2018年9月5日 報道ステーション

2018年9月5日 報道ステーション

※自民党総裁選期間に限り、報道監視レポートを全ての会員の皆様に公開しております。

2018年9月5日の報道ステーションの報告です。
今回は、この日報道された関西国際空港封鎖関連の部分を報告いたします。
それでは早速ご覧いただきます。

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富川悠太アナ:関西国際空港です。こちらが、上空から見た様子、昼の様子ですね。朝からですね、高速船やバスを使っての救助活動が行われたんですが、今日、非常に暑かったんですが、救助を待つ皆さんがこんなに外に出て、待たざるを得なかったような状況だったんですね。で、今もなお、多くの方が残されたままです。
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コーナーの冒頭、富川アナが台風21号によって一時運行が中止された関西国際空港の様子を伝えました。まだ取り残された人々がいることも併せて伝えた後、番組がスタートしました。

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【VTR】
ナレーター:大雨、暴風、記録的な高潮。一夜明け、台風21号による被害の全量が徐々に明らかになってきました。

島田大アナ:ご覧のように、クレーンが、それもかなり大型のクレーンが倒されました。コンテナがご覧のように激しく燃えています。

ナレーター:積み荷は、水に濡れると高熱を発するマグネシウムだったそうです。

森川夕貴アナ:これ、もう屋根がぐしゃぐしゃになってしまって跡形が分からないような状況ですね。

ナレーター:猛烈な風によって吹き飛ばされたのでしょうか至る所に車が転がっています。倒木によって自宅がつぶされ、連絡が取れなくなった人も。

沖原千佳アナ:午後2時30分です。今、救出された86歳の男性が救急車へと運ばれていきます。意識はあり、隊員との会話はできているということです。身体の一部が挟まっていたということで、発見されてからおよそ1時間半救出にかかりました。

ナレーター:今回の台風では、最も被害が大きかった近畿地方で、275人がケガをしました。また、大阪府、滋賀県、愛知県、三重県で、合わせて11人が亡くなっています。昨日、関西空港は、記録的な大規模な高潮で、滑走路や旅客ターミナルが大規模な冠水被害を受けました。さらに、近くに停泊していたタンカーが強風にあおられ、関西空港と陸地を結ぶ連絡橋に衝突しました。

森川アナ:昨日、橋にぶつかったタンカーが目の前に見えているんですが、船の後方部分に選出があったということなんですけれども、半分以上がえぐられてしまって、鉄などがむき出しになって、もう真っ黒になっています。

ナレーター:タンカーが衝突した部分を、海上から見ると。

森川アナ:もう船がですね、引っかいたような跡が、何mぐらいですかね、もう、100mくらいに渡って、ついています。もう塗装が剥がれ落ちているんですね。あの道路標識の辺りも、なぎ倒されるように道路の方へと食い込んでしまっているような状況です。

ナレーター:連絡橋には、JRと南海電鉄の線路、その両側に、3車線ずつの道路が通っています。しかし、タンカーの衝突によって、橋げたが大きくずれたことによって、鉄道、道路とも通行止めに。大阪湾の人工島にある関西空港では、利用客と職員が、最大8000人が孤立状態に陥りました。どうやって島から脱出するのか。まだ暗いうちから、空港には長い行列ができていました。

記者:どんな感じなんですか、今。

列に並ぶ男性A:いや、全然わかんないです。

列に並ぶ女性B:わかんないけど並んでます。

ナレーター:この2人は、ハワイに行くため、昨日の朝関西空港に来たと言います。

職員:今から、整理券をお配りしますので、整理券をお持ちでないお客様はこちらまで・・・

ナレーター:2人が並んでいたのは、臨時で出る高速船に乗るための列でした。午前6時半から高速船による利用客の輸送は始まりました。午前8時頃からは、連絡橋の片側車線の安全が確認されたということで、臨時のシャトルバスの運行も始まりました。しかし。

平石直之アナ:ターミナルの前には、バスに乗るのを待つ長い列ができています。皆さん大きな荷物を抱えています。バスに乗るのにも何時間も待っているということです。

ナレーター:高速船の定員は、およそ110人。シャトルバスの定員は、およそ50人です。輸送できる人数には限界があります。

平石アナ:何時からここに並んでらっしゃるんですか?

列に並ぶ女性C:朝7時くらい。

平石アナ:ずっと?じゃあ、かれこれ、8巻以上?

