2019年6月30日 サンデーモーニング(中編)

2019年6月30日 サンデーモーニング(中編)

サンデーモーニング、2019年6月30日分の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 大阪で開かれたG20について報道された部分
② 「風を読む」にて日米安保について報道された部分
③ 沖縄慰霊の日について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 「風を読む」にて日米安保について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
 トランプ大統領の発言が波紋を呼んでいると伝えられ、「アメリカが攻撃されたとしても日本は戦う義務はない。これは不公平だ」と話すトランプ大統領の姿が映し出される。日米安保条約の破棄に言及し外務省がアメリカで行った世論調査によると、日米安保条約を「維持すべき」と答えた人は、2018年には69%と2016年の82%から低下したとナレーション。
 日米安保条約の概要について映像とともに説明。日米安全保障条約は1951年に調印され、1960年に日本防衛の義務が明文化された一方、安保闘争へとつながったが、反対の声は時を経るにつれて下火となったと伝えられる。春名幹男氏のインタビュー映像に切り替わり、「安保条約を結んだことで、日本は経済発展に専念することができた。高度経済成長が進行して安保条約を評価する傾向が強まった」と語る映像が流される。
 安保条約は日本に大きな負担を強いていると伝えられ、米軍専用施設の7割が沖縄に集中。思いやり予算は1974億円にのぼり、イージス・アショアやF35Bなどを購入する方針が決まっているとナレーション。
 再び春名氏のインタビュー映像に切り替わり、「在日米軍がいることで日本は大きい負担を強いられている。」「得よりも損の方が増えている」と語る映像が流される。その後、記者会見を行うトランプ大統領の姿が映し出され、「日米安保条約の破棄は考えていない」「過去半年間、安保条約は安倍首相に不公平だと伝えてきた。変えなくてはならない」と話す映像を最後に、VTRは終了した。

【コメンテーターの発言】
寺島実郎氏(全文):アメリカファーストを掲げてる大統領のですね、日本にとっての意味っていうのがようやくはっきりしてきたと思うんですね。本音がですね。これ、要するに本音なんですよ。彼は1990年代からこういうことを言い続けててですね、フリーライダー論っていうですね、日本は防衛にただ乗りしてるっていう論理から一歩も前に出てない。だけど、事実関係をいうとね、先ほど思いやり予算が訳2000億って言いましたけども、それ以外にもですね、駐留米軍コスト負担っていう形でね、アメリカがかかってる日本に駐留してるコストのですね、3分の2は日本がもってるいうですね、こんなのは世界中の米軍基地でも例がない。アメリカ本土に基地を置いてるよりも、日本においてた方がよっぽど金がかからない状況ってのをアメリカが享受してるわけですよ。で、さらに、そのまさに不平等って言葉があるとすればね、地位協定の問題を含めて、93年に、冷戦後にドイツがね、正面からアメリカと向き合ったようなことを一切してこない、いわゆるGHQ時代からのですね、米軍のステータスをいまだに確保してるっていうのが今の日本における米軍基地なんですよ。そこで重要なのがね、日本のリーダーとして、何も険悪な関係になる必要はない。国民のためにも筋道を通した主張っていうものを日本が示さなきゃいけない。じっとうずくまってるときじゃない。この先にね、日本が覚悟しなきゃいけないのは、アメリカ頼りでね、中国の脅威に向き合おうなんて時代じゃなくて、日本が主体的にアジアに平和を構築していくんだっていう構想をですね、真剣に向き合う、考えるべき時に来てるんだっていうことだけはね、間違いないと僕は思いますね。

目加田説子氏(全文):私も本当に寺島さんと同じ意見なんですけれども、アメリカがグローバルパワーでいるために日本を利用してるというか、日本における米軍基地があってこそ、アメリカは中国とも対峙できるし、少なくともグローバルパワーでいられるということをまず踏まえなければいけないと思いますし、今回のトランプさんの発言っていうのは、この夏に山場を迎える貿易協定をにらんで、駆け引きの材料に使ってるのかもしれないんですけれども、でももし貿易と安保を絡めるとしたら、そんな譲歩の迫り方っていうのは、本当ろくな同盟関係ではないなってことをすごく思うんですよね。で、さらに、やっぱり安倍さんは、さっきトランプさんがこの半年ずっと言ってきたっていうふうに言ってたじゃないですか。でも我々国民はそんなこと聞かされてない。説明を受けてないなっていうのが最初の印象なんですけれども、ちゃんと反論してきたのかと。少なくともこれだけの基地を抱えて、沖縄をはじめ日本で基地がたくさんある街っていうのはものすごく負担を強いられてるわけですよね。そういう国民感情をものすごく逆なでするものであるし、そのことについてちゃんと安倍さんはきちんとトランプさんに説明する必要があると思うんですよね。武器を爆買いしてね、握手してるだけが外交ではないってことを、きちんと指摘しておきたいと思います。

藪中三十二氏(要約):トランプ大統領は、農産物や武器を買わせて、もっと米軍駐留経費を支払わせようっていう狙いあると思う。本音だと思う。70%のアメリカ人が同盟関係・条約が大事だと言っているのは大きな数字。プロは在日米軍基地は本当に大事だと思っている。そのバランスを考えながら、日本はアメリカとの条約を堅持しながら、アジアとの共生を図っていくことが必要。

