2018年5月22日 報道ステーション

2018年5月22日 報道ステーション

報道ステーション、5月22日分の報告です。

この日の放送で最も時間を割いた話題は「日大アメフト問題」についてでした。
悪質なタックルを行ったとされる日大の選手の会見の様子や、彼に対する記者の質問の様子をVTRを使って放映していましたが、特に放送法に抵触する場面などは見られませんでした。

今回の報告で取り上げるのは「加計学園問題関連」のニュースについてです。
順に見ていきましょう。
——–
富川アナ「この後は、加計問題です。誰がウソをついているんでしょうか?」
——–
富川アナの導入に続いて、VTRが放映されます。
——–

【VTR】
VTRの導入は、安倍晋三首相のコメントから始まりました。
安倍首相「ご指摘の日に、加計孝太郎理事長と会ったことはございません」
これに対し、愛媛県の中村時広知事が異論を唱えます。
中村知事「『そうですか』というふうにしか申し上げられないのですが。何も改ざんする必要はありませんので…」
ここでCMが入り、CM明けから本格的にこのトピックが始まります。(23:23~24:24)最初に映されたのはスタジオでボードを前にした小川アナでした。
小川アナ「昨日愛媛県が国会に提出した文書にはこのように書かれていました。2015年の2月25日にかけ学園の理事長が首相と面談し、首相から『そういう新しい獣医学部の考えはいいね』とコメントあり、と。これに対して安倍総理は今日、その日に加計理事長とは会っていないと、そして加計理事長とこの問題について話したことはない、と改めて主張しました。」

続いて国会の様子が映されます。安倍首相が表敬を受ける場面です。
大島理森衆議院議長「安倍晋三君は当選9回、常に憲政のために尽くし…」
ナレーター「今日の衆議院本会議、安倍首相は永年在職25年の表彰を受けました」
続いて、その表彰を受ける安倍首相の様子が映されます。
ナレーター「その後、国会で行われた表彰式には、明恵夫人の姿も…」
カメラが表彰式に参加した明恵夫人に注目します。

ナレーター「総理にとって、晴れの舞台となるはずが…」
画面が変わります。続いて映されるのは愛媛県が新たに提出した文章です。
ナレーター「昨日愛媛県が国会に提出した新たな文書。3年前の2月25日、安倍総理は加計孝太郎理事長と15分程度面談し、総理は今治市に獣医学部を作る構想について、『いいね』とコメントしたとあります」

ナレーター「面会はあったのか、なかったのか…」
安倍首相の答弁の様子が映されます。
安倍首相「ご指摘の平成27年2月25日に加計理事長とお会いしたことはございません。念のため入廷記録も調査しましたが、加計理事長が官邸を来訪した記録は確認できませんでした。」
ナレーター「2月25日の面会を否定した総理、記録も調査したとしましたが…」
菅義偉官房長官が記者会見での質問に応じる様子が映されます。
記者「入廷記録はすべて調査したということでよろしいでしょうか」
菅官房長官「用務終了後、速やかに廃棄される取り扱いとなっており、残っているか調査を行ったが確認をできなかったということです、残ってなかったということです。」
記者「この日の面会記録を出せないのか」
菅官房長官「『ない』ということを申し上げております」

画面が愛媛県が提出した文書に戻されます。
ナレーター「愛媛県文書には、総理と加計理事長との面談を受け、柳瀬総理秘書官から資料提出の指示があったとの記述も出てきます」

柳瀬総理秘書官が廊下で取材に応じる様子が映されます。
ナレーター「しかし柳瀬氏は今日…」
柳瀬秘書官「総理から本件について、支持を受けた覚えもありません。従いまして、私が安倍総理と加計理事長の面談を踏まえて資料の提出をお願いするといった覚えもございません」
記者「愛媛県側がウソをついているということですか?」
柳瀬秘書官「…」
ナレーター「文章の内容を否定しました」

ナレーター「 一方で、文書に出てきた面会を認めた人も…」
加藤勝信厚生労働省大臣が映されます。
加藤厚労大臣「加計学園の、確か事務局長だったと思いますが、事務局長の方がおいでになられて…」

