2018年5月8日 報道ステーション

2018年5月8日 報道ステーション

報道ステーション、5月8日の報告です。
今日の報告で取り上げるのは「新潟小2女児殺害」についてのニュースです。
このコーナーでは、新潟市で女の子が殺害された事件を取り扱い、直前までの女の子の足取りや新潟県警による記者会見の様子を伝えていましたが、特に放送法違反に抵触するような箇所は見られませんでした。

今回は「金正恩氏訪中」の話題について検証します。
では見ていきましょう。

——–
小川アナ「北朝鮮の金正恩委員長が再び中国を訪れまして、中国の習近平主席と会談しました。金委員長は3月下旬に北京を電撃訪問していますが、今回は何を話し合ったんでしょうか」
——–
冒頭、小川アナが金正恩氏の訪中について触れた後、VTRがスタートしました。【VTR】
VTRは、まず習近平中国国家主席と金正恩委員長とが海岸で話し合う様子を映し出します。
ナレーター「晴れ渡った海岸で向かい合って立つのは、中国の習近平国家主席、そして北朝鮮の金正恩委員長です。二人は庭園を散策、そしてテラス席でも話を続けました。金正恩委員長の横にいるのは、妹の金与正氏です」
「場所は中国東北部、北朝鮮と湾を挟んで向かい合う大連です。日本時間午後8時の中国中央テレビ…」
中国中央テレビが映されます。
中国中央テレビアナウンサー「習近平国家主席は、『朝鮮半島情勢が激しく変化するなか、金正恩委員長が再び訪中したことが、両国関係に高い関心を持ち、戦略上の意思疎通を重視することの表れであり、高く評価する』と述べました」

ナレーター「両首脳の再開は北朝鮮の国営メディアでも報じられました」
朝鮮中央テレビの様子が映されます。
朝鮮中央テレビアナウンサー「(金正恩委員長は)『これから朝鮮半島と北東アジアの平和と繁栄を成し遂げ、公正で正義のある新たな世界を築くための長い道のりを中国の同志と固く手を取り合って歩んでいく』と述べられました」

ナレーター「金正恩委員長が大連に入ったのは昨日。一泊して今日北朝鮮に戻ったと言います。金正恩委員長が電撃的に初の外遊を観光して北京を訪れたのが3月の末。そして先週には、王毅外相が中国の外相として11年ぶりに平壌を訪問、金正恩委員長と会談しました。近年の悪化していた関係が一転、結びつきを強めています」

ここで場面は変わり、トランプ米大統領の様子が映されます。
トランプ大統領「米朝会談の場所と日程は決まった。近く発表する」
ナレーター「近く発表されるという日程と場所は未だ明らかになっていませんが、史上初めての米朝首脳会談は確実に近づいてきています」
「注目すべきは、金正恩委員長の大連訪問に同行した人物です」

ここで、キーパーソンとされた人物が映像とともに紹介されます。
ナレーター「妹の金与正氏の他、李容浩外相、韓国との交渉を担当する金英哲労働党副委員長、さらには対米交渉を担当する、崔善姫外務次官も同行していました」
ここでVTRは、アメリカ担当の崔善姫外務次官にフォーカスします。
ナレーター「通常であれば、中朝の会談にアメリカ担当の人物がいる必要はありません。これは来たる米朝首脳会談に向けて、北朝鮮が中国に助言を求めたためだと見られます」
「一方の中国には米朝が近づき過ぎないよう、釘を刺しておきたいという思惑があります」
金正恩委員長と対談する習近平国家主席が映されます。
ナレーター「中国国営の新華社通信によると、金正恩委員長は会談の中で『各国が北朝鮮への敵視政策や安全上の威嚇をやめれば、北朝鮮は核を保有する必要がなく、非核化が実現することができる』と述べたと言います」

ここで場面は中国の大連空港へと変わります。
ナレーター「北朝鮮の飛行機が着陸しているようです。」
前田記者「こちら大連の空港に、北朝鮮の国旗が書かれた飛行機が停まっています。北朝鮮から要人が来た可能性があります」

再び金正恩委員長と対談する習近平国家主席が映されます。
ナレーター「今回、金正恩委員長は特別列車ではなく空路で大連を訪問しました。昨日首脳会談を行い、その後晩餐会に参加。さらに一夜明けた今日、再び習近平主席と会い、階段を歩きながら話し合いました。昼食も共にしたと言います。親密さのアピールには、アメリカを牽制する狙いがあるとみられます」

