2018年3月26日 報道ステーション

2018年3月26日 報道ステーション

2018年3月26日 テレビ朝日「報道ステーション」の報告です。

今回の放送で一番時間を割いた話題は「財務省文書書き換え」についての話題でした。

今回はこの話題について検証していきます。
詳しく見ていきましょう。

【放送内容①】
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富川アナ「続いては森友文書の改ざん問題です。明日ですね、佐川氏の証人喚問が行われますが、それを前に今日は7時間にわたって集中審議が国会で行われました。官邸の関与はあったのか、そして昭恵夫人を国会に呼ぶことはあるのか、そして日米関係は大丈夫なのか。安倍総理が追求を受けました。」
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このコーナーの冒頭、富川アナは翌日に行われる佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問、そして財務省の文書書き換え問題への官邸の関与の可能性などを指摘。その後、VTRがスタートしました。

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当日の参院予算委の場面からVTRがスタートします。
安倍晋三総理大臣「なぜこのようなことが起こったのか。全てを明らかにするために徹底的に調査を行い、全容を解明したければなりません。私も総理大臣としてその責任を果たしていく決意でございます。」

続いて番組が週末に行ったという世論調査の結果を提示。
ナレーター「ただ一連の森友問題が安倍政権を直撃しています。週末、報道ステーションが行った世論調査。内閣支持率は32.6%で前回に比べ10ポイント以上急落。去年都議選で惨敗した時以来のことです。森友問題の責任を取って内閣総辞職する必要があると思う、とした人は48%。8億円値引きされた国有地取引について、昭恵夫人を国会に呼ぶ必要がある、とした人は6割を超えました。」

民進党・増子輝彦幹事長「何らかの機会を持って総理夫人は国民に説明する責任が私はあるんだろうと。どこかで総理夫人が公式な改憲をされるということがあっても私はいいんじゃないか。」
安倍総理「(妻への質問には)すべて私は答えをさせていただいております。重い気持ちではなくて重い責任で答弁をしているわけであります。妻が会見するのと違って私が答弁をするというのはですね、政治責任が伴う答弁をしているわけであります。」
ナレーター「野党側は改めて昭恵夫人の証人喚問を要求。合わせて総理の政務秘書官である今井尚哉氏の証人喚問も求めました。森友文書の改ざんを指示したのは誰なのか、という点も議論に。」
自民党・山本一太参院議員「一切、もちろん官邸もですね、官房長も、このいわゆる書き換えのことについては全く報告を受けていないと、これ大事なところなので断言してもらいたい。」
財務省・矢野康治官房長「本件につきましては総理官邸も麻生大臣も、全く指示もしておられませんし、関知もしておられなかったのは紛れもない事実でございます。」
ナレーター「財務省は総理官邸も財務大臣も全く支持していないと断言しました。しかし野党から追及されると。」
矢野官房長「総理官邸という言葉は適切でなかったかもしれませんけれども、財務大臣と総理大臣という意味でございます。」
共産党・辰巳孝太郎参院議員「官邸はいかがですか。」官邸(からの指示)はあったという認識なんですか。どうなんですか。」
矢野官房長「あったという事実は突き当たっておりません。今調査をしておりますので、誰の話はあったのか、なかったのかということを逐一中間報告も含めてすることは不可能でございます。」

ナレーター「官邸からの指示については明確に否定しませんでした。財務省が強調してきたのは当時の理財局長、佐川氏が改ざんを知っていたという点です。」
財務省・太田充理財局長「佐川局長は知っていたか、知っていなかったかということについて、知っていたと。」
ナレーター「ただその佐川氏に官邸からの指示はあったのか。なかったのか。明日の証人喚問で明らかになるのでしょうか。」

【放送内容②】
続いて、日米関係にも変化が出てきたということをナレーターが紹介。
ナレーター「外交面でも日米関係の蜜月に揺らぎが出ています。先週トランプ大統領は鉄鋼とアルミニウムに対する新たな関税を発表。同盟国であるEUや韓国は対象外としましたが、日本は当面、中国とともに対象になります。」

