2019年5月19日 サンデーモーニング(前編)

2019年5月19日 サンデーモーニング(前編)

サンデーモーニング、2019年5月19日分の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 丸山穂高議員の失言について報道された部分
② 景気動向指数の「悪化」について報道された部分
③ 「風を読む」にて米中の対立について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① 丸山穂高議員の失言について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
辻元議員が「自信がないんですかね自民党は」と揶揄する映像が流され、自民党が失言防止マニュアルを配布したと伝えられる。ビザなし交流の映像に切り替わり、日本維新の会・丸山議員が訪問団の団長に「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか?反対ですか?」と話しかけ、「戦争はするべきではない」と答える団長に、「戦争しないとどうしようもなくないですか?」と話す音声が流される。
 その後、発言を撤回し謝罪したが、日本維新の会は丸山議員の除名を決定。維新の会・松井代表は議員辞職を促したが、丸山議員はTwitterで辞職を否定し、野党が議員辞職勧告決議案の検討を始めると、丸山議員は「可決されても任期を全うする」と改めて宣言したと伝えられる。その後、野党6党派が議員辞職勧告を衆議院に提出にしたが、与党は共同提出を見送り、反省を促す別の決議案の提出を検討しているとアナウンス。
 「日露関係にも影響を与えかねない議員の暴言。国会は今後、どのような対応を示すのでしょうか?」という言葉を最後に、VTRは終了した。

【アナウンサーによるパネル説明】
今回の丸山議員の失言内容をパテルで大きく表示。アナウンサーが「政治家の不適切な発言は以前にもありました」と述べた後、自民党の過去の失言に言及。豊田真由子議員、務台俊介議員、桜田義孝元五輪相、塚田一郎元国交相の名前が挙げられる。
自民党が共同提出を見送った理由について、ある自民党のベテラン議員は、「ブーメランになりかねない。こんなことで辞職の前例を作ったら、どれだけの議員がやめなければいけないのか?」と話していると言い、自民党は別の決議案を検討していると伝えられる。

【コメンテーターの発言】
田中優子氏(全文):日露交渉にダメージを与えるってだけじゃなくて、今、改憲を急いでる人たちもいますよね。その改憲についても。(関口氏:憲法ですか?)ええ。憲法の改正。あの、こういう発言が出てくると、この方、改憲論者だっていうふうに私は聞いてるんですが、そうすると、改憲ってやっぱり戦争を目的にしてるのか。戦争で領土を拡張することを目的にしてるのかっていうふうに、私たちは思ってしまうんですね。ですから、そういう影響も出てくるし、それから後、発言マニュアルって面白いと思うんですけどあれ、危機管理マニュアルなんですよ。ですから、国会議員そのものがもう危機管理の対象となってるっていう。そういう自覚があるのだなというふうに思いましたね。

田中秀征氏(要約):政治家って戦争にならないためにいるもので、根本的におかしい。東大だとか経産省、イケメン、政経塾の看板で一票入れてしまうと、とんでもないことになる。もっと内面が豊かで、きちっと志を持った人を選べるような方向に転換していかなければだめ。丸山議員は、特別委員会の委員として、訪問団の顧問として(ビザなし交流に)行っているのだから、国会全体に責任がある。

岡本行夫氏(要約):非常にお粗末な発言。小選挙区選になってから現職が圧倒的に有利となって、指定席ができたことで自分の研鑽をしなくなっている。大きな問題だと思う。ロシア大使館に謝りに行ったが、たとえ日本に対して非礼な発言が行われても、他の国が日本の大使館に謝罪に行くなんてことはしない。もう少しドンと構えててもいいのでは。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、田中優子氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、田中優子氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
田中優子氏は今回の報道で、以下のように述べています。

田中優子氏(抜粋):日露交渉にダメージを与えるってだけじゃなくて、今、改憲を急いでる人たちもいますよね。その改憲についても。(関口氏:憲法ですか?)ええ。憲法の改正。あの、こういう発言が出てくると、この方、改憲論者だっていうふうに私は聞いてるんですが、そうすると、改憲ってやっぱり戦争を目的にしてるのか。戦争で領土を拡張することを目的にしてるのかっていうふうに、私たちは思ってしまうんですね。ですから、そういう影響も出てくるし、それから後、発言マニュアルって面白いと思うんですけどあれ、危機管理マニュアルなんですよ。ですから、国会議員そのものがもう危機管理の対象となってるっていう。そういう自覚があるのだなというふうに思いましたね。

要旨をまとめると、
・丸山穂高議員は憲法改正を支持する立場だったので、このような発言があると改憲は戦争目的だと思えてしまう
・国会議員が危機管理マニュアルの対象となっている自覚があるのかと思う

というものです。

しかしながら、
・丸山穂高議員の発言という極端な例1つを根拠に、改憲論全体があたかも戦争目的であるかのように扱うことは、事実に基づかない虚偽の発言である。
・今回失言対策マニュアルを制定したのは自民党のみであり、立憲民主党をはじめとする野党を含めて危機管理の自覚があるとする発言は事実に基づかないものである。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での田中優子氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「丸山議員は野党が提出する議員辞職勧告決議案に応じるべきだ」「戦争を避けることが議員の使命だ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「議員の資格があるかどうか決めるのは本人と有権者だ」「議員の使命は国益の保護だ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 景気動向指数の「悪化」について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

③ 「風を読む」にて米中の対立について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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