2018年4月26日 報道ステーション

2018年4月26日 報道ステーション

報道ステーション、2018年4月26日分の報告です。

今回、最も放送時間を割かれた話題は「南北首脳会談」に関する話題でした。
このコーナーでは、VTRや現地にいる記者からのインタビューなどを通して、南北首脳会談を翌日に控えた韓国国内の様子などを伝えていましたが、特に放送法違反に抵触するような箇所は見られませんでした。

今回検証するのは、「当日の国会」について取り上げたコーナーです。
詳しく見ていきましょう。

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前のコーナー終了後の富川アナの前置きの後、安倍首相に対し厳しい意見を述べる辻元清美立憲民主党国対委員長と安倍晋三首相の様子からVTRが始まりました。
富川アナ「与野党の対立が深まっています」
辻元清美立憲民主党国対委員長「与党だけで一人芝居をするのはやめていただきたい」
ナレーター「野党審議拒否が続く中で」
安倍晋三総理大臣「今振り返れば率直に反省しなければならない」
ここで一旦CMに入り、CM明けはスタジオから始まりました(1800-2010)

小川アナ「こちら総理と麻生大臣、話し込んでいますが、今日の国会はこうしてがらーんと空席が広がりました。野党6党が今日も麻生大臣の辞任などを求めて審議を欠席したんですが、そんな中、安倍総理は昨日与党幹部から飛び出した『解散』という言葉にどう反応したんでしょうか」
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小川アナが野党の審議拒否が今日も続いたことに触れた後、VTRがスタートしました。
——–【VTR】
まず、答弁に答える安倍首相の様子を放映。
安倍首相「解散総選挙については、私の頭の中には全くございません。これは、はっきりと申し上げておきたい」
ナレーター「昨日、突如自民党幹部が口にした『解散』」

続いて、インタビューに応じる自民党の森山国対委員長の様子が映されます。
森山裕自民党国対委員長「解散もひとつの選択肢なのだろうなと」
ナレーター「審議を欠席し続ける野党への牽制とも捉えられましたが、今日も立憲民主党など野党6党は、全ての審議に応じませんでした」
安倍晋三首相「私の妻や長年の友人が関わる話であれば、国民の皆さんから疑念の目を向けられるのはもっともなことであろうと」
「今振り返れば、この件について、私の意識が必ずしも十分ではなく、結果として現在のように国会審議が、政策論争以外に集中してしまう状況を招いたことは率直に反省しなければならない」

続いて、野党の空席が映し出されます。
ナレーター「森友・加計問題の責任が問われる事態に、反省の言葉を口にしました。野党は審議に応じる条件として、麻生大臣の辞任、柳瀬元総理秘書官の証人喚問、森友文章改ざんをめぐる調査結果の今月中の公表、日報問題の真相究明を求めていますが、政府与党は全てに応じていません」
安倍首相「国民の厳しい目が注がれていることを十分に意識しながら、事実に基づき、丁寧な上にも丁寧な説明をしていく努力を伝えていきたい」
ナレーター「丁寧な説明を強調した総理。しかし…」

麻生太郎財務大臣、菅義偉官房長官、小野寺五典防衛大臣の会見の様子が映されます。
麻生大臣「私どもといたしましては調査中ということです」
菅義偉官房長官「福田次官のセクハラ問題についてもまだ調査中であります」
小野寺大臣「現在詳細の調査について精査をしているところであります」
ナレーター「福田氏のセクハラ発言、幹部自衛官の暴言問題などについても、調査中を理由に明らかにならないままです」

続いて、日本維新の会が出席した国会の様子が映されます。
ナレーター「今日、審議に出席した維新。発覚して2ヶ月が経とうとする森友文書改ざんについて、問いただしましたが…」
片山大介参院議員「調査はどこまでやってるのか」
矢野財務省官房長「捜査当局の捜査との関係にも留意して進める必要がございますので、簡単に終わるものではないと…」
片山議員「捜査を待たなきゃ出せないのですか」
矢野官房長「捜査当局がどのような見解を示されるかということについて、それを見ないうちに調査結果を出すということは、事実上ないと…」

場面が変わり、柳瀬元秘書官とそれを糾弾する維新の会の様子が映されます。
ナレーター「さらに官邸で加計学園関係者と面会したかどうかが問われている柳瀬元総理秘書官については…」
片山議員「柳瀬さんは堂々と出てきて事実を述べればいいだけなんです。この問題を決着させるためにもですね、柳瀬さんに話をさせた方がいいと思うんですけども」
安倍首相「国会の運営は国会がお決めになることですが、何らかの機会があれば、柳瀬元秘書官にはさまざまな指摘に対し、知ってることをすべて明らかにしてもらいたいと考えております」
ナレーター「機会があれば明らかにしてもらいたいとしました。しかし…」

続いて、自民党の森山裕国対委員長が映し出されます。
森山国対委員長「証人喚問じゃないといかんとおっしゃることにも、我々はなかなか理解が出来ませんし…」
ナレーター「与党は今日も、柳瀬氏の証人喚問を拒否」