トランプ大統領の会見を放映し
アメリカ・トランプ大統領「私の友人の安倍総理と話をすると、総理は微笑んでいる。『こんな長い間(貿易で)アメリカを出し抜けたなんて信じられない』という笑みだ。」
ナレーター「4月には日米首脳会談が予定されていますが。」
民進党・白真勲参院議員「鉄鋼問題とアルミニウム。これも話すことになりますよね。」
安倍総理「この問題については我々も真剣に受け止めているわけでございます。日本は日本の国益がございます。米国は米国の国益を主張する。経済交渉ではそういうことはよくあるわけでございますが、日本は日本の国益を最大化するためにこれからも努力していきたい。」

続いて、先ほど紹介された世論調査の別の項目についても触れ
ナレーター「正念場を迎える安倍総理。世論調査で9月に予定されている自民党総裁選で次の総裁は誰が良いかと聞いたところ、安倍総理は石破茂氏、小泉進次郎氏に次ぐ3番目でした。支持率急落を受け政府与党からは。」

続いて政府高官らの会見の様子が放映され
二階幹事長「(支持率は)高い方がいいに決まっています。下がらないことが大事だと思いますが、事態は率直に素直に受け止めて、これから頑張ってみたいと。」
菅義偉官房長官「経済の再生、北朝鮮問題など、安倍政権として内外の課題に一つ一つ着実に実現をしていく。そして国民の信頼を得てまいりたい。」
この菅官房長官の発言の後、カメラはいったんスタジオに戻ります。


富川アナ「これ誰が、なぜ改ざんしたのかというのが今回の証人喚問のメインテーマですが、そもそものこの問題の原点はと言いますと、小川さんこちらですね。」
小川アナ「そうですね、こちらご覧ください。大阪豊中市の航空写真なんですけれども、森友学園が小学校を開校しようとしていたのはここです。もうすでに校舎が立っていますが、そもそもここはどういったところだったんでしょうか。明日の証人喚問を前にこの土地の歴史を紐解いてみました。まず注目したのは、この黄色で示されているくねくねとした道。碁盤の目のようになっているこの街で、どうしてこの道だけ曲がりくねってるんでしょうか。」

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【放送内容③】
ここではスタジオに森友学園の小学校が建設される予定だった場所の航空写真などが写ったパネルを用意。その小学校付近にある道が曲がりくねっていることを紹介し、VTRが再びスタートしました。

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ナレーター「大阪府豊中市野田町1501番。森友学園の小学校となるはずだった土地です。周囲を歩いてみるとあることに気がつきました。」
記者「この辺は整備されていて、まっすぐ直線の道路が多いのですがこちらの道路だけはくねくねと大きく曲がりくねった道になっています。」
ナレーター「地図で見てみると碁盤の目のような街の中に一本だけ目を引く曲がりくねった道があります。この道はいつからあったのでしょうか。地元の図書館で古い地図を見せてもらいました。」
「昭和36年の地図にも、この曲がりくねった道はありました。そして学園が買ったのはこの部分です。この道は何だったのでしょうか。手がかりを求めて辿り着いたのは20年以上前に編まれた一冊の本でした。戦前を知る人々から聞き取った話が収められた、郷土史です。」
ナレーター②「堤防と堤防の間は湿田のようになっていて、ほとんどが葦の生えているところ。いざ洪水となった場合の遊水地であり、大水が出たら川に水を落とすようになっていた。」
ナレーター「これは明治時代の地図です。学園が買った土地は北と南のふたつの堤防に挟まれた湿地帯でした。戦前までは洪水の被害を抑えるための場所だったのです。先ほどの曲がりくねったこの道は、南側の堤防の名残。そして北側の堤防は今名神高速になっていました。地元の歴史に詳しい森本さんは。」

続いて地元豊中市の歴史に詳しいとされる方のインタビュー映像を放映。
森本吉道さん「(堤防は)江戸時代の初めからあったと、古文書に書かれています。野田町あたりに住む場所は無かったんやないかと。調整池みたいな感じですね。」
ナレーター「誰も住んでいなかったこの土地に高度経済成長期に入ると次々と住宅が建てられていきます。乗光恭生さん。森友学園が買った土地にかつて住んでいた人です。」
乗光さん「これは田んぼだった。来たときはもう田んぼがずっとここも田んぼ、向こうの公園のところも田んぼだった。昭和45,6年には人口がいっぱいになって、昭和50年ぐらいまでずっと家がいっぱいだったんですね。ところが。」
「大阪万博が開催された、昭和45年。伊丹空港の滑走路が拡張すると、騒音問題が深刻化。飛行ルートの真下にあったこの土地も国が買い取ることで収集を測ったのです。住民は次々と立ち退いて行きました。そして阪神淡路大震災が襲います。乗光さんによると、この一帯には仮設住宅が建てられ、その後の区画整理の中で廃材などのゴミが捨てられたのではないかと言います。」
乗光さん「マンションをつぶした後の鉄骨の土台が大きなマンションだったので、その鉄骨があったのでその鉄骨のごみは確かにあった。」
記者「生活ごみは?」
乗光さん「少しはあったと思います。」