愛媛県の文書が映されます。
ナレーター「文書によれば、加計学園は総理との面会が実現しない中、官邸への働きかけを進めるため当時の加藤官房副長官と面会したとされています」
立憲民主党の石橋通宏参議院議員が質問に立つ様子が映されます。
石橋参院議員「何らかの支援を安倍総理につないでくれ、官邸につないでくれ、サポートしてくれ…あったんじゃないんですか?」
加藤厚労大臣「(獣医学部新設が)なかなか現状、前に進まないんだと、苦労というか悩みというか、そういったものの話は聞いた記憶がございます」
ナレーター「悩みは聞いたものの要望はなく、総理にも報告しなかったとしました」フェンス越しに柳瀬秘書官が出勤する様子を撮影したものが映されます。
ナレーター「そして4月2日、柳瀬氏は総理官邸で加計学園関係者らと面会。この場に愛媛県の職員が同席していたことを認めていませんが、文書には詳細なやり取りが記されています」
愛媛県の提出文書を元に再現された、2015年の4月2日の所掌官邸の様子を再現した3D映像が流されます。
柳瀬総理秘書官(再現CG)「確認だが愛媛県・今治市の両首長がやる気であるということで間違いないか」
愛媛県(再現CG)「間違いない。県からは重要要望として毎年提出させていただいているし、今治市は土地の準備まで行っている」
加計学園(再現CG)「懸案として安倍総理が文科省からの宿題を返せていないという話があり、そのことを心配されていたと聞いたが」
柳瀬秘書官(再現CG)「その話は下村大臣のところに持って行ったのか」
加計学園(再現CG)「その点については県・市からも説明してもらいたい」
愛媛県(再現CG)「昨年12月に、専門教育課にはご説明に伺っている。獣医師会について1度説明はしているものの、それから面会すらできないといった状況であり、こちらとしてもなんとかしたいと思っている」

ナレーター「与野党からは…」
今度は与野党の反応が流されました。
自民党の二階俊博幹事長、竹下亘総務会長、立憲民主党の福山哲郎幹事長、のコメントがそれぞれ取り上げられます。
二階幹事長「自民党は、自分のところの、総理の意見を信頼し、支持するのは当たり前のことじゃないですか」
竹下総務会長「正直なところ、私も何が本当なのか分かりません。どうなってんだ、という思いだけでありまして」
福山幹事長「総理が会ったことがないと言葉だけで言われても全く、信用できません。愛媛の言ってることが違うんだ、という機会を作ってもらうことがある意味与党側の責任だと思いますので…」
イスに座る福山幹事長の様子が映されます。
ナレーター「野党は加計理事長や柳瀬氏の証人喚問などを求めていますが、与党は応じない方針です」

