報道ステーション、2018年5月17日の報告です
今回の放送で最も多くの時間を割かれた話題は「西城秀樹氏死去」についてです。
今回は「加計学園関連」の話題について検証します。
では、見ていきましょう。
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富川アナ「さてこのあとは、内閣府の担当者が加計学園の車で移動していました。問題はないんでしょうか」
安倍首相「それはですね、内閣府がまさにルールに則って動いてるんですから…」
この後、いったんCMが入ります。
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小川アナ「こちら、2015年に愛媛県の今治市で撮影されたものなんですが、後に加計学園の獣医学部が開学する場所ですね。2015年の夏にですね、内閣府の職員がここを視察に訪れているんですが、この時の出張で加計学園が用意した車を使っていたということなんです」
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CM明け、小川アナが1枚の写真について説明する様子から始まりました。
小川アナが内閣府の職員が加計学園の車を使った疑惑があることを伝えた後、VTRがスタートしました。【VTR】
VTRは、加計学園の外観を映す場面から始まりました。
ナレーター「加計学園の獣医学部新設が決まる1年半も前、2015年8月のこと。内閣府で国家戦略特区を担当していた藤原寛氏は、愛媛県今治市などに出張しました」
藤原氏が歩く様子が映されます。
ナレーター「当時、今治市は国家戦略特区での獣医学部新設を申請し、加計学園はその事業者になることを目指していました」
続いて、藤原氏の出張記録が映されます。
ナレーター「内閣府が公表した出張記録によると、岡山から今治市の移動は官用車との記載。しかし実際には、加計学園の車で移動したことが分かっています」
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今日の午後2時半に衆院内閣委員会で、国民民主党の今井雅人衆院議員が質問する様子が映されます。
今井議員「こちらには官用車と書いてあります。翌日はずっと松山空港に送るまで一緒だったと思いますけれども、その間の食事等の提供はなかったか」
内閣府の村上敬亮審議官が質問に回答します。
村上審議官「『官用車』の記載につきましては、旅費の支払いが不要である、ということを説明するための記載欄でございまして、これにつきましては、旅費の支払い手続き上につきましては、あの、問題はないということでございますが、いずれにせよこれも含めて、あの全体的には当該者について精査をして参りたい」
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ナレーター「『官用車』と虚偽の記載をした疑いがありますが、内閣府は旅費の精算手続きの上では問題はないとしています。ただ、利害関係者の車の利用を原則禁止している公務員の倫理規定に抵触する恐れがあります」
これについて、今井議員が質問を続け、安倍首相が答える様子が映し出されます。
今井議員「一般論としてですね、その担当の方がですね、その特区に関わる方から便宜供与を受けると、これはあってならないですね」
安倍首相「それは一般論ということで言えばルールに則って対応すると」
今井議員「えっと、そのルールによると、そういう担当者が事業予定者から便宜を受けることは適切でありませんね」
安倍首相「いずれにせよ、今ルールがどうなってるかっていうのは私今ルールを持ち合わせておりませんから…」
野党議員からヤジが飛びます
野党議員(誰かは言及せず)「倫理規定の問題だよ、その認識はないのか」
安倍首相「内閣府がまさにルールに則って今…、何かご意見ありますか?」
安倍首相「調査をしているということでありまして、それを待たなければお答えを差し控えさせていただきたいと思います」
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ナレーター「梶山大臣はおととい…」
梶山弘志地方創生担当大臣が記者の質問に答える様子が映されます。
記者「藤原次長は乗ったことはお認めになられているんですか」
梶山大臣「その記憶も含めて確認作業をしていると…」
この発言を最後に、VTRが終了。カメラがスタジオに戻ります。【スタジオ】
富川アナ「記憶の確認作業っていうのはどういう風にやるんでしょうかね」
小川アナ「ちょっと理解できないですね」
富川アナ「後藤さんいかがですか」
後藤氏「そうですね、これ、加計ありきの疑いをますます膨らませる要素がまた一つ出てきたとそんな感じがしますよね。あの加計学園については柳瀬元総理秘書官が3回も事前に会ってるというのは、それだけでも特別扱いが非常に問題視されてるんですが、ますますその疑いが濃くなったと言ってもいいですね。仮にこの車の提供がですね、京都産業大学だったったらどうだろうか、それにこの秘書官は本当に乗っただろうかとそんな疑念も湧きますよね。むしろこの職員からすればですね、ここで加計学園の申し出を断ると角が立つし、ひいては総理の意向にも背くんではないか、といういわば逆の忖度が働いてたって可能性も否定できないんじゃないかな、とね。最近ですね、この加計あるいは森友問題をめぐってはですね、あの、官邸サイトからしきりに流れてくる声って言うのがですね、『もっと重要な問題があるじゃないか』と。『北朝鮮情勢が動いてるんだからあの加計・森友問題よりもそちらに重点を置いて議論する気はないか』と、こういうのが流れてくると。森友問題加計問題をいかにも小さいという印象を与えるような感じなんですが、私はむしろ逆だと思うんですね。この問題は政権の信頼にかかる問題ですから。この問題を究明するためにはあるいは特別委員会を作るとか、あるいは第三者調査委員会をつくるとか。分離をすれば全く問題がないわけですね。むしろ政権に信頼がない中で、外交に推進力なんて逆につかないんだと思いますね。ですからこの問題をきちっと整理できるのは、総理を含めた首相官邸の態度、姿勢そのものにかかっていると思うんですね。そこが欠けてるから、ずるずるずるずるこの問題が続いてってしまうと。ここできちっと、ピシッと結論を出して欲しいと思いますね」
富川アナ「まさに総理は、『膿を出し切る』と言ったわけですけれども、膿を出す、出していくっていうことはどんどん解決に向かわなきゃいけないですね。ですがどんどん調査中というものが増えてしまっていますね」
後藤氏「新たな問題が出ると。どんどん泥沼にはまってるような気がしますね」
この後藤氏の発言を最後に、このコーナーは終了しました。
【検証内容】
今回の放送の問題点は、スタジオでの後藤氏の発言が公平性を欠いているように感じられることです。詳しく説明していきます。
後藤氏はスタジオにて
後藤氏「そうですね、これ、加計ありきの疑いをますます膨らませる要素がまた一つ出てきたとそんな感じがしますよね。あの加計学園については柳瀬元総理秘書官が3回も事前に会ってるというのは、それだけでも特別扱いが非常に問題視されてるんですが、ますますその疑いが濃くなったと言ってもいいですね。(中略)この問題をきちっと整理できるのは、総理を含めた首相官邸の態度、姿勢そのものにかかっていると思うんですね。そこが欠けてるから、ずるずるずるずるこの問題が続いてってしまうと。ここできちっと、ピシッと結論を出して欲しいと思いますね」
と発言しています。後藤氏は、柳瀬元総理秘書官が加計学園の担当者と3度もあっていることを理由として、特別扱いの疑いが濃くなったと発言していました。
一方で、先日(14日)のレポートでも取り上げさせていただいたように、同じく獣医学部の新設に名乗りを上げていた京都産業大学も、政治家との面会を行っていなかったわけではありません。
2016年10月、当時の京都副知事が、京都選出の国会議員西田昌司参院議員と共に、当時の現役大臣である山本幸三氏に説明を求め、面会をした記録も残っています。このように面会をしたというだけでは「特別扱い」と決めつけることはできません。どのような話が内部で行われたのかまでを確認し、視聴者に提供した上で、後藤氏は発言するべきだったのではないでしょうか。
したがって、今回の放送は放送法第4条2項「政治的に公平であること」に抵触している可能性があります。
今後も監視を続けます。