2019年3月20日 報道ステーション

2019年3月20日 報道ステーション

3月20日の報道ステーションのレポートです。
この日の放送では今後の景気動向ついて取り上げられていました。
景気が回復しているか否かという論点で2012年からの安倍政権の景気対策について述べられていました。
確かに5%から8%へと消費増税の影響もあり、景気が下火になっているということもありますが、2000年代から停滞していた景気を政治の側から変えていったという点で安倍首相のアベノミクスは非常に評価できるものであるはずです。
今回は安倍政権になってからの景気回復を検証し、その上で今回の放送では1面的な報道しかしていないのではないかという問題意識から検証して行きます。
検証するのは2点です。
1. 多くの論点を取り上げた放送であったか
2. 景気動向とは関係のない箇所を関連させて報道したのではないか
という2点について見て行きます。

まずは放送内容です。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:続いては気になる景気のニュースです。政府は国内の景気の状況について輸出や企業の生産の一部に弱さが見られるとして3年ぶりに下方修正しました。

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【VTR】
茂木敏充経済再生担当大臣:景気は緩やかに回復しているとの基調判断を維持しつつ、「このところ輸出や生産の一部に弱さも見られる」と下方修正の文言を追加しております。

ナレーション:政府は今日、三月の月例経済報告をとりまとめました。それによると、中国経済の減速を背景に、スマートフォンなどに使う電子部品などの輸出や生産の一部に弱さが見られるとして、国内の景気判断を3年ぶりに下方修正しました。一方で個人消費と企業の設備投資は引き続き堅調さを維持しているとして、景気は全体として「緩やかに回復が続いている」との判断は維持しました。月例経済報告は政府の公式な景気の認識を示すもので、政府は第二次安倍政権が発足した2012年12月から、「戦後最長の景気拡大が続いている可能性が高い」としています。

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【スタジオ】
富川悠太アナ:ではですね、景気判断が下方修正されたということは、戦後最長になったかもしれないと言われている景気回復はどうなったんでしょうか。そもそも皆さんは景気をどう感じていらっしゃいますでしょうか。

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【VTR】
ナレ:戦後最初の景気拡大は、有史以来の出来事という意味合いで「神武景気」と呼ばれました。その後も57ヶ月続いた「いざなぎ景気」、「いざなみ景気」。期間の長さが塗り替えられるたびにネーミングは古事記を遡ります。

安倍晋三総理大臣:この景気回復は戦後最長なのに、かつての「神武景気」「岩戸景気」といったネーミングがない。

ナレ:今日の月例経済報告で、政府は「戦後最長の景気拡大はまだ続いている可能性が高い」という見方を示しました。

茂木敏充経済再生担当大臣:現時点で景気回復が途切れた、このようには考えておらず、昨年12月に戦後最長に並び、そして本年1月に戦後最長を更新した可能性のある認識は変わっておりません。

ナレ:内需は今後は回復が続き、雇用環境は良いと説明しています。実際に就職活動の現場で聞いてみると――。

記者:景気がちょっと下向きになったなって雰囲気はありますか。

就活中の学生A:あんまり実際、実感はないんですね。でも私たちの世代の子たちは人手不足なのでもしかしたら就職活動がしやすいかなって思うんですけど。

就活中の学生B:日本ってまだまだ捨てたもんじゃないんだなと。日本の景気は海外の方からも増えて良くなっていくんじゃないかな。

ナレ:今の景気回復が始まったのは、2012年12月、安倍総理が就任したときからです。ただ、期間は確かに長いのですが、成長率で見てみると、いざなぎ景気のときのおよそ10分の1にとどまります。政府は景気拡大が続いている根拠を「国内の底堅い消費」としていますが――。

カーテン販売店:景気良いって言ってるけど、良くはない。店36年やってて、去年は最悪だったの。お客さん来ないし売れないし、今年もそうなの。良くないんです。

ナレ:日本経済を下支えしている町工場で聞いても。

ウヌマ株式会社 鵜沼浩一社長:実感のないミニバブルというのかな。儲かってる企業と全く仕事ない工場と、極端だよ。やっぱりね。今更職種を変えるって訳にはいかないでしょうからね、廃業する方が多いみたいですね。

ナレ:景気回復が今も続いているかどうかを、内閣府で今後一年以上かけて判断されることになりますが、専門家は現段階でどう見ているのでしょうか。

SMBC日興証券シニアエコノミスト 宮前耕也氏:現時点では非常に景気の先行きについて見方が分かれる局面ではありますね。大胆な金融政策、異次元緩和の影響である意味政策が成功したという言い方もできますし、政策頼みであるというふうにも言えると思います。戦後最長を更新したかどうかについては今の段階では非常に微妙なところです。

