2019年2月18日 報道ステーション

2019年2月18日 報道ステーション

2月18日の報道ステーションのレポートです。

今回の報道では安倍総理がトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦したとの報道と合わせて統計不正問題に関する報道も取り上げられていました。

今回のレポートで指摘していく点はスタジオにて特に解説が加えられていた安倍総理によるトランプ大統領、ノーベル平和賞推薦に関してです。

トランプ大統領に付き従うのは従属的でしかない、アメリカにノーと言えないのかと安倍総理を批判する一方、中国や韓国からの批判はすぐに受け止めてしまう二重基準を指摘し報道の公平性について見ていきます。

まずは放送内容を見ていきます。

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【VTR】
国民民主党 玉木雄一郎代表:トランプ大統領に対してノーベル平和賞を安倍総理が推薦したとの報道がありますけれども、これ事実関係を教えてください。

安倍晋三総理大臣:トランプ大統領はですね、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けて果断に対応しておられます。昨年、歴史的な米朝の首脳会談を行いました。その際には拉致問題について私の考え方を直接、金正恩委員長に伝えていただいたわけでございます。その上で申し上げればですね、ノーベル平和賞については、ノーベル委員会は推薦者と被推薦者を50年間は明らかにしないとしていることを踏まえまして、私からはこの方針にのっとってコメントは差し控えたいと思います。

ナレ:50年間公表しないというのは、ノーベル委員会の方針であり、推薦者が候補者を明らかにしたことは、過去にもあります。ただ安倍総理は、否定も肯定もしませんでした。

国民民主党 玉木雄一郎代表:一部報道されていることは事実ではないということですか?

安倍晋三総理大臣:事実ではないということを申し上げているのではありません。

ナレ:トランプ大統領が、安倍総理からノーベル平和賞に推薦されたと明らかにしたのは15日のことです。記者から北朝鮮の非核化について聞かれ、自らの成果をアピールする中で語ったのです。

トランプ大統領(テロップ):やるべき仕事はしてきたし、金正恩とは素晴らしい関係を築いている。日本の安倍首相がノーベル委員会に送ったとても美しい書簡の写しを受け取った。彼は日本を代表して敬意を込めて私を推薦したと言った。

ナレ:トランプ大統領の支持者の間では、初の米朝首脳会談が具体化した頃から、「ノーベル賞に値する」との声が上がり、トランプ大統領自身もまんざらではない様子でした。米朝首脳会談をお膳立てした韓国の文在寅大統領も、トランプ大統領を持ち上げていました。

文在寅大統領(テロップ):ノーベル平和賞はトランプ大統領が受賞すべきだ。私たちがほしいのは平和だけだ。

ナレ:韓国大統領府はきょう、あらためて「トランプ大統領にはノーベル平和賞を受ける資格が十分ある」としましたが、“文大統領は推薦していない”ことも明らかにしました。一方、日本政府はあくまで明言を避けていますが、アメリカ側から依頼されて推薦したとの見方も出ています。

インタビュアー:一部報道ではトランプ大統領側から推薦の依頼があったと報じられていますが、米側から推薦依頼はあったのでしょうか。事実関係をお願いします。

菅義偉官房長官:首脳間のやりとりですから詳細について答えることは控えます。

ナレ:トランプ大統領は、推薦された理由についても明らかにしています。

トランプ大統領(テロップ):日本の上空をミサイルが飛び警報が鳴っていた。それが突如日本人は安全を感じている。私のおかげだ。

ナレ:日本政府は、北朝鮮のミサイルが上空を通過するたびに警報を発し、各地では避難訓練を実施していました。日本政府はもう、北朝鮮の脅威はなくなったと考えているのでしょうか。

立憲民主党 長妻昭代表代行:核開発は続いているというレポートも出ましたよ、最近。ミサイルまだ持ってますよ。日本射程距離の中に入っている。

安倍晋三総理大臣:北朝鮮がすでに核について廃絶をするといった方向で走っているのであればですね、第2回米朝首脳会談を行う必要なんかないんですよ、長妻さん。いわば北朝鮮の脅威についてはですね、依然として存在するということは変わりがないということははっきりと申し上げておきたいと思います。

ナレ:アメリカ第一主義を掲げ、パリ協定など、国際的な様々な枠組みに背を向けるトランプ大統領が、ノーベル平和賞に値するのか疑問も出ました。

無所属 小川淳也衆院議員:トランプ氏なんですが中距離核戦力全廃条約から離脱を打ち出しています。イランの核合意から一方的に離脱を表明しました。エルサレムに大使館を移転して中東を混乱させています。ノーベル平和賞に推薦するなんてことはあり得ないし、日本国として恥ずかしいことだと思いますが総理いかがですか?

