2019年11月7日 報道ステーション

2019年11月7日 報道ステーション

11月7日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・米大統領選挙について様々な論点を取り上げた放送ではなかった可能性がある

早速放送内容から確認していきます。

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【VTR】
(先月27日ワシントンでのトランプ大統領の映像)
ナレーション:いく先々でブーイングをされるほど。相変わらず、不支持は支持を上回っています(支持:43.2%、不支持:54.6%)。しかし、世論調査のトランプ大統領が再選すると思いますかという質問に対しては、有権者の56%が思うと予想しました。支持政党別でも民主党支持者の35%が「トランプ大統領が再選」と予想してます。

トランプ大統領『我々は戦い続け、勝ち続ける。勝って勝って勝ちまくって勝ち疲れするぐらいに勝つ』

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【スタジオ】
徳永有美アナウンサー(以下徳永アナ):批判がどれだけ多くても、いざ選挙となるとトランプさんが勝つと予想する人が多いということなんですね。

森川夕貴アナウンサー(以下森川アナ):有権者の半数以上がトランプ大統領が再選するのではないかと予想してるんですけれども、いったいなぜなのか、アメリカ政治の専門家に話を伺いました。向かったのは上智大学・前嶋和弘教授です。

Q.有権者の半数以上がトランプ大統領が再選するのではないかと予想しているということですけれども、どうしてなんですか。

前嶋和弘教授『一つ目は経済・景気です。アメリカ経済は絶好調ですよね。株価も堅調ですし、失業率も50年ぶりぐらいに3%台をずっとキープしてる形です。やっぱりこれは大きいと思います。二つ目が民主党側の候補の問題ですよね。どの方もそんなに魅力的に写っていない。バイデンさんの場合は高齢であると同時に、ワシントンに40年くらいいる人なので、またかという感じがしますよね。あとはウォーレンさんだったりサンダースさんだったりですと、かなり左の政策を打ち出していて、ウォーレンさんですと今アメリカでは民間保険をやっていますが、この保険を国有化していくと。サンダースさんの方は今度大学の学費を無料にすると。どれもかなりお金かかりますよね。景気に対してはマイナスだと見てる人もいますね。現実的に考えてトランプさんの方が勝つんじゃないかということでこの数値(支持率)じゃないんですかね』

森川アナ:こちらのデータもご覧ください。トランプ大統領の支持率なんですけれども、さまざまな疑惑などありましたが、就任当初からずっと横ばいなんですね。ですから熱狂的な支持者は常にトランプ大統領にいる。それが強みだということなんですね。

徳永アナ:強固な支持層というのは就任当初からずっと言われてることですもんね。

森川アナ:そうですね。ただ安定しては見えるんですけども、逆に考えますと4割の人が常に支持しているということは6割の方は支持をしていないということなんですね。ですからこの選挙、どうなるのかは当面の間はまだちょっとわからないということでした。
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【検証部分】

今回の放送では米大統領選挙について、トランプ大統領の不支持率は高いものの、再当選する可能性も十分にある可能性があるといった解説がなされています。
この理由について
① アメリカの景気が好調であること
② 民主党の候補が魅力的でないこと
が挙げられています。

そして放送の後半部分ではトランプ大統領は様々な疑惑があっても、熱狂的な支持層が存在し、この層こそがトランプ大統領の強みだと解説しています。

しかし、この解説は適当なものなのとは言えません。

トランプ大統領の強みはアメリカの景気を良くしたことでしょう。

トランプ大統領の当選以来、失業率は低下し、株価は8000ドル以上も上がっています。
景気回復と雇用の安定を実現したことこそがトランプ大統領の強みです。

2018年の一般教書演説で、トランプ大統領は以下のように述べています。

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大統領選挙以降、私たちは240万人の雇用を創出しました。製造業の分野だけで、20万人の雇用を創出しました。とてつもなく大きな数字です。長い間、賃金が伸び悩んでいましたが、ようやく、賃金が上がってきています。

失業保険の申請は、45年ぶりの低水準にあります。私は、それを誇りに思っています。アフリカ系アメリカ人の失業率は、これまでで最も低い水準にあります。ヒスパニック系アメリカ人の失業も、最も低い水準にあります。

