2018年2月13日 テレビ朝日「報道ステーション」の報告です。
今回の放送で一番時間を割いた話題は「平昌オリンピック」についての話題でした。
ノルディックスキー・ジャンプ女子ノーマルヒル競技で見事銅メダルを獲得した、高梨沙羅選手の活躍をVTRで紹介した後、松岡修造さんによるインタビューを放映。特に印象操作や放送違反法に抵触するような箇所は見当たりませんでした。
高梨沙羅選手、本当におめでとうございます!
これからの日本人選手の活躍にも期待しましょう!
さて、今回検証していきたいのは当日の国会審議について報じた部分です。
詳しく見ていきましょう。
【放送内容】
富川アナ「さあこの後は、次々と出てきているんです。森友文書が。」
立憲民主党 長妻昭政調会長「これ全部出してくださいよ。何やってんですか。本当に国会をなめるなと言いたいよ。」
ふてぶてしい表情をした、麻生財務大臣、安倍総理大臣を映し、CMへ。
富川アナウンサーが森友問題関連の文書が続々と出てきていることに触れた後、長妻昭議員による質疑を放映。直後、一旦CMに移ります。
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CM終了後
小川アナ「今日の国会です。先週財務省が公表した、森友問題に関する文書から新たなことがわかりました。」
小川アナが、新たな森友問題関連の文書が発見されたことを伝えた後、VTRがスタートします。
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長妻昭議員「新たな資料は3ページにわたって交渉記録が事細かに書いてある。」
ナレーター「これまで廃棄したとされていた、森友側と国の交渉記録。」
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直後、VTRで昨年3月の、当時の佐川宣寿理財局長の答弁が放映されます。
佐川理財局長(当時)「面会等の記録につきましては破棄している。」
「詳細な面会の記録等につきましては残っていない。」
ナレーターが、先週財務省から開示された資料の中に森友学園側との面会のやり取りとも取れるものがあったと主張。
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場面は再び長妻議員の質疑に戻り
長妻昭議員「あるじゃないですか、交渉記録。」
麻生財務大臣「相手方の主張とか当方の考え方が含まれていると存じますが、いわゆる応接メモとか面接記録面会記録ではありません。」
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VTRは変わり
ナレーター「あくまで面会の記録では無いというこの文章。2015年1月9日にはこう書かれていました。」
「貸付料鑑定結果が出たことから、当局が学校法人を訪問し、国の貸付料の概算額を伝える。」
「これは契約する前のことです。」
というナレーションが放映されます。
さらに、鴻池祥肇参議院議員の下に籠池氏が同1月9日に陳情に訪れたことも伝え、このことに対する佐川局長(当時)の答弁を放映しました。
佐川理財局長「(契約了承前に)予定価格とか賃料とか先方に提示することはございません。」
「そういった提示をすることはない。」
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再び長妻議員の質疑に戻り
長妻昭議員「『賃貸価格について学園側に先に伝えて交渉することはない』とこういう風に国会でおっしゃっておられて、これ全然逆ですよね。」
麻生財務大臣「賃料の算定方法について問われ説明したと。具体的な金額を提示したことはない。」
長妻昭議員「嘘に近いといっても過言じゃないんじゃないですかね。こういう資料最後でしょうね。まだあるんですかね。」
麻生財務大臣「今後もご要請があり、仮に該当する資料があれば私どもとしては資料の内容の確認など、一定の時間をいただく必要はあろうと思いますけれども提出に向けて努力してまいります。」
麻生大臣の答弁を最後にVTRが終了。カメラはスタジオへと戻ります。
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富川アナ「後藤さん、まだまだ資料が出てくる可能性があるということですか。」
