2020年4月21日 報道ステーション

2020年4月21日 報道ステーション

4月21日の報道ステーションのレポートです。
新型コロナウイルスに関する報道が放送時間のほとんどを占めていましたが、この日の放送では普天間基地移設に関する報道がなされていました。
そこで今回検証するのは以下の点です。

・様々な論点を取り上げた放送であったか

まずは放送内容を確認していきます。

【VTR】
ナレーション(以下ナレ):防衛省は今日普天間基地の名護市辺野古への移設工事の設計変更を申請しました。埋め立て海域で軟弱地盤が見つかったことから7万本を超える杭を打ち込むなどして地盤を強化する内容です。変更には、沖縄県の承認が必要で菅官房長官は有識者の助言を得つつ十分な検討を行ってきたとして理解を求めました。ただ、埋め立て中止を求める沖縄県の玉城知事は申請を認めない考えです。

沖縄県・玉城デニー知事『県民に十分な説明を行わないまま埋め立て工事を行うための手続きを一方的に進めようとすることは到底納得することはできません』

ナレ:またコロナウイルス対策のさなかに申請が行われたことについてもスケジュールありきで遺憾だ。
断じて容認できない、として
政府の対応を批判しました。

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【検証部分】
普天間基地移設に関する検証は視聴者の会で何度も取り上げてきましたが、日本政府が強引に基地移設を進めているという論調での放送がほとんどです。

確かに、現在の玉城デニー知事は基地移設反対派の知事であり沖縄県民の民意でもあります。
しかしそれが全てではありません。
歴史的経緯をしっかりと抑える必要があります。

簡単に年表で振り返ってみます。

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1997年12月 名護市の住民投票で普天間移設反対が過半数
1998年2月 大田昌秀知事が移設受け入れ拒否
1998年11月 【知事選】大田氏が破れ、容認派の稲嶺恵一氏が当選
2002年11月 【知事選】辺野古沖移設容認の稲嶺知事再選
2003年11月 米ラムズフェルド国防長官が上空から普天間基地を視察、「世界一危険な米軍施設」と発言
2006年11月 【知事選】県内移設に柔軟姿勢を示した仲井真弘多氏が当選
2009年7月 鳩山由紀夫民主党代表が、総選挙を前に「最低でも県外」と発言。9月に民主党政権発足
2010年5月 鳩山内閣、県外移設を断念、日米両政府が辺野古移設確認
2010年11月 【知事選】仲井真氏が県外移設掲げて再選
2012年12月 自由民主党が政権復帰
2013年12月 仲井真知事が辺野古埋め立て承認
2014年11月 【知事選】仲井真氏が破れ、辺野古移設反対を唱えた翁長雄志氏当選
2018年7月 翁長知事が埋め立て承認撤回
2018年8月 翁長知事、すい臓がんのため死去
2018年9月 【知事選】翁長知事の遺志を引き継ぐ形で移設反対派の玉城デニー氏が当選
2019年2月 辺野古移設の是非を問う県民投票、反対票が7割超える
≪普天間基地移設をめぐる経緯 : 県民投票は辺野古埋め立て「反対」が7割超 https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00399/より抜粋≫
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主要な事項のみを抜粋していますが、普天間基地移設問題は上記のように一転二転しています。

上記年表にも
2003年11月 米ラムズフェルド国防長官が上空から普天間基地を視察、「世界一危険な米軍施設」と発言
と、あるように普天間基地は危険な基地なのです。

だからこそ辺野古基地への移設容認派の稲嶺知事が2期連続で当選しています。

その後、民主党政権時の鳩山総理「最低でも県外」発言がありましたが、仲井真知事が辺野古埋め立て承認しました。
ところが翁長知事が埋め立て承認を撤回し、辺野古基地移設がとん挫する事態になり、そこから辺野古基地移設反対派が勢力を強めています。

上記のような複雑な経緯がある、ということを論点としてしっかりと提示した放送が必要なのではないでしょうか。

この日の放送は論点を欠いた放送と言わざるを得ない箇所があり、下記の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。

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