ここで、トランプ大統領が車に乗り込む様子が映されます。
ナレーター「その、アメリカ、トランプ大統領。日本時間の今日午後8時20分頃、 Twitter に投稿しました」
トランプ大統領の当該ツイートが映されます。
ナレーター「『友人である、中国の習近平主席と話す。関係と信頼が築かれつつある北朝鮮について』。電話会談は先ほど日本時間午後9時半頃、始まったとみられます」
このナレーター発言を最後にVTRが終了し、カメラがスタジオへと戻ります。【スタジオ】
富川アナ「金正恩委員長は3月の末ですよね、訪朝したばかりなんですね」
後藤氏「まあね、非常に驚きました。まあ狙いとしては明らかに、トランプ大統領に揺さぶりをかけるということでしょうね。3月については、政治的に蜜月をアピールすると。で、今回はまあ、大連で建造中の空母っていうのがありましたが、これは実際そこに行ったかどうか不明ですけども、軍事的なシンボルを背景にした2度目の会談ということですね。今度は軍事的な結束っていうのも俺たちにあるんだよ、と。そういうアピールだったと思いますね」
富川アナ「アメリカに対する圧力をかけてるのは北朝鮮ですか、中国ですか」
後藤氏「両方だと思いますね。北朝鮮はちょっとした力強い後ろ盾が欲しいということもありますし、中国は『自分達もキープレイヤーなんだぞ』と。その意味ではですね、米朝会談を丸めて仲介をした韓国に対してフリーハンドは握らせないぞ、と。そういう狙いもあるんだと思いますね」
富川アナ「そして、日中韓首脳会談を翌日に控えてというこのタイミングは」
後藤氏「それもですね、かなり意図的に、そこを狙ったと受け取られてもしょうがないと思いますね。で、日中韓首脳会談、2年半ぶりなんですね。安倍総理にしては非常に檜舞台だったんですが、その存在感、あるいは意義っていうのは相対的に小さくなったってことは否定できないと思いますね。安倍総理は一貫して最大限の圧力路線を貫いて、北朝鮮に核放棄させると、この強気路線でずっと来てたんですが、この中朝トップが握手した翌日に、その政策方針を貫けるかどうか。これ、非常に不透明になってきたと思いますね。ですから今回は日中韓それから日米韓。こういう組み合いの中で、中国と北朝鮮は日米韓を同時に牽制したと言っていいと思いますね。そして間違いなく、中国が北朝鮮の後ろ盾として前面に出てきた。それが今回の会談の意味だったと思いますね」
富川アナ「なるほど。先ほど午後9時半頃ですかね、米首脳電話会談が行われたということなんでその中身も気になるところですね。また万が一ですねトランプ大統領がツイッターを更新したらご紹介したいと思います」
この富川アナの発言を最後にこのコーナーは終了しました。

【検証部分】
今回の放送の問題点は、スタジオでの富川アナと後藤氏の発言が公平性を欠いているように感じられることです。
詳しくご説明いたします。

後藤氏と富川アナはこのようなやり取りをスタジオにて行いました。
富川アナ「そして、日中韓首脳会談を翌日に控えてというこのタイミングは」
後藤氏「それもですね、かなり意図的に、そこを狙ったと受け取られてもしょうがないと思いますね。で、日中韓首脳会談、2年半ぶりなんですね。安倍総理にしては非常に檜舞台だったんですが、その存在感、あるいは意義っていうのは相対的に小さくなったってことは否定できないと思いますね。安倍総理は一貫して最大限の圧力路線を貫いて、北朝鮮に核放棄させると、この強気路線でずっと来てたんですが、この中朝トップが握手した翌日に、その政策方針を貫けるかどうか。これ、非常に不透明になってきたと思いますね。(以下略)」
後藤氏は、日中韓首脳会談を翌日に控えた状況で行われた中朝首脳会談が、予定されていた日中韓首脳会談の存在感や意義を小さいものにしてしまうという趣旨の発言をしています。
そもそも後藤氏は、以前のレポート(5月7日)でも書かせていただきましたが、今回設けられた日中韓首脳会談自体を、国会で追及を受け、下落した支持率を回復するための行事である、という解釈をしているような発言を繰り返してきました。
今回の放送でも「檜舞台」という言葉を使って、今回の会談がパフォーマンスの場としてとらえられかねないような発言をしていました。これは、そもそも日中韓首脳会談は2年半行われておらず、今回は各国の首脳や政府が開催を希望し、綿密な議論をしたうえで開催が決められたものです。もちろん日本単独での開催はできませんし、各国の首脳の予定なども調整して開催が決定している以上、後藤氏が指摘する「檜舞台」という表現は適当ではないように感じられます。
以上のことから、今回の放送は放送法第4条2項「政治的に公平であること」に抵触している可能性があります。

今後も監視を続けます

報道ステーションカテゴリの最新記事