2018年2月7日 報道ステーション

2018年2月7日 報道ステーション

2018年2月7日 テレビ朝日「報道ステーション」の報告です。

今回の放送で一番時間を割いた話題は「貴乃花親方 独占インタビュー」についての話題でした。

貴乃花親方へのインタビューをVTRとしてまとめ、スタジオの富川アナウンサーやコメンテーターの後藤謙次氏も意見を述べていましたが、特に印象操作や放送違反法に抵触するような箇所は見当たりませんでした。

さて、今回検証していきたいのは大雪に伴う、国道8号線の通行止めについて報じた部分です。
詳しく見ていきましょう。

【放送内容】
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小川アナウンサー「立往生が続く国道8号。福井県のですね。こちらはですね、ドライバーが撮った写真なんですけれども、この方は昨日の朝6時30分に家を出て、1時間ほどの職場に向かう途中のあわら市で立止めとなってしまったんですね。(中略)車内に閉じ込められること40時間。つらいですね。2日目の夜を迎えています。」

冒頭、小川アナがあるドライバーの方の撮影した写真を背景に、その方の車が2日間同じ場所で足止めされていることを伝える前振りをした後、VTRがスタートします。

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降り続く雪の様子を映しながら
ナレーター「うんざりするぐらい降り続けている福井県の雪。立春寒波のピークは過ぎつつあるものの、降り積もったその高さは1メートル45センチを超えました。」
と発言。

その後は視聴者提供の映像を立て続けに放映します。
視聴者①「家の窓からの雪です。外の景色が見られないくらい積もっています。もう勘弁してほしいです。」
視聴者②「もうみんな雪かきはあきらめているみたいです。車も全然走ってないです。お店やってないですね。おむつを買いに来たんですけど薬局がやってません。」

映像は当日昼頃の国道8号で撮影した映像に切り替わり
ナレーター「昨日1500台が立往生した、あの国道8号に行ってみると自衛隊が復旧作業を行っていました。」
「除雪は夜通し行われましたが、それでも完全復旧のめどはまだ立っていません。埋もれた車の周りの雪を1台ずつ取り除いていくしか、方法は無いからです。」
自衛隊広報「除雪の方法に自衛隊特有の技術はありません。まあ人海戦術ですね、体力には自信があるので。」
ナレーター「ちなみに食料を配ったり、燃料を補給するのも自衛隊の役割です。」
「立往生は現在、1100台になっているそうです。」

映像は2月6日午前0時の国道8号線に切り替わり、
記者「時刻は現在、午前0時を過ぎたところです。日付を超えてもまだ、渋滞が続いたままです。」
記者「どうやってこの一昼夜を過ごすんですか。」
トラック運転手の方「もう開き直って寝るしかないよ。仕方ないもん。あきらめるしかないもん。諦め。じたばたしても仕方ない。お、ちょっと動いた。動いていい?」
記者「動くの嬉しいですね。」
トラック運転手の方「ちょこっとでも動くと」
ナレーター「8時間後再び訪ねてみると」
記者「きのう話を聞かせてもらった所から―」
トラック運転手の方「1㎞くらい動いてる。1㎞か2㎞動いてる。そこから全然動いていない。高速さえ動けばいいけど。」

続いてナレーターが国道8号の立往生の原因の一つが、並走する北陸自動車道の通行止めと紹介。その道路が午後には一部が通行可能になり、取材班は別の取材へ向かうため、高速道路へ向かいます。しかし、事故によって除雪車が入れなくなり、すぐに立往生してしまったことも伝えられました。
ナレーター「今回の雪によって北陸の大動脈で起きた立往生は物流にも大きな影響を及ぼしました。」
記者「雪の影響で欠品というお断りもありますね。」
ここでCMが入りました。


CN明け、福井市内のスーパーへとカメラが入ります。
記者「福井市内の大型スーパーに来ていまして、まだ午後2時を過ぎたところなんですけれどもほとんど商品ない状態なんですよね。(中略)従業員の方もほとんどいらっしゃらないですよね。」
スーパーの副店長「大手メーカーのパン屋さんが今日は全く入っておりません。北陸と言いますと、石川県の金沢に物流の拠点がありますので、その物流が止まってしまっているのでもう在庫だけ。」
買い物客「買えるだけ買おうかなと思って。カップラーメンとか、総菜系じゃなくてしばらく日持ちするもの」
店のアナウンス「本日は雪のため、午後4時までの営業とさせていただきます。」
この店内放送を最後にVTRは終了。カメラはスタジオへと戻ります。

富川アナウンサー「そして、国道8号では今もおよそ1100台の車が立ち往生してるんですね。現在の様子を見てみます。えー境市のあたりで、下りですね。いま福井市方面を映しています。(中略)上り側も映していただけますでしょうか。(中略)ここは少しずつ動き始めているようなんですが、まだスタックしている車、何台も見えまして、今トラックの周辺、自衛隊の姿が見えますね。タイヤの周りの雪をスコップでかき出している様子が見えます。最初は手作業でしかできなかったんですけれども、スペースを作ってようやく重機も入れるようになったということでややスピードは上がっているという状況です。」
「各地から1100人ほどの自衛隊の皆さんが除雪などのために駆けつけていまして、今写っているのが、新潟から来た自衛隊員の皆さんです。こちらの皆さんはですね、昨日の夜10時から除雪作業を続けていて、220台を救ったということなんです。ただ、24時間で除雪できたのは、手作業がメインだったというのもあって、わずか1.5㎞ほどなんですね。 (以下略)」
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【検証部分】
いかがでしょうか。今回の放送の問題点。
それは、最後に紹介した、富川アナの発言です。

他県から派遣され、ほぼ重機が使えず、特殊な技能のない中で、必死に道路の除雪作業をしていた自衛隊の隊員たち。その彼らに対して富川アナは、「24時間で除雪できたのは、手作業がメインだったというのもあって、わずか1.5㎞ほどなんですね。」と発言しています。
その1.5㎞の除雪のために、自衛隊員がどれだけの時間と労力をかけていたのか考えたとき、「わずか」という言葉の選び方は果たして適当なのでしょうか。

「わずか」に込められた意味は「自衛隊は役立たず」ということなのか、「あの自衛隊をもってしてもこれしかすすまない。それほどすごい積雪。」ということなのか、富川氏の言わんとすることはこの情報からは不明です。しかし、これまでの報道姿勢を勘案して前者だと受け止める人が少なからずいた。これこそが問題ではないでしょうか?常習犯は真っ先に疑われる。それだけのことです。富川氏は自分がどう見られているかもう少し意識すべきだったのではないでしょうか?

また、報道ステーションは、今回の放送で①自衛隊員が手作業で業務にあたっていたこと②重機すら入れないほどの豪雪であったことは実際に報じていました。道路の道幅を10mと考え、積雪が1mだったとすると、1.5㎞除雪するためには体積にして15,000㎥もの雪を道路の外側へと掻きださなければなりません。
そうであるならば、除雪作業にあたる自衛隊の隊員たちをねぎらうような発言もできたのではないでしょうか。

さらに、番組内では、今後の雪の降り方などは紹介されていましたが、除雪の今後の見通しについてなどは触れられていませんでした。マスコミとして情報の拡散だけでなく、視聴者に役立つような情報を提供するという点でも、今回の放送は再考の余地がありそうです。

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