中小企業の景況感は、最高水準に達しています。株式市場は、最高値を更新し続け、わずか1年で時価総額が8兆ドルも増えました。確定拠出年金401k、退職、年金、大学進学のための貯蓄口座も大きく伸びています。

≪引用:NHK トランプ大統領一般教書演説 要旨と日本語訳・英語全文掲載≫
https://www3.nhk.or.jp/news/special/45th_president/articles2/special/the-state-of-the-union-address/index.html#mokuji3

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そしてこれは経済の波ではなくトランプ大統領による経済政策の成果です。
トランプ大統領が行った経済政策は、減税によって国民の手元に残るお金を確実に増やしたことです。

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11か月前にこの演壇に立ってアメリカ国民に約束したように、私たちは、アメリカ史上最大の税制改革を実施しました。

私たちが実施した大規模減税により、中間層と中小企業は大きな恩恵を受けます。勤勉に働く国民の税負担を減らすために、私たちは納税者の基礎控除を2倍にしました。減税によって、夫婦の所得の合計のうち、最初の2万4000ドルは非課税となりました。年収7万5000ドルの平均的な4人世帯では、納税額は2000ドル減って半分になります。
旧来の破綻した税制のもとで確定申告をするのは、今年4月で最後になります。多くの納税者の手取り収入は来月から増えることになります。さらに増えるのです。私たちは、主に年収5万ドルの納税者が払わされていた過酷な税を廃止しました。これは、政府が決めた医療保険制度に加入しないという理由で払わされていた膨大な罰金のことです。私たちは、破滅的だったオバマケアの核心部分について、撤廃しました。個人が強制的に加入する医療保険はもうないのです。

私たちは、法人税を35%から一気に21%まで引き下げました。これによってアメリカの企業は国際競争を勝ち抜くことができるようになりました。こうした一連の改革だけで平均的な世帯収入が4000ドル以上増えます。大きな金額ですよ。

中小企業も大幅な減税の恩恵を受けることになり、新しい税制のもとで事業所得から20%の控除が認められました。
≪引用:NHK トランプ大統領一般教書演説 要旨と日本語訳・英語全文掲載≫
https://www3.nhk.or.jp/news/special/45th_president/articles2/special/the-state-of-the-union-address/index.html#mokuji3

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またアメリカの国としての強さを押し出したことも強さの一つです。
アメリカはオバマ前大統領が大統領だったとき、経済は停滞し、国力が衰えていました。
アメリカは世界の警察官ではない、という発言はそれを物語っています。

オバマ大統領は、シリア内戦に関するテレビ演説で、退役軍人などから、「米国は世界の警察官でなければいけないのか」という書簡を受け取ったことを明らかにし、次のように述べた。

「米国は世界の警察官ではないとの考えに同意する」。

≪引用:ダイヤモンド・オンライン 「世界の警察官をやめる」と宣言したオバマ大統領≫
https://diamond.jp/articles/-/75884

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このように衰えたアメリカを立て直そうとしているのが、トランプ大統領です。
先ほどの演説では対外政策も述べています。

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私たちが国内で、強さと自信を取り戻すとき、国外でも強さと存在感を取り戻していくことになります。

私たちは世界各地で、ならず者国家、テロリスト集団、そしてアメリカの国益や経済、価値観に挑む中国やロシアといった競争相手と対じしています。こうした恐ろしい危機に立ち向かっていく中で、私たちは、弱さが間違いなく紛争へとつながり、比類なき力こそが本当にすぐれた防衛の最も確実な手段となることを知っています。

こうした理由から、私は危険な国防費の削減をやめ、偉大なアメリカ軍に十分な予算をつけることを議会に求めます。

≪引用:NHK トランプ大統領一般教書演説 要旨と日本語訳・英語全文掲載≫
https://www3.nhk.or.jp/news/special/45th_president/articles2/special/the-state-of-the-union-address/index.html#mokuji3

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経済を中心にアメリカという国を立て直し、アメリカという国の力を取り戻そうとしているからこそトランプ大統領は支持を受けている、このようなトランプ大統領の強みに関する論点を十分に述べなければ、トランプ大統領が支持を受けている理由は分からないでしょう。

このような論点を明示しない放送は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。

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