2019年7月2日 報道ステーション

2019年7月2日 報道ステーション

7月2日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは、以下の点です。

・後藤氏による日韓関係に関するスタジオ解説

早速放送内容を確認していきます。
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【スタジオ】
徳永有美アナ:続いて、日本政府が韓国に対して半導体の製造に欠かせない材料などの輸出を規制強化した問題です。対立が続く、いわゆる元徴用工問題への事実上の対抗措置に、韓国からは今日、「経済で報復に乗り出した」などと激しい反発の声が相次いでいますが、日本政府は対抗措置ではないと否定しています。双方の対立が収まる気配はありません。

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【VTR】
ナレーション:G20で首脳会談はなく、挨拶以外の会話もなし。目もほとんど合わせなかった、日韓の両首脳です。今の日韓関係を如実に表していますが、好転の兆しはありません。むしろ事態はエスカレートしています。

世耕弘成経産大臣:旧朝鮮半島出身労働者問題については、残念ながらG20までに満足する解決策が全く示されなかった。韓国との間では信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない状況になっているわけであります。

ナレーション:日本政府は昨日、韓国に対して輸出の規制を強めることを発表しました。対象となるのは3品目の化学製品です。

韓国外務相の会見:日本政府が昨日発表した措置は両国関係に否定的な影響を及ぼす恐れがあり深く憂慮する。遺憾であり、撤回を求めます。

ナレーション:対象となる化学製品3品目は、これまで政府の許可無く韓国への輸出が可能でした。しかし今後は、個別の出荷毎に政府の許可が必要となります。しかしこの措置は韓国にとってただ事ではありません。

韓国連合ニュース:韓国最高裁の徴用工への賠償判決に露骨な不満を示してきた日本政府が経済報復に乗り出しました。韓国の主力輸出分野に規制がかかり、両国の関係は荒波に揉まれています。

ナレーション:今回規制対象となる、レジスト・フッ化水素・フッ化ポリイミドは、世界生産量の7割以上を日本が占めている化学製品です。レジストは半導体を作るときに型紙のような役割を果たす感光剤です。フッ化水素は半導体の電気を通さない部分を削るときなどに使われます。透明性と耐熱性が優れているフッ化ポリイミドは、スマートフォンや有機ELディスプレイなどに必要不可欠な材料です。つまり半導体やスマホのディスプレイが基幹産業である韓国にとって、3品目はいわば生命線です。ある韓国メーカーを取材すると、「3品目のほぼすべてを日本から輸入していて自前生産もできず、代替もきかない」という答えが返ってきました。

LG経済研究所シニアアドバイザー李地平研究員:韓国の半導体とディスプレーはグローバルな生産品なので韓国の生産と輸出に支障が出ると、アメリカや中国、ヨーロッパを含め世界的な産業の供給にも影響が出ることになる。

ナレーション:3品目を韓国に供給しているある日本メーカーは、取材に対し「影響はまだ精査中だが事態を注視している」としています。ただ、今回の措置はその他の企業への影響も避けられそうにありません。日本企業からは3品目意外にもシリコンや製造装置、測定器など半導体生産に関する材料の多くが韓国に輸出されているからです。日本が今回の措置に至ったのは、そもそも徴用工問題に起因します。外交問題に対して、輸出制限措置をとったとも言われていますが……。

菅義偉官房長官:今回の見直しの措置は、安全保障を目的に輸出管理を適切に実施する観点からその運用を見直すものであり、対抗措置ではないと明言します。

ナレーション:しかし世界は、言葉通りにとってはいません。

ブルームバーグ:日本の動きは関税と輸出の取り締まりを貿易戦争の主導権争いで利用してきた、トランプ大統領に似ている。

ウォール・ストリート・ジャーナル:ミスター安倍は相手の中核ビジネスに経済制裁という攻撃を加えるトランプ大統領の戦略を見習った。

ナレーション:日本の輸出規制強化に対して、韓国が報復措置に出る可能性もあります。そうなると日韓関係はさらに拗れることになります。

経済同友会櫻田謙悟代表幹事:韓国は日本からの輸入が大きいはずですから、もしあってはいけない報復合戦、よくどこかの国が異国で使っていますけど、あのやり方っていうのはもうやめた方がいいと思います。政治の世界ではみたいなメッセージのやりとりがあると思うが、少なくとも経済界は早く正常化して欲しい。

ナレーション:専門家の見方は。

日本総研向山英彦上席主任研究員:韓国政府が何らかの具体的な日本政府が検討するに値する案を出せば、私は充分に状況は変わりうると思うが、今の段階ではそういう動きは見えてこない。少なくとも参議院選挙が終わるまでは続くと思います。また規制を進めながら韓国への影響を見極めつつ、また韓国政府の対応を待つということになる。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:日本政府は経済の分野に切り込んだということになるんですけれども、この対応はどうご覧になりますか。

