2019年3月26日 報道ステーション

2019年3月26日 報道ステーション

3月26日の報道ステーションのレポートです。
この日の放送では防衛費・武器輸出など、日本の国防に関係する報道がなされていました。

日本は憲法9条があるため、日本人が戦闘地域にて実際に戦うという状況は戦後の日本ではありませんでした。
しかし、朝鮮戦争以来日本の在日米軍基地から飛び立った飛行機が、軍艦が戦場に向かっているのです。
その意味で日本はこれまでアメリカ側の味方として戦争に参加していると言えます。
2015年の安保法案の際、集団的自衛権が許されるかどうかで激しい議論になりましたが、集団的自衛権は実質的に発動されてきたのです。

この背景がある中で武器輸出に進めると日本が戦争に巻き込まれる、などという議論は不安を煽るばかりで放送として不適当であるように思われます。

そこで今回検証する点は以下の2点です。
1.事実を曲げずに放送がなされていたか。
2.多くの論点を取り上げて放送がなされていたか。
この2点について検証していきます。

まずは放送内容から確認して参ります。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:次世代の戦闘機開発の現場にカメラが入りました。

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【VTR】
ナレーション:世界の軍事開発事業が見据えるのは、日本です。

—-【CM】—-
【スタジオ】
富川悠太アナ:国会では明日、来年度予算案が成立する見通しですけども、防衛費に注目してみますと、5兆円を超えていまして、過去最大を更新しているんですね。これはですね、アメリカからF35戦闘機ですとか、イージス・アショア、地上配備型迎撃ミサイルシステムも購入するといったことなども理由に挙げられるんですが、こうしたなかですね、日本としましては戦闘機開発、そして製造の技術を保たなければいけないということで、近い将来、5兆円を超える戦闘機開発プロジェクトを始動する予定なんです。そこに目を付けたのが、世界の軍事企業なんですね。その一つ、イギリスの巨大軍事企業を独自取材しました。

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【VTR】
ナレ:イギリス北西部の田舎町、ウォートンです。この町の一角に、巨大軍事企業BAEシステムズの、ヨーロッパ最大の戦闘機開発工場があります。

松原文枝記者:戦闘機がずらりと並んでいます。1年間に20機生産しているということです。こちらが最終工程です。イギリス空軍以外にも、サウジアラビアやカタールにも輸出しているということです。

ナレ:この開発現場に、日本のメディアとして初めてカメラが入りました。

BAE顧客納入担当 アンディ・フリン部長:では見ていきましょう。これは最新の運航中の戦闘機です。ミサイルを13カ所、9000kgも搭載できます。こちらは移動するターゲットを狙え、精密に空から陸上の標的を捉えます。ストームシャドー「巡航ミサイル」も搭載できます。

記者:これらのミサイルはシリアの内戦でも有効に使えるということですか?

BAE顧客納入担当 アンディ・フリン部長:その通りです。

ナレ:この戦闘機は、550機以上生産され、中東4カ国にも輸出し、イスラム国との戦闘や、シリアやイエメンでの内戦でも使われてきました。

BAE顧客納入担当 アンディ・フリン部長:重要なのは海外の顧客が望むとおりに機能を強化し輸出することです。この機体はキプロス島に配備されていて「イスラム国」の掃討作戦で使われています。

ナレ:こちらは、開発段階の最新鋭の操縦システムです。

操縦技術者:左の手のひらを上にしてボタンを選択して。

ナレ:コックピットに、計器やスイッチなどはありません。ヘルメットのゴーグル部分に映像が映し出され、そこに映ったスイッチなどを駆使して、操縦するのです。様々な情報を、瞬時にコンピューターが収集し、データ解析することで、隠れている見えない敵などもバーチャルで把握し、攻撃することが可能なのです。こうした最新の技術を駆使した次世代戦闘機の開発が、各国で進んでいます。

BAE次世代戦闘機担当 アンドリュー・ケネディ部長:次世代戦闘機は(新機能を)簡単にアップグレードできます。

記者:攻撃面では何が進むのか?