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【スタジオ】
富川アナ:景気が回復し続けていると見るか、後退局面に入ったと見るか。後藤さんは見通しは。

後藤謙次氏:私も今日何人か取材をしたんですが、やっぱり両論ありましてですね。ただぐっと上がってるって言う人はいないんですね。徐々にまあ下っていってるんではないかと。しかしまだ緩やかに景気回復は続いているという人もいますから、なかなか判断は分かれてですね、ある人はこう言ったんですね。「今は午後三時だ」と。つまり日没は近いんだけれども、まだ太陽は出ていると。これが一番まあしっくりきた表現だったんですけども、結局当面のいろんな問題について、決着がついてないんですね。これがまだ三つの要因が残っていると。一つは米中協議ですね、米中合意協議。これは米中首脳会談が四月にも行われる予定ですけども、それが依然として不透明なままで。それからブレグジット。これ3月29日にEUの離脱問題、結論が出ますけども、延期になるらしいという状況ですから、これも結論出ない。さらに中国経済が減速過程に入っていると。こないだ全人代で大規模な財政政策をするという発表をしましたけれども、その結果もまだ出てきてないと。結局出てくるのはですね、6月の下旬にG20が大阪で開かれますね。この頃にようやく景気の、これから良い方向に行くのか、だめなんじゃないかと、いう結論が出てくると。今日はまだそういう判断ができる状況じゃないと。ただ政府としてはですね、参院選挙を控えて、この景気っていうのはまだまだ上がってるんだよということを強く訴えたいと。そういう局面だと思いますね。

富川アナ:なるほどその参院選挙には10月に消費増税控えてるということもありますから、先行きがどう見通せるかによって判断に影響が出るかもしれないんですね。

後藤氏:それは大いにあると思いますね。安倍総理もぐるぐる頭回してるんだと思います。

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放送内容をまとめると
1. 戦後最長という景気拡大について報道ステーションが検証する
2. 個々の店や工場を取材し景気が良いと感じていない人々にインタビューをする。
3. スタジオ解説にて景気動向について拡大はしていないという論調で解説を行う。

まずこの戦後最長とも言われる景気拡大についてですが、2012年からのアベノミクスの成果は非常に大きなものでした。
民主党政権下で8000円台になった株価を2万円台まで回復させ、新たに約300万人以上の雇用を創出し、失業率を下げた、あるいは有効求人倍率を回復させてきました。

放送の就活生へのインタビューでもある通り、若者の雇用の場というのはしっかりとあるというのが分かります。
こういった政治が景気を変えたという実績を論点を提示せずに、景気が伸び縮みしているというだけの報道は論点の少なさという点で問題です。

また景気の重要な要素である消費が落ち込んだ要因である2014年の消費増税にも触れていません。
この5%から8%への消費増税は民主党が主導となって進めた政策です。
景気が落ち込んでいるにも関わらず消費を抑制する消費増税を行ったことそのものに対する問題を解説するということはありませんでした。
安倍総理はこの増税を2度スキップし景気が後退しないよう対策を進めていったことも実績の1つでしょう。しかしこの点もやはり述べられていません。

このような論点を提示せずに放送することは以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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次に景気動向とは関係の無いことを、ある意味強引に景気動向と絡めて報道した可能性があります。

番組のインタビューで以下のようなことが語られ、景気動向と関連して報道されていました。

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ウヌマ株式会社 鵜沼浩一社長:実感のないミニバブルというのかな。儲かってる企業と全く仕事ない工場と、極端だよ。やっぱりね。今更職種を変えるって訳にはいかないでしょうからね、廃業する方が多いみたいですね。

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まず景気動向という国の経済の話を個々の店や工場への取材をもってして景気が落ち込んでいることのエビデンスとすることにも問題がありますが、今回のインタビューで語られているような、儲かっている企業と仕事がない企業がある、というのはたとえ景気が良くても存在するでしょう。
資本主義とは需要があるところにお金が集まるのですから、均等にお金が集まることはありえません。

また廃業という問題に関しては景気とは関係のない、後継者不足という問題も背景としてあげられています。
現在少子高齢化の影響などもあり、後継者が不在である企業は非常に多く、127万以上社の企業に後継者がいません。現在でも年間3万社の企業が後継者不足により廃業となっています。
この3万社の企業の半数以上は黒字であると言われています。
つまり景気の動向とはあまり関連がないと思われる問題を報道した可能性があるのです。
これは以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること

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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けてまいります。

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