2019年1月15日 報道ステーション

2019年1月15日 報道ステーション

1月15日の報道ステーションのレポートです。この日の放送された辺野古基地移設に関する報道を取り上げていきます。早速見て行きましょう。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:辺野古では現在このように土砂の投入が進んでいます。玉城知事は基地建設の賛否を問う県民投票を、予定通り来月24日に実施する方針ですが、県内の五つの市が不参加を表明しています。そんななか、沖縄の国会議員が県民投票への不参加を促すかのような資料を勉強会などで地方議員に配布していたことが分かりました。

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【VTR】
《VTR:宮崎衆院議員が配布したとされる資料》
ナレーション:これがその資料です。「県民投票の不適切さを訴えて、予算案を否決することに全力を尽くすべきである」。資料には、弁護士資格を持つ自民党の宮崎政久衆院議員の名前が書かれています。勉強会に参加した市議会議員は――

(市議会議員のコメント)「勉強になったから参加してよかった」

ナレ:辺野古埋め立ての賛否を問う来月24日の県民投票については、現在五つの市の市長が参加しないことを表明しています。

《VTR:沖縄・うるま市 午後4時半過ぎ~午後5時ごろ》
ナレ:今日、玉城デニー知事は直接うるま市長の説得にあたりました。

玉城デニー知事:条例として正しく制定されたものである以上、そこの投票する住民のみなさんの権利。県市町村はその事務を執行する義務ということがその時点で明確になっておりますので

ナレ:説得の結果は――

インタビュアー:考え方は変わったか。

うるま市 島袋俊夫市長:私たちの考えは既に示した。今朝提示した通りでございます。

ナレ:結局、県民投票には参加しないといいます。

ナレ:投開票などの事務は、市町村が担当し、その経費は県が負担しますが、各市町村議会での議決が必要となります。不参加を表明している市長らは、一様に市議会で予算案が否決されたことを理由に挙げています。

宮古島市 下地敏彦市長:やはりだめだということに議会の一致が決定いたしました。

石垣市 中山義隆市長:議決は大変重要な決定と認識をしております。

《VTR:宮崎議員が配布したという資料》
ナレ:市議会での議決に先立つ先月初旬、宮崎政久衆院議員が配布したという資料には、こうあります。「議会、議員としては、そもそも論としての県民投票の不適切さを訴えて予算案を否決することに全力を尽くすべきである」「議員が損害賠償などの法的な責任を負うことはない」

ナレ:同じく、宮崎議員の名前が書かれた資料には、議会が否決したあと市長らがどうするべきか、アドバイスらしき記述も。「議会で予算案が否決された事実を前に、これに反して市町村長が予算案を執行することは議会軽視であり不適切である」。さらに資料は、問題点として賛成・反対の二択になっていることを挙げます。この点も、のちに一部市長らが示した見解と重なります。

沖縄市 桑江朝千夫市長:マルかバツかだけのその手法がいかんと言っているんです。

宜野湾市 松川正則市長:二択では県民あるいは市長そのものを分断していると。

ナレ:この資料は、市長らの判断に影響していないのでしょうか。

インタビュアー:こうした勉強会に市長自身や市の幹部が参加されたということはありますでしょうか。

うるま市 島袋俊夫市長:そういったことはございません。

インタビュアー:そういった文書自体は市長は見たことは?

島袋市長:いや、見たことはないですね

ナレ:五つの市に問い合わせたところ、宮崎衆院議員の勉強会に参加した市長はいないといいます。一方で、勉強会に参加した市議会議員は、われわれの取材にこう答えました。

勉強会に参加した市議会議員:宮崎先生が勉強会でプレゼンしたもの。弁護士経験もあり、わかりやすく勉強になった。

ナレ:五つの市が参加しないと、有権者のおよそ32%が投票できないことになります。宮崎衆院議員はFacebookで、こうコメントしています。「議員の皆さんから要望があり、県民投票条例に関する勉強会が開催されたことは事実であり、参加された方の理解のためレジュメを作成しました。私が一定の見解を強制できるものでないことは改めて申すまでもありません」。自民党沖縄県連は、あす会見を開く予定です。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:宮崎議員が指摘した通り、まあアドバイスした通りのような流れになっているというように見えるんですけれども、ただ不参加を表明した五市、そこに住む人々はみなさん投票ができないわけですよね。

