2018年3月19日 報道ステーション

2018年3月19日 報道ステーション

2018年3月19日 テレビ朝日「報道ステーション」の報告です。

今回の放送で一番時間を割いた話題は「財務省文書書き換え」についての話題でした。

今回はこの話題について検証していきます。
詳しく見ていきましょう。

【放送内容①】
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富川アナ「森友文書の改ざん問題で、今日は7時間にわたって集中審議が行われました。誰が何のために改ざんしたのか。誰かの指示があったのか。真相が解明されない中、この週末ですね、世論調査が行われました。各紙見てみますと、朝日新聞が31パーセント、毎日新聞は33%、共同通信が38.7%と内閣支持率になりました。それぞれ10%ほど下落したんですね。そして今日になりまして、新たな改ざんも明るみに出てきました。」
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番組冒頭、富川アナが報道各社の世論調査で内閣支持率が軒並み下落したことを伝え、VTRがスタートしました。

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安倍晋三総理大臣「決裁文書など私はその存在すらも知りません。指示のしようがないわけであります。」
ナレーター「総理も出席した集中審議。また新たな改ざん文書が明らかに。そして追及の矛先は。」
財務省・太田充理財局長「それをやられるとさすがに…それだけはご容赦ください。」
この答弁を最後に一旦CMに移ります。

VTRは当日の衆院予算委員会の場面から再開します。
ナレーター「改ざんはいつ、誰が、何のためにしたのでしょうか。まずその、いつに着いて。」
公明党・矢倉克夫衆院議員「書き換えというものが疑われた時期というのはいつなのか。
太田理財局長「政治家の先生なり、総理夫人なりが出てきていると言って、今委員会でも一番、一番と言うとあれですけど取り上げられたり資料だということだと思っておりますが、29年の4月4日に変更しております。」
ナレーター「昭恵夫人の名前が頻繁に出てくる文書。これは改ざんされた14の文書のうち唯一財務省本省が決済したものです。改ざんされた4月4日。その直前といえば。

続いて、去年3月23日の森友学園・籠池泰典前理事長の証人喚問の様子を放映。
籠池前理事長「どうぞ安倍晋三からです。という風におっしゃって寄付金として封筒に入った100万円を下さいました。安倍昭恵夫人を通じて、色々なことをご相談申し上げたことはあります。」

続いて翌24日の予算委員会の様子を放映。
民進党(当時)・福山哲郎参院議員「籠池さん側と安倍昭恵夫人は何度もやり取りしてる。」
社民党・福島瑞穂参院議員「安倍昭恵さん自身がそれはやっているということが極めて問題だ。」

VTRが当日の参院予算委員会の場面に切り替わり
ナレーター「正に安倍総理と昭恵夫人の関与が国会で問われていた時期になります。ではなぜ改ざんに至ったのかについて。特に政治家の名前を消したことについて問われ。」
太田理財局長「政治家の関与ということについても当時の答弁、基本的に政治家の方からの不当な働きかけはないと。そう答弁しただろうということでその次の議論が起きるとそういうこと、そういうことをしたらいけないんですが、恐れてそういう書き換えをしてしまった。」
日本維新の会・清水貴之参院議員「そんな議員が言ったからなんかこう通るような話ではありませんよっていう風にちゃんと言っているのに、なんで削除したんでしょうこれを。」
太田理財局長「政治家の関与ということが気にして削除するんであれば、そこの部分だけを削除すればいい話なんですが、これは基本的に経緯をほとんど削除してますので、要すれば様々な経緯が出て、また次の議論が起きるということを恐れたと。恐れたって言うと大変失礼で大変申し訳ないことをしたということだと思いますが。」

