2018年9月14日 報道ステーション

2018年9月14日 報道ステーション

報道ステーション、9月14日の報告です。
この日最も多くの時間を割かれたのは米朝関係関連の話題でした。
今回は自民党総裁選について報じた部分を検証していきます。
それでは詳しく見ていきましょう。

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富川悠太アナ:さて、それでは最初のニュースに参ります。自民党総裁選の論戦が再開されまして、今日初めて直接対決が行われました。安倍総理と、石破元幹事長。それぞれの視線の先には、何があるんでしょうか。論戦では、二人とも語気を強める場面もありました。
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【VTR】
安倍首相:政治家というのはですね、学者でもありませんし、いわば評論家でもございません。

石破茂氏:国民から逃げてはいけない。納得と共感というのは、私は極めて大事なことだと・・・

ナレーター:森友・加計問題では、白熱する場面も。

司会:時間ですので・・・

安倍首相:大切なとこなんで・・・
——-(CM)
安倍首相:安倍政権は4年前から、地方創生に取り組んできました。経済がですね、良くなってきたということは、間違いないんだろうと。問題点を指摘することも大切なんですが、具体的な政策を進めていくことがとても大切なんだろうと。

石破氏:東京や大企業の成長の果実が、やがて地方や中小企業に波及するという考え方を私はとっておりません。

ナレーター:石破氏が総理に問いただしたのは、民主主義について。

石破氏:政府から出てくる数字が、実際と違っていたり、撤回をされたり、そういうことで本当にきちんとした情報を提供したということになるのだろうか。

安倍首相:安倍政権において、さまざまな文書の改ざん等、行政をめぐる問題で、国民の皆様の不信を招いてしまった。まあこれは私の責任でありますから、あらためてお詫びを申し上げたいと思います。

質問者:不支持の一番大きな理由が、これは総理大臣が信用できないということですね。不徳の致すところだと答えられて、おしまいにはしてはいけないので・・・

安倍首相:行政をめぐるさまざまな問題が起こり、行政に対する国民の皆様の信頼を揺るがす事態になった。これはまさに私の責任であろうと思います。慎重に、謙虚に、丁寧に政治運営にあたっていきたいと考えております。

質問者:どうもこの、安倍一強体制になって、いろんな意見が、なんかね、その自由さがなくなったと・・・

安倍首相:実は私は、全くそう思ってはいないんです。いろんな批判がありますが、私も、その批判は当たっているなというのもありますし、ですからどんどん言っていただければなと・・・

質問者:石破さんは今度の総裁選に出るっていうのは、何のためなのか。おそらく、安倍政権は正直公正ではないという前提だと思うんですけども・・・

石破氏:日本の国ときちんと向き合うということです。国民に向けて、一人ひとり誠実な説明なくして、私は憲法の改正なんてやっていいとまったく思わない。そういうやり方が、方法論として異なる・・・

ナレーター:森友・加計問題も問われました。

質問者:役人だけ処分して、政治家は責任を取らない。安倍さんは、麻生さんをなぜ辞めさせなかったのか。

安倍首相:ご批判というのはあると思います。それは覚悟の上でですね、しっかりと経済政策を進めていく上において、麻生さんとともに乗り切っていこうと、こう決意をしたわけでございます。

質問者:石破さんはこれに違和感を、お感じになるかならないか。

石破氏:財務省の方が、ご家族もあって将来もあって。なんで命を絶たれるに至ったのかっていうのは、人一人の命がかかってる話ですからね、そのことを私はもっと政権与党として、真摯に受け止めなければいけないこと・・・

ナレーター:憲法9条の改正で、安倍総理が主張する自衛隊を明記する案についても。

石破氏:9条の改正は、本質をきちんと改正をしないままに、(自衛隊を)書けばいいでしょ、ということでもない・・・

安倍首相:政治家というのはですね、学者でもありませんし、いわば評論家でもございません。いわば、正しい論理を述べていればいいということではなくて・・・

ナレーター:総裁選の日程が、北海道の地震や総理の外遊の影響で、実質的に短縮されたことについては。

石破氏:だったら伸ばせばいいじゃないですか。(総裁選の)期間を変えればいいじゃないですか。なんで東京の街頭(演説会)もなくなり、大阪の街頭もなくなり、福岡の街頭もなくなり、国民に向けて語る。それが自由民主党の真骨頂だと。私はそう思っています。国民から逃げてはいけない。

安倍首相:今、石破さんが延期しろとおっしゃりましたが、23日からですね、一方私は国連総会に行って、日米首脳会談等もあるんですよ。補正予算等々の仕事もありますから、いわば現職でやっているときに、延ばすというのは、石破さん、そう簡単にすぐに出てこないんですよ。

ナレーター:ロシアのプーチン大統領が、年内に前提条件なしで平和条約を結ぼうと呼びかけたことについては。

安倍首相:プーチン大統領からの反応もあります。それは今、私は申し上げることはできません。交渉の最中でありますから。今年の11月、12月の首脳会談。これは重要な首脳会談になっていく。

記者:どちらの候補を支持するか?

小泉進次郎氏:まあ真意というのは、語れば語るほど伝わらなくなる部分もあるんですね。

記者:投票後に、支持候補を明言されるおつもりなんでしょうか?

小泉氏:形式上は、二者択一の選挙に見えるかもしれませんが、二者択一に見えても、それほど単純な問題じゃない。そういったときは、語ってはいけないので・・・
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【スタジオ】
富川アナ:初めて直接対決が行われましたけれども、どこに注目されましたか?

