サンデーモーニング 2018年4月15日放送分の報告です。
今回は加計学園問題、森友学園問題について放映した部分について検証していきます。
詳しく見ていきましょう。
■放送内容①
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水野アナ「愛媛県職員が総理官邸を訪問した際のメモとされる文書。その内容に波紋が広がっています。」
【VTR】
・三重県今治市の加計学園獣医学部の新設をめぐり、朝日新聞が新たな文書の存在を報道。
・文書は2015年4月2日、愛媛県と今治市の職員が加計学園の幹部とともに総理官邸を訪ねた際の記録とされ、面会した柳瀬総理秘書官から本件は首相案件などと発言があった記載。
・これに対し、柳瀬氏は『自分の記憶の限りでは愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません』とコメントを発表。
・しかし、愛媛県の中村知事が緊急会見を開催。文書はその場にいた県の職員が備忘録として作ったものだと認める。
・経産省ナンバー2、経済産業審議官の柳瀬氏は一貫して面会した記憶はないと主張。
・国会の集中審議で野党は安倍総理を厳しく問いただした。が、安倍総理大臣は柳瀬秘書官を私は信頼をしていると発言し、認めなかった。
・また文書には、2015年4月2日以前に安倍総理と加計理事長が退職した際獣医学部新設が話題になったとも取れる記述もあった。
・もしこれが事実とすれば、加計学園の計画を去年1月20日に初めて知ったというこれまでの安倍総理の答弁と矛盾が生じる。
・農水省でも面会記録が見つかるなど、波紋が広がっている
・与党側は柳瀬氏の国会招致を行う方向で調整を始めるなど、加計学園をめぐる問題が政権を揺さぶる事態に。
■放送内容②
【VTR終】
水野アナ「安倍総理は去年7月、加計学園の計画を知った時期について野党側から質問されていますが、計画を知ったのは2017年1月20日でありますと答弁しています。しかし2016年の首相動静によりますと、安倍総理は加計理事長と頻繁にゴルフや会食を重ねていて、野党側は『計画を知らなかったというのは信じられない』と説明を疑問視していました。そんな中、今回出てきた2015年4月2日に愛媛県職員が作成した文書には、加計学園から先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に下村文科大臣が『加計学園は課題への回答もなくけしからん』と言っているとの発言があった、などと書かれていて、主語がはっきりしない部分はあるんですが、少なくとも3年前の時点で安倍総理と加計理事長の間で獣医学部の新設が話題になっていたと読み取ることもでき、野党ならは総理の答弁に矛盾があると追求しています。」
関口氏「誰が考えても矛盾に見えます。秀征さんどう思いますか。」
田中氏「僕は1月の時点でおかしいと思ってました。ちょっと考えられないんですよね。どんなに説明されても信じられないですね。だから前もって知っていなかったらこれはおかしいわけですからね。だからありえないと。ですから、これを信じろっていうことは無理なんで、もっとあの我々が信ずるに値するまあ証拠って言ったらきつい言葉ですけども。そういうものを、あの資料をね、総理自ら提示してもらってですね。あの自分の疑惑を解かなければ、あの、このまま政権は土台が崩れて行ってるんですから。何とかこれね、あの、自分の力で明確にしてもらいたいと思いますよね。」
関口氏「大崎さんどう思いますか」
大崎氏「えっと、何がどう思ってるのかなっていうのがちょっとよくわからないので。本当にあるエビデンスと言うか証拠をひとつひとつちゃんと積み上げて、何が起こったのか、どうゆう時系列で起こったのかっていうことが明らかになるってことが必要なのかなとは思います。」
関口氏「泥沼ですよね、皆おかしいと思ってるけど進展しないっていう。藪中さんこういうのはどうなるんですかね。」
藪中氏「そうですね。官僚への信頼が大きく揺らいでいる中ですからね。そういう中で官僚のトップクラスの方が『記憶にない』っていうのは信じられないですね。だからここは事実関係をはっきりとさせてですね、国民の政治不信を是非回復するということであってほしいですね。」
関口氏「記憶にないって言い方自体が、会ってないなら会ってませんって言いますわね普通。記憶にないってのがおかしいと思いますね。中西さんはラジオやってらっしゃるけどこの問題取り上げたりするんですか?」
