2019年2月20日 報道ステーション

2019年2月20日 報道ステーション

2月20日の報道ステーションのレポートです。

今回の放送は非常に表面的な報道のみでした。

統計不正問題に関しては、どういった論点があるのかも明かさない、
辺野古基地移転に関しても、なぜ基地移転が問題なのかわからない。

論点が様々ある問題であるにも関わらず、公平な放送がなされいないため
放送法に抵触する恐れがあります。

まずは放送内容を見ていきます。

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【スタジオ】
富川悠太アナ:続いては国会です。今日はこの二つの言葉に注目しました。
「記憶にございません」「間違ったことを申し上げているわけではない」。

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【VTR】
立憲民主党 長妻昭代表代行:なんか変なメールが出てまいりました。

ナレ:メールとは、2015年9月14日、厚労省が毎月勤労統計の調査方法について検討していた有識者会議の座長に送ったものです。2015年8月、有識者会議は“調査方法は変更しない”との結論を、いったんはまとめます。しかし、9月16日、調査方法は“引き続き検討”と方針を一変させます。根本大臣は今日の答弁で、厚労省が有識者会議の座長にメールを送ったのは方針変更2日前の14日で、「委員以外の関係者から意見があった」と書かれていたことを認めました。

立憲民主党 長妻昭代表代行:委員以外の関係者から「部分入れ替え方式を検討すべきはでないか」との意見があったっていう、そういうメールが送られたと。これ委員以外の関係者って誰ですか?

根本匠厚生労働大臣:詳細は不明ですが、中江前総理秘書官のことだと思われるという、担当部長からそういう話を聞いております。

ナレ:当時、厚労省に調査方法を再検討するよう意見をした、外部の関係者とは、中江元哉前総理秘書官の可能性があるというのです。有識者会議の座長にメールが送られた、まさにその9月14日に厚労省は中江氏に、状況について説明をしたといいます。

中江元哉前総理秘書官:(厚労省)姉崎元部長と宮野元総括審議官が2015年9月14日に(来た際)、検討会の状況についても触れたと。正直2015年9月14日に厚生労働省から説明を受けた記憶は、私にはまったくございません。

ナレ:中江氏は2015年3月、厚労省の幹部に、調査方法の改善について“問題意識”を伝えています。それ以降厚労省とやりとりしたことはあるか、一昨日問われた際には――

立憲民主党 長妻昭代表代行:それ(2015年3月31日)以外で厚労省と接触したことはありますか。毎勤統計で。

中江元哉前総理秘書官:毎月、数値は聞いておりますが、それ以外について厚労省とやりとりしたことはございません。

立憲民主党 長妻昭代表代行:これ、虚偽答弁じゃないですか? 平成27年3月31日以外で接触したり電話したことありますか、毎勤統計の件で、といったら一切ないと。

中江元哉前総理秘書官:記憶がありません。おとといご答弁申し上げたときも虚偽というか、私の記憶のありのままをそのままご答弁申し上げて、きょうもありのままを申し上げてます。それ以上他にご説明を受けたという記憶は本当にございません。

ナレ:普天間基地移設にともなう辺野古の埋め立てに関しても議論となりました。

立憲民主党 本多平直衆院議員:あそこのサンゴは移しているということで国民の側も誤解をする方が出ると。

ナレ:指摘されているのは、先月6日、安倍総理のNHKの番組内での発言です。

安倍総理大臣(先月6日NHKの番組内で):土砂が投入されている映像がございましたが、土砂を投入するにあたって、あそこのサンゴについては、これ移しております。

立憲民主党 本多平直衆院議員:言い方がね、あそこのサンゴを全部移しているみたいな言い方にとられる言い方を、僕は、総理されたんじゃないかと思うんですよね。サンゴもまだ移してない方が多いわけですよ。

ナレ:どういうことなのでしょうか。政府が今土砂を投入しているのはこのエリアです。移植されたのは特に希少なサンゴで、南側の海域の1群体と、北側の8群体だけです。埋め立てが予定されている海域では、およそ7万4000群体のサンゴを移す必要があり、その多くが北側に生息していますがまだ移されていません。

岩屋毅防衛大臣:現在埋め立てを進めているキャンプシュワブの南側ですね、そこにおけるサンゴについては護岸で締め切り周囲と隔離されるとその生息に影響が生じるためにですね、1群体すでに移植をしたところでございます。(総理の)ご認識は間違っていないというふうに思っております。

安倍晋三総理大臣:言い方でですね、私の説明が常に十分だと申し上げるつもりはまったくありませんが、NHKの中の短いやりとりの中でですね、こう申し上げたことについては、私は間違ったことを決して申し上げているわけではありませんし、基本的に事実について申し上げているということでございます。

ナレ:次の日曜に行われる、辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票については――

無所属 江田憲司衆院議員:24日の県民投票ね、先般14日の官房長官会議でこんなことをおっしゃってる。とにかく投票結果にかかわらず移設を進めるんだと。まだ投票もしてない段階で、結果も出てない段階でなんでこんなことが言えるのかと。私、神経が信じられないですよ。総理も同じ考えですか、それは。

安倍晋三総理大臣:世界で最も危険と言われる普天間飛行場の固定化は絶対に避けねばならない。そのうえで県民投票についてお答えさせていただきますと、自治体における独自の条例にかかわる事柄でありまして、政府としては見解を述べることは差し控えたいと思います。

無所属 江田憲司衆院議員:官房長官はこうおっしゃった。辺野古移設を進める考えにかわりはありませんと。そうですよね?