ナレーター「どんな議論が出るのを恐れていたのでしょうか。昭恵夫人の関与についても問われました。」
共産党・小池晃書記局長(参院議員)「 安倍昭恵さん、国会議員じゃありませんよ。何で国会議員でもない昭恵さんの動向が決裁文書に記載されているんですか。」
太田理財局長「それは…基本的に総理夫人だということだと思います。
小池議員「重大な発言ですよね。重大な発言ですよ。要するにね、特例承認するにあたって、森友学園に昭恵総理夫人が関わってることが極めて重要な要素だったということ。だから書いたんですよ。経過見ても安倍昭恵さんが要所要所で大事な局面で登場してくる。」
ナレーター「改ざん前の文章には2015年4月、籠池氏の発言として昭恵夫人から『いい土地ですから前に進めてください』との言葉があったと記載。その後近畿財務局が協力的になっていく経緯が書かれています。」
小池議員「ターニングポイントに出てくるわけですよ。それはまさに今理財局長が言ったように、総理夫人だからですよ。」
太田理財局長「基本的に籠池理事長が、あるいは森友学園側が総理夫人の名前を出していらっしゃったということは事実がございますので、盛んに昭恵総理夫人の名前を出していらっしゃった、ということでそう記述をしてると。」
小池議員「安倍昭恵さんの森友との関わりは一過性じゃない。籠池夫人と頻繁にメールを交わして、そして森友学園を訪問して。昭恵氏はこの問題が明るみになって以来一度たりとも森友学園の問題について語ってませんよいつまでこんなこと続けるつもりなんですか。」
安倍総理大臣「私も妻の昭恵もですね、この国有地の売買、あるいは学校の認可について全く関わっていない。関与してないことはその通りでございまして、妻についてのことについてはですね、私がこれまでも丁寧に答弁をさせていただいておりますし。」

ナレーター「一方、自民党からは総理を擁護し、財務省を批判する質問が相次ぎました。」
自民党・青山繁晴参院議員「籠池理事長という交渉相手が昭恵夫人であったり、あるいは政治家だったりそういう存在を利用して迫ってきたんだ。昭恵夫人のお名前まであるいは言動まで利用したとも伺えるが。」
安倍総理大臣「そもそも理財局内や財務局内の決裁文書など私はその存在すらも知りません。指示のしようがないわけです。『一切関係ない』という答弁を繰り返すような記述では全くないと言うとは申し上げたいと思います。今後は妻もですね、こうした名誉職も一部のものを除いてほぼすべて辞退をさせていただくということにしているところです。」
自民党・和田政宗参院議員「財務省は書き換えの事実を隠し続けており、官邸や自民党がこじ開けなければ、書き換えの事実は完全に闇に葬られていたかもしれません。これそのまま隠して隠してバレなければ、隠してたんじゃないかとい思いますけれども、麻生財務大臣は財務省が作った答弁要領を元に答弁しているのに、一方で太田理財局長は矛盾したことを言う。」
ナレーター「問われたのは、総理が『私や妻が関与していたら総理も議員も辞める』とした発言の影響について。総理も麻生大臣もこれは改ざんに影響を与えていないとしていますが、太田理財局長は先週。」

続いて、先週の太田理財局長の答弁を放映し
太田理財局長「総理あるいは(麻生)大臣も答弁がありますので、政府全体の答弁は気にしていた。」

再び和田議員の質疑に戻り、
和田議員「太田理財局長、この答弁について説明してください。」
太田理財局長「総理大臣なり大臣なり、政府の答弁は気にしていないという風に言えるほどの材料は持ち合わせておりません。国会でのご審議でいろんな議論が起きる事をまあ大変申し訳ないんですが、そういうことを恐れてそういうことをしてしまったということだという風に思ってございます、ということを事実として申し上げております。」
和田議員「まさかとは思いますけれども、太田理財局長は民主党政権時代の野田総理の秘書官も務めておりまして、増税派だから、アベノミクスを潰すために、安倍政権を貶めるために、意図的に変な答弁してるんじゃないですか。」
太田理財局長「お答えを申し上げます。私は公務員としてお仕えした方に一生懸命お仕えするのが仕事なんで、それを言われるとさすがにいくらなんでも、そんなつもりは全くありません。それはいくらなんでも、それはいくらなんでもご容赦ください。」