中西氏「もちろん取り上げますね。記憶にないっていうところで、なぜそういう発言なのかってことが一番ポイントなんですけども。そこで会ったかもしれないということや、会ったこと自体に問題ないということをちゃんと説明してれば良かったんです。一番最初のところで齟齬感が出て、そこから全部それを埋めるためにどうするかという、ここで繰り返されてるだけであって。そこはちゃんと説明されないと。会ってないのに会ったってことが分かってしまった以上は、逆に言うともうそこに齟齬感がもう出てるわけですから、そこを説明できてないところに違和感がすごくあると思うんですよね。普通だったら多分それは通用しませんよ。」
関口氏「松原さん」
松原氏「確かにまさにそれがですね、柳瀬さんが記憶を戻せない最大の理由なんだと思うんですよね。記憶を戻して会いましたって言ったらですね、総理が知ってる一年半ぐらい前に既に加計の担当者と会って、『どう申請したら通りますよ』って言う指南までしてる。さらにそばにいる秘書官がそれを『加計さんという総理のお友達がやられてるものを今関係者が来ましてやりたいと言ってる説明しておきました』って言わないはずがないとまあ思うわけですよね。だから皆さんがおっしゃる言った言わないって、まあ安倍さんも言った言わないって本当は言った言わないってのはこっちには資料があるんだ、だから本当は同列にすべきものじゃないんですが。ですが一方で面会記録がないとかですね、こっちはいつも資料がないわけですよ。いろんな問題で。そこの最大の問題の一つですよね。」
■放送内容③
伊藤アナ「森友学園をめぐる問題で新たな事実が判明するなど政権の逆風が吹き始めています。」
【VTR】
・財務省の福田淳一事務次官が、木曜日に発売された週刊新潮に女性記者に対してセクハラ発言を繰り返し行なっていたなどという記事が掲載され、翌日には問題の音声が公開。
・麻生大臣は今の段階で処分を考えていないと述べたが、与党内からも続投は厳しいとの声が上がっている。
・森友問題に関連して、財務省が森友学園側に口裏合わせを求めていたことが判明。
・森友問題の値引きの根拠が揺らいでおり、安倍首相の答弁も変化してきた。
・近畿財務局が地中のごみの撤去費用を見積もっていた大阪航空局に対し、ゴミの積算量を増やすよう依頼していたとの朝日新聞の報道も上がっている。
・自民党内から安倍総理に対し苦言を呈する声が上がっている。
・昨日、国会前では安倍総理の退陣を求める大規模デモが開催される。
・同日、小泉元総理は総裁選の3選目はないだろうと発言。
【VTR終】
関口氏「秀征さんどうですか」
田中氏「さっきも言ったように、あの人に、あの、自ら先頭に立ってね。その自分に係ってる疑惑を解いてくれと。我々の信用に値する形でね。」
関口氏「とすると、何か出すものがありますか?」
田中氏「我々には全然ないですよ。あるとすれば当事者ですから。自分のこと一番よく知ってるわけですから。だからきっと我々が納得できる形で説明してくれればいいなと。そうじゃないとこの政権もう持たないですよ。どんどんどんどん先に土台が崩れてくるっていうか、あの、お城の石垣が崩れていくというか、すごい状態になってるんで。だからこの大事な時だから1日でも伸ばすと税金の無駄遣い時間の無駄遣いってそういう方向に行くんでね。なんとかここは先頭に立って疑惑の解明をしてもらいたいというふうに僕思いますよね。」
関口氏「何か手はありますかね、藪中さん?」
藪中氏「役所にいた人間としましたね、本当に信じられないことのオンパレードがね、役所の中でどんどん出てくると。で、ある意味溶けて言ってるようなね、溶解状態にあるような感じがするんですね。だからそれに対しては本当に、真実は何なんだということをはっきりさせるというそういう思いをみんなが持って行動するしかないんじゃないかなと思いますけど。」
関口氏「ただねぇ、この状態を脱する手がないんじゃないかと。松原さんどう思いますか」
松原氏「ただ一つあるとしたら。と言うかやっぱり自民党しかないと思うんですよね。アメリカでは議会はそんなにいくらトランプさんが暴れても羽交い絞めにできないわけですよね。ただ議院内閣制というのは与党が多数を取って与党がその官邸を産んでるわけですから。だから官邸があまりに酷ければ本当は自民党がそれをすぐ動かせるワケですよね。大統領制よりも遥かに動かしやすい制度なんですよね。で、かつては自民党の中でも党内野党がいて、すぐ動きが出てきた。今は一強という中で今すくみ合ってるということなんですよね。ですが僕はこれは確実に変わりつつあると思いますね。と同時にですね、じゃあ今までの当事者がもうすでに喋ってるかと言うと、もう自民党もずっと守って『いや、じゃこの人を証人喚問出そう』とかもう守りに入ってて。自民党が積極的にやろうと思ったら次々にもまた出てくるはずなんですよ色々。それを全部拒んでて『一人だけいいかな』みたいな事やってるから一年二年経っちゃうわけですよね。だから、自民党が国民を一人一人代弁してるはず、過半数取ってるはずですから、自民党がやらないと!ということですね。」
