2018年5月2日 報道ステーション

2018年5月2日 報道ステーション

報道ステーション 5月2日分の報告です。
今回最も放送時間を割かれた話題は「電力関連」に関する話題でした。
このコーナーではGWの日中、九州電力の管轄地域で太陽光発電がカバー率を一時8割突破したということについて取り上げていましたが、特に放送法違反に抵触するような箇所は見られませんでした。

今回検証するのは、「加計学園関連」について取り上げたコーナーです。
詳しく見ていきましょう。

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小川アナ「えー、加計学園の問題です。こちらは、安倍総理の元秘書官、柳瀬唯夫氏。去年の国会で、今治市の職員との面会について、『記憶の限り、お会いしたことがない』と何度も否定していたんですが、その時同席していた加計学園の関係者とは会っていた、と認める方向で調整していることがわかりました。どういうことなんでしょうか」
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小川アナは冒頭、柳瀬唯夫元首相補佐官がかつては「記憶の限り会っていない」としていた答弁を「会っていた」と認める方向で検討していることを伝え、VTRがスタートしました。
——–【VTR】
ナレーター「柳瀬氏といえば、この答弁です」
画面には、国会の参院予算委員会で答弁をする柳瀬氏の様子が映されます。
柳瀬氏「私の記憶を辿る限り、今治市の方とお会いしたことはございません」
柳瀬氏「私の記憶を辿る限り、お会いしてないということでございます」
柳瀬氏「記録してる限りはお会いしたことはございません」
これに対し、国会で野次が飛ぶ様子が映されます。
ヤジ「会ってないなら会ってないって言えばいいじゃない」

ナレーター「『2015年4月2日に、総理官邸で面会した記憶はない』と答弁を繰り返した柳瀬氏。ところが愛媛県が作成した文書には、この時柳瀬氏は、今治市と愛媛県の職員、そして加計学園の幹部と面会していた、と書かれています」
画面に愛媛県作成の文書から作られた、3者が会談する3D画像が映されます。

次に、愛媛県作成の文書が映されました。
ナレーター「柳瀬氏からは『本件は首相案件』との発言や、『やらされモードではなく』といった県や市に対応を促す発言があったとされています」

柳瀬氏が廊下を歩く様子が映され
ナレーター「これまで、今治市や愛媛県の職員との面会について『記憶の限りない』としてきた柳瀬氏ですが、自民党幹部に対し、こう話していることがわかりました」
自民党幹部への取材から明らかになったとされる柳瀬氏の発言が紹介されます。
柳瀬元総理秘書官(ナレーター)「加計学園の関係者の後ろに、複数の人がいた。その人たちが愛媛県側の人かどうかは定かではない。指摘を受けて先方の名刺を探したが、見つからなかった」
ここで再び、3者が会談する3Dモデルの画像が映されます。
テーブルを中央に置く部屋の中で、加計学園の担当者が前に出て今治市と愛媛県の担当者が後ろで小さくなっている様子が映されました。
ナレーター「官邸で加計学園の関係者と会った記憶はあるが、今治市の職員だと会った記憶はない。つまり、国会での答弁に嘘はない、ということなのでしょうか」

ここで、そのナレーターの問いに答えるような野党の反応が紹介されます。
記者会見に応じる立憲民主党の辻元清美国対委員長です。
辻元国対委員長「総理の最側近が、官邸で加計学園関係者らとも面会していたということですから、3年前から加計ありきでですね、シナリオが作られてたんじゃないかと」「一歩前進だと思うんですよ、柳瀬氏が認める方向ということが事実であるならば」