ナレーター「豊中市はこの土地を防災拠点を整備するための補助金を使って、国から14億円で買います。しかし変えたのは東側の半分だけ。それが今の野田中央公園です。そして残った西側の土地を買うべく最初に名乗りをあげたのは隣接する大阪音楽大学でした。しかし」

続いて昨年3月30日の国会での財務省理財局の中尾睦次長(当時)の答弁を放映。
中尾次長「『7億円くらいしか出せない』と言う話がございまして、時価でないと売れませんということで学校法人の側から要望書を取り下げられた。」
ナレーター「この時7億円では安すぎると突っぱねた近畿財務局でしたが、森友学園に対しては最終的に8億円あまりを値引きします。」

【放送内容④】
続いて2016年3月15日の財務省本省での森友学園側と財務省側との面会を録音したテープを放映。
籠池前理事長「そこにはビニール、革靴、長靴(などのごみが)ううーっとあるわけですよ。」
ナレーター「地中深くに新たなゴミが見つかったというのです。国は学園側の業者が調べた5箇所のうち、一箇所で3.8メートルからゴミが出たため、このエリアには一律で3.8メートルまでゴミが埋まっていると判断。さらに杭の部分については、ひときわ深い9.9mまでゴミがあると想定。ゴミは均一に広がっているため、全て処分するには8億円かかるとしたのです。しかし会計検査院は。」

続いて昨年11月24日の会計検査院第3局の戸田局長の国会での答弁を放映。
会計検査院第3局・戸田直行局長「振動、混入率等について十分な根拠が確認できない。撤去・処分費の単価の詳細な内容が確認できず、会計経理の妥当性について検証を十分に行えない状況。」
ナレーター「会計検査院は深い所にゴミが均一に存在することを裏付ける根拠は、確認できないと指摘。記録も廃棄されていて十分な検証ができないと、疑義を付きつけました。実は学園に土地を売却する5年前、国交省が行ったボーリング調査では3 mより深い場所からあるものが大量に見つかっていました。現場から北に700M行くと。」
記者「こちらに案内板がありますね。穂積遺跡と書かれています。縄文時代の遺跡などがここから発見されたようです。写真見てみるとこれは貝殻でしょうか、びっしりと並んでいます。」
ナレーター「この辺りは縄文時代には海だった場所。そのため地表4 mより深い場所には貝殻が埋まっているのです。学園側と国との間では口裏合わせとも見られるやり方が。」

続いて2016年3月下旬に行われた学園側と財務省側の担当者とのやり取りを録音したテープを放映。
近畿財務局の担当者「(3mより)下にあるごみは国がやらなかった事実なのできっちりやる必要があるんでしょ、というストーリーはイメージしている。」
工事業者「(ゴミが)3mより下から出てきたかどうかはわからないです、とお伝えしています。そういう風に認識を共有した方がいいのであれば我々合わさせていただきますけれども。」
ナレーター「8億円の値引きは適正だったのか、明日の証人喚問で真相にどこまで近づくのでしょうか。」
このナレーターの言葉を最後に、カメラはスタジオへと戻ります。