ナレーター「改ざんに関わったのは財務省の官僚だけなのでしょうか。内閣の責任が問われる事態だと追及され、総理は。」
安倍総理大臣「私は行政府の長として責任を痛感しておりますし、まさに責任はないのかということでございますから、最終的な責任は私にある。」

ナレーター「一方、改ざんを認めたその日に、責任者は佐川氏とした麻生大臣。今日も。」 麻生太郎財務大臣「私共としては今の段階では、佐川前長官が最終責任となりうるいうことになる可能性が大きい。」
ナレーター「佐川氏の責任を強調しました。太田理財局長も佐川氏は改ざんを知っていたと思うと答弁していますが」
小池議員「本人に聞かないで何で知っていたってわかるんですか。」
太田理財局長「周囲含め、関係者がそういう認識ですから、それは知ってたという風に認識できたと。
小池議員「刑事責任に問われるかもしれないことを推測で言っているんですよ。佐川氏は当時の官房長、あるいは事務次官に相談してないんですか。」
太田理財局長「相談をしていないと、我々は承知してます。
小池議員「それは佐川氏に聞いたんですか。」
太田理財局長「当時の官房長あるいは当時の理財局において仕えていたもの、そういうところから聞いてということです。」

【放送内容②】
ナレーター「野党はいつ誰が何のために改ざんしたのか明確にするためにも、佐川氏の証人喚問が必要だと要求。しかし自民党は今週中はあくまでも予算案の審議を優先し、応じない方針です。」
「今日国会では新たな文書の存在も明らかになりました。改ざんされていた14の決裁文書のうちの一つについていた一枚のメモ。学園への土地売却を決定した時のものです。このメモが作られる3週間ほど前事態は急速に動いていました。当時、小学校を建設中だった学園側。地中からゴミが出たため、籠池夫妻は2016年3月15日財務省本省に乗り込みました。」

続いて、その2016年3月15日に財務省を訪れた森友学園の籠池理事長と妻の諄子氏、それに対応した財務省担当者の面会の様子を録音したテープを放送。
籠池前理事長「今回はねやっぱりあの方地震が愚弄されていると思ったから僕来たんです。これはあかん。」
ナレーター「あの方とは、昭恵夫人のことなのでしょうか。本省で対応したのは国有財産審理室の田村氏。昭恵夫人付だった経産省の職員からの問い合わせを受けた人物です。
財務省担当者「『9mくらい掘りました。』」「『中から産廃が出た。』事実ですか?」
諄子氏「それは事実。もっと掘ったら、もっと出る。」
財務省担当者「この事実を踏まえて、我々としても国として責任があるのであれば、当然対応しなくてはいけません。」
籠池前理事長「棟上げ式。首相夫人が来られて餅をまくことになっているから。だから余計ね、僕はね、びっくりしているところなんですよ。これ棟上げ式ずれるんちゃうかということがあるでしょ。」
ナレーター「籠池氏が強調した棟上げ式を、財務省側は気にしていたようです。削除された近畿財務局の決裁文書のメモを見ると、学園の申し出内容の欄には」
ナレーター②「棟上げ式にむけ、タイトなスケジュール。
ナレーター「近畿財務局の対応方針の欄にも。」
ナレーター②「棟上げ式までの工程に与える影響を最小限にする。」

ナレーター「再び2016年当時、本省を訪れた翌日の3月16日。籠池夫妻は近畿財務局などと協議を行ったと言います。これはその時のものとされる音声記録。」
近畿財務局「我々は本省の方からも『色々早急に対応するように』と指示を頂いて、仮に不確知中のごみの層があるとわかっているのであれば、売却するときは当然それは評価に反映させていただく。」
ナレーター「本省から近畿財務局にはどんな指示があったのか。削除された文書には。」
ナレーター②「本省審理室指示事項。工事に与える影響を最小限にする方策を検討すること。」
ナレーター「つまり、本省からの指示のもと棟上げ式までの工事を間に合わせる為、ゴミの撤去費用を差し引いた金額で土地を売却することを決めた、というのです。そしてもう一つ新たな疑惑が持ち上がりました。国交省には改ざん前の文書が財務省から渡されていますが、一部報道で財務省が国交省に対しても決済文章を改ざんするよう依頼していたというのです。国会で問われた、石井国交大臣は。」