ここで、与党幹部とされる人間の発言が取り上げられます。
与党幹部(ナレーター)「あったとかあっていないとか、記憶の部分を証人喚問でやってどうするんだよ」

自民党・立憲民主党の国対委員長会談の様子に画面が変わります。
ナレーター「さらに与党は、来月7日か14日に集中審議を開くことを提案。また、明日から働き方改革法案の審議を始めます」
森山国対委員長と立憲民主党の辻元清美議員の取材が映され
森山国対委員長「正常化しないと審議が全て止まるということでは、与党としての責任が果たせませんので」
辻元国対委員長「いつも数で押し切るやり方を、この期に及んでされるのかと。本当に反省するというのは言葉だけなのかしらと」
ナレーター「野党は明日の審議も欠席する方針です」
このナレーターの発言でVTRが終了しました。【スタジオ】
富川アナ「野党6党が欠席するなか、集中審議が行われましたが、後藤さん、どう思われましたか」
後藤氏「国会の機能不全、ここまで来たのかっていうことですね。今日も森友加計問題を取り上げられましたけども、例えば森友問題で言えばですね、佐川前理財局長が大阪地検特捜部の事情聴取を受けましたが、この事情聴取について総理はどう考えるのか。あるいは、あの、文章の改ざん、これについて政府がどう考えるか、ってこういう追求がまあできなかった。非常にあの上っ面の議論で終わってしまったというのが今日の審議ですね。大きな特徴はですね、安倍総理自身が、この森友加計問題について、自分自身との切り離し、という姿勢が非常に色濃くでた感じがするんですね。例えば柳瀬元秘書官の証人喚問の問題についてもですね、柳瀬秘書官がなぜ問題かというと総理大臣の秘書官だったからって言うことが問題なんですけども、今日の安倍総理の答弁で行きますと『柳瀬氏は知っていることを全て明らかにしてもらいたいと思う』とか言って自分は非常に他人事のような答弁をしてですね、そこから距離を置こうとしてると。それは今日の大きな特徴で、これでは一向に前に進まない、野党が拳を振り上げるっていうものがある程度理解できると思うんですね。この証人喚問についても、今日然るべきとこで話せばいいと言ってるんですが、参考人になるか証人喚問なのか区別がはっきりしないわけですね。いろんな問題を全て安倍総理自分の責任があるというんですが、それじゃあ具体的なものは何ですかっていうところに触れていないと。そして多くの国民はですね、おそらくこの森友・加計問題、安倍総理が無形有形どちらにせよ影響を与えている問題だってみんなうすうす感じているわけですね。安倍総理を例えるならばまな板の上に乗せられた鯉みたいな立場にいるはずなんですが、実はその鯉たる安倍総理が、自ら膿を出すと言ってですね、行政府の長として膿を出すと。つまり鯛が包丁を持ってるような状況が今生まれてるんで、なんとなく我々にはしっくりこない、そういう状況がずっと繰り広げられてると感じがしますね」
富川アナ「あの、安倍総理は丁寧な上にも丁寧な説明をしていくと仰っていましたけれども、これまでも丁寧な説明をするとおっしゃっていて、私たちが納得できる説明があったのかどうかというのが最大の問題ですね」
この富川アナの発言を最後にこのコーナーは終了しました。

【検証部分】
今回の放送の問題点は、スタジオでの後藤氏の発言が放送法違反に抵触する可能性があることです。詳しく説明していきます。
後藤氏はスタジオにて
後藤氏「国会の機能不全、ここまで来たのかっていうことですね。(中略)非常にあの上っ面の議論で終わってしまったというのが今日の審議ですね。大きな特徴はですね、安倍総理自身が、この森友加計問題について、自分自身との切り離し、という姿勢が非常に色濃くでた感じがするんですね。(中略)今日の安倍総理の答弁で行きますと『柳瀬氏は知っていることを全て明らかにしてもらいたいと思う』とか言って自分は非常に他人事のような答弁をしてですね、そこから距離を置こうとしてると。(以下略)」
と発言していました。一方で安倍総理は
安倍総理「今振り返れば、この件について、私の意識が必ずしも十分ではなく、結果として現在のように国会審議が、政策論争以外に集中してしまう状況を招いたことは率直に反省しなければならない」
と発言していたのがVTRで放映されました。この発言からは、自分自身の行いによって今回の事態を招いたことを安倍総理自身が反省している意図がうかがえます。にもかかわらず、なぜ後藤氏はそれぞれの問題を安倍総理が「自分自身と切り離そうとしている」という解釈をしたのでしょうか。その理由を言及するような箇所は番組中には見られませんでした。
また、後藤氏は
後藤氏「安倍総理を例えるならばまな板の上に乗せられた鯉みたいな立場にいるはずなんですが、(中略)つまり鯛が包丁を持ってるような状況が今生まれてるんで、なんとなく我々にはしっくりこない、そういう状況がずっと繰り広げられてるという感じがしますね」
とも発言しています。この箇所は、「まな板の上の鯉」という少々不適当とも思われる比喩表現に加え、「しっくりこない」という後藤氏自身の感想を述べたとも受け取れることから、公平性に欠けるようにも感じられました。
今回の放送は放送法第4条2項「政治的に公平であること」に抵触している可能性が濃厚です。

今後も監視を続けます。

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