BAE次世代戦闘機担当 アンドリュー・ケネディ部長:詳細はお話しできません。

ナレ:このイギリスの軍事会社と政府が一体となって秋波を送るのが、日本です。

イギリス国防省 ダン・ストー空軍少将:日本は魅力的なパートナーです。我々と日本が組めば両国が望むものが作れます。(日本との)話し合いは始まったばかりですが、協力関係が進むことに期待したいです。

ナレ:さらに、アメリカのロッキード社からも。

米ロッキード F35日本事業担当 ジョエル・マローン部長:日本の防衛省と一緒にやれることにとても興味を持っています。非公式に協議もしています。

ナレ:なぜ日本なのか。鍵となるのは、安倍政権が5年前、条件付きで武器輸出を解禁したことです。各国との武器の共同開発も可能となりました。実は日本でもステルス戦闘機の研究を進めています。最難関とされたエンジンは、世界最高水準を去年達成しました。

防衛装備庁 エンジン技術研究部 高原雄児部長:(欧米の)最先端の戦闘機に使われているレベルと同じ推力の技術を日本で立証できたのは非常に大きな意義がある。

ナレ:敵を見つけるセンサー技術も、関係者によればロッキード・マーチン社を超えたといいます。ただ、次世代戦闘機にかかる予算は5兆円を超えると言われています。単独開発は厳しいという声もあります。そこで、世界の軍事産業が日本の資金力と技術に目を付け、共同開発を持ちかけようとしているのです。その先に見据えているのは、海外輸出です。

BAE日本事業担当 アンディ・レイサム上級副社長:日本の(防衛政策の)歴史は変わりました。多くの主要国は軍事品を輸出し成功しています。日本が望むなら、その仲間に加わらない手はない。防衛品の輸出は収益をもたらし、経費が削減できます。

米ロッキード F35日本事業担当 ジョエル・マローン部長:安倍政権が将来に向け、どのような動きをするのか個人的に注目している。

ナレ:自民党内からも、開発は日本主導とするうえで、戦闘機輸出を期待する声が上がり始めています。

—-【CM】—-

ナレ:これは、次世代戦闘機開発をめぐり、自民党の大江族議員が出した文書です。「数十兆円規模の経済効果が見込まれ、「成長戦略」の観点からも考える必要がある」。さらに、「将来的な移転を前提に」とあります。これは海外輸出のことです。防衛大臣は――。

Q:(次期戦闘機の)輸出を考えているか?

岩屋毅防衛大臣:日本が新しく決めた原則に基づけば、我が国の安全保障に資するということであれば、そういった装備の海外への移転も可能になっているということでございます。

ナレ:シリアやイエメンでは今でも内戦が続き、多くの犠牲者が出ています。世界的な軍事産業と組むことは、こうした紛争の一端を担うことに繋がりかねません。

記者:戦闘機の開発が世界の緊張をもたらすのでは?

BAE日本事業担当 アンディ・レイサム上級副社長:(ほとんどの国が)最高の防衛装備を持つことがどんな脅威にも対抗できる軍事行動だと考えている。そのため我々が開発するのは当然のことだ。

ナレ:世界の軍事産業は、様々な防衛装備品を作っています。BAEシステムズは、潜水艦や戦車、そして関連会社ではミサイルも。

BAE日本事業担当 アンディ・レイサム上級副社長:戦闘機での協力は出発点です。ここから海上・陸上・サイバーなど、他の分野でも協力範囲を広げられる素晴らしい機会だと考えています。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:後藤さん、これまで日本は平和を謳い、防衛に徹するという姿勢を見せてきたわけですけども、見てみるとこれまでの方針が変わる可能性っていうのも出てくるということですかね。

