2019年11月25日 報道ステーション

2019年11月25日 報道ステーション

11月25日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・日韓関係の解説が適当なものであったか

まずは放送内容から確認していきます。

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【スタジオ】
徳永有美アナウンサー:続いては日韓の軍事情報包括保護協定GSOMIAについてです。一難去ってまた一難。先週ギリギリで継続が決まったんですが早くも日韓の主張に食い違いが生じています。

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【VTR】
ナレーション(以下ナレ):GSOMIA継続の翌日土曜日に行われた日韓外相会談。来月の日中韓のサミットに合わせた首脳会談の開催に向け調整を始めることなどで一致しました。開催されれば去年9月以来となります。戦後最悪といわれる日韓関係もようやく底が見えるかと思われました。ところが早くも言った言わないの食い違いが起こっています。

鄭義溶国家安保室長(韓国・以下鄭室長)『GSOMIA延長と輸出規制撤回に関する合意について、日本側の行動に深い遺憾の意を伝え強く抗議した。とんでもない主張で韓国を刺激し続けるなら、今後どんな行動をとるかわからない』

ナレ:経産省が会見で韓国側が輸出管理の問題点の改善に向け、意欲を示したと発表したことなどに対し日本側が合意内容を意図的に歪曲して発表したとして強い言葉で非難しました。更に…。

鄭室長『日本側は経産省が膨らませて発表したと謝罪した』

ナレ:対する日本側は否定しています。

Q.韓国は日本から謝罪を受けたと
梶山博志経済産業大臣『そういった事実はありません』

ナレ:GSOMIAと輸出管理の厳格化をめぐっては一連の問題だとする韓国と別次元の問題だとする日本で考え方に今も大きな隔たりがあります。日本側はあえて反応しない構えです。

日本政府高官『韓国が国内向けにアピールしているだけだ』

菅義偉官房長官『韓国側の発信の一つ一つについてコメントすることは生産的ではない』
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【コメンテーターによる解説】
富川悠太アナウンサー:日韓の主張の食い違いというのは何がどうなってるんですか?

後藤謙次氏:結局、合意そのものがアメリカ主導で行われたということなんですね。日韓できちっと話し合いのうえで結論が出ていればこういう騒動は起きないわけですね。とりわけ日本側から今回の外交は日本外交の勝利だみたいな声が出てくると韓国側がどうしてもひと言いいたくなりますよね。今回の最大の成果は対話の窓口が守られたということなんですね。ゼロからの出発なのでこれを大切にやっていく。それが最高の道だと思います。
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【検証部分】
今回検証する発言は以下の部分です。

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後藤謙次氏:結局、合意そのものがアメリカ主導で行われたということなんですね。日韓できちっと話し合いのうえで結論が出ていればこういう騒動は起きないわけですね。とりわけ日本側から今回の外交は日本外交の勝利だみたいな声が出てくると韓国側がどうしてもひと言いいたくなりますよね。今回の最大の成果は対話の窓口が守られたということなんですね。ゼロからの出発なのでこれを大切にやっていく。それが最高の道だと思います。
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「アメリカ主導ではなく、日韓での話し合いによってGSOMIAの議論ができていれば、食い違いは起きていない」という部分について、この発言が事実であるのか検証していきます。

今回のGSOMIA破棄の撤回に至るまでの過程においてアメリカからの働きかけがあったのは韓国が日本との対話に取り合わなかったということが挙げられます。

韓国と日本は徴用工問題に関する歴史認識問題があり、両国の関係は悪化しています。
しかし、徴用工問題は1965年に締結した日韓請求権協定で本来解決済みの問題であるはずなのです。

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日韓請求権協定は,日本から韓国に対して,無償3億ドル,有償2億ドルの経済協力を約束する(第1条)とともに,両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題は「完全かつ最終的に解決」されており,いかなる主張もすることはできない(第2条)ことを定めており,これまでの日韓関係の基礎となってきました。

韓国大法院判決が,日本企業に対し,損害賠償の支払等を命じる判決を確定させました。これらの判決は,日韓請求権協定第2条に明らかに反し,日本企業に対し一層不当な不利益を負わせるものであるばかりか,1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の法的基盤を根本から覆すものであって,極めて遺憾であり,断じて受け入れることはできません。

《引用:大韓民国による日韓請求権協定に基づく仲裁に応じる義務の不履行について(外務大臣談話)》
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page4_005119.html

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ところがこの協定の解釈に違いがあり、日韓関係は悪化しました。

同協定では解釈の違いがあったときは、仲裁委員を指名する義務がある、と定められています。
韓国側はこれにも応じないため、日韓関係は悪化したのです。

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韓国大法院判決の執行のための原告による日本企業の財産差押手続が進む中,何らの行動もとらなかったことから,5月20日に韓国政府に対し,日韓請求権協定第3条2に基づく仲裁付託を通告し,仲裁の手続を進めてきました。しかしながら,韓国政府が仲裁委員を任命する義務に加えて,締約国に代わって仲裁委員を指名する第三国を選定する義務についても,同協定に規定された期間内に履行せず,日韓請求権協定第3条の手続に従いませんでした。

《引用:大韓民国による日韓請求権協定に基づく仲裁に応じる義務の不履行について(外務大臣談話)》
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page4_005119.html
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条約を守らない韓国に対して日本が譲歩をするのはおかしな話です。
そして、日本は韓国への働きかけを強める中でGSOMIAを破棄するという韓国側からの発表がありました。
このままGSOMIAという軍事情報に関する情報を共有するという枠組みから韓国が抜けて、喜ぶのは日本でもアメリカでもなく、北朝鮮や中国です。
そこでアメリカが出てきたのです。

GSOMIAの破棄は日本と韓国だけの問題ではなくなる可能性があっためアメリカが韓国への働きかけをしたにすぎません。

このように韓国と日本で話し合いをしていれば、日韓の食い違いは起きないという解説は事実と異なる可能性があり、以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。

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