2020年3月4日 報道ステーション

2020年3月4日 報道ステーション

3月4日の報道ステーションのレポートです。
今回は、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正に関する報道のスタジオ解説について見ていきます。
今回検証するのは以下の点です。

・政治的に公平な放送であったか

まずは放送内容を見ていきます。

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【パネル解説】(要約)
富川悠太アナウンサー(以下富川アナ):感染症学が専門でいらっしゃる国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授にお越しいただきました。松本先生、政府が改正を目指しています新型インフルエンザ等対策特別措置法。この改正案が成立し、緊急事態宣言が出された場合に予想される民間への影響について、詳しく説明をお願いします。

松本哲也教授(以下松本教授):(緊急事態宣言が)実際に発動されればこれはもう依頼ではなく、相当な強制力があるでしょう。病院数が足りないので他の施設を臨時使用するということも考えられます。ここまでの制限を設けるということはよほどいろんなところに感染者であふれていて社会全体がかなり混乱している状況ですね。(国内の状況は)全然、そこまでは至っていないのが現在の段階です。

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【コメンテーターによる解説】
富川アナ:後藤さん政治的な判断でいうとどんな状況になるとこの緊急事態宣言を出すという決断に至るんでしょうか。

後藤謙次氏(以下後藤氏):私は今回の法改正にはかなり無理があるとみてるんですね。現に安倍総理自身が学校の一斉休校についても科学的根拠はないけれども政治決断したと言っているわけですね。現に実態のほうが先行しちゃってる。つまり、これだけ強力な法律を出すということはやはり、その根拠、理由。それから、必要性。これを国民にきっちり訴える。逆に今、全体像がほとんど分からないですね。政府が押さえている全体像。ここから先どうなっていくんですかという国民にきちっと説明したうえでやるというなら分かるんですが逆に、こういう法律に一生懸命になるとむしろ不安をあおってしまう。そういう逆の効果も出てくるんじゃないか。むしろ、ここは慎重に構えておいてこの新型インフルエンザ等の「等」を活用してそういう解釈もできるわけですからそれでやったほうがはるかに効率的だと思いますね。

富川アナ:改正しなくても今の法律で行けるんじゃないかと。大前提としては今、どのような状況なのかそして全体像はどうなのかを把握しなければ対応には至らないと。

後藤氏:それを国民に知らせるってことですね。

富川アナ:現在の国内の感染者数を見てみますと298人と。チャーター便クルーズ船を除くとここまで膨れ上がっているんですけれども2月の中旬から毎日のように感染者数は増えてきているんです。ただ先生、ここに見えない数字というものがあるんですよね。

松本教授:これはあくまで検査をして確認した感染者数ですから。検査を受けていない人もおられますので例えば、北海道で77人。その中で推定されるのはもう、その10倍以上の900人を超えているという数字を当てはめるとこれが298人だとするとその10倍の3000人ぐらいいてもおかしくないかもしれないということになりますね。

富川アナ:現在、北海道では82人感染者が出ているんですけども見えない10倍くらいの数字がいるとしても、緊急事態宣言を出すほどではないと。

松本教授:すなわちまだ実際の病院は感染者であふれているわけではないのでそこには全然。社会の混乱も起こっていないと判断すべきだと思います。

富川アナ:じゃあ先生どのような状況になってくると収束に向かい始めているといえるんでしょうか。

松本教授:一番、そこが皆さんの関心が高い部分だと思いますしそれがいつごろなのかということなのでこれから予想するとすれば少なくとも現時点ではまだ検査が十分にできていない状況なのでこれから検査が充実すれば恐らく感染者の数は必ず増えていくだろうと思います。ただし、これはあくまでも実際の状況とはちょっとずれますので。検査が増えてくると把握できる人が増えてくる。もし、今やられている行動制限にしろ、いろんな活動がもし成果を結ぶとすればこのあとは少し、この上がり方が緩やかになってきてそして、やがては下がってくるだろうというようなこの動きがあると基本的にこの辺りがピークなんじゃないか。そして、このあとも下がっていけるんじゃないか。そうすると、これはもういい方向に向かっていると。ただ、この収束というのが感染者が1人も出ないという意味での収束だとすれば相当先になりますけど明らかに減ってきて、それがそこそこのところまで収まるとするとこの時期がちょうど4月にはかかるかなということが予想されますね。