田中氏「さっき山中さんそういうつもりで仰ったんだろうけど『溶解』って言葉ね。僕もずっとそう思ってる。ここんとこね。一気にそういうものが出てきたと。これいろんな問題が出てくるでしょ、同じ時期にいろんな問題が。違った形取ってるんだけどこれ全部根は同じ問題なんだけどね。やっぱりね、全体的にこの統治構造そのものがね溶解しているというそういう感じを僕が持ちますよね。
松原氏「あとは世論の動きだけは無視できないですから。支持率含めて世論の動きがどうなるかっていうのは政権を動かすとしたら最大のやっぱり論点になるとは思いますね。」
関口氏「世界的には大きな問題がたくさん起こっているときだからね。早くなんとかしなきゃいけないと、思っております。」
■検証内容
今回の放送の問題点は大きく分けて2つあります。
1点目は加計学園問題、森友学園問題を扱ったコーナーの中で、事実に基づかないと思われるコメントが散見されること。
2点目は、およそ公平中立的ではないと思われる発言があり、放送法違反が強く疑われること。
以上の2点です。
まず1点目についてですが、加計学園問題に関して関口氏と田中氏はスタジオにて
関口氏「誰が考えても矛盾に見えます。秀征さんどう思いますか。」
田中氏「僕は1月の時点でおかしいと思ってました。ちょっと考えられないんですよね。どんなに説明されても信じられないですね。(中略)もっとあの我々が信ずるに値する、まあ証拠って言ったらきつい言葉ですけども。そういうものを、あの資料をね、総理自ら提示してもらってですね。(中略)何とかこれね、あの、自分の力で明確にしてもらいたいと思いますよね。」
と発言。田中氏は安倍総理に対して「安倍総理が加計学園の獣医学部新設計画を知らなかったこと」を否定できる証拠を提示するよう求めました。
また、森友学園問題に関しても、
田中氏「さっきも言ったように、あの人に、あの、自ら先頭に立ってね。その自分に係ってる疑惑を解いてくれと。我々の信用に値する形でね。」
松原氏「(中略)だからそれに対しては本当に、真実は何なんだということをはっきりさせるというそういう思いをみんなが持って行動するしかないんじゃないかなと思いますけど。」
などという発言が相次ぎました。
どちらの問題も1年ほど前から議論になっている問題ですが、疑いを持っている人々(マスコミや野党の議員)は決定的な証拠を出していません。本来、何かに対して疑いを持った場合、その証拠を出すのは疑った方の人々ではないでしょうか。なぜ安倍総理がその証拠を出さなければいけないのか。その決定的な理由も示されてもいませんでした。
証人喚問や参考人招致が国会で行われる中で数々の事実が明らかになっているにもかかわらず、その「事実」を受け入れていないとも思えるような発言を繰り返しているコメンテーターの方々、そしてそれを放送する番組の姿勢を改めて問う必要があります。
今回の放送は、放送法第4条第3項「事実は曲げないで報道すること」に抵触している可能性があります。
次に2点目についてですが、森友学園問題に関してのコメントの中で
田中氏「(中略)我々が納得できる形で説明してくれればいいなと。そうじゃないとこの政権もう持たないですよ。どんどんどんどん先に土台が崩れてくるっていうか、あの、お城の石垣が崩れていくというか、すごい状態になってるんで。(以下略)」
藪中氏「役所にいた人間としましたね、本当に信じられないことのオンパレードがね、役所の中でどんどん出てくると。で、ある意味溶けて言ってるようなね、溶解状態にあるような感じがするんですね。だからそれに対しては本当に、真実は何なんだということをはっきりさせるというそういう思いをみんなが持って行動するしかないんじゃないかなと思いますけど。」
などの発言がありました。これらは「安倍政権はひどい状況だ」ということを伝えたいように思えますが、言葉が先行しており、公平中立な発言とは到底思えません。それに異を唱えるようなコメンテーターの発言もなく、視聴者は激しい印象の操作を受けてしまうことになる恐れがあります。
これらの発言は放送法第4条第2項「政治的に公平であること。」に抵触している可能性が濃厚です。
今後も監視を続けます。