後藤謙次氏:大いにあると思いますね。今徳永さんがおっしゃったように、これまで日本は武器輸出三原則を貫いてきたんですね。それが防衛装備三原則に変わってですね、海外のいろんな企業ともそういう武器の開発についてもやれるという道が開かれたんですが、結果を今見ますとですね、じゃあ果たしてコストはカットできてるのか、あるいは新しい技術は身についているのか、というよりはですね、むしろ防衛上以外の問題で、たとえばトランプ大統領から強く言われてですね、イージス・アショアを買ってしまう。そういうとこのコストのほうが遙かに大きくなってるんですね。そしてもう一方VTRにもありましたように、この武器の開発に参加する、とりわけ国際的な大軍事産業と手を組むと言うことはですね、世界の紛争に日本が参加するということにも繋がりかねないんですね。日本はこれまで国際社会、とりわけ中東で大きな信頼を得てきたのは、その武器を輸出しないと。紛争当事国に。そういう国の方針があったからなんですね。これが、この原則が崩れるとですね、これまで日本が築いてきた信頼、ステータスというのが失いかねないと。いう意味ではじっくり一歩立ち止まって考えるという必要があるんだと思いますね。

徳永アナ:しかも私たち国民が知らない間にじわじわとそういうことが進んでいるかもしれないということですよね。

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放送をまとめると
①日本の防衛費が5兆円を超え、最高水準に。
②最新鋭戦闘機の購入を日本が検討している。
③安倍政権になってからの武器輸出の規制緩和によって武器の共同開発が可能に。
④防衛に徹してきた日本の防衛体制が崩れる。

日本は憲法9条、平和主義によって戦争に参加することはありませんでした。
確かに自衛隊が戦闘状態になったということはありません。
しかし朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争と在日米軍基地から戦地へと人や兵器が送り出され、様々な資金援助も行ってきました。
アメリカと戦争してきた国から見れば日本は確実に敵国です。

ここで後藤氏の解説を振り返ります。

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後藤謙次氏:武器の開発に参加する、とりわけ国際的な大軍事産業と手を組むと言うことはですね、世界の紛争に日本が参加するということにも繋がりかねないんですね。日本はこれまで国際社会、とりわけ中東で大きな信頼を得てきたのは、その武器を輸出しないと。紛争当事国に。そういう国の方針があったからなんですね。これが、この原則が崩れるとですね、これまで日本が築いてきた信頼、ステータスというのが失いかねないと。いう意味ではじっくり一歩立ち止まって考えるという必要があるんだと思いますね。
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朝鮮戦争以来日本はアメリカとともに戦ってきたにも関わらず、そこには触れず、今回の武器輸出にのみ触れ戦争を煽るような言動は都合が良い解釈によって平和主義を語っていると言わざるを得ます。
日本は事実としてアメリカの同盟国であり、アメリカと戦火を交えた国からして見れば日本は敵国です。中立国では断じてありません。
このような事実を捻じ曲げた放送は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
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次に見ていく点は日本の国防費についてです。
日本は自らの力のみで国防を達成しているとは言えません。
1945年の敗戦以来、米軍が駐留し続け日本はアメリカがありきの防衛体制であります。
このメリットとしては、世界で最も強い軍隊を有しているアメリカと戦争はしなくてよい、または防衛費のコストを安くできることが挙げられます。

防衛大学校の武田教授によると日本だけで防衛を行った場合、米軍撤退による経済的影響も加味すると必要なコストは約25兆円と現在の5倍程度の防衛費が必要になると試算されています。

ここで後藤氏の解説を今一度見てみます。

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後藤謙次氏:これまで日本は武器輸出三原則を貫いてきたんですね。それが防衛装備三原則に変わってですね、海外のいろんな企業ともそういう武器の開発についてもやれるという道が開かれたんですが、結果を今見ますとですね、じゃあ果たしてコストはカットできてるのか、あるいは新しい技術は身についているのか、というよりはですね、むしろ防衛上以外の問題で、たとえばトランプ大統領から強く言われてですね、イージス・アショアを買ってしまう。そういうとこのコストのほうが遙かに大きくなってるんですね。
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米軍と国防のコストという面で見るならば現在の米軍が駐留している体制で日本が出来る限りの事をしていくことがコストを抑える最も良い方法であると言えます。
アメリカの主張を無視して防衛体制を考えるのであれば莫大なコストがかかるという論点を提示すべきでしょう。
このような多くの論点を提示していない放送は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

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