後藤謙次氏:そうなんですよね。これまで自民党、とりわけ与党側のですね、戦略的に沖縄の大きな市、11市ある市のうちですね、主だった市については市長選挙でそれぞれ一つ一つこうまわる面で保守系市長を誕生させてきたわけですね。そういう土壌のなかに、今回この県民投票拒否という意志行動が表れてるんですが、考えてみるとですね、市長も市会議員もみんな地元の人たちに選ばれてきてるんですね。つまり選ばれている人たちの投票権を奪う権利があなたがたにあるんですかと。まさに自己否定につながりかねない。そういう意味である面で民主主義の自殺行為に手を染めようとしているんじゃないかと。そう思うんですね。

富川悠太アナ:五市の住民の方が投票できないと、およそ32%の方が投票できないということになるということですけれども、先日ね、沖縄のみなさんのインタビューのなかで、どんな民意があるのかっていうのを県民投票をつうじて知りたいっていうことを、賛成派の方も反対派の方もおっしゃっていた。その願いが叶わないということになりますよね。

後藤氏:そういうことですね。結局この沖縄のみなさんがどういう気持ちを持っているのか、今回およそ3割ないということで、これは沖縄県の総意じゃないんだと、そういうことを言いたいんだと思うんですが、逆にですね、沖縄県民全体の意識を知るということが、沖縄県だけじゃなくて日本全体の、それはある面で財産になるんですね。米軍基地っていうのは沖縄だけじゃないわけですから、そこを是非もう一回再確認してですね、是非、投票やってもらいたいと思いますね。

今回の放送の問題点は2点あります。
1点目は公正な報道であったか、それに伴い放送法に抵触する恐れがあること。
2点目は印象操作ととらわれかねない放送であったこと。

1点目に関して今回の報道では県民投推進派の立場からの報道であったと言えます。
終始県民投票を進める県知事側の立場に立っての報道でした。
もちろんVTRの部分では事実を述べていくことが第1の目的ですので、深い解説は難しいでしょう。
それならばスタジオ解説にて県民投票に反対なのか、単に議会が反対しているから、ではなくなぜ議会は反対なのか、そういった解説が必要なはずです。
しかしスタジオでの解説は以下の通りで、公平な解説であるとは言えません。

徳永有美アナ:宮崎議員が指摘した通り、まあアドバイスした通りのような流れになっているというように見えるんですけれども、ただ不参加を表明した五市、そこに住む人々はみなさん投票ができないわけですよね。

後藤謙次氏:そうなんですよね。これまで自民党、とりわけ与党側のですね、戦略的に沖縄の大きな市、11市ある市のうちですね、主だった市については市長選挙でそれぞれ一つ一つこうまわる面で保守系市長を誕生させてきたわけですね。そういう土壌のなかに、今回この県民投票拒否という意志行動が表れてるんですが、考えてみるとですね、市長も市会議員もみんな地元の人たちに選ばれてきてるんですね。つまり選ばれている人たちの投票権を奪う権利があなたがたにあるんですかと。まさに自己否定につながりかねない。そういう意味である面で民主主義の自殺行為に手を染めようとしているんじゃないかと。そう思うんですね。

富川悠太アナ:五市の住民の方が投票できないと、およそ32%の方が投票できないということになるということですけれども、先日ね、沖縄のみなさんのインタビューのなかで、どんな民意があるのかっていうのを県民投票をつうじて知りたいっていうことを、賛成派の方も反対派の方もおっしゃっていた。その願いが叶わないということになりますよね。

後藤氏:そういうことですね。結局この沖縄のみなさんがどういう気持ちを持っているのか、今回およそ3割ないということで、これは沖縄県の総意じゃないんだと、そういうことを言いたいんだと思うんですが、逆にですね、沖縄県民全体の意識を知るということが、沖縄県だけじゃなくて日本全体の、それはある面で財産になるんですね。米軍基地っていうのは沖縄だけじゃないわけですから、そこを是非もう一回再確認してですね、是非、投票やってもらいたいと思いますね。

このように県民投票推進の立場からの解説、放送は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

放送法4条
(2)政治的に公平であること
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること

そして2点目ですが、上記のような放送であったため、県民投票は行うべきであるとの印象を視聴者が抱きかねない、言わば印象操作のような放送でした。
しっかりと2つの立場に立っての報道によって公平性を担保し、視聴者それぞれが考える放送にすべきでしょう。

視聴者の会は公正公平な報道を目指して、監視を続けてまいります。

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