安倍晋三総理大臣:今、同盟国の大統領に対して口を極めて批判されたわけでございますが、米国は日本にとって唯一の同盟国であり、その国の大統領に対しては一定の敬意を払うべきだろうと、私はこのように思うわけです。御党も政権を奪取しようと考えているのであればですね。

ナレ:統計不正問題については、官邸の意向で調査の方法が変わったのではないかと野党が追及しました。

立憲民主党 長妻昭代表代行:決裁文書まで改ざんした政権ですよ。何でもありですよ。

安倍晋三総理大臣:政権として影響を及ぼしていないことは明らかになったと思います。

ナレ:議論になっているのは、毎月勤労統計で中規模の事業所を調査する方法についてです。去年1月からサンプルの取り方などが変わったことで、賃金のデータが上振れし、それを野党は問題視しています。調査は元々サンプルを2~3年ごとに全て入れ替える方式でした。入れ替えるとギャップが生じるため、データを補正した結果、2015年には、それ以前の数値が軒並み下方修正されました。当時総理秘書官だった中江元哉氏は厚労省の幹部に対し、調査方法の改善に関して、問題意識を伝えます。

立憲民主党 逢坂誠二:問題意識を伝えたと。これどういう意味ですか?

中江元哉前総理秘書官:改善の可能性について、考えるべきではないかと
私はそういう問題意識を持ちました。それを厚労省の方にお話ししたということでございます。

立憲民主党 逢坂誠二衆院議員:政府の方、この問題の答弁でみんな口を揃えて「問題意識を」と、言葉を合わせたように「問題意識を伝えた」って言ってる。示し合わせた答弁のように思えてならない。

中江元哉前総理秘書官:秘書官である私個人としての考えということで、その問題意識を厚労省の方にお話申し上げたということでございます。

ナレ:およそ二ヶ月後、厚労省は調査方法の見直しを議論する有識者会議を立ち上げました。会議では、調査方法を変えないことでいったんはまとまりますが、1ヶ月後には――

テロップ:厚労省の担当者「サンプル入れ替え方法については、引き続き検討することとする」ということで修正させていただいた。

ナレ:引き続き検討するとしたものの、その後、会議は開かれることはなく、議論の場は総務省の統計委員会へ移りました。そしてサンプルを毎年部分的に入れ替える方法に変更されたのです。この間、中江総理秘書官が安倍総理に、サンプルの入れ替えについて説明していたことがわかっています。

国民民主党 玉木雄一郎代表:私は、やはりこの一連の過程を見ますとね、自分たちに都合のいい統計手法に変更していく流れが、これ作られてるんじゃないですか。まさにアベノミクスの成功を演出するための統計改革という名を借りた、恣意的な統計の操作を官邸主導でやったのではないかと思われますが、総理、いかがでしょうか。

安倍晋三総理大臣:私は当時の秘書官から検討会に関する報告を受けてもおりませんし、私からは何ら指示をしていないわけであります。専門家の検討を経て統計的な観点から行われたものであると承知をしております。

国民民主党 玉木雄一郎代表:総理の明示的な指示がなくても霞が関は必死で合わそうとしているわけですよ。いや総理笑うけどね、そこの自覚がないことがいろんな問題を生じさせていると思いますよ。だってそうしないと出世できないですもん。

安倍晋三総理大臣:玉木議員の推論の目標である我々が統計をいじって我々の政策を良くしようと見せていたわけでは全くないということを申し上げたい。

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【スタジオ】
富川悠太アナ:今日の安倍総理の答弁は、後藤さんはどうご覧になりましたか。

後藤謙次氏:ちょうど家計学園の問題もありましたね、あれと非常によく似ていると。総理秘書官は関与しているけど、自分は知らないと。今回もまったく同じ構図でですね、本来国会が持っている行政を監視すると、そういう機能が十分発揮していないと、つまり噛み合わずにですね、非常に歯がゆい国会ということになりましたね。

徳永有美アナ:それにしても国際社会からかなり風当たりの強いトランプ大統領に対してノーベル平和賞を推薦するということが、もし安倍総理、事実だったとするならば、世界的に見て安倍総理の評価っていうところがちょっと変わってくるかもしれないですね。