当日の予算委員会の場面に戻り
石井啓一国土交通大臣「現時点で確認できておりませんので、確認をしたいと思っております。」
ナレーター「 これが事実であれば省をまたいでの改ざんが画策されていたことになります。」
ナレーター②「内閣支持率は週末に行われた各社の世論調査。内閣支持率は急落しています。朝日新聞は13ポイント下落して31パーセントに、毎日新聞は12ポイント下落して33%に、共同通信は9.4ポイント下落して38.7%でした。」

安倍総理大臣「基本的には月々の世論調査上がるときもありますが、一喜一憂することなく、やるべきことを為していくことが私たちの責任であろうと考えています。」
民進党・難波奨二参院議員「今回の世論調査の低下の原因というのは、どこにあるという風にお考えですか。」
安倍総理大臣「報道機関の調査についていちいちコメントすることは差し控えさせていただきたい。」

続いて、その他の国会議員の意見を立て続けに放送。
河野太郎外務大臣「やはり今回の森友の問題というのが支持率に関わっているというのは否定はできないと思います。」
ナレーター②「朝日新聞の世論調査で、安倍内閣の支持率がこれまでの最低となったのは去年7月。国会で加計学園の問題が取り上げられ、東京都議選で自民党が惨敗した時期でした。今回はそれよりも低い、過去最低の31%。与党自民党内からは。」
自民党二階俊博幹事長「総裁選のみならずね、色んな所に影響がないとは言えないでしょうけど、しっかり腰を落ち着けて、改めるべきところを改めて今後に対応していきたい。」
ナレーター②「自民党の総裁選は今年9月に予定されています。今回の内閣支持率の急落でどんな影響が出るのでしょうか。ポスト安倍を目指すこの二人は。石破元幹事長は昨日地元の鳥取にいました。」
自民党・石破茂元幹事長「常に根幹にあるのは、行政は全ての人に対して公平公正でならねばならない。行政は真実でなければならない。公平公正真実。」
ナレーター②「岸田政調会長は昨日神戸市で講演しました。」
自民党・岸田文雄政調会長「真実を明らかにしてもらわなければならない。」

続いて、当日の午後に行われた、自民党の派閥で岸田政調会長が会長を務める「宏池会」の会合の模様をVTRで放映。
記者「午後3時です。自民党宏池会岸田派のメンバーが集まりました。今回の事態をどう受け止めているんでしょうか。」
ナレーター②「この会合は総裁選に向けた派閥の政策をとりまとめるためのものです。」
岸田政調会長「国会の方は混乱が続き、先行き不透明なものを感じます。日本の行政の信頼、あるいは政治の信頼が問われている大変深刻な事態だと思います。」
ナレーター②「支持率急落という事態をどう見ているのでしょうか。」
記者「総裁選に与える影響というのはどうお考えでしょうか。」
自民党・宮沢洋一税調会長「総裁選に影響が全くないとは言いませんけれども、影響が出ないということも考えられる。どこかの段階では岸田政権を実現しなきゃいけないわけですから、それが今回なのか、またその次なのかということも含めて、状況をしっかりと把握して行くことだろうと思います。」
この宮沢氏の言葉を最後にカメラはスタジオへと戻ります。

