2018年7月10日・11日 報道ステーション

2018年7月10日・11日 報道ステーション

報道ステーション、2018年7月10日、11日の報告です。
今回は、2日間にわたって報じられた西日本豪雨関連の箇所をまとめて報告いたします。
両方の放送を比較した結果、番組の問題点が浮かび上がってきました。

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それではまず、7月10日の放送から見ていきましょう。
【VTR】
ナレーター「土砂災害などの対応に当たる石井国交大臣は今日、朝10時から6時間、カジノを含む統合型リゾート IR 実施法案の審議に、担当大臣として出席しました」
VTRは、委員会に出席する石井国交大臣のズームを映すところから始まりました。
ナレーター「野党は災害対策を優先するよう求めましたが、委員長が委員会を開くことを決めました」
立憲民主党の白眞勲参院議員が石井国交大臣を問いただします。
白議員「本当にカジノ法案の審議に、当委員会に出ていていいんですか、今」
石井国交大臣「閣僚といたしましては、国会の求めに応じて審議に応じている、参画をしているということでございます」

ナレーター「さらに、別の法案でも…」
日本維新の会の松井代表が、参院定数6増の法案の審議について取材に応じる様子が移されます。
松井代表「豪雨災害のどさくさに紛れてね、自民党案を押し通そうというのはね、これはもうあまりにもね、あの傲慢だと」
ナレーター「維新は、選挙制度特別委員会の委員長の問責決議案を提出しました」
委員会の様子が映されます。
ナレーター「このため、自民党が提出している参議院の定数を増やす6条法案の採決は明日に持ち越されました」

ナレーター「カジノを含む IR 実施法案定数6増法案どちらも22日までの会期内に成立する見通しです」
カジノのイメージ映像が流れ、スタジオに戻ります。
この映像を最後にVTRが終了。カメラはスタジオに戻ります。

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【スタジオ】
富川アナ「今ありましたように会期末まであと12日で、しかも会期ももう延長できませんから、何とかして与党としては進めておきたいというとこですかね」
後藤謙次氏「ただですね、やはり政治というのは優先事項、これをどう決めるか、順番決めるのが非常に重要なんですが、今日の国会、今の IR法案の審議もそうですけど非常に不可解でしたね。特に不可解だったのは衆議院の国会議決だったんですね。これ、あの国会に衆議院本会議に、衆議院議員が集まってですね、この災害に対して全力投球しましょう、こう決議をしたわけですね。いかにも対策に全力投球してるわけですが、実はこの震災・災害にとって最も重要な時間帯にですね、国会議員が本会議に集まって決議することにどれだけの意味があるのかと。もっとですね、この国会についていえば、今週前半はもう審議が一切休んでですね、政治全体がこの後災害の被災地に目を向けると。全てが力を注ぐと。そういう姿勢が必要なんですね。安倍総理は何度もやりますよとこう言ってるんですが、政治というのはですね、その日最初に被災者の皆さんに自分たちの姿を見せる、これも非常に政治の力なんですね。それが一向に伝わってこない。それがIR法案であったし、定数の問題にもつながってくると。その意味ではですね、今安倍総理、非常に9月の総裁選に向けて非常に全力投球してる姿が見えるんですね。昨日の昼間も、静岡県の自民党県議会議員と昼食を取ってるんですね。今何を優先するか、そこをきちんと考えてもらいたいと思いますね」
富川アナ「これだけ広い範囲に被害が出たわけですから、それだけ広い範囲の国会議員がいるわけですからね」
後藤氏「その人たちが本会議場に集まってる意味っていうのはあまりなかったと思いますけどね」
この後藤氏の発言を最後にこのコーナーが終了しました。

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次に、翌7月11日の放送を見ていきましょう。
この日の報道では、前日に引き続き今回の西日本豪雨で甚大な被害が出た件についての特集が組まれました。この場面はダイジェストでご覧いただきます。
【VTR】
・広島県の福山市では豪雨でため池決壊の恐れがあり、多くの住民が避難
・岡山県真備町ではいまだ18人の安否が不明。安否不明者の名簿を公開し情報を募り、行
 方不明者を13人に修正。ゲリラ雷雨の発生で復旧が遅れる恐れも
・愛媛県では断水が発生。
・豪雨による地盤沈下や土砂崩れが引き起こした交通網寸断により、各地で通行止め。
 その結果通れる道に車が集中し、いたるところに大渋滞が発生。
・交通網断絶と大渋滞により、ボランティアの受け入れ体制が整わず、復旧に遅れが発生。
・倉敷市真備町では役所も被災。これが初動の遅れにつながった。
・広島県坂町では土砂が流れ込んだ影響で重機を搬入できず、復旧が遅れている。
 また、水道管に土砂が流入したことで水道が寸断
・呉市は三方を山で囲まれているが、土砂災害であらゆる道路と鉄道が寸断
 その結果、一時陸の孤島状態に。現在は道路が何本か復旧
・水道寸断で衛生面での不安も懸念されている

