官や現在の国税庁の体制を批判しているように受け取れるような発言をしていました。これは放送法の第4条2項「政治的に公平であること」という文言に抵触しているように感じられました。

以上2点の問題から、今回の放送は放送法や印象操作に抵触している可能性があります。

今後も監視を続けます。

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