安倍晋三総理大臣:官房長官はまさに政府としての方針を述べたということだと思います。

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【スタジオ】
富川アナ:不正統計問題でも辺野古移設問題でも、これまで国会で聞き慣れたような言葉がきょうも聞こえてきましたね。

後藤謙次氏:そうですね、安倍総理今日で吉田茂さんと並んでですね、連続在任日数では歴代二位なんですね、この6年2ヶ月くらいになりますけども、この安倍総理の答弁パターン、あるいは発言パターンで、一定の法則性があるんじゃないかと、私はずっと思ってたんですね。

富川アナ:たとえば。

後藤氏:たとえばまずダーンと結論を言う。いまのサンゴもそうなんですけど、たとえば自衛官の募集についてもですね、多くの、6割の自治体が拒否をしていると。こう言ってるんですが、最近の答弁はですね、所要の協力をしていただけていないという、こういう言い方でですね、決してそこで後退したとか、間違ったとかはおっしゃらないんですね。つまりそこには徐々に修正をしながら、トーンダウンさせながら軌道修正していくと。これが安倍総理のパターンなんですね。そしてやってる感を常に出していくと。いうことになるとですね、観てる側は努力を重ねているんだなと、そういう思いに駆られていくんですね。しかし我々はジャーナリズムですから、この発言が正確なのかどうか、絶えずですね、総理に説明を求めながら、そして我々自身の手でそれを検証していくと。そうしないとですね、それが生活に直結する、あるいは我が国の平和と安全に直結する、そういう問題になりかねないんで、そこは厳しい目で見ていきたいと思います。

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まずは統計不正問題に関する部分から見ていきます。
野党がしきりに主張している論点が、
「実質賃金は下がっているがアベノミクスをよく見せるために、偽装した、アベノミクス偽装ではないか」という論点です。

これに関して、偽装があったのではないか?という野党の主張をメインに切り取って放送が終わってしまいました。

この実質賃金偽装を暴くための野党による質疑を取り上げていますが、これ以外の論点を提示すべきです。
つまり実質賃金が低いと本当に景気は悪い言えるのか?という点です。

そこでまずは実質賃金と景気や雇用の実態の関係ついて解説します。

そもそも実質賃金とは「賃金からどのくらいのものを購入できるか」という値です。

例えば平均賃金が10万円から11万円に10%増えても、物価も10%上がれば実質賃金は上がったことになりません。

つまり物価変動の影響を排除した上での数字です。

この実質賃金だけを見ても景気全体は分かりません。
なぜなら、今まで働いていなかった人が加わった場合、平均賃金が低くなるからです。

第二次安倍政権以降、アベノミクスによって、383万人の新規雇用が生まれ失業率は低下しました。
この新規雇用は賃金0円からスタートしたので、実際の賃金は確実に上がっていますが、
働き始めで賃金は低い労働者が母数に含まれるため、平均賃金は低くなり、実質賃金も低くなります。

つまり失業率が低下し、実際の賃金も上昇していても、実質賃金は下がるということがあるのです。

こういった論点抜きに野党の主張を取り上げるばかりでは、以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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次に辺野古基地に関する報道を見ていきます。

辺野古基地移設が問題となった背景から見ていきます。

2010年、民主党政権のときに普天間基地移設が反故にしたということがこの問題の発端になります。
2010年は安保改定から日米安保改定50周年という日米関係を強化していく節目の年になるはずでしたが、当時の鳩山政権が「最低でも県外」という方針を打ち出しました。

この基地移設に関する交渉は13年間も続けられてきた国家同士の話し合いであったのにも関わらず日本から一方的に反故にしたのです。
この影響から日本に対する、アメリカの信用は落ち込み、日米関係は「史上最悪」とも言われるほど冷え込みました。

そこで安倍政権としては、この信頼を取り戻すためにも基地移設を果たし、日米関係を強化したいという狙いがあります。

こういった背景・論点を述べることなく、一面的な報道だけで終わってしまっては
先ほどと同様、以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること

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視聴者に、「よく分からないが、安倍政権は良くない」という印象を与えることにもなりかねません。

テレビ放送として、本来であれば、なるべく多くの論点を取り上げるべきです。

視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して、監視を続けてまいります。

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