後藤謙次氏:この対応についてですね、日本政府の中にも戸惑いや冷ややかな見方があるんですね。それほど驚きの対応をしてるわけですが、今回そもそも徴用工、その前の日韓慰安婦合意、これの事実上の韓国側の破棄。こういうものの積もり積もって、戦後最悪の状況になってしまったということはあるにせよ、トップ同士がいかに話し合うかが大切なんですね。その意味では先週大阪で開かれたG20首脳会合、この対応は先ほどVTRにありましたように、文在寅大統領がせっかく来てくれたんですが、安倍総理と会ったのはたった8秒。会ったというよりは挨拶を交わしただけ。ここでまともな日韓首脳会談が行われていれば、もう少し違う対応になったと、そう指摘する人たちも多いんですね。とにかく今回については日本側から仕掛けたわけですから、報復をしたということに対して、出口をどこに安倍さんは考えているのか、そこが見えないところなんですね。またよりいっそう不安をかき立ててしまう。そういう意味では、日本がこういう外交をやるのかなともっと説得を全世界に向かって、韓国のやり方はおかしいじゃないかと説得をする必要があったと思いますね。

徳永有美アナ:韓国と日本、かなり溝が深まったという印象があるんですけれども、解決策はあるんでしょうか。

後藤謙次氏:難しいと思いますが、この背景には国民感情のぶつかり合いというのがあるんですね。とりわけそのぶつかり合いの中で指導者同士が如何に冷静に溝を埋めていくのか。逆にぶつかり合ってしまえば、その溝は逆に深く広がってしまう。そういう状況を生んでしまうわけですね。ですから今後はタイミングを見て、安倍総理と文在寅大統領が腹を割って話し合うということが何よりだと思いますね。報復の連鎖は何を産まないということは、歴史が我々に教えてくれている事実ですから。

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【検証部分】

検証する発言は、以下の部分です。

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徳永有美アナ:日本政府は経済の分野に切り込んだということになるんですけれども、この対応はどうご覧になりますか。

後藤謙次氏:この対応についてですね、日本政府の中にも戸惑いや冷ややかな見方があるんですね。
それほど驚きの対応をしてるわけですが、今回そもそも徴用工、その前の日韓慰安婦合意、これの事実上の韓国側の破棄。こういうものの積もり積もって、戦後最悪の状況になってしまったということはあるにせよ、トップ同士がいかに話し合うかが大切なんですね。その意味では先週大阪で開かれたG20首脳会合、この対応は先ほどVTRにありましたように、文在寅大統領がせっかく来てくれたんですが、安倍総理と会ったのはたった8秒。会ったというよりは挨拶を交わしただけ。ここでまともな日韓首脳会談が行われていれば、もう少し違う対応になったと、そう指摘する人たちも多いんですね。とにかく今回については日本側から仕掛けたわけですから、報復をしたということに対して、出口をどこに安倍さんは考えているのか、そこが見えないところなんですね。またよりいっそう不安をかき立ててしまう。そういう意味では、日本がこういう外交をやるのかなともっと説得を全世界に向かって、韓国のやり方はおかしいじゃないかと説得をする必要があったと思いますね。

徳永有美アナ:韓国と日本、かなり溝が深まったという印象があるんですけれども、解決策はあるんでしょうか。

後藤謙次氏:難しいと思いますが、この背景には国民感情のぶつかり合いというのがあるんですね。とりわけそのぶつかり合いの中で指導者同士が如何に冷静に溝を埋めていくのか。逆にぶつかり合ってしまえば、その溝は逆に深く広がってしまう。そういう状況を生んでしまうわけですね。ですから今後はタイミングを見て、安倍総理と文在寅大統領が腹を割って話し合うということが何よりだと思いますね。報復の連鎖は何を産まないということは、歴史が我々に教えてくれている事実ですから。

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今回の発言の問題点は以下の点です。

・印象操作と思われる発言があった可能性がある
・事実と異なる発言があった可能性がある

今回の韓国に対する、輸出規制はいわゆる徴用工問題に対する報復措置であり、その出口は見つからないままだと解説しています。

そもそもこの問題は韓国が徴用工問題に関して、不当とも思える日本企業への賠償を命じたことからこの問題が大きく取沙汰されることになりました。

しかし、請求権問題の完全かつ最終的な解決をうたった1965年の日韓請求権協定を覆すことにもなるため、韓国側が協定を無視しているのです。
こういった中で日本が加害者かのように「日本から仕掛けた」などと述べるのは視聴者に対して誤った印象を与えることに繋がりかねません。

こういった印象操作と思われる発言を我々は問題であるととらえます。

次に2点目の問題点について検証していきます。

後藤氏は日本と韓国の主導者同士の冷静になり、両国間に生まれた溝を埋めるべきだとの解説を述べています。
しかし、慰安婦問題に関しても今回取り上げられている徴用工問題についても、日韓請求権協定や日韓合意など、話し合いによって一定の落としどころを見つけてきました。

しかしこれらの国家同士の約束を反故にしてきたのは常に、韓国側です。

日韓合意は2015年(平成27年)12月28日の日韓外相会談でなされた日韓間の慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認した合意です。
「不可逆的な解決」を確認したにも関わらず、韓国側は慰安婦の問題を何度も外交問題としてきました。

つまり冷静になるべきなのは韓国側なのです。
こういった経緯を無視し、日本と韓国の両国に等しく問題があるとする後藤氏の解説は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けて参ります。

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