富川アナ:3月下旬から4月にかけてここがどう動くか。数が減ってくると見えるとちょっといい兆しだなという判断ですね。

松本教授:3月中旬辺りが、先を読む重要なポイントになりますね。

徳永有美アナウンサー(以下徳永アナ):後藤さん先ほどもありましたけれども特措法の改正案のほうは来週にも成立する見通しだということですよね。

後藤氏:これ自体も総理は来週10日にはまとまった政策を発表すると。つまり、このあとに成立するわけですね。だから、それ自体は何度も繰り返しになるんですがやる意味があるのかどうかということはありますよね。それと緊急事態、非常に大きな権限を持ってしまいますから総理としては、最初に新型インフルエンザ等特措法は適用できないと言ったがためにそれとの整合性にこだわってるんじゃないかという気がするんですね。だから、ここはまさにそういうメンツは捨てて、ただ、むしろ、総理自身は緊急事態宣言を駆使するあるいは発動するという指導力を発揮したいという思いもあるかもわかりませんがあらゆる手立てを講じているんだというアピールが今回の安倍さんのこだわりにはあるんじゃないかという気がしますね。

徳永アナ:そして今が瀬戸際なんだ正念場なんだというところからすでに10日くらいが経っていますよね。

後藤氏:つまりこれが成立するころにはもう期間過ぎちゃってるわけですね。そうすると逆にそんなにまだ日本は危ないのかということになると東京五輪開催等対外的に与える影響も非常にマイナスになる可能性もありますよね。

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【検証部分】
今回は後藤氏の解説が政治的に公平なものであったか、について検証していきます。
結論から述べると、政治的に公平なものとは言えず、政府への批判ありきの解説であった可能性があります。

今回の新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正について、休校要請の判断をした時になぞらえて、後藤氏は無理があるとしています。

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後藤氏:私は今回の法改正にはかなり無理があるとみてるんですね。現に安倍総理自身が学校の一斉休校についても科学的根拠はないけれども政治決断したと言っているわけですね。現に実態のほうが先行しちゃってる。つまり、これだけ強力な法律を出すということはやはり、その根拠、理由。それから、必要性。これを国民にきっちり訴える。逆に今、全体像がほとんど分からないですね。
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この解説についてですが、視聴者の会で何度も取り上げているように、後藤氏は「休校要請をすべきだ」と主張していたにも関わらず、実際に休校要請が出されると政府への批判を繰り返しました。(詳しくは2月25日・27日のレポートを参照)

さらに、後藤氏は、安倍総理が新型インフルエンザ等対策特別措置法を改正する理由として、「指導力を発揮したいという思い」「あらゆる手立てを講じているんだというアピール」がある気がする、と解説をしています。
しかし、これらの発言に根拠はなく、政府批判をするためのもの解説である可能性があります。
安倍総理は今回の法改正について9日の参院予算委の集中審議で以下のように発言しています。

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「今が感染が急速に拡大するのか、収束するかの瀬戸際であるとの専門家の意見があり、最悪の事態も想定しながら国民生活への影響を最小とすべく法改正を行うものとした。」
≪引用 NHK NEWS WEB安倍首相 緊急事態宣言「私権を考慮し判断」 参院予算委
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200309/k10012320881000.html≫
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感染が拡大してしまったときの、最悪の事態に備えるための改正である、と安倍首相は明確に述べています。
後藤氏の解説は政権批判がありきの解説である可能性があり、以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(2)政治的に公平であること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。

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