【放送内容③】
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富川アナ「ポスト安倍候補の二人、石破さん岸田さんは真実を明らかにすべきだと口を揃えているわけですけれども、それ以上の行動は今のところはないようですね。」
後藤謙次氏「そうですね。今日いろんな動きが出たんですが、やっぱり一番注目は二階さんの発言ですね。二階さんはポスト安倍は安倍だと。こう断言して安倍さんの三選の道を切り開いた人なんですね。その人が総裁選に影響がないとは言えないと、この意味は大きいですが、もう一つ私が注目したのは、世論調査の中でですね、共同通信と毎日新聞の調査なんですが、次の総裁にふさわしい人は誰ですかというのがいずれもですね、石破さん小泉進次郎さん、そして3番手が安倍さんだったということですね。これは安倍さんの三選の土台が崩れかねないという結果なんですね。ただ一方で総裁候補に魅せられてる人たち。まあ岸田さんも出ました、石破さんも出ましたけれども。いずれもですね、準備不足力不足いうことで事態がどうなるのか。たじろぐように見守ってる。そういう状況だと思いますね。」

富川アナ「二階さんの総裁選のみならず、いろんなとこに影響がないとは限らないっていうのは、総裁選だけじゃなくて、色んなところに影響をうかがわれていますね。
後藤謙次氏「特に今回の支持率の特徴はですね、これまでがっと落ちることがあるんですが、それが底だったんですね。そこはまさに底から上にはい上がってくというのが安倍政権のパターンだった…選挙もありましたし、政策面では安保法制でもかなりの人が支持する人もいたわけですね。そういう土台の上に乗った。今回は総理、それから昭恵夫人が焦点の人になってるところは非常に大きいと思いますね。」
富川アナ「政策じゃなくて人になっていくと。」
後藤謙次氏「そうですね。しかもこれから佐川さんの喚問。森友の問題。あるいは強制捜査があるかどうかわからない。籠池さんの裁判も始まるでしょうと。まだまだ予知できないことがどんどん展開して底がまだ見えてこないというところが一番安倍さんにとっては大きいですね。」

富川アナ「私たちとしたらやっぱり真実が明らかになってほしい気持ちですよね。」
小川アナ「そうですね。ずっとうやむやにされていたわけですからね。その真実が。それをここで解明していただかないと、なかなか納得するというところにはいかないですね。」
富川アナ「安倍政権としては、どうやって挽回しようと。」
後藤謙次氏「外交面でたぶん安倍さんはトランプ大統領との関係、これを構築にということなんですが、この米朝首脳会談、日本は出遅れた、乗り遅れた。で、文在寅さんが仲介役に出てきて、この日韓関係もうまくいってない。つまり、バイプレイヤーなんですね。バイプレイヤーが果たして、主役を押しのけて外交の主導権握れるか。逆に後手後手になる。この間の文在寅さんとの会談では、日朝首脳会談を模索してると、安倍さん言ってるわけですね。これ非常に大きな政策転換なんですね。対話のための対話はダメだって言ってた安倍さんが、対話をしようと、そういう可能性も探ろうということですから、こういうことをもっと声を大にして言わなきゃいけないんですが、そこは外交的な展望もまだ開けてないということだと思いますね。それから一番大きい問題はまだまだ財務省のですね、統制力が完全に失われてしまったんだということ。また新たな文書が出てくる可能性もあるというところで非常にいくら穴があるかわからないっていうところが最大のことだと思いますね。」
富川アナ「なかなかリカバリーが難しい状況になってますね。」
この富川アナの発言を最後にこのコーナーが終了しました。

【検証内容】
今回の放送の問題点。問題は大きく2点に分けられます。
1点目は、番組が採用しているデータに偏っている疑いがあること。
2点目は、富川アナをはじめとする各出演者の発言が中立性を損なっている可能性があること。
以上の2点です。詳しくお伝えしていきます。

