TBS「サンデーモーニング」、2020年4月5日放送回の検証報告(中編)です。
今回の報告では、
① NY州の医療崩壊の危機について報道された部分
② 東京都の経路不明のコロナウイルス感染者の増加について報道された部分
③ 「風をよむ」にてグローバリズムの在り方について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。
検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。
今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。
中編で検証するのは、
② 東京都の経路不明のコロナウイルス感染者の増加について報道された部分
となります。
では、さっそく放送内容をみてみましょう。
【VTR要約】
連日増え続ける東京都内の新型コロナウイルスの感染者、昨日の内訳を見ると118人のうち7割が感染爆発の原因になるとみられる感染経路不明者です。全国でも新たな感染が確認されており、木曜日には心肺停止状態で救急搬送された生後8ヶ月の赤ちゃんの感染が明らかになりました。
東京都では経路不明の感染者が増え続けており、緊急事態宣言”やむなし”という声もあがっています。安倍首相は「必要な状況になれば躊躇なく緊急事態宣言を行う」としつつ、まだその時期ではないとの認識を示しました。金曜には、森三中の黒沢かずこさんの感染も明らかになったが、夫の鈴木おさむさんは、PCR検査をなかなか行ってもらえなかったことを明らかにしました。また感染が確認され入院中の50代男性も、検査を受けられなかったと訴えています。在日アメリカ大使館は、「日本政府が検査を広範囲に実施しないと決定したことで正確な感染率を把握することが難しくなっている」と指摘し、米国民に帰国の準備を呼びかけています。
スタジオで東京都での感染者数の推移を解説。1日の感染者が100人を超え、2週間前の3連休で自粛ムードが緩んでいた時期の行動が今になって結果としてあらわれている可能性を伝えました。検査数が少なければ取りこぼしが出てくる。感染者が水面下で増えていき、感染爆発につながっていくなどと述べました。
【コメンテーター発言内容】
関口氏:始まったときからPCR検査というのはなかなか受けられないことが問題になっていながらいまだに解決できないのは何なんですか?
岡田氏(全文):それは明確に分からないんですけど、大事なことは日本のこの新型コロナの戦略なんですね。 クラスター=集団感染を見つけて、そしてそれを追跡して潰すということなんです。 だけども検査数が少なければ、そこのクラスター潰しの場合のこぼれが当然出てくるわけです。今どういうことになっているかといったら、そのこぼれたクラスターがどんどんつながっていって、面になろうとしている。これが感染爆発、オーバーシュートにつながってくるわけです。メガクラスターとか。
橋谷氏(全文):こちら、東京都の感染者数の推移なんですけど、このように伸び続けていまして、昨日ついに100人を超えました。木曜日が97人、金曜日が89人、そして感染経路不明というのも、この黄色いところです。このように増え続けているわけです。 実際に感染してから感染が発覚するまで2週間前後かかると言われているんですが、ちょうど2週間前というのは、春分の日を含む3連休に当たるわけです。自粛ムードがちょっと緩んだと言われている時期ですが、このときの行動はもしかしたら今、結果として表れてるのではないかという見方があります。 VTRにもあったんですけれども、在日アメリカ大使館が金曜日、日本に滞在するアメリカ人に対して帰国の準備を呼びかけました。その中に、日本政府が検査を広範囲に実施しないと決めたことで正確に感染率を把握することが難しくなっているといった指摘もされています。
岡田氏(全文):ですから、この黄色い部分はどこからかかったかわからない部分です。この他にも取りこぼしが当然たくさんあるわけです。それが1つのクラスターをつくる人、点がいたとすると大体その周りには10人ぐらい感染者がいると思われます。これがどんどん水面下で増えていっているのが今の現状で、今後感染者は飛躍的に増えていくと考えられます。ですから市中感染率、今私たちが一番知りたい政策の基本がわかっておりませんので、これが同時に上がっていくと考えられます。そうすると、水面下がウイルスを運んでいるのはたいてい若い人だと思いますけど、先ほど若い人のデータも出ましたけれども、10代の方でも亡くなっている、重症化している、赤ちゃんもいると言われましたけど、市中感染率が上がってくるとかかる人が増えてきますから、当然若い人、10~30代の致死率が大体0.2%、500人に1人でございますけれどもそういう人でも重症、亡くなる方が出てくる。ですから今、今日は日曜でございますけれども若い人も自分は大丈夫と思わないで、自粛していただく、それは自分のためでもあり、社会のためでもある。ここをちゃんときちんと認知していただきたいと思っています。
大宅氏(全文):緊急事態宣言をしないとずっと言っていらっしゃいますよね、日本の政府は。 これは起きたときに、中国がすぐ都市封鎖しましたよね。中国みたいな体制だからできるんだと私たち思った。ところが、もうアメリカもイタリアもみんなやっているわけです。映像を見ると、本当に人っ子一人いない感じですよね。パリにしろニューヨークにしろ。日本は結構、人がいる。この緩さみたいなものね。ただ、危機があると国家というのはどんどん広げていきますよね。今の状態というのは、普通の人が普通の生活をする、外出するとか、友達としゃべるということまで封じ込められてるのは異常だと思う。私は自由が一番好きな価値だから、それはとっても嫌だと思うけれども。でも、それをやらない限りは抑え込めないのであれば
従うしかないですよね。マスク2枚じゃないと思う、どう考えても
岡田氏(全文):ここで大事なポイントですが、市中感染率を私も存じませんし、どなたも知らないと思うんですけれども、市中感染率か上がってから行動規制をかけてもこれはあまり効果がないわけですね。それは経験値から分かっているわけで。市中感染率が低いうちに緊急事態宣言をやり、もしくはかなり規制を厳しくやることが大事なんですけれども、そこが分からないというところが非常につらいと。
大宅氏(全文):いろいろ調べた中で、エボラ出血熱のウイルスを発見した方が、こういう感染症に対しては早すぎるとか過剰すぎるということはないと言っていらっしゃいます。
関口氏:そのタイミングを今、国家も東京都もみているわけです