列に並ぶ女性C:そうですね。

平石アナ:で、ようやくここ?まだだいぶ先ですよね・・・

ナレーター:先ほど紹介した、高速船の整理券待ちをしていた2人はというと、空港に来てから、ほぼ丸一日経って、ようやく。

列に並ぶ女性B:後ろの人とか、まだどういう状況かわかんないと思うので、とりあえず、私たちが早く行って、後の人達も行ってもらえればいいかなと思います。

ナレーター:これから、半日経った午後7時の時点でも、空港内でバスを待っている利用客はおよそ2500人いるということです。夜になって、関西エアポートは、会見を開きました。

関西エアポート西尾専務執行役員:今のところ、再開のメドがありません。点検をしております。機会ですとかもけっこう水没したりもしてますので、点検にちょっと今、時間がかかっているということ・・・

平石アナ:この先、ずーっと水に浸かっているんですね。辺り一面、車も水に浸かっています。水がひかないんですね。今、奥でチラチラと、懐中電灯、明かりが見えていまして、作業している様子がうかがわれます。

ナレーター:関西空港の地下にある配電設備のある機械室にも、大量の水が流れ込み、一部で停電が続いています。ポンプを使っての排水作業が行われていますが、復旧には至っていません。関西空港は、海を埋め立てて造られました。しかし、軟弱地盤の上だったため、ずっと地盤沈下に悩まされてきました。今回の台風で浸水した第一滑走路は、1994年に開港した当初から、およそ3.5m下がっています。関西空港は、それに伴い、護岸のかさ上げ工事を実施していましたが、今回は、想定を超える高潮で、防ぐことがでいきませんでした。

記者:危機管理が、ちょっと手薄だったのかなっていうふうな印象を受けるんですけれども、これについてはどう思いますか。

西尾専務:そうですね、まあ構造上やはりここはですね、いわゆる、橋でつながった島でございますので、あの橋がなくなると孤島になってしまうというのは前から重々理解しております。まさかタンカーが吹き飛ばされてくるというのは、ちょっと、我々も考えておりませんで、ちょっとその辺は甘かったなと思っております。我々が引き起こしたというよりは、かなり大きな災害に見舞われた中でですね、なんとか皆さまを守り、死者も出さず、まあ気分を悪くされた方は多々あったと思うんですが、幸いかな、死者も、何も出なかったということは、我々としても、ある程度ですね、責任・責務を果たせたかなと思っております。

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【スタジオ】
富川アナ:はい。そして今も多くの方が取り残されてしまっています。関西国際空港には、平石直之アナウンサーがいます。ああ、平石さん。皆さん、並んでらっしゃるんですか?

(中継)

平石アナ:そうなんですよね。何とももどかしい状況が今なお続いています。バスを待つ人の列、この先、ずーっとまだまだ並んでいるんですね。これでも実はだいぶ減った方なんです。中には、朝から待ち続けている方もいるんですね。バスがとにかく来ません。この島を、この関西国際空港から出る方法は、橋を車で渡るのと、あるいは、この島から高速船で神戸空港に行くという2つの方法があるんですけれども、いずれにしましても、大渋滞で動けなくなりました。高速船を使うにしても、船着き場まで、このバスに乗っていかなきゃいけないということなんですね。そのバスも動かないということで、これだけの行列がなかなか動かないという状況が続いているわけです。で、向こうから、逆にこの島に、車で来た人の話によると、橋を渡るだけで3時間半かかったということなんですね。実はここ、行列はここだけではなくて、この向こう側、ターミナルの反対側にも非常に長い行列ができているんですね。で、実はですね、水や食べ物は空港の中で配られていたんですけれども、とにかく、電話はつながらない。インターネットもつながらない。館内アナウンスも聞こえないということで、何が起きてるのか全く分からなかったそうです。ここは明かりがついていますけれども、奥の、上見ていただいたら分かりますように、建物の向こう側は停電が続いているんですね。もう、暑いですし、情報も何もないということで、まさに、陸の孤島の状態がずっと続きました。で、やはりですね、昨日なら分かると。ただ、今日は、台風一過、天気も良くなって、なぜこれだけ、バスすら来ないんだということで、かなり、怒りをぶつけてこられる方もいまして、係員の方が何とか説明しているという状況が続いていました。まあ、本当に関係者を見ていましたら、何とかですね、まずはこの、利用客の皆さんを返してあげたいというふうに思います。

富川アナ:朝からね、ずーっと並んでらっしゃる方もいると仰っていましたけれども、この気温ですから、かなり暑くて、体調を悪くされる方もいらっしゃったんじゃないでしょうか。