場面は変わり、菅官房長官が記者会見の様子が映されます。
記者「総理の認識と愛媛県文書の記載内容に違いがあるわけですが、今後愛媛県側に事実確認といった対応をとるのでしょうか」
菅官房長官「愛媛県が作成した文章の評価について、政府としてコメントする立場ではないという風に考えております」
ナレーター「来週28日、総理が出席する集中審議が開かれる見通しです」
このナレーターの発言を最後にVTRが終了しました。VTRが終わると、富川アナが話題を切り出しました。
富川アナ「んー、そこで丁寧な説明があるのかどうかというところですが、誰かが嘘ついてるんですよね」
小川アナ「ということになりますよね、かなりの食い違いがありますよね」
富川アナ「そうなんですよね、どうなんでしょうかね。後藤さんいかがでしょうか」
後藤謙次「加計問題も、もう1年以上続いているんですよね。で、展開見てると構造が同じなんですね、堂々巡り。ある事実が出てくると、総理がそれを一方的に否定する。否定しきれないものについては、調査中と言って時間を稼ぐ、その繰り返しなんですね。今回についても愛媛県側にですね、脚色をしたり虚偽を記載する理由って全くないわけですね。それに対して、総理がきちっとこれはこうだということを説明すれば誰も納得できるわけですね。今日は先ほどあった、日本大学のアメリカンフットボールの、あの選手の記者会見。真実を真摯に語る人が一人でも出てくれば、全体図は自ずと分かってくるんですね。それが今日の記者会見の教訓だったはずなんですが、こうなればですね愛媛県と安倍総理が主張する官邸側の主張が真っ向から対立してるわけですから、両方に国会に出てきてもらって証言をしてもらう、これしか道がないと思うんですね。これしかないと思うんですが、それについて自民党が一方的に突っぱねると。これは非常に不思議な状況ですよね」
富川アナ「愛媛県側も正しくて、安倍総理側も正しいとするならば、じゃあ今度は加計学園が嘘ついたってことになりますね」
後藤氏「なりますね」
富川アナ「それぞれのやっぱり説明を聞きたいと思いましたね。で、今日総理が2月25日にあっていないとした根拠の一つには、官邸の入廷記録を調査したけれども確認できなかったということですけれども、あの、今日、菅官房長官も言っていましたけれども入廷記録はそもそもすぐ廃棄してしまうっていうことですよね」
後藤氏「そこもちょっと理解できないんですよね、あの、総理経験者によりますと、その入廷記録がないにしても、首相秘書官室には、その誰と会ったかという記録は必ず残ってると。少なくとも、在任中はそれを廃棄することはないんじゃないかと。逆に将来、その非常に歴史的な事実になることもあるので、そこは非常に慎重に扱ってると。それから入廷記録もですね、あの官邸、我々でも知らない秘密の出入り口が必ずあるんですね」
富川アナ「そうなんですか」
後藤氏「そこになると、記録が残ってないこともあるわけですね。ですから総理が言ってることが正しいかもわからないけど、全く違う事実を隠されてるかも分からない。それを納得できるものを、総理しか説明できない。それやらないと、また同じことの繰り返しが続くと思います。これ政権が終わるまで、加計問題は続くんじゃないか、そんな感じがしますね。富川アナ「私たち正面から入れることしか知らなかったですよね」
小川アナ「官邸には記録が残らない入口もあると」
富川アナ「記録が残ってなくても仕方がないと」
この富川アナの言葉を最後にこのコーナーが終了します。
——–

【検証部分】
今回の放送の問題点は、後藤氏の発言が放送法に抵触する可能性があるという点です。
詳しく述べていきます。
後藤氏はスタジオにて、
後藤氏「加計問題も、もう1年以上続いているんですよね。で、展開見てると構造が同じなんですね、堂々巡り。ある事実が出てくると、総理がそれを一方的に否定する。否定しきれないものについては、調査中と言って時間を稼ぐ、その繰り返しなんですね。」
と述べています。後藤氏は加計学園問題について「加計問題も1年以上続いている」という言葉を使用しようした上で、この問題を「堂々巡り」と表現していました。このように語った場合、視聴者は加計問題以外にも「堂々巡り」の問題があるように考える可能性があります。
なぜ後藤氏が「も」という表現を使ったのか。他にどのような問題があるのか。番組上でそれについて言及されることはありませんでした。
また、後藤氏はこの後、
後藤氏「今回についても愛媛県側にですね、脚色をしたり虚偽を記載する理由って全くないわけですね。それに対して、総理がきちっとこれはこうだということを説明すれば誰も納得できるわけですね。」
と発言しています。後藤氏は愛媛県に文書の脚色や虚偽の記載を行う理由がないこと、総理が真摯な説明を行うべきであることに言及していますが、この2つの発言を聞いた視聴者は「愛媛県が嘘を言っておらず、安倍総理が真摯な説明をしていない」ととらえる可能性があります。
しかもこの後、後藤氏は加計学園側がうその証言をしている可能性について言及しています。なぜこの可能性を排除できないにもかかわらず、後藤氏は「総理の真摯な説明」を求めているのか。その点についての言及は一切ありませんでした。
このような後藤氏の発言は、番組の中立性を疑わざるを得ないものです。したがって今回の放送は放送法4条2項「政治的に公平であること」に抵触する可能性があります。

今後も監視を続けます。

報道ステーションカテゴリの最新記事