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【スタジオ】
富川アナ「(JR呉線の開通には)まだまだ時間がかかりそうということですね、あの、輸送バスなどを用意したとしても、まだ道が通ってませんし、通っても大渋滞と、厳しい状況になってますね」
後藤氏「あの、今日被災地のいろんな報道で見えてきたのは、やはり物流が一つ問題、それと人手不足ということも今日クローズアップされてましたね。道が通れないがためにボランティアの受け入れができないということもありました。今日そうしたなかで、安倍総理が岡山の倉敷の真備町に入ってるわけじゃないですか。果たして今日のタイミングだったかどうかってのはあると思うんですね。日本のトップリーダーが当然行けばですね、警備の問題もありますし、現地で知事も市長も対応するということもあって、逆に現場が混乱する可能性もあるんですね。まあ明日以降も党の執行部、幹事長以下が続々とこう被災地に入る予定になっているんですが、やはりどこに行くのかはね、タイミングはいつがベストなのか、それをやっぱり真剣に検討しながらですね、そして現場を見るということに対してもらいたいと思いますね」
富川アナ「そしてまたゲリラ雷雨の要素も出てますからすぐに指示ができるような環境になって欲しいですね」

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【検証部分】
この2日間に渡る放送の問題点は、10日と11日ではコメンテーターの後藤謙次氏の発言がまるで異なっているということです。詳しく見ていきましょう。

10日、後藤氏は富川アナとのやり取りの中で、こんな発言をしていました。
富川アナ「今ありましたように会期末まであと12日で、しかも会期ももう延長できませんから、何とかして与党としては進めておきたいというとこですかね」
後藤謙次氏「ただですね、やはり政治というのは優先事項、これをどう決めるか、順番決めるのが非常に重要なんですが、今日の国会、今の IR法案の審議もそうですけど非常に不可解でしたね。特に不可解だったのは衆議院の国会議決だったんですね。(中略)実はこの震災・災害にとって最も重要な時間帯にですね、国会議員が本会議に集まって決議することにどれだけの意味があるのかと(中略) 安倍総理は何度もやりますよとこう言ってるんですが、政治というのはですね、その日最初に被災者の皆さんに自分たちの姿を見せる、これも非常に政治の力なんですね。(中略)今何を優先するか、そこをきちんと考えてもらいたいと思いますね」(中略)「その人たちが本会議場に集まってる意味っていうのはあまりなかったと思いますけどね」
つまり、ここで後藤氏は、安倍総理を始めとする国会議員のやるべきなのは災害への対策に全力を注ぐことを衆議院に集まって議決することではなく、被災された方に姿を見せることこそが大事なのだと説明しています。

一方、翌日11日の放送では
後藤氏「あの、今日被災地のいろんな報道で見えてきたのは、やはり物流が一つ問題、それと人手不足ということも今日クローズアップされてましたね。(中略)今日そうしたなかで、安倍総理が岡山の倉敷の真備町に入ってるわけじゃないですか。果たして今日のタイミングだったかどうかってのはあると思うんですね。日本のトップリーダーが当然行けばですね、警備の問題もありますし、現地で知事も市長も対応するということもあって、逆に現場が混乱する可能性もあるんですね(以下略)。」
この日の後藤氏の後藤氏は、安倍総理が当日に岡山県倉敷市真備町に視察に訪れたことを「タイミングとして適切だったのか」と疑問を投げかけているように感じられます。

被災地に足を運ぶべき、と発言したり、被災地に足を運ぶタイミングを誤ったのではないかと発言したり…
2つの発言から後藤氏の真意を読み取ることはできませんが、視聴者が混乱することは間違いないでしょう。またどちらも安倍総理に二つの面で厳しい言葉を投げかけていることからも、公平中立とはいいがたい状況になっています。
コメンテーターはもっと自分の言葉に責任を持つべきではないでしょうか。

このような放送を繰り返さないよう、我々視聴者の会は報道ステーションへの監視を続けます。

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