2018年3月20日 報道ステーション

2018年3月20日 報道ステーション

2018年3月20日 テレビ朝日「報道ステーション」の報告です。

今回の放送で一番時間を割いた話題は「財務省文書書き換え」についての話題でした。

今回はこの話題について検証していきます。
詳しく見ていきましょう。【放送内容①】
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富川アナ「財務省の森友文書改ざん問題で、改ざん当時に理財局長だった佐川氏の証人喚問が来週火曜日27日に決まりました。これで真相解明されるんでしょうかね。そして今日はですね、そもそも8億円の値引きに至るプロセスでどんなやり取りがあって、改ざんされる前と後の文書では何がどう変わっていたのかに注目します。」
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ナレーター「佐川氏の証人喚問これですべてが明らかになるのでしょうか。そしてなぜ8億円の値引きが行われたのか。」
太田充理財局長「現場の確認をして総合的に勘案してそういうを判断して…」
ナレーター「改ざんされる前の文書から見えることとは。」
この発言の後、CMが入ります。

CM明け、与野党の各政治家へのインタビューが放映されました。
ナレーター「改ざんの最終責任者とされた佐川氏。来週27日の証人喚問が決まりました。」
自民党・森山裕国対委員長「別に遅れたとは思っておりません。忖度があったのか誰かの指示があったのか。色んな疑問が投げかけられているので。そういうことを中心に審議し、解明をしていく。」
記者「誰の指示で何のために書き換えたのか、経緯が明らかになる?」
菅義偉官房長官「いずれにしろ、国会が決めたられたことに証言をされるんだろうと思います。」
ナレーター「野党は。」
立憲民主党・辻元清美国対委員長「やっとですね。やっと。佐川さん、頑張れと。佐川さん官邸ではなく国民の方を向いた真実を述べていただきたい。」
自由党・小沢一郎代表「情けないことだがあれはやらされた方だから。やらした方の証人喚問をするべき。」
ナレーター「証人喚問はうその証言をすると罪に問われます。」
与党関係者「証人喚問となれば何も答えられない。とにかく国会に呼び出して聞きましたということを見せればいいのでしょう。今は総裁選も先だしとにかくじっとして嵐が過ぎ去るのを待つ。
民進党幹部「しゃべるわけないじゃないか刑事訴追の可能性と言って逃げるよ。そういう前提で考えないといけない。
政府関係者「今は財務省ばかりが責められているけれど、官邸の思う壺。昭恵夫人付きの谷さんはファックスしている。どう考えても特例だよ。」

ナレーター「証人喚問が決まった佐川氏。退職金は。」
財務省・矢野康治官房長「基本的にはプライバシーに関わることでございますので、お答えをしないのが通例でございますけれども、敢えて申し上げますと約4999万円の退職金額となります。」

続いて当日の参院予算委の映像を放映。
ナレーター「昭恵夫人の関与はあったのか、なかったのか。今日も追及が続きました。」
民進党・大島九州男参院議員「この資料にこういう形で昭恵夫人を載せたというのは極めて意味のあることだと思いませんか。」
太田理財局長「総理夫人うんぬんとおっしゃられましたが、「なお」ということで書いてありますから。
ナレーター「唯一財務省本省が決裁した改ざん文書。なお打ち合わせの際と始まる文章に昭恵夫人の名前が出てきます。
太田理財局長「『なお』っていうのは普通は文章の大きい流れではなくて注書きというような意味で書く言葉でございますから、それはそういうものとして受け取るということで読むのが普通だろうと思います。
大島参院議員「あえて『なお』を付け加えたということだから、この書類を書いた人の意図がそこに感じられませんか。」
太田理財局長「人の意図は私は基本的には、それはそんなに賢明じゃないのでわからないと思います。『なお』と書いてるのは『なお』ということだと思います。」
大島参院議員「ほかに財務省が書くこういう公文書にこんな記述があるのを見たことありますか。
太田理財局長「こういう意味で一つ一つの文書をそういう形で拝見したことはないのでおよそこういう種類のものをそんなに見たことはないと思います。」
ナレーター「さらに野党側は、改ざんがあった部分だけではなく、決裁文書全体を開示すべきだと要求しましたが。」
太田理財局長「ちょっとコンピューターの中がいい方悪いんですけどぐちゃぐちゃになってるらしいので、それを作業せないかんので申し訳ありません。ただ間に合っていないものは間に合っていないので、そこはお許しを頂きたいと思います。」
ナレーター「これまで事前に価格提示したことはないとしてきた答弁も問われました。」
ナレーター「財務省本省が唯一決済し、改ざんされていた文書。当初はこんな記述がありました。2015年1月9日のこと。」