平石アナ:そうなんです。実は先ほども、今日は午後から救護所もできました。多くの方は、一夜をこのターミナルで過ごしてらっしゃいます。寝るところはきちんとありませんでした。あの、椅子の上に横たわって一日過ごして、既に疲れている状態の中、結局一日このままいることになってしまったんですね。どうしたらいいのか分からなくて、電話もできないということで、公衆電話に長い行列ができていました。今日泊まる所どうしようか、そして、どこに迎えを呼べばいいんだろうということで、やはりこのあたりですね、何か、もっとできたんじゃないかというふうな感じがいたします。

富川アナ:あの、バスの救助活動を待つ皆さんということなんですが、この皆さんが今日中に脱出できるかっていうのも分からないということですね。

平石アナ:実はですね、高速船につきましては、もうこの後、何便で終わりという話がありまして、その後ろに並んでた方は、帰れないことになりました。で、このバスは、泉佐野の方に向かうということで、向こうが高速船のバス停なんですけど、そこから今度移ってくる方もいまして、で、今日も、結局ここに泊まるという方もいたんですよね。で、どうやら事情を聴いてますと、その橋だけでなくて、向こう側の泉佐野でも停電が起きたせいで信号がついてなくて、バスが来られないことが起きていた。つまり、橋の両側でも渋滞になってるということで、確かに大変な災害ではあるんですけれども、何とかこの、早く。一刻も早くやはり帰りたいということを、まず仰いますね、皆さん。

富川アナ:本当ですね。そして、平石さんが地下の取材もしていましたけれども、空港の復旧のメドは中々立たない状況です。そうなると、観光にも、物流にも大きな影響が出ています。そして、平石さんが今お伝えしたように、泉佐野の方でも停電しているという状況がありましたけれども、この台風21号の影響、生活に及ぼしています。

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【VTR】
明神圭祐アナ:こちらの電柱は民家の塀にぶつかってしまっていますね。

ナレーター:経済産業省によると、関西電力管内で、およそ1000本もの電柱が倒壊したそうです。さらに、電線が切れるなどの被害も相次いだことで、午後8時の時点で、34万9000軒が停電しています。

関西電力岩根茂樹社長:平成に至ってからはですね、最大規模でございまして、本日より3日程度で停電を解消いたしたいというふうに考えてございます。

ナレーター:停電した地域では、多くの店が臨時休業に追い込まれていました。こちらの保育園も、停電が続いて、エアコンがつかえません。大変なのは、暑さだけではありません。

保護者:家も停電してて、洗濯機とお風呂が困ります。この子ら洗濯物多いから・・・

ナレーター:こちらのお宅では、停電で介護用ベッドが動かなくなりました。

奥田耕平さん(74):僕みたいに、ほとんどベッドの上にいなきゃならない人間にとっては、大変や。

ナレーター:金魚の水槽用エアポンプも動きません。長年飼ってきた金魚のために。

(ストローをつけた長いホースで息を吹きかける)

奥田さん:金魚がかわいそうやなーって。

ナレーター:こちらのマンションでは、停電が原因とみられる断水も。

記者:ああ、出ないですね、水が。

ナレーター:この陽気に水を入れてもらうため、一日に何度も友人の家に通うそうです。

記者:なにが早く戻ってきてほしいですか?

内田輝美さん(56):まあ、トイレ。

記者:ああ、どうなさっているんですか?

内田さん:タンクにいちいち水を入れて、毎回。

ゴルフ場の浅野良介副支配人:じゃあ、2階の方へ。

ナレーター:兵庫県、西宮市のゴルフ場では、およそ20mにわたって天井が落ちています。これほどの被害につながった原因。それが、この場所で記録されていました。ゴルフ場が設置した風速計です。昨日、台風が神戸付近に上陸した午後2時頃、このゴルフ場でも暴風雨が吹き荒れていました。当時の風速計が示していたのは、なんと、風速80m以上という驚異的な

浅野副支配人:台風が来たときは、大体40~50mなんですけれども、本当に目を疑いました。これはかなり、危険な状況だっていうのをすぐに感じました。

ナレーター:兵庫県によると、昨日、西宮市で観測されていた最大瞬間風速は、45.5mでした。これを優に上回る風速80mというとてつもない風が局地的に吹いていたというのです。専門家は。

防衛大小林文明教授:今回、まあ60mとか、あるいは70m、80mぐらいの風が、局所的に吹いたとしても、これはその、おかしくはない・・・

ナレーター:今回、住宅への被害が相次いだのが、都市部です。昨日撮影された映像を、改めてみてみると、都市部を襲う台風の特徴が見えてきました。屋根を下からめくり上げたのは、画面手前から吹いた風です。しかし、破片の一つは、反対側に向かって飛んでいるのが分かります。

