2019年2月27日 報道ステーション

2019年2月27日 報道ステーション

2月27日の報道ステーションのレポートです。
今回は統計不正問題が組織的な隠蔽だったのではないか、という放送を取り上げていきます。
隠蔽という言葉をどのようにとらえるか、そしてそれを監視できなかった与党議員の責任もあると解説し、政権を批判するスタンスで放送がなされていました。
しかしそれらは
印象操作の疑いがある
論点の少なさから放送法に抵触する恐れがある
という2つの問題点から検証する必要があるものです。

まずは放送内容から見ていきます。

——-
【スタジオ】
徳永有美アナ:不正統計問題で、厚労省の特別監察委員会が再調査の結果を公表し、組織的な隠蔽は認められなかったと、改めて結論づけました。嘘の説明をしても意図的ではないから隠蔽ではないとしています。

——–
【VTR】
記者:積極的にではなくても、隠したのは隠したんじゃないかなっていうふうに見えるんですけど、これは“積極的に”という言葉が入るから隠蔽とは認定できないという表現なのかなと。

委員長代理 荒井史男弁護士:隠蔽という概念をどういうふうに置くか、つまり故意行為だという前提なんですね。

記者:故意ですよね? ばれたらまずいと思って。

委員長代理 荒井史男弁護士:そこは判断・評価の問題だろうと思います。

ナレーション:毎月勤労統計調査では、東京都内の500人以上の事業所で全数調査をすべきなのに、抽出調査をしていました。にもかかわらず、「全数調査をしている」と総務省などに嘘の説明をしたことなどについては、担当課長レベルの判断の下、部下の協力を得ながら行われたとして、組織的な関与を認めました。ただ、嘘の説明をしたにもかかわらず、「意図的に隠したとまでは認められず、“隠蔽行為”があったとはいえない」と結論づけました。その理由について報告書では、「隠蔽行為とは事実を認識しながら意図的に隠そうとする行為」であるとしたうえで、「職員らは許容範囲といった程度にしか捉えていなかった」「深刻な不正であるなどと捉えていたとは認められなかった」「綿密な打ち合わせや周到な準備がなされた形跡はなく」「その場しのぎの事務処理をしていた」としています。

徳永アナ:後藤さん、ちょっとほんとに理解できない領域になってきたなという感じがしますが。

後藤謙次氏:そうですね、思わず苦笑いしてしまうんですが。初めに結論ありき、報告書がですね。裁判に喩えますと、裁判というのは主文という結論とですね、判決理由って言うのがあるんですが、判決理由で「しかるに」っていう結論がですね、まったく真逆になってしまっている。つまり、そこに非常に上手い巧みなすり替えが行われていると。この現に前回やった緊急調査ですね、これはわずか一週間足らずで結論を出したんですが、この時にも組織的隠蔽はなかったと。これって根本大臣もですね、処分を自ら科して給与の返納をしているわけですね。つまりそれと違う結論が出てしまうと、更なる処分ってことになりますと、進退に関わるような処分をせざるを得ないと、まあそういう配慮も働いたんじゃないかっていう気がするんですね。ここで重要なのはですね、やはり国会が行政監視機能っていうのを持ってるわけですから、これは特に与党議員に言いたいんですが、与党議員たるものですね、国会の監視機能を強化するために、この膿を徹底的に出すということでもっと積極的に取り組んでもらいたい。そうしなければ国家の基本を作る統計そのものが揺らいでしまったらですね、あらゆる政策が信用できなくなってしまう。そこを肝に銘じてもらいたいと思いますね。

徳永アナ:なんかこういうふうに、言い回しでちょっと濁されてるような感じも持ってしまうんですよね。

後藤氏:非常に巧みにですね、すり替え、あるいは焦点ずらしというのが行われてると思います。

——–

まず、放送のVTRを読み解くと
全数調査すべきところ抽出調査を行った。
しかし全数調査をしたと報告した。
その理由として
「職員らは許容範囲といった程度にしか捉えていなかった」
「深刻な不正であるなどと捉えていたとは認められなかった」
「綿密な打ち合わせや周到な準備がなされた形跡はなく」
「その場しのぎの事務処理をしていた」
というものです。

この統計不正は2003年から行われており、自民党政権だけでなく民主党政権でも行われいました。政治の問題ではなく、官僚の問題という側面が強いのです。

そこで1点目問題にすべき発言は後藤氏の以下の発言です。

——————————————————————————————————-

後藤謙次氏:やはり国会が行政監視機能っていうのを持ってるわけですから、これは特に与党議員に言いたいんですが、与党議員たるものですね、国会の監視機能を強化するために、この膿を徹底的に出すということでもっと積極的に取り組んでもらいたい。そうしなければ国家の基本を作る統計そのものが揺らいでしまったらですね、あらゆる政策が信用できなくなってしまう。そこを肝に銘じてもらいたいと思いますね。

——————————————————————————————————-

現政権与党議員にももちろんその責任はありませんが、与党議員だけの責任ではありません。

国会議員が政権を超えてこの官僚の問題を解決する必要があるにも関わらず、このような発言は現政権が悪いという印象を与えかねません。
野党に与党関わらず、この問題に対処せねばならないはずです。

そして2つ目の問題点として、論点の少なさが挙げられます。
1点目に挙げた官僚の問題という性質、
あるいは野党が主張している実質賃金を高く出すための統計不正、いわゆるアベノミクス偽装といった論点があります。

官僚の問題というところは先程見てきました。

もう1つの論点として実質賃金と統計不正という視点から
実質賃金と経済の関係性もみていきます。

結論から言えば実質賃金だけで経済全体を見ることはできません。

そもそも実質賃金とは、物価上昇率を加味し実際にどれぐらいのものを買えるのかという数字です。

例えば平均賃金が10%上がっても物価が10%上がれば、実質賃金は上がりません。

平均賃金というものをさらに見てみると、アベノミクスになって383万人が新たに働くことになりました。この383万人は賃金0円からのスタートなので、賃金は確実に上がっています。
しかし平均賃金を出す際、考慮する労働者母数も増えるので平均賃金は必ずしも上昇しません。
そのため実質賃金も上がらないのです。

まとめると賃金は確実に上がっているが、平均賃金は上がらず、そのため実質賃金も上昇しないことがある、ということが分かります。

こういった論点を提示しないことは、以下の放送法に抵触する恐れがあります。

——————————————————————————————————-
放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること

——————————————————————————————————-

視聴者の会は公正なテレビ放送を目指し、今後も監視を続けます。

報道ステーションカテゴリの最新記事