【放送内容②】
ナレーター②「近畿財務局が森友学園を訪問し、国の貸付料の概算額を伝える。」
共産党・辰巳孝太郎参院議員「これ金額価格(提示)ではないんですか。」
太田理財局長「国有財産地方審議会の開催前であり具体的な金額を提示たことはなかったということでございます。」
辰巳議員「私たちは独自に籠池さんが当時書いたメモを入手いたしました。」
ナレーター「共産党が示したのは、籠池氏が書いたとされるメモ。近畿財務局来園。指にて賃借料年間3400万円を暗黙の提示、とあります。」
辰巳議員「近畿財務局。金額掲示してるじゃないですか。」
太田理財局長「おっしゃるところはどうも籠池理事長がそういう風に思われたということをおっしゃっておられるようにしか聞こえないんですが。」
辰巳議員「金額を提示してたという疑惑が出てまいりました。調査していただけませんか。」麻生太郎財務大臣「少なくともこの種の交渉で事前に価格というもの提示するということは通常考えられませんので、先ほど申し上げた答弁の通りだと思います。」

続いて、森友学園の籠池泰典氏のインタビュー映像を放映。
ナレーター「そもそもこの森友問題最大の謎は8億円の値引きの真相です。」
籠池氏「ちょっとひどいんちゃうかと。足もと見てるんちゃうかと。足もと見てるというかなんやと思ってんねんと。」
ナレーター「今から3年前。土地を買う資金をすぐには用意できない学園側は10年間借りた後に買い取るという方針で交渉に臨みます。」
籠池氏「(学園は)10年後には買取を考えていたから安い金額でないといけないってことは大前提。4000万円なんてどないすんねんということ。」
「貸付料を安くしたい学園側は独自にボーリング調査を行い、軟弱な地盤だと主張します。これに国はどう対応したのか。改ざん前の文書では。」
ナレーター②「地質調査会社に当該のボーリング調査結果をもとに本地の地盤について意見を求めたところ、特別に軟弱であるとは思えないとした上で、通常と比較して軟弱どうかという問題は回答は難しいとの見解。」
ナレーター「地質調査会社は否定的な見解を示していたのです。しかし改ざん後の文章を見てみるとその否定的な見解はすべて削除された上で。」
ナレーター②「不動産鑑定士に意見を聴取したところ、新たな価格形成要因であり賃料に影響するとの見解があり・・・」
ナレーター「軟弱地盤についての意見の記述が180度変わっていたのです。」

ナレーター「1年前の国会。佐川氏はこう答弁していました。」

財務省・佐川宣寿理財局長(当時)「近畿財務局が技術的な知見を有する職員、あるいは外部の専門業者等においてチェックを行い精査しまして、軟弱地盤であるということが判明したということでございます。」
民進党(当時)・福山哲郎議員「なんでそんなスラスラ答えられるんですか、記録も何もないんでしょ。」
ナレーター「実際に貸付料は下がりました。改ざんには一体どんな意図があったのでしょうか。そして貸付から1年後、開校を控えて学校を建設中だった学園側は、地中からゴミが見つかったと財務省本省を訪れました。」
籠池理事長(当時)「そこにはビニール、革靴、長靴がウワーとあるわけですよ。棟上げ式、首相夫人が来られて餅をまくことになってるから」

【放送内容③】
ナレーター「これはこの時期に作られた、土地の売却価格を決めるための決裁文書です。」
ナレーター②「売払による処理を進めることが、問題解決の現実的な選択肢」
ナレーター②「想定される地中廃棄物の撤去費用相当額を評価に盛り込む」
ナレーター「しかし、こうした2ページにわたる記述が、改ざん後には丸ごと削除されました。」
ナレーター「地中深くのゴミ。そもそも存在したのかという疑いが出ています。国川がゴミの量を見積もったときの根拠の一つとしたのがこの報告書です。左の一枚は校舎を建てる場所で右の2枚はグラウンドで撮影したものだとされていますが、よくよくに比べると土の色や写っている枝のようなものが、同じです。一つの場所を別々の角度から撮影した写真に見えるのです。」
辰巳議員「大臣これ見ていただいて、同じように見えませんか?」
石井大臣「工事責任者に確認を取りましたが残念ながら回答を頂けていないという状況であります。」
政府はこれまで、ゴミの撤去費用は大阪航空局が算定したと説明してきました。
1年前の国会…
佐川理財局長(当時)「国土交通省の知見を用いてこれをきちんと算定して撤去費用を計算したということでございます」
ナレーター「しかし、大阪航空局がゴミの撤去費用を算定する前に、買い手である学園側の業者が見積もり作業をしていたことが、私たちの取材で分かりました。
辰巳議員「これは残したゴミではない、つまり新たなゴミだと、こう言える資料はあったんですか?」
太田理財局長「要するに現地を確認して、土地の歴史の確認といったことを全て含めて総合的に勘案してそういう判断してるということでございます。」
ナレーター「ゴミは本当にあったのでしょうか。売買契約が結ばれる直前、学園側の弁護士から籠池氏にはこんなメールが届いていました。」
ナレーター②「局長の移動があるらしく、今の局長の間に処理したいとのことです。急ぎましょう。」
ナレーター「今の局長とは、当時の近畿財務局長、武内氏です。今日の国会でも問われましたがー」
民進党・古賀之人参院議員「決済文章の改ざんを知ったのは、いつどのような形だったのでしょうか。」
竹内国際局長「私本日この場に出させて頂いてるのは国際局長としてでございまして、本件についてお答えする立場ございません。」
ナレーター「佐川氏の証人喚問だけで、8億円値引きに至る真相は明らかになるのでしょうか。」