亀石倫子氏:私は、弁護士としては、総裁選の争点の中でも、やっぱり憲法改正っていうところに一番こう、注目してるんですけれども、今日安倍さんは、次の3年で憲法改正に挑戦をして、新しい国づくりに取り組みたいっていうことをおっしゃったんですけれども、じゃあその、安倍さんが描いている新しい国の国家像というのは、どういうものなのかとか、それはその憲法を改正することと、どのように結びついてるのかっていうのは、今日のお話からは全然分からなかったなっていうところがありました。で、一方の石破さんは、安倍さんに民主主義の在り方を質問した場面で、自分が、民主主義が機能するための条件だと思うこととして、不都合な情報であっても、包み隠さず国民に説明することであったりとか、それからまあ、議会の場を通して、どれだけ多くの賛同を得られるかっていう点に努力すること、そういったことを挙げておられたんですね。で、これは、念頭にはおそらく、その森友・加計問題で、安倍さんが不誠実な説明を繰り返していることですとか、それから、働き方改革やIR法案とかを、数の力で強行採決をしたということが念頭にあるんではないかと思うんですけれども、そういったことに、踏み込んだ質問をされなかった。抽象的に、民主主義がどのようにこう、上手く機能するようになると思うかっていうような抽象論にとどまったために、安倍さんからは、おっしゃる通りだと思いますって答えしか返ってこなかったんですね。まあそこは、やっぱり踏み込んだ質問をするべきだったんじゃないかなと思いますし、石破さんだったらじゃあ、どのような議会運営をするのかっていうことを、もっとこう、明確に主張されるべきだったんじゃないかなっていうふうに思いました。

富川アナ:いろいろやっぱり支持してくれてる人達の意見も聞きながら、自分たちが主張していかなきゃいけないっていうところも、裏には見える・・・

亀石氏:そうですね。そういうところをもっと明確に示してほしかったかなっていうふうに思いました。

富川アナ:あの、報道ステーションでは来週の月曜日に、お二人にこのスタジオにお越しいただきまして、論戦を交わしていただこうと思っておりますので、今、こういった具体的なあたりも、ぜひお聞きしたいなと思います。

この富川アナの発言を最後にこのコーナーが終了しました。

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【検証部分】
今回の放送の問題点は大きく分けて二つあります。
1点目は、討論会当日の安倍首相の姿勢の報じ方について、放送法違反に抵触する可能性がある箇所があったこと。
2点目は、スタジオでのゲストコメンテーターの亀石氏の発言が放送法違反に抵触する可能性があること。
以上の2点です。

まず1点目についてです。
このコーナーのVTRの冒頭でこんなシーンが放映されました。
安倍首相:政治家というのはですね、学者でもありませんし、いわば評論家でもございません。
石破茂氏:国民から逃げてはいけない。納得と共感というのは、私は極めて大事なことだと・・・
ナレーター:森友・加計問題では、白熱する場面も。
司会:時間ですので・・・
安倍首相:大切なとこなんで・・・
ここでは、安倍首相が当日の討論会において森友加計問題について語った際、司会者の「時間切れ」という合図を遮って発言を続けたというシーンが放映されました。たしかに安倍首相の発言が時間を超えて続いてしまったのは事実かもしれません。しかし、このVTRの冒頭で映像を流すということは果たして適切なやり方なのでしょうか。
視聴者はこの映像を見て、「安倍首相はこの姿勢を討論会中にずっと続けたのではないか」という考えを持つ可能性があります。したがって、このような編集方法は視聴者への「印象操作」にもつながりかねないと考えられます。

次に2点目についてです。
ゲストコメンテーターの亀石氏は
亀石倫子氏:私は、弁護士としては、総裁選の争点の中でも、やっぱり憲法改正っていうところに一番こう、注目してるんですけれども、(中略)安倍さんが描いている新しい国の国家像というのは、どういうものなのかとか、それはその憲法を改正することと、どのように結びついてるのかっていうのは、今日のお話からは全然分からなかったなっていうところがありました。
で、一方の石破さんは、安倍さんに民主主義の在り方を質問した場面で、自分が、民主主義が機能するための条件だと思うこととして、不都合な情報であっても、包み隠さず国民に説明することであったりとか、それからまあ、議会の場を通して、どれだけ多くの賛同を得られるかっていう点に努力すること、そういったことを挙げておられたんですね。で、これは、念頭にはおそらく、その森友・加計問題で、安倍さんが不誠実な説明を繰り返していることですとか、それから、働き方改革やIR法案とかを、数の力で強行採決をしたということが念頭にあるんではないかと思うんですけれども、そういったことに、踏み込んだ質問をされなかった。(中略)まあそこは、やっぱり踏み込んだ質問をするべきだったんじゃないかなと思いますし、石破さんだったらじゃあ、どのような議会運営をするのかっていうことを、もっとこう、明確に主張されるべきだったんじゃないかなっていうふうに思いました。
ここで亀石氏は安倍、石破両氏を批判しています。安倍首相については憲法改正後の国づくりが見えてこないこと、石破氏については民主主義や議会運営に関して安倍首相に問わなかったことを問題視しています。
しかし、亀石氏は石破氏を批判する文脈で「森友加計問題での安倍首相の説明不足」や「国会での数の力での強行採決」という単語を使っており、暗に安倍首相の運営を批判しているようにも感じられました。これでは安倍、石破両候補を公平中立に批判しているとは言い切れないのではないでしょうか。

したがって今回の放送は、放送法第4条2項「政治的に公平であること」第3項「事実は曲げないで報道すること」に抵触している可能性があります。

今後も監視を続けます。

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