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富川アナ「値引きした理由、そもそも新しいゴミがあったのかどうか、これがそもそもの問題と。内閣支持率への影響も出てきてますね。」
後藤謙次氏「そうですね。この問題起きて、とりわけ3月2日に朝日新聞が文章の書き換えを報じて以来ですね、3回に分けた大手メディアの世論調査があったんですね。最初は佐川さんが国税庁長官やめた直後。この段階で6ポイントぐらい低下だったんですが、その後財務省が文書文書改ざんですね、これを認めた後の世論調査。これ10ポイントぐらい落ちたんですね。そして今回報道ステーションがやった世論調査。この3段階に分かれたんですね。一段階と二段階目これは下降線でわかるんですが、注目されるのは三段階の段階でも支持率が急落傾向にある。これまで安倍内閣というのはですね、この支持率の高さ、それから安倍トランプ関係に代表されるような外交。この2本柱で政権が支えられてきたんですが、その両方が今ぐらつき始めて、そしてそのピークが明日の証人喚問ということになると思いますね。3つポイントがあると思いますね。」
富川アナ「後藤さんが考える、3つのポイントです。」
後藤氏「一つはですね虚偽答弁。佐川さんは決裁文書とは違う答弁をしてますがこの虚偽答弁。それからさらにその後の文書の改ざん。なぜ行ったのか、その動機の部分。佐川さんに聞かなければわからないわけですね。」
「それから2番目は、佐川さんの独自の判断で行ったのか。これだけ大きなですね、14の文書で300箇所以上の改ざん。これをたった一人でやれるんですかという疑問ですね。」
「それから安倍総理と及び昭恵夫人が佐川さんのそういう行動にどこまで影響を与えたのか。これは我々忖度問題として大きくクローズアップされましたけども、とりわけ2月17日の昨年のですね、安倍総理の我々が関係していれば、首相も辞めるし議員も辞める、と言ったあの発言がどこまで佐川さんの答弁及び改ざんに影響を与えたのか。そこを注目したいと思いますね。」
富川アナ「関係すればと言っていましたからね。影響していたとなれば、大変なことですね。」後藤氏「で与党側は明日を幕引きにしたい。一方野党側は明日は次のステージの幕開けだとこの幕引きと幕開けというのが明日の分水嶺になってくると思いますね。」
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【検証部分】
今回の放送には重大な問題点がありました。
それは、今回の放送は、少なくとも2か所において事実とは異なることを放送しているということです。

詳しく述べていきたいと思います。
まず1点目は番組の中盤で森友学園の小学校の建設予定地だった場所(大阪府豊中市野田町)について触れた場面においてです。
番組では、その土地の歴史やかつては湿地だったことを紹介するVTRに加え、地元の地理に詳しい方やかつて住んでいた方へのインタビューなどを放映。その後、ナレーターが
「豊中市はこの土地を防災拠点を整備するための補助金を使って、国から14億円で買います。しかし買えたのは東側の半分だけ。それが今の野田中央公園です。そして残った西側の土地を買うべく最初に名乗りをあげたのは隣接する大阪音楽大学でした。」と発言しました。
しかし、実際には豊中市が国から買い取ったとされる土地(現在の野田公園)は、その後の取引で実質約2000万円まで価格が下げられて売却されています。
その理由として政府は、土壌汚染対策として国側がその費用を負担することで処理したからだと説明しています。
なぜ番組はこのような誤った情報を放送したのでしょうか。もし、この土地(現在の野田中央公園)が値引きされて売却されたことを放送した時に、その隣の国有地(森友学園へ売却された土地)の値引きにインパクトがかけてしまうから…という理由だったとすれば、印象操作を疑うことにもつながりかねません。

次に2点目です。
後藤氏はスタジオでのコメントの中で
「それから安倍総理と及び昭恵夫人が佐川さんのそういう行動にどこまで影響を与えたのか。これは我々忖度問題として大きくクローズアップされましたけども、とりわけ2月17日の昨年のですね、安倍総理の、我々が関係していれば、首相も辞めるし議員も辞める、と言ったあの発言がどこまで佐川さんの答弁及び改ざんに影響を与えたのか。そこを注目したいと思いますね。」
と発言していましたが、昨年2月17日の安倍総理の発言は
「私か妻が国有地の売却に関わっていたら、総理大臣も国会議員も辞める。」というものでした。つまり、安倍総理はただの「関与」ではなく、「国有地の売却」に関わっていたら、という条件を提示していたことになります。
後藤氏の発言のみでは、「国有地の売却」という文言が入っておらず、視聴者に誤った認識を与えることにつながりかねません。

この二つの事柄から、今回の放送は放送法第4条第3項「事実は曲げないで報道すること」に抵触している疑いが濃厚です。テレビ朝日に対しては、直ちに今の態度を改善することを求めたいと思います。
今後も監視を続けます。

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