ここでVTRが終わり、スタジオにカメラが戻ります。

【検証部分】
富川アナ「佐川氏の証人喚問、来週の火曜日と日にちが決まりましたけれども、『刑事訴追の可能性があるためお答えできません』では意味ないですね」
後藤謙次氏「そうですね。今回非常にこの喚問が決まるまでの流れを見ますとね、与党ペースなんですね。こういう証人喚問は私の経験から言っても本当に珍しいケースであるが…。まあ言ってみれば自民党が佐川さんの『喚問カード』をですね、使い尽くしてると言ってもいいと思うんですね。まず二階幹事長が喚問やりますと言うことによって野党側の参議院予算委員会の審議を正常化すると。で、喚問の日付を決めろということによって今度は予算関連法案、こういう処理の日程を確保すると、そう言う意味では圧倒的に与党ベースでできてる非常に珍しいことなんですね。
で佐川さんもおそらくですね、これ弁護士がついて喚問に臨みますから、おそらく刑事訴追がある、その可能性があるということによって事実上証言をしない可能性が非常に強いと。今日取材した自民党の幹部もですね『どうせ大したものは出ない』というぐらいな余裕を持ってるわけですね。」
富川アナ「それではね、真実解明されないですし、そうするとじゃあ政府は証人喚問したからいいよね、これでやったでしょ?って済ませかねませんよね。」
後藤氏「まさにその通過儀礼的な意味合いを多分やるんだと思うんですね。そしてこれが終わればですね、メディアも野党も『全然真相究明されてないと、むしろ疑惑は深まった』とこう言ってもですね、やがて『森友問題より重要な政策課題がある』という世論づくりに入ってきて着地をさせようと。そういうアレが見えてるんですね。ただ、この問題の本質というのは、先ほどもあったように8億円値引きはなぜ行われたのかと。その後財務省で公文書が改ざんされて、国会全体が騙されたと。与野党を超えた問題であることですね。そこを原点に置きながら、証人喚問に臨むと、これが基本だと思いますね。ですから世論の動向は非常に大事だと思いますね。」
富川アナ「1年間も改ざんされたもので議論がされていたということですからね。真相解明するには佐川さんの証人喚問だけでいいのかという文字が出てきますよね 。」

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今回の放送の問題点は大きく分けて2点あります。
1点目は後藤氏の発言が放送法第4条に抵触している可能性があること。
2点目は与野党の発言時間に大きな偏りがあること。
以上の2点です。

1点目についてですが、後藤氏はスタジオでのコメントの中で
後藤氏「まさにその通過儀礼的な意味合いを多分やるんだと思うんですね。そしてこれが終わればですね、メディアも野党も『全然真相究明されてないと、むしろ疑惑は深まった』とこう言ってもですね、やがて『森友問題より重要な政策課題がある』という世論づくりに入ってきて着地をさせようと。そういうアレが見えてるんですね。」
と発言しました。
これは、佐川氏の証人喚問をあらかじめ「通過儀礼的な意味合い」という言葉で片づけ、その後与党が「森友問題より重要な政策課題がある」として世論を誘導するかもしれないことに対しての懸念を表明した発言だととらえることが出来ます。
確かに、後藤氏の発言自体が誤りであるとは言い切れません。しかし、佐川氏が証人喚問でどのような発言をするのかわかりませんし、その後の与党の動きも完全には公になっていません。
したがって、後藤氏の発言は、与党の証人喚問後の動きを、与党に不利なように推測し、印象操作を行っているとも捉えられかねません。これは放送法第4条3項「事実は曲げないで報道すること」に抵触している可能性があります。
また、2点目についてですが、与党議員あるいは各省の大臣らが記者会見などで発言した箇所を放映した時間と、野党議員の記者会見での発言あるいは野党議員による質問時間を放映した時間の総計をまとめましたので皆さんにご報告いたします。
与党40秒に対して、野党には210秒もの時間を割いて発言を放映していました。確かに当日の予算委員会の質疑などを見れば、野党議員に多くの質問時間が割かれていました。また、現在の政治状況の中、政府が追求される時間が多くなるのは必然的だとも考えられます。しかし、あまりに偏った放送時間は公平性を欠きますし、視聴者への誤解すら与えかねません。今回の放送は放送法第4条2項「政治的に公平であること」に抵触している可能性があります。

森友文書問題が明るみに出て以降、報道ステーションには公平性が欠けている疑いのある個所が多く見られるようになっています。
今後も監視を続けます。

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