2018年2月19日~23日 報道ステーション

2018年2月19日~23日 報道ステーション

2018年2月23日 テレビ朝日「報道ステーション」の報告です。

今回の放送で一番時間を割いた話題は「平昌オリンピック」についての話題でした。

その日行われた女子フィギュアスケート競技の模様をVTRで伝えた後、日本人選手やメダルを獲得した選手へのインタビューを放映していましたが、特に印象操作や放送法違反に抵触するような箇所は見当たりませんでした。

さて、今回検証していきたいのは「働き方改革」について報じた部分です。
詳しく見ていきましょう。

【放送内容】
働き方改革について報じた部分はアナウンサーによる前振りは無く、VTRからのスタート。VTRでは安倍総理が「古河桃むすめ」という茨城県古河市のPR大使の表敬訪問を受けたことが伝えられました。

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ナレーター「今日、桃むすめの表敬訪問を受けた安倍総理。」
安倍総理「花言葉は『邪気を払う』天下無敵なんです、天下無敵。オリンピックで金メダル3つ出ました。桃の花にふさわしいなと思っています。我々が天下無敵というわけではなくて、謙虚に丁寧に生きたいと思っていますが。」

VTRは
2月22日の衆院予算委の様子→当日の与野党幹事長らの会談の様子→厚生労働省に書類を提出する野党議員の様子と移り変わっていきました。
ナレーター「その安倍政権が国会で追及を受けるのが働き方改革を巡る調査データの問題です。野党側は法案提出を断念し調査をやり直すよう与党に申し入れました。さらに厚生労働省を訪れ今週地下倉庫で見つかったというデータの原本32箱分を確認。当初は無くなったとしていた厚労省を批判しました。」
このナレーターの言葉を最後にカメラはスタジオへと戻ります。

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この日のコメンテーターはいつもの後藤謙次氏ではなく、コラムニストの小田嶋隆氏が務めていました。
富川アナウンサー「働き方改革。今国会はね、まさに働き方改革国会と位置付けられていたわけですけれども、この議論はどうご覧になっていますか」
小田嶋隆氏「これは議論以前の問題に戻っちゃいましたよね。だからこれまで積み重ねてきた議論のベースになっていたデータが疑わしいとか、あるい無いはずだった数字が出てきたということは、うっかりしていたのかあるいは意図的に隠ぺいしていたのか、ねつ造したのか、まあ疑われても仕方ないと思うんですよ。そうすると今までの議論の基礎が無くなったわけだから、筋論からすると本当は議論をリセットしてゼロに戻して最初からやり直すか、あるいは法案の提出を次の国会に持っていくぐらいのことをしないといけないはずなんですけど。」
「ただ、現政権は前の安保法でしたっけ、安保法の時も共謀罪の時も強行突破をしたんだけれども、割と支持率が落ちなかったですよね。だから自信持ってると思うんですよ。今回も私、強行突破するんじゃないかと思うんですけど。それできっと法案成立してそのあとどんな禍根が残るのかというのを、でもそれはちょっとわからないと思わないといけないんじゃないかなと思うんですよ。」
富川アナ「でも働き手にとってはね、この働き方改革見てると、やってほしいなという部分とどうかなという部分があって。」
小田嶋氏「これ中身見てみると、労働側にとって賛成できるものも含まれているし、経営側の要望を反映したんじゃないかとしか思えない部分と、混在してますよね。だから簡単にひとまとまりに賛成です、反対ですって言いにくい。だから全部切り分けて丁寧に議論していかないといけないと思うんだけど。」
富川アナ「その、どうなのって部分を強行に進めてほしくはないという…」
小田嶋氏「そうそう。前の安保法の時も11個まとめたりしてたじゃないですか。全部まとめて通しちゃうって主張を学んだのか、何なのか。でも本当は1個ずつきちんと積み重ねて議論して、ダメなものはいい、いいものはいいって言って、分けていけば一番望ましいんじゃないかと思うんですけどね。」
富川アナ「一度立ち止まってほしいと思いますね。」

【検証部分】
今回の放送の問題点は、富川アナと小田嶋氏の発言が公平性を欠いている可能性があることです。詳しく説明していきます。
まず、小田嶋氏は働き方改革法案で根拠とされているデータに不備があったことについて、「意図的な隠ぺい」や「ねつ造」という強い言葉を用いて批判を行っていました。しかし、小田嶋氏が番組中にこの点についてその理由として根拠のある説明を行うことはありませんでした。
また、この法案の国会での通し方について小田嶋氏は、いわゆる安保法案や共謀罪法案を前例として挙げ、「強行突破」という手法を取る可能性が高いと主張していました。この点についても、小田嶋氏が前提とした「安保法案や共謀罪法案が強行突破によって成立したかどうか」は国民の間で今でも意見が分かれるものです。これを前提として話を進めた小田嶋氏の発言は適当なものと言えるかは議論の余地があるでしょう。
富川アナウンサーについて言えば、最後に「一度立ち止まってほしいと思いますね。」と発言していましたが、これも中立性に欠けた発言として指摘しておきたいと思います。

最後に、報道ステーションの番組内容がこの一週間(2月19日~2月23日)を通して中立性に欠けていた可能性についても指摘しておきたいと思います。
この1週間、番組は毎回働き方改革法案に関する話題を取り上げてきました。この点については、本法案が国民や視聴者の関心を寄せるものである以上、問題があるとは言い切れません。しかし、報ステはこの働き方改革に関する予算委員会での質疑についてVTRで放映する際、質問者を一部野党の議員のみに限定していて放送していたのです。
実際、19日(月)には希望の党1名、立憲民主党1名、無所属の会1名の質問を取り上げ、
20日(火)には立憲民主党2名、希望の党1名、22日(木)には立憲民主党1名、希望の党1名の質問をそれぞれ編集して放送していました。また、21日(水)の放送では衆院予算委員会の様子は伝えなかったものの、野党合同ヒアリングの一幕を放映していました。
この間、自民党や公明党などの与党はもちろんのこと、日本維新の会や共産党の議員による質問は1度も放映されることがありませんでした。これは放送法の第4条2項「政治的に公平であること」という文言に明らかに抵触しているように感じられます。一部の政党のみに偏った編集方法は改めなければなりません。

今後も監視を続けます。

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