ナレーター「野党6党は審議拒否を続けていますが、柳瀬氏のできるだけ早い段階での国会招致も必要だとして、連休明けにも対応を協議することにしています」
このナレーターの発言を最後にVTRが終了します。【スタジオ】
富川アナ「確かにね、これまでの答弁聞いてみますと、これまで『記憶の限り今まであったことがあるのは今治市の職員で加計の関係者ではない』と言ってはいないんです。それでも何で急に認めたのかなってのは後藤さんどうお考えになりますか」
後藤謙次氏「まず一つはメール文章という動かぬ証拠が出てきたってこと、それと安倍総理が連休前の国会でですね、『柳瀬氏は知ってることを全て話してもらいたい』これを話したってことが非常に、秘書官として仕えた柳瀬さんに大きかったんだと思いますね」
富川アナ「そして、柳瀬氏の国会招致はする方向で進んでいると」
後藤氏「そうなんですね、これもいずれにしてもですね、まあ『窮余の一策』だと言っていいと思うんですね。つまり、答えがこうだからやりましょうと。本当は委員会のなかでの答弁ってのは我々には分からないはずなんですが、先にあらかじめゴールを示した上で、双方がやろうと。つまり野党側にすればですね、いろんな条件をつけて審議拒否をしてたんですが、振り上げた拳の落としどころがわからなくなった、と。一方で与党側もこのまま連休明けてもですね、さらに審議拒否されるということになれば、政権そのものがおかしくなってしまう、と。共に利害が一致して、今回こういう合意をしよう、ということになったと思いますね」
富川アナ「なるほど。んー、ただ、真相に迫れるかどうか、って言うとね…」
後藤氏「そうですね、後一歩で。今日新たな動きとしては、森友問題でですね、大阪地検で新たな事情聴取が行われたという報道もありました。これも含めてですね、政権側がいろんな意味で幕引きを急いでる感じがするんですね。連休前に財務省のセクハラ問題、福田前次官が認めてないにも関わらず処分をし、謝罪をしたと。こういう問題がどんどん雪だるま式に増えてきますと、結局政権の足下を揺るがしかねない。そういう事態を懸念したんだと思いますね。 ただこの柳瀬さんの招致が実現をしても、やっぱり忘れてはならないのは『本質は何か』ってことなんですね。今、出ることが目的化してると。ここはやはり、きちっと真相を探る、ということだと思いますね」
富川アナ「佐川氏の証人喚問の時のようなことは、あってはいけないですね」
後藤氏「そう思いますね」
富川アナ「真相にたどり着きたい、というところですね」
富川アナのこの発言を最後にこのコーナーが終了します。

【検証内容】
今回の放送の問題点は大きく分けて二つあります。
1点目は、番組が多様な意見を拾いきれていないと感じられるような構成になっていること。
2点目は、スタジオでの富川アナと後藤氏の発言が公平性を欠いているように感じられること。
以上の2点です。

まず1点目についてですが、このコーナー自体が「柳瀬氏の証言が以前とは変わった」という内容であることから、柳瀬氏が直接カメラの前で話した映像を用いたり、その柳瀬氏の発言を聞いたとされる人の意見を参考にしたVTRが放映される場面が目立ちました。そんな中で柳瀬氏以外の発言が紹介されているのは、立憲民主党の辻元清美国会対策委員長の発言のみです。
確かに番組の構成上、柳瀬氏の発言時間が多くなり、他の政党やそこに所属する議員の発言が紹介されづらくなっているのは理解できないわけではありません。しかし、意見の隔たりがあることも予想される与党の自民党や、他の野党(民進党)などの発言が一切紹介されないことに対しては、多様な意見の排除につながってしまっているのではないかという懸念があります。したがって今回の放送は放送法第4条4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」に抵触している可能性があります。

次に2点目についてですが、後藤氏と富川アナはスタジオにてこのようなやり取りを行いました。
後藤氏「そうですね、後一歩で。(中略)ただこの柳瀬さんの招致が実現をしても、やっぱり忘れてはならないのは『本質は何か』ってことなんですね。今、出ることが目的化してると。ここはやはり、きちっと真相を探る、ということだと思いますね」
富川アナ「佐川氏の証人喚問の時のようなことは、あってはいけないですね」
後藤氏「そう思いますね」
富川アナ「真相にたどり着きたい、というところですね」
後藤氏と富川アナは「本質」や「真相」という言葉を用いたうえで、「佐川氏の証人喚問」を「あってはならなかった例」と紹介していました。つまり、佐川前国税庁長官の証人喚問では真相は明らかにならなかった、と語っていると解釈することが出来ます。
しかし、実際には総理や総理夫人の指示はなかったことや、財務大臣が直接関わっていなかったことなど、多くの新事実が明らかになりました。
なぜこの2氏はそれを「あってはならなかった例」としているのか。それについての言及はされず、自らの意見に合わない意見を受け付けないような印象を受けました。このことから、今回の放送は放送法第4条2項「政治的に公平であること」に抵触している可能性が濃厚です。

今後も監視を続けます。

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