小林教授:よくあの、ビル風っていう言葉があるように、構造物をこう、迂回するというような形で、風下側に強くなるとか、風下側に渦ができるとか、そういう現象っていうのは広く知られていますので、やっぱり格段に渦があった方が強くなると・・・

ナレーター:都市部では、こうした風の渦ができやすいというのです。威力が強くなると、このように。自伝者が、駐輪場ごと空に飛ばされてしまうほどです。小林教授は、今後都市を襲う台風について、今後警戒が必要だといいます。

小林教授:都市で気を付けなくちゃいけないのは、高層ビルがあることによって、風も弱まる場所も当然あるんだけど、強まる場所もあるという。そこら辺をきちんと評価しておかないと、やっぱりそういう被害っていうのは出るということだと思います。

富川アナ:風が強まるというのを、さらに小林教授は補足していまして、都市部では、建物などによって、気象情報などで伝えられる数値を大きく上回る強さの風が吹くということが今回の台風で明らかになったと仰っていたんですね。今回どんなことが起きたのか。必ず今後の教訓にしていかなければならないと思います。
この富川アナの発言を最後にこのコーナーが終了しました。

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【検証部分】
今回の放送の問題点は、今回の放送が被災者や空港の各職員に対する配慮に欠けているように感じられた点です。詳しく説明していきます。
今回の放送では、まず空港に取り残された方々の声を伝え、その後職員の幹部の方などのはなしをきくという形をとっていました。基本的には「長い時間待たされている」とか「不安が募っている」と言う声が多く聞かれました。
そして、最終的にスタジオの富川アナが関西国際空港で取材を続けていた平石アナと中継をつなぎました。その時のやり取りは以下のようなものでした。
平石アナ:そうなんですよね。何とももどかしい状況が今なお続いています。バスを待つ人の列、この先、ずーっとまだまだ並んでいるんですね。これでも実はだいぶ減った方なんです。中には、朝から待ち続けている方もいるんですね。バスがとにかく来ません。(中略)もう、暑いですし、情報も何もないということで、まさに、陸の孤島の状態がずっと続きました。で、やはりですね、昨日なら分かると。ただ、今日は、台風一過、天気も良くなって、なぜこれだけ、バスすら来ないんだということで、かなり、怒りをぶつけてこられる方もいまして、係員の方が何とか説明しているという状況が続いていました。まあ、本当に関係者を見ていましたら、何とかですね、まずはこの、利用客の皆さんを返してあげたいというふうに思います。
富川アナ:朝からね、ずーっと並んでらっしゃる方もいると仰っていましたけれども、この気温ですから、かなり暑くて、体調を悪くされる方もいらっしゃったんじゃないでしょうか。
平石アナ:そうなんです。実は先ほども、今日は午後から救護所もできました。多くの方は、一夜をこのターミナルで過ごしてらっしゃいます。寝るところはきちんとありませんでした。あの、椅子の上に横たわって一日過ごして、既に疲れている状態の中、結局一日このままいることになってしまったんですね。どうしたらいいのか分からなくて、電話もできないということで、公衆電話に長い行列ができていました。今日泊まる所どうしようか、そして、どこに迎えを呼べばいいんだろうということで、やはりこのあたりですね、何か、もっとできたんじゃないかというふうな感じがいたします。
平石アナは今回の事態について、多くの方が待ちぼうけを食らっており、中には怒り出す人もいた。そしてこの様子を見ているともう少しどうにかできたのではないかと語っていました。
確かに今回被災された方に寄り添うような表現ではありましたが、同時に必死に対応をされている職員の方に対しては少々冷淡な表現になっていたように思いました。実際、連絡橋が寸断された時点で空港内に取り残されていたのは利用客の方が約3000人、職員の方が約2000人と、取り残された人の40%は職員の方だったのです。管理し保守する側の責任が重いのももちろんですが、彼らも「被災者」の一人であることは間違いありません。しかし、家族や友人と過ごすことが出来ず、不安な夜を過ごしたのは彼らも同じです。その空港の関係者を擁護するコメントは職員幹部の声のみでした。そんな声は他には無かったのか、なぜ他の現場職員の声も拾い上げることが出来なかったのか。番組として見つめなおす必要があるようにも感じられました。

今回の放送は会員の皆様のみならず、多くの方が本放送を批判していました。
番組を検証した結果、放送法第4条違反などに抵触するという問題ではなく、番組の構成やスタッフの姿勢に疑問符を抱く結果となりました。

今後も監視を続けます。

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