後藤謙次氏「大いにある気がしますよね。佐川さん、もともと理財局長時代にですね、国会答弁では全ての記録が無いんだと。それを盾にですね、あらゆる経緯だとか説明を拒んできた。その前提が今ガラガラと音を立てて崩れ始めてるわけですね。そうなると、政府は全部それを出すと、佐川さんは然るべき場所で、きちんと国会の場で答えるというのが責任だと思うんですよね。
ただ、今日の委員会を私もTVで見てましたけれども、安倍総理も麻生副総理も問題なしの一点張りなんですね。ただし、それに対してのさしたる根拠も示さないまま、ある意味力で押し切ろうと、そういう姿が見え見えなんですね。
佐川さんについてはですね、国会できちっとやってもらうというのが前提なんですが、これはある意味で佐川さんが防波堤になっているわけですね。ここで国会招致が実現してしまいますとその次には昭恵夫人に焦点が移ってくると。こういう流れもここで何とか食い止めようという与党側の思惑があるんじゃないかと。そう見えてきますよね。
(以下略)」
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【検証部分】
今回の放送で問題があると思われる点は大きく分けて2点あります。
1点目は、質疑の内容を映したVTRが野党寄りに感じられる点。
2点目は、後藤氏の発言に疑義がある点です。
1点目についてですが、CMに入る直前に長妻昭議員の質疑を放映した場面では、厳しく問い詰める長妻議員とそれを苦々しく聞く麻生財務大臣、安倍総理大臣も併せて映し出されました。CM後のVTRでは、長妻議員と麻生大臣の丁々発止のやり取りが続いていましたが、CM前のVTRではこの長妻議員の発言部分しか放送されておらず、長妻議員の主張だけが一方的に視聴者の耳に入る作りになっていました。もし、番組の制作者が視聴者への刷り込みのため、あえてCM直前にこの場面を入れてきたとすれば、印象操作といっても過言ではないでしょう。
また、麻生大臣と長妻議員のやり取り部分は、全体的に、長妻議員の質問を補強する形式で作られたナレーションやVTRが流れた後、長妻議員が質問し、麻生大臣の答弁が放送される構成になっていました。「補強VTR→長妻議員→麻生大臣」の順番です。これでは、長妻議員と麻生大臣の放送時間が許容できる範囲(上記グラフの通り、長妻議員66%・麻生大臣34%でした。許容できるかどうかについては賛否が分かれる数字かと思います。)であったとしても、全体としてみればナレーションやVTRまでもが長妻議員の質問を構成する一部となり、視聴者側から見たときに長妻議員の方が多く取り上げられている内容となってしまいます。実際、長妻議員の質問を補強する「ナレーション・VTR」を含めれば、グラフの通り長妻議員の質問放送時間は87%、麻生大臣の答弁放送時間はわずか13%にすぎません。
野党が問題提起をして政府側が答弁するという今回放送された国会質疑の性質上、質問に沿った形式でナレーションやVTRを加えることは、仕方のないことかもしれません。また、今回のナレーションやVTRすべてが、長妻議員の質問をフォローする内容だったとは言い切れません。両者の主張を放送するうえで欠かせないナレーションやVTRもあったので、その面を考慮すれば、放送上の長妻議員側の質問時間は87%よりももっと少ないことでしょう。
しかし、そうであったとしても、ナレーションやVTRは長妻議員の質問に合わせてカスタマイズされているので、少なくとも数十%は麻生大臣よりも長く、長妻議員側の質問が放送されていたはずです。(私の勝手な分析では、ナレーション・VTRを「半分が説明上欠かせないもの、半分が長妻議員の質問を構成するもの」と考え、全体のうち3割が欠かせないナレーション・VTR、6割が長妻議員の質問時間、1割が麻生大臣の答弁時間といったところです。)
このことを考えれば、政府側の答弁をもう少し長く放送するべきなのではないでしょうか?そうすることで、全体としての公平性が担保されると考えます。
2点目についてですが、後藤氏は「(問題ないという発言に)対してのさしたる根拠も示さないまま、ある意味力で押し切ろうと、そういう姿が見え見えなんですね」という発言をしています。
後藤氏自身、なぜ麻生大臣らが「力で押し切ろうという姿が見え見え」なのかをはっきりと説明しているわけではありません。今回の放送では、政権のトップである安倍総理が答弁席に立つ姿は1度も確認できませんでした。番組は、答弁をする政権トップの姿を放映した上で後藤氏の発言を放送するべきではないでしょうか?本当に「力」で押し切ろうとしているのでしょうか?
後藤氏の発言自体が放送法第4条違反に抵触する可能性があるうえ、事実に基づいているのか不明であるというのが、今回の放送でした。
今後も監視を続けます。