後藤氏:それは私自身も昨日これニュースで見たときに、嘘だろ、冗談だろって最初に思いましたよね。そしてやはり、ノーと言えない日本なんだなと。つまりトランプ大統領から要請があればですね、この手の問題でもイエスと答えてしまう。そういう状況に追い込まれてる。トランプ大統領といえばですね、VTRでもありましたように、世界のルール、これにずっと背を向けてきた人なんですね。その人が果たしてノーベル平和賞に相応しいかどうか、これは全世界がある面で注目一致しているんだと思うんですね。その人にわざわざ推薦すると。安倍さんにとって誤算はですね、トランプ大統領がこのことを暴露してしまったと。ここ非常に大いなる誤算だと思うんですが。

徳永アナ:喜々としてお話ししてましたよね、トランプ大統領は。

後藤氏:それとトランプ大統領を評価するってことはですね、トランプ大統領と米朝首脳会談をやった金正恩朝鮮労働党委員長も評価すると受け取られても仕方がないんですね。それまで制裁、制裁と一番強く言ってたのは安倍総理だったわけですから、それについてもですね、やはり自民党幹部のなかからも、これまでの言動からしてあまりにもおかしいんじゃないかと。そして米欧の人権感覚、あるいは平和家の渇望、そういうものを考えるとですね、やはり世界に失笑を買ってしまうんじゃないかなと。そんな感じは受けましたね。

徳永アナ:唯一の同盟国です、敬意を払いたいと言葉もありましたけれどもね、はい。

後藤氏:ちょっとね。

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まずは安倍総理がトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦にするよう米国から依頼があった、そして実際に推薦したという点を見ていきます。
これに関してはトランプ大統領がこれまで行ってきたことを簡単に振り返ります。
トランプ大統領は2016年アメリカ大統領選挙に当選し、大統領に就任しました。

大手メディアの報道ではトランプ大統領の過激な発言ばかりが取り上げられています。
例えばメキシコとの国境の壁建設というのもセンセーショナルに報道されていますが、
国境線を確立するというのは国家として当然のことです。
日本は海に囲まれているために、意識がアメリカという違うためそういった背景の説明も必要になってきます。

加えて中距離核戦力全廃条約からの離脱に関しても、ロシアの条約違反があってのものであり、核を巡る世界戦略の見直しという意図があります。
VTRで取り上げたような小川議員の感情的とも思える指摘だけではないのです。

北朝鮮に関しても史上初となる米朝首脳会談を実現し、問題を前進させてきました。
そして第2回の米朝首脳会談も計画しており、平和に向けて物事を前に進めていると言えるでしょう。

このような中でノーベル平和賞に推薦するというのがそこまでおかしい行動ではないとも思えます。

しかしスタジオ解説で後藤氏は以下のように述べています。

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後藤氏:それは私自身も昨日これ(安倍総理によるノーベル平和賞への推薦の)ニュースで見たときに、嘘だろ、冗談だろって最初に思いましたよね。
そしてやはり、ノーと言えない日本なんだなと。
つまりトランプ大統領から要請があればですね、この手の問題でもイエスと答えてしまう。そういう状況に追い込まれてる。
トランプ大統領といえばですね、VTRでもありましたように、世界のルール、これにずっと背を向けてきた人なんですね。
その人が果たしてノーベル平和賞に相応しいかどうか、これは全世界がある面で注目一致しているんだと思うんですね。
その人にわざわざ推薦すると。安倍さんにとって誤算はですね、トランプ大統領がこのことを暴露してしまったと。
ここ非常に大いなる誤算だと思うんですが。
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後藤氏は、日本はアメリカに「ノー」といえないから問題だと言っていますが、
2017年8月16日の報道ステーションで、靖国参拝に関する報道がありました。
そこで後藤氏は「靖国参拝した後、日中韓の関係が悪化した」という趣旨の発言をしています。

日本への内政干渉とも思える、中国・韓国による意見は聞くべきだが
米国の言うことを聞くのはおかしいという後藤氏の発言は二重基準と言えるでしょう。

加えて
トランプ大統領は「世界のルール背を向けてきた」と述べています。

そうでしょうか?

トランプ大統領は「世界のルール」を変えるべきではと思いながら、そのルールをないがしろにするのではなく、「離脱」という手順をしっかり踏んでいます。

中韓による靖国参拝中止を求めるという内政干渉とも思われる言動の方がよほど「世界のルール」に反しているでしょう。

後藤氏が公平な立場で発言しているとは思えません。
これは以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(2)政治的に公平であること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

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