岡田氏(全文):ウイルス学的にいえば、早ければ早いほうがいいわけです。 早期にやったほうが効果が出るわけです。ただ、これは経済とか、社会的ないろんな問題も含みますので、ウイルス学と経済学は相反するものでございますので、ここは政治決断なんですね。ウイルス学的にはもう緊急事態宣言を出すべきですし、医師会が言っているとおりだと思います。ただ、政治としてはどうなのかというのは私にはわかりません。
以上が放送内容となります。
では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の4点です。
1、橋谷氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、大宅氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
それぞれ順を追って解説します。
1、橋谷氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
橋谷氏は今回の報道で、以下のように述べています。
橋谷氏(抜粋):こちら、東京都の感染者数の推移なんですけど、このように伸び続けていまして、昨日ついに100人を超えました。木曜日が97人、金曜日が89人、そして感染経路不明というのも、この黄色いところです。このように増え続けているわけです。 実際に感染してから感染が発覚するまで2週間前後かかると言われているんですが、ちょうど2週間前というのは、春分の日を含む3連休に当たるわけです。自粛ムードがちょっと緩んだと言われている時期ですが、このときの行動はもしかしたら今、結果として表れてるのではないかという見方があります。 VTRにもあったんですけれども、在日アメリカ大使館が金曜日、日本に滞在するアメリカ人に対して帰国の準備を呼びかけました。その中に、日本政府が検査を広範囲に実施しないと決めたことで正確に感染率を把握することが難しくなっているといった指摘もされています。
要旨をまとめると、
・東京都の感染経路不明の人数も増え続けている。コロナウイルスに感染してから感染が判明するまで2週間程度かかる。放送日(4月5日)の2週間前は3連休に当たっていた。
・3連休の行動のゆるみの結果、感染の拡大が進んでしまったのではないのか。
というものです。
しかしながら、
・「感染経路の不明の感染者が増え続けたのは、3連休のうちに国民の気のゆるみにより感染者が増えたと」主張する橋谷氏の主張は根本的に論理が明らか矛盾しており、事実に反する恐れがある。
・また、厚生労働省のクラスター対策班が経路不明の感染者を対象に行動歴を分析したところ、経路不明者の3割が接待を伴う飲食店で観戦していたという分析結果を発表しており、「連休期間中の気のゆるみによって感染者数が増加した」という橋谷氏の主張は事実と明らかに反する。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での橋谷氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
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2、大宅氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
大宅氏は今回の報道で、以下のように述べています。
大宅氏(抜粋):緊急事態宣言をしないとずっと言っていらっしゃいますよね、日本の政府は。 これは起きたときに、中国がすぐ都市封鎖しましたよね。中国みたいな体制だからできるんだと私たち思った。ところが、もうアメリカもイタリアもみんなやっているわけです。映像を見ると、本当に人っ子一人いない感じですよね。パリにしろニューヨークにしろ。日本は結構、人がいる。この緩さみたいなものね。ただ、危機があると国家というのはどんどん広げていきますよね。今の状態というのは、普通の人が普通の生活をする、外出するとか、友達としゃべるということまで封じ込められてるのは異常だと思う。私は自由が一番好きな価値だから、それはとっても嫌だと思うけれども。でも、それをやらない限りは抑え込めないのであれば
従うしかないですよね。マスク2枚じゃないと思う、どう考えても
要旨をまとめると、
・日本のコロナウイルスの対応は他国と比較するとゆるい。ただ、このような危機があると規制はどんどん強くなっていくだろう。私にとって自由が一番好きな価値だから、今の状態は異常だと思う。
・でも、このような規制をしない限りは、コロナウイルスは抑え込めないのであるなら国家の命令にしたがうしかない。日本のマスク2枚という対応はどう考えても違う。
というものです。
しかしながら、
・マスクを配布することによって、過剰に需要が増大するマスクに対する対策が可能になり、医療機関など重要な施設に優先的にマスクを供給することができるという側面を考えれば、全世帯にマスクを配布することは。比較的合理的な判断であると考えることができる。その為、これらの側面を説明しない大谷氏の主張は政治的に公平ではない。
・また、そもそも政府はマスク2枚以外にも、情報提供やサーベイ、医療機関体制の確立、水際対策などの多くの対策をしているのだから、「マスク2枚でしか対応してない」というのは大谷氏の主張は明らかに事実に反し、政治的にも公平ではない。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での大宅氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「PCR検査数を増加すべきである」という立場に立った意見のみが出てきました。
ですがこの問題に関しては「医療崩壊を防ぐためにPCR検査は必要な人に限って行うべきだ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。
以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。
以上が報告の中編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。
この続きの
③ 「風をよむ」にてグローバリズムの在り方について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。
① NY州の医療崩壊の危機について報道された部分については前編の報告をご覧ください。
公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。