谷口真由美氏(全文):トランプさんって、私から見ると、言いたい放題の声のデカい不機嫌なおじさんにしか見えなくて、そのおじさんにすごく機嫌を取ってる日本みたいなイメージがあるんですけど、蜜月関係をアピールしてる割には言われたい放題やなっていう感じがすごくしてます。

松原耕二氏(要約):アメリカの外交のプロは、日米関係が大事だっていうのはよくわかっている。ただ、トランプ大統領のような考え方は根強くないわけではない。ヨーロッパやオーストラリアでは、自国第一主義が続いたときのために、アメリカへの依存度を減らす選択肢を議論をしている。同盟から離れるつもりはなくても、そういう選択肢を議論していくことも大事だと思う。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の4点です。

1、寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
4、目加田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

1、寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
寺島氏は今回の報道で、以下のように述べています。

寺島氏(抜粋):アメリカファーストを掲げてる大統領のですね、日本にとっての意味っていうのがようやくはっきりしてきたと思うんですね。本音がですね。これ、要するに本音なんですよ。彼は1990年代からこういうことを言い続けててですね、フリーライダー論っていうですね、日本は防衛にただ乗りしてるっていう論理から一歩も前に出てない。だけど、事実関係をいうとね、先ほど思いやり予算が訳2000億って言いましたけども、それ以外にもですね、駐留米軍コスト負担っていう形でね、アメリカがかかってる日本に駐留してるコストのですね、3分の2は日本がもってるいうですね、こんなのは世界中の米軍基地でも例がない。アメリカ本土に基地を置いてるよりも、日本においてた方がよっぽど金がかからない状況ってのをアメリカが享受してるわけですよ。で、さらに、そのまさに不平等って言葉があるとすればね、地位協定の問題を含めて、93年に、冷戦後にドイツがね、正面からアメリカと向き合ったようなことを一切してこない、いわゆるGHQ時代からのですね、米軍のステータスをいまだに確保してるっていうのが今の日本における米軍基地なんですよ。そこで重要なのがね、日本のリーダーとして、何も険悪な関係になる必要はない。国民のためにも筋道を通した主張っていうものを日本が示さなきゃいけない。じっとうずくまってるときじゃない。この先にね、日本が覚悟しなきゃいけないのは、アメリカ頼りでね、中国の脅威に向き合おうなんて時代じゃなくて、日本が主体的にアジアに平和を構築していくんだっていう構想をですね、真剣に向き合う、考えるべき時に来てるんだっていうことだけはね、間違いないと僕は思いますね。

要旨をまとめると、
・アメリカファーストを掲げる米大統領の本音だ。日本がアメリカの防衛予算にタダ乗りしているというフリーライダー論からトランプ米大統領は一歩も進んでいない。
・しかし、思いやり予算や駐留米軍コストの2/3を日本が負担するなど、アメリカは世界でも例を見ないほど有利な地位を築いている。
・日本はアメリカ頼りで中国の脅威に向き合おうという時代ではない、日本が主体的にアジアの平和を構築するという構想を真剣に考えるべきだ。

というものです。

しかしながら、
・フリーライダー論を仮にトランプ米大統領が支持しているとして、アメリカからみても日本は地政学的に重要な位置に存在しており、両者の利害が一致しているため、日米同盟そのものの維持や存続に何か問題が発生しているわけではない。
・日本は日米安保のおかげで年間数十兆円規模の防衛予算を節約し、核兵器を持たずにすんでいる。アメリカだけが一方的に優位な立場にいるという主張は明らかに事実に反している。
・軍拡や南シナ海への進出を続ける中国は日本にとって明確な脅威であり、脅威ではないとする主張は明らかに事実に反している。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での寺島氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
谷口氏は今回の報道で、以下のように述べています。

谷口氏(抜粋):トランプさんって、私から見ると、言いたい放題の声のデカい不機嫌なおじさんにしか見えなくて、そのおじさんにすごく機嫌を取ってる日本みたいなイメージがあるんですけど、蜜月関係をアピールしてる割には言われたい放題やなっていう感じがすごくしてます。

要旨をまとめると、
・トランプ米大統領は言いたい放題の声のデカい不機嫌なおじさんだ
・そのおじさんに日本は機嫌を取ってばかりだが、日本は一方的に言われたい放題だ

というものです。

しかしながら、
・「言いたい放題の声のデカい不機嫌なおじさん」というのはただの罵倒であり、なんの客観的根拠もない個人攻撃でしかない。
・トランプ米大統領への距離が欧州各国の首脳より近く、意見することができると安倍首相が評価されている事実を鑑みれば、日本が一方的に言われたい放題だという主張は明らかに事実に反している。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での谷口氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「日米安保は日本が損をしてばかりなので考え直すべきだ」「アメリカ追従主義はやめるべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。ですがこの問題に関しては「日本の安全保障にとって日米同盟は必要不可欠だ」「アメリカは日本の外交においても欠かすことのできないパートナーだ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 「風を読む」にて日米安保についてについて報道された部分における
 検証3「目加田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに
③ 沖縄慰霊の日について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 大阪で開かれたG20について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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