1点目についてですが、番組で再三触れられた「世論調査」の話題。この世論調査の多くは、直近の結果が紹介されていました。特に番組が触れたのが、前月比で内閣支持率が13%下落した、朝日新聞の世論調査です。具体的には以下のようなやり取りの中で、世論調査の結果が用いられていました。
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富川アナ「真相が解明されない中、この週末ですね、世論調査が行われました。各紙見てみますと、朝日新聞が31パーセント、毎日新聞は33%、共同通信が38.7%と内閣支持率になりました。それぞれ10%ほど下落したんですね。そして今日になりまして、新たな改ざんも明るみに出てきました。」
ナレーター「朝日新聞の世論調査で、安倍内閣の支持率がこれまでの最低となったのは去年7月。国会で加計学園の問題が取り上げられ、東京都議選で自民党が惨敗した時期でした。今回はそれよりも低い、過去最低の31%。」
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このような取り上げ方がされています。たしかにこの報道自体は事実ですが、その前の週に世論調査をしていたNHK、読売新聞では結果が異なりました。
NHKの調査では支持率が44%、不支持率が48%。読売新聞では支持率が48%、不支持率が42%。産経新聞では支持率は45.0%、不支持率が43.8%となっていました。

各世論調査とも、その調査中に財務省による決裁文書の書き換えの報道が出ており、NHKはその際の財務省の対応についての質問事項を設け(結果は「納得できる」の割合が16%、「納得できない」の割合が74%となっていた)、読売新聞は森友学園をめぐる財務省内の決裁文書についての質問を設けていました(結果は『政府が適切に対応しているとは思わない』と思う人の割合が80%に上った)。

つまり、財務省の決裁文書の書き換えが報道された後も、内閣への支持、不支持があまり変わらなかった、という調査も存在したことになります。確かに、最新の調査を利用すること自体は否定されるべきことではありませんが、様々な観点から今回の問題を論じる必要性はありそうです。
これは放送法第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」に違反している可能性があります。

2点目についてですが、スタジオでの富川アナと小川アナのやりとりの中で
富川アナ「私たちとしたらやっぱり真実が明らかになってほしい気持ちですよね。」
小川アナ「そうですね。ずっとうやむやにされていたわけですからね。その真実が。それをここで解明していただかないと、なかなか納得するというところにはいかないですね。」
という発言がありました。これは、これまで明らかになりつつある、財務省の書き換えの経緯や、各議員の国会での真相究明の動きを否定するものになりかねません。この前の週(3月12日~16日)の放送では、番組が安倍昭恵総理夫人の関与を疑い続けるような番組構成をとっていました。それを意識したものであるのかはわかりませんが、事実を伝えるという点からは外れてしまっているといわざるを得ません。
また、後藤謙次氏の発言の中にも不可解な点がありました。
「日本は出遅れた、乗り遅れた。で、文在寅さんが仲介役に出てきて、この日韓関係もうまくいってない。つまり、バイプレイヤーなんですね。バイプレイヤーが果たして、主役を押しのけて外交の主導権握れるか。逆に後手後手になる。」
後藤氏はこう発言した後、
「この間の文在寅さんとの会談では、日朝首脳会談を模索してると、安倍さん言ってるわけですね。これ非常に大きな政策転換なんですね。対話のための対話はダメだって言ってた安倍さんが、対話をしようと、そういう可能性も探ろうということですから、こういうことをもっと声を大にして言わなきゃいけないんですが、そこは外交的な展望もまだ開けてないということだと思いますね。」
と発言しています。まず、前者についてですが、後藤氏は日本が外交面において出遅れてしまっていることを伝えたいようです。そうなると、大きな巻き返しをしなければいけないと考えるのが普通です。そういう意味では日朝首脳会談の模索は違和感があるものではありません。
しかし、後藤氏は「外交的な展望もまだ開けてないということだと思いますね。」と発言。では、後藤氏は今後日本政府が外交でイニシアティブをとっていくためにどのような方策を考えているのでしょうか。残念ながら、番組の中で触れられることはありませんでした。
この点は、放送法第4条第2項「政治的に公平であること」や第3項「報道は事実は曲げないですること」に違反する可能性があります。

前週に引き続き、報道ステーションは政治的公平性を欠く報道が